2017/08/20 のログ
ご案内:「無名遺跡」にシズクさんが現れました。
シズク > 無名遺跡、その名の通り…と評するのが正しいかは解らないが、名もなき遺跡、である。
地上部分にあるのは、天井の抜け落ちた白大理石の列柱と、同じく白大理石の床だけであり、
階段を下りたその先に広がるのが、幾層にもなった洞窟部分であった。
ただ、その奥深くには財宝や珍しい魔導機械も眠るという。

そしてそこに足を踏み入れた者たちの多くは、お宝を探し出せずに戻ってくるか、
そもそも戻ってこれないか、その2つである。
前者はともかく後者は、今、まさにそうなる直前の状況に置かれた自分はよくわかる………。

PTを組んで一緒に地下へと進んだのは数刻前。
魔法が使えるメンバーに小さな光球をそれぞれ1つずつ頭上に灯してもらって、闇が包む地下洞窟を進んでいた。
浅い階層では、時折光に驚いて襲ってくるコウモリはいたが、特に派手な戦闘になることもなかったのだが、
細く曲がりくねった道は、1人ずつ歩くのが精いっぱいであったし、
歩みが遅かったのか、気付けばメンバーとはぐれ、絶賛迷子中。

「………ていうか、絶対何か居る。この先、ヤバい」

小さな光球は頭上に輝いているが、遠くまで闇を照らせるわけでもない。
高々数歩先程度、トラップや地面を確認する程度のものだ。
きょろきょろとあたりを見渡し進んでいたが、何か聞きなれぬ音を耳が拾って、ぴたりと足を止めたのが四半時前。

それからこっち、息を顰めて、ただじっと、兎に角動かず騒がず、先の暗闇に潜む何かの気配に気を取られていた。

シズク > 時折、低く唸るような声が空気を震わせて耳へと届く。少なくとも、人のそれとは違う。
こちらからは闇が深くて、自分の周り以外は何も見えないが、
無防備に頭上に光球を灯している己の姿は、周囲からは確りと見えているはず。
…にもかかわらず、それを消さないのは。正確には、消せないのは、魔法が使えないためである。

「ど、ど、どーする?逃げる?それとも必殺技?
いや、でも、必殺技って、必ず、殺す、技でしょ?そこまで完成度高くないし!」

出来ればこのまま穏便に逃げ帰りたいし、もしくは迷子に気付いてPTが戻ってきてくれれば御の字。
ただ、そのどちらもがダメだった場合を考えて、ダガーに手を掛けてはいたが、まだ抜く気配はない。
ずっと柄に手を掛けているため、冷や汗も手伝って、上手く握っての戦闘に対する不安も強く。
それに、うかつに戦意があると示してしまうのも、得策ではない気がした。
張り詰めた緊張に、喉が鳴る。と言っても口の中はカラカラで上手く唾液を嚥下できないが。

ご案内:「無名遺跡」にアシュトンさんが現れました。
アシュトン > まったく、これだから新人共は……ッ

(と明らかに怒りを込めながらも、周囲に響かない小さな声で毒づく男が一人。
新人PTの引率というか、子守りとしてギルドから仕事を押し付けられたものの。
洞窟に入った辺りで一人消え、更に戦闘でもう一人どこぞに消えて。
気が付けば全員とバラバラになり、頭を抱えながらも探索より迷子探しを優先する事にしたらしい。
まぁ当然危険のある場所だ、死んでたら死んでたらで諦める、という気分ではあるのだが)

ふむ、落とし穴のトラップか。
引っかかった形跡は、無さそうだな。
とりあえず、迷子共が引っかかる可能性もあるから外しておくか。

(敵に見つかるのを警戒して、一人になってからは頭上の光珠も消し。そもそも夜目が効くので不要だったのだが。
岩と岩の隙間にワイヤーを潜り込ませると、魔術で動かし、探るようにして解除しはじめる。
恐らくと彼女が聞いた妙な音も、コレが原因だろう
丁度曲がり角やら岩の出っ張りやらで、光の方角は遮られて、ある意味では『運悪く』気が付いていないらしい)

シズク > 音の正体は相変わらず解らないし、「居る」と一度判断してしまえば、その先入観を消すのは難しい。
頭が2つぐらいあって、牙があって、んで、食べられちゃうんだ、という想像力が逞しいこともあり、
まさかそれが音の正体、なんてことに気付く余裕さえない。

「と、とり、とりあえず私は食べても美味しくないです。ほんとです。たぶん食あたり起こします!」

戦うのと逃げるのと、どちらに決めたかとなれば迷わず後者。
その闇に「居る」何かに、愛想笑い全開で声をかけて、そろぉ、と片脚を引く。
そのまま身体は正面を向けたまま、後ろ向きに進もうともう一歩進んだその時。

かつん。

小さな小石が踵に当たったその音に、びくぅっと肩を震わせると、

「ふわあああああっ?!」

かなり変な悲鳴が木霊する。先輩冒険者にすれば、それは、自動迷子発見機、の役割を果たすかもしれないが。

咄嗟にダガーを抜き、背後へと振り返る…が、そこにあるのは当然闇。
そして、またぶわっと背後を見てから、前後左右、最早意味が解らないほどきょろきょろと。
傍から見れば、光球の下、ひとりで悲鳴を上げて、ひとりで怯えて、ひとりで泣き出しそうなアホな冒険者…というより素人がそこにいる。

アシュトン > あー、よっこらせっと

(なんだか気の抜けた声を漏らせば、壁の向こう側で「カコン」と乾いた音がして。
古びた罠を、起動しないようにしてやった辺りだった。
此方にむかって何やら念仏じみたセリフを吐くような声が聞こえ、視線を其方へと向けた後。
石を蹴り飛ばすような小さな音と)

……あのバカ

(響き渡る悲鳴に、頭痛さえ感じられるようだった。
まぁお陰で何処にいるのかは分かったが、来て欲しくない存在さえも呼び寄せる可能性がある。
場所を特定出来たのであれば、行動は早い。
闇にまぎれたままに姿勢を低く地面を蹴り出せば、周囲の構造や出っ張りを真昼に等しく避け迫ってゆき)

こういう、場所でッ

(光が照らす範囲に不意と入り込めば、彼女の頭上――光の球に向けてナイフを一投。
呪い破りの効果を与えたソレが当たれば、この程度の明かりの魔法なら無力化は可能だろう)

むやみに、叫ぶなッ!!

(そのままダガーを抜いた間合いに一足で飛び込むと、叫ぶ口元を思いっきり引っ掴んで黙らせるべく、片手を伸ばす)

シズク > かなりのへっぴり腰で、ダガーを構え、ぶわっと泣き出しそうな顔をしながら、
前後の闇、この段階で、どちらが「前」で「後ろ」かわからなくなっているのか、
ぶんぶんと闇雲にダガーを振り回す恰好になっているのだが。

とりあえず空を切る音は中々勇ましい。よほどの切れ味だろうが、そのダガーは空しく空を舞うだけ。
手ごたえなんて当然ないのだが、魔物か何かの唸り声が聞こえた、と思ったその方向から、今度は明らかに何かが迫る気配。

「ふ、ぇっ?!…ぅ、わああっ、ぅぐっ?!」

はっとしたのは一瞬のことで、何かの影が頭上を横切った。
コウモリじゃない、と解ったのは次の瞬間、己の頭上で輝いていた光球が、鈴の音みたいな音を立てて弾けて消えたから。
となれば、第2弾の悲鳴を上げる準備はできていたのだが。

「んんんぅーーーっ!!!!!」

でたーーーっ、という感じの悲鳴を上げたものの、それはしっかりと先輩冒険者の手によって塞がれ。
何事か理解できていないのか、じたばた暴れること暫し。

「………」

どうやら口を塞いでいるのは人間だとその温かさで解る。
漸く大人しくなって、緊張と恐怖からの解放に安堵したのか、そのまま、ひしっとしがみ付いてしまう。
ただ、灯りが全くないし、夜目など利かないから、それがだれか、は判断できていない模様。

アシュトン > (口元を手でふさいでやれば、これ以上余計に暴れないように壁へと押し付けるように力を込めて。
手と口の合間からもれるくぐもった声を聴きながら、ゆっくりとため息を吐き出す)

とりあえず、俺の声が誰だか分かるよな?
少しは落ち着いたか? 今から手を離すからな、大きな声を出すなよ。

(口元からそーっと離し、その手で落ち着かせるように、しがみ付いてくる彼女の頭を軽くと撫でてやって)

明かりをつけてやるから、ちょっと待ってろ。

(何処かため息混ざりと告げながら、コートの内側を漁り。
取り出すのは組み立て式の小さなカンテラ。魔法魔術の光源は便利なのだが、術者がいないと調整が効かない場合が多い。
その点を踏まえると、こういう物理的な光源の方が使いやすい場面も多いのだ。
カチャカチャと数回の手順でくみ上げると、火打石とバネの仕掛けになっている部分を数度弾き。
火花を飛ばせば、カンテラの内側に明かりがともり互いの姿と周囲の地形が照らし出される。
光の範囲は小さいものの、光源隠蔽の術式が効いているらしく。数メートル程度の範囲外から此方を見ると、光が認識できなくなるという優れものだ。
もっとも、熱源までは隠せない様ではあるが。
軽くとだけ膝を屈めると、それを地面へと置いた)

シズク > 背中に感じるひやりとした壁の感触も、落ちつくためには大いに役立った。
身長差のため、上から降ってくる感じのする声の主がだれか、はその声で漸く理解に至る。
口を塞がれたまま、ん、と短くも承諾するように呼気で答える。

「わ、わか、…わかります、ええと…アシュトンさん」

上手く声量をコントロールできず、出だしは少しばかり震えるような小さな声で。
暗闇とはいえ、いまだにぎゅっとしがみついているから、互いの距離は解るし、
どのくらいの声がいいのか、を判断して、続く言葉も控えめなもの。
頭を撫でてもらうと、どうにかこうにか落ち着いたらしい。
灯りを探す相手の邪魔にならないように、必死にしがみついていた腕を解き、
灯りが点いたら、ということで、両手で目元をごしごし。
前髪やらを整えるのは、一応女の子らしい仕草を、暗闇の中で行うあたり、落ち着きを取り戻したよう。

そして、小さいながらも灯りが灯ると、それだけでも暗闇から解放された安心感がある。
あんまりじたばたしたせいで、ダガーを投げ飛ばしていたのか、足元に落ちていたからそれを拾って腰の鞘へと仕舞い。
ふと周りを見渡す。

「アシュトンさん、そ、そ、そういえば、も、モンスターがいるかも。さっき唸ってました」

あっちか、こっち、と指差す方は、その先に闇が広がる前後の道。
いまだ、あの音の正体は魔獣か何かだと思っているらしく、注意を促すように、こそっと声をかける。

アシュトン > よしよし、少しは落ち着いてきたみたいだな。
まったく、面倒な仕事になるとは思ってたが、まさか迷子探しまでやるハメになるとはな。
ギルドから出る金だけじゃ、割に合わんぞコレは。

(あちらもやっと声の調整を覚えてくれたのか、微かに安堵の息と共に肩を竦める。
落ち着いたら落ち着いたらで何やら髪を整えている様だが、そんなことしている暇があるのかなと思いつつ、まぁいいかと置いておくことにした様だ。
互いの身体が離れた辺りで、視線は一旦と胸元に辺りへ。
冒険者としてはまだまだへっぴりではあるが、なるほど抱き心地は随分と良かった。
そんなことをふと考えた後に、視線を再び相手の顔にへと)

モンスター?

(まずは自分の来た方角を見る。流石にコチラはあり得ないだろう。
ついでも一方の方角だが、双眸細めて夜目をきかせ、睨んでみるが何か動く気配は特に無い。
出来ればもう一人の迷子がいてくれればありがたかったのだが。
何も居ない、と言いかけた辺り。僅かに間を置くと彼女の方へと一歩近づいて)

何か、少し動く気配が有った気がするな。
もう一人の迷子じゃぁなさそうだ。居なくなるまで凌ぐから、伏せて隠れるぞ。

(そろりとそのまま相手の腰辺りに腕を添え、そのまま地面へと体重を掛けて押し倒しに掛かる)