2017/05/06 のログ
ご案内:「無名遺跡」にシズクさんが現れました。
■シズク > 名もない遺跡の地上部分から、所々段差が欠けた階段を地下へと降りて、最初のフロア。
人の出入りはそれなりにあるのか、未到達の遺跡にありがちな黴臭さだとか埃臭さだとか、そういう類のモノはない。
あと数メートル進めば、階下へと続く階段があるから、ここを通ってきた冒険者たちも多いことは想像に難くなかった。
「…おーーーい」
ではあったが、その数メートル先、目と鼻の先と言ってもいい階段を目前に、誰が仕掛けたのか、蔦植物のトラップに絶賛囚われ中の冒険者が一人。
空しく響く声は、遺跡に木霊するが、反応はない。
蔦植物はどこからどう生えているのか知らないが、うっかり何か踏んだ?という感触があったときには遅かった。
しゅるり、と音がしたかと思うと、思いもよらぬ力で足首が絡め取られ、最初は逆さ吊り。
その弾みに、ダガーが地面にからーん、と落ちてしまうから、切り落とすなんて言う手だてもできない状況。
さらに蔦植物は、両手首を絡めて動きを封じてはいるが、幸いにして逆さ吊りから、今は宙吊りになったから、頭に血が上る心配はないが。
ともかく助けがくるか、それとも蔦が大人しく放してくれるか、もしくは自力で何とかするか。
時間と我慢の勝負、といったところか。
ご案内:「無名遺跡」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「────………」
ざし、ざし……と緩やかな歩調の足音が近づいてくる。
やがて現れたのは、剣を背負った冒険者らしき金髪の男が一人。
遺跡に入る手前、宙吊りにされている少女の姿を見つければ、
ぽかんとした顔でそれを見つめた後、へらりと緩い笑みを浮かべ。
「……やあやあコンニチハ。その状況は……助けが必要ですかな?」
片手を上げて呑気に挨拶の言葉を投げかけ、それから笑みのまま首を傾げて問うた。
■シズク > とりあえず動く範囲で足をじたばた。時折蔦を蹴ることはできたが、宙吊り状態の不安定さでは威力もない。
撓る蔦がしゅるしゅると地面や壁を這うだけで、ダメージを与えられている様子もないから、はー、と脱力気味にため息。
そろそろ宙吊りにされた腕が痺れてくるし、どうしたものか。
思案に更けていたところ、足音が僅かに耳に届き、顔を上げる。
地面に転がったままの、魔法道具屋から購入したマジックアイテムのランタンの光のお蔭で、こちらへとやってくる人物が見えた。
「は、はぁ…こんにちは。………逆に聞きますが、私、好きで宙吊りになっていると思います?」
相手の暢気な態につられて、同じく挨拶をしてから、質問に質問で答えて。
手首を擦り合わせて蔦から逃れようとしてみたものの、相変わらず強い力で拘束したまま。
■エレイ > 「ワハハハ……九分九厘ンな訳はないとは思ったが、一応聞いておこうとな。
何しろ旅してると色々と想定外のシチュエーションに遭遇することも多いもんだからよ」
質問を質問で返されれば笑みのまま眉を下げ、大げさに肩を竦めながら彼女の下に近づき。
地面に落ちているランタンとダガーを見やると、ダガーをひょいと拾い上げ。
「じゃあとりあえず、こいつを借りるます。──よいせっと」
そして軽く跳躍。
まずは足を拘束している蔦をダガーを一閃して切断。
逆の手に持ち替えて、両手首に絡んでいるほうも同じように断つ。
で、落ちてくる彼女をいつの間にやら先に地面に降り立って両腕で受け止めようとする。
■シズク > 「あぁ、そうでしたか…。まぁ、想定外のこともあるかもしれないですけど」
相手を見下ろす高さで宙吊り状態のまま、理解したように頷く。
相手の動きを目で追い、どーぞー、と答えたあとで、己のダガーにて蔦を切断してもらえば、おおっ、と歓声を上げる。
強固に己を縛っていた蔦は、あっという間に霧散したところを見ると、マジックトラップの一種だったのだろう。
となると、そのまま重力に従って解放された身体が落下するところを、
受け止めようと伸ばされた手があったから、そこに落ちることになる。
「おお~。やりますね、お兄さん!ありがとうございました!!」
両手で拍手を送り、歓声めいた声が同時に響く。
もう大丈夫です、と断って地面に降り立つと、暫く拘束されていた手首を交互に手で擦ってから、ぺこ、と頭を下げてお礼を。
■エレイ > 「ウム、万が一そういう趣味だったらジャマするのもアレかなーって。そうでなくて安心したが」
などとしょうもないことをケタケタと笑って抜かしながら、落ちてきた彼女をぼすっと腕に受け止め姫抱きにして。
そんな彼女を見下ろす男の左眼には小さな炎のような光が揺らめいていたが、程なく消えた。
拍手とともに感謝の言葉を投げかけられれば、ドヤ顔をしつつ。
「礼には及ばにい。──それで、キミは今からココに入るつもりなのかな? 一人で?」
断りを入れられれば、降り立つのを手伝うように足側を支えている腕を低くし。
落ちていたランタンも拾って差し出してやりながら、ちろりと遺跡の入口を一瞥した後首を傾げて問う。
他にパーティーのメンバーとかはいないのかと、きょろりと周囲を見渡しつつ。
■シズク > 「いや、大丈夫です」
そういう趣味、という言葉に大きく首を振って、真顔で否定。
幸いにして怪我もなく蔦から解放されて、その上落下の衝撃もないのだからありがたい。
礼を述べたあとで、相手を見上げてから、助かりましたし、と重ねてから、
「一応、ギルドの依頼なんです。この遺跡の地下にナントカっていう植物が生えてるみたいで、それを収集に。
他の冒険者の方々も居るって聞いてきたんですけど、いないみたいで」
先に入ったのか、それともまだ未到着なのか。
それを知るすべはないが、困ったように首を竦めて、相手同様にきょろきょろとあたりを見渡すが、やはり人影はない。
「でも、さっきみたいにあくどい罠に引っかかるかもしれないし、今日は一旦戻るかなーって感じです」
そもそも植物の名さえ曖昧に覚えていないのだから、進んだところで蒐集できるとも思えず。
その辺は冷静な判断ができるようで、苦笑いを浮かべて。
■エレイ > 真顔で否定する様子にくっくと笑い、ギルドの依頼と訊くとなるほどな、と頷くが、続く言葉に微妙な顔をして。
「……ナントカって覚えてないのかとちょっと驚き顔になったのだが。
まあ確かに今のところ俺達以外の冒険者は見当たらないようだったな」
こちらも他者の姿が確認できなければぽり、と頭を掻き。
次の彼女の言葉にはふむ、と小さく唸り。
「まあ確かに引き返すのも手ではあるな、遺跡に入る前からさっきのような状況では持つわけもない。
だが……一人ならアレでも二人ならどうにかなるのではないかな? 他には誰も居ないようだが、幸いにして此処には俺様がいるしな」
軽く思案し、それから苦笑する彼女を見やるとビシ、と親指で自分を指差しながらドヤ顔でそんな事を言い出した。
ようは自分が一緒についていこう、という提案であるが、はてさて彼女の返答は如何か。
■シズク > 「んー。本当は、蒐集依頼をした学者のセンセーも来るんで。…今、来てませんけど」
植物の名前を憶えていない理由を答えてから、大げさにひょいと首を竦めて見せる。
相手が言うように、遺跡にその学者センセーも居る気配がないから、このまま進むメリットもなさそうで。
うーん、と首を傾げて前後左右を眺めて、その視線が相手に止まる。
相手の言葉を聞いて、更に首を傾げて、暫し思案の沈黙。
「やっぱり今日は戻ります。お兄さんに助けて貰った上に、また手助けしてもらうのも悪いので」
そう返事をしては、ぺこり、と頭を下げてから、すっかり霧散して蔦の気配もなく、
元の古びた遺跡の姿に戻ったフロアの階上へと続く来た道を眺め。
「じゃあ、私は戻りますね。お兄さんも気を付けてくださいね」
蔦を切断した剣技を見る限り、その心配はなさそうだが。
それでも一応の声掛けをして、もう一度頭を下げてから、歩み出していく。
ご案内:「無名遺跡」からシズクさんが去りました。
■エレイ > 「そうかじゃあ気をつけて帰るべき。……って、ちょっと待てぃ。コレ! コレ忘れてるから!」
やはり戻るという彼女を、無理に引き止めることもないかと見送ろうとしたものの。
片手に彼女に借りたダガーを持ちっぱなしなのに気づけば、それを返す為に彼女を追っていくことに──。
ご案内:「無名遺跡」からエレイさんが去りました。