2017/04/26 のログ
ご案内:「無名遺跡」にマティアスさんが現れました。
マティアス > こういう空気は、いつものことだ。いつ、どの季節に潜っても変わらない気がする。
もちろん、作られた年代や外壁の素材、そもそも築かれた場所によって空気の匂いが変わる。
だが、もっと代わり映えがしないものがある。生物が潜むことで生まれる淀んだ空気。

「――……ああ、うん」

全く持って、変わらない。
そう思いながら片手に持った小型のカンテラを手に、前方に満ちる闇を見通して唇を歪める。
これで何層目か?比較的深くまで潜った気がするが、はたしてそもそも底というものがあるのだろうか。
魔力には十分余裕を残していても、油断はできない。何せ、不条理の巣窟がまだまだ足元にただ積もっている。

ここは、そういうものだ。故に――遠く、闇を睨んで右手を腰の剣にかけよう。

ご案内:「無名遺跡」にエアルナさんが現れました。
エアルナ > ダンジョンはしばらくぶりだ。地下の薄暗い空気の中、今回は何が潜んでいるのだろう?
傍らを歩く白狼と、青年の存在が何より心強い。
ふと、彼の足が止まり、剣に手をかけるのを見れば。
狼も足を止め、鼻を鳴らして頭を低くする。

「…なにか、いますね?」

小さな声で尋ねながら、自分は杖を握り締め、いつでも詠唱できるようにして

マティアス > 本来ならば、もう少し人数がある方がいい。せめてもう一人。
石組の天井と壁がただただ連なる迷宮は、人5人程度が並んで立てる位の広さはある。
しかし、完全武装の戦士が並べばそれだけで動きの幅が狭まる。
故に、増やすならばもう一人程度だろう。これ以上は互いに互いの動きを束縛する。

「やぁ、うん……これは、入門編、かな。けれど慢心は禁物だよ?
 さて、授業じゃないけれど、おさらいしよう。呪文繰りが居る時の定番は――?」

カンテラを腰のベルトに付属するリングに引っ掛け、ずらりと腰の剣を抜きながら前方を見据える。
闇のより湧き出してくるのは、筋骨隆々としたオーガーと人骨らしい細工の装身具を纏ったせむしのゴブリンだ。
棍棒を持ったオーガー1体と、呪術師らしいゴブリンが二体の計3体である。
前衛と後衛の組み合わせが揃った、単独で相手取るには手ごわい編成だ。

ぎゃあぎゃあと不可解な言語で意思疎通し、自分達へと迫りくる。
その中のゴブリンたちは、魔法を使うつもりか。手にする木の杖らしいものを翳している。

さて、どうするか? 抜き放った剣を足元の石床に突き立て、構える。口の中で己も小さく呪文を連ねて。

エアルナ > 「オーガーとゴブリン2体…まず体力の少ない呪文使いを優先して倒せ、ですね。
特に回復役がいるなら、それを真っ先に。倒すには――長距離攻撃が有効です.OK?」

応えながら、杖を宙にかざせば魔法の輝きが宿る。その光が魔力を反映するものなら、明らかにまぶしいほどの。
「こちらは、いつでもいけます――」

エアルナ > さて。他に伏兵がいないなら、対処はこれで正しいはずだ。
ゴブリン二体に狙いをつければ、狼がその前に進み出て、低く唸りをあげて向こうの動きをけん制し、同時に注意を引き付けようとする。

あちらもこちらも3、対3.数は互角だ。

マティアス > 「――うーん、それはけして間違いではないよ?
 だが、確実な手段として考えるならば否、だ。何故ならば、僕らの使う術が常に必殺であるとは限らないからだ。

 あと、本来ならば様子見もよろしくない。打つべき手は速やかに下すべきだ」

力量の差はある。しかし、それに胡坐をかくということは正しいことではない。
敵が常に前から来るとは限らない。不意に足元が崩れ、そこから不定形の化け物が飛び出してくることもある。
まず様子見をしてしまうのは経験の有無と、何よりも今回同伴する相手の気質にもよるものだろうか。

「この場合は、こうだ。……“――開いた口は、虚ろを銜えて閉ざされる”」

剣の柄に乗せる右手はそのままに、人差し指と中指を揃えて剣指とした左手で魔物たちを呪文と共に指す。
組み上げたのは発声と呼吸を阻害する術式である。
口と舌の動きを妨げ、正常な発音と激しい動作に伴う呼吸を乱し、行動を遅滞させる。
その上で初めて、動きを行う。爪先で剣先を軽く蹴り上げ、くるりと円を描いて宙に舞い上がる剣柄を掴む。

そして、前に。剛力自慢のオーガーに切りかかる。
自身の口元を抑える空いた左手を切りつければ、声にならない悲鳴と共に血の匂いがまた一つ、迷宮の空気を侵す。

エアルナ > 「詠唱をできなくする――『静寂(サイレンス)』ですか」
なるほど、と頷く前に状況は動き出している。

青年の剣が振るわれると同時に狼が片方のゴブリンへと襲い掛かり、押し倒したところへその牙を突き立てるーー
「氷よ 槍となりかのものを撃て」

自分はもう片方へ、氷の呪文を放つ。冷たい氷のツララが、槍のようにまっすぐゴブリンへと飛び、その腹へ突き刺さった。
これで先ほどの『静寂』から逃れたとしても、呪文を唱えるだけの余力は残るまい。

青年のほうは、と見れば…おそらくそちらも決着はついているはずで。

マティアス > 「いかにも。あと、力は惜しむべき時は惜しむべきだ」

特に前衛後衛が成り立つ場合は分担が出来る。前方の警戒と近接してきた敵の排除、後方と他範囲の警戒と支援。
今回はあまり深い階層までは潜らないと決めているが、魔力の余裕は十分残しておくべきである。
魔法にしかできないことがあるのならば、特に。近寄って来る他なくなった敵は、物理的に討ち払えばよいのだ。

「ふ、ッ……!」

過剰武力ではなく、適切に対処を試みる。切り込んでひるんだオーガーが声無く咆え猛り、その手の棍棒で殴りかかる。
その棍棒を掻い潜りつつ、下段に下げた剣を切り上げる。
ヒトガタの敵の右脇から左肩までを一気呵成に切り上げ、返す刃で真正面から切り込む。頭蓋を割る手ごたえを以て、終わりだ。
残敵は、なし。獣の牙と氷の魔法が残る敵を討ち果たす。
その様子を見遣り、血降りした刃をオーガーが纏う襤褸で拭って石畳の隙間に突き立てよう。呼吸を整える。

エアルナ > 「です、ね。何が出てくるか、わからないときは特に。」
力の配分は大切だ、いちもにもなく同意する。
特に魔力はいざという時使えない、では話にならない。

オーガ―が青年の剣に倒れたのを見届け、彼が呼吸を整える間は、自分が周囲を警戒する。
こうして血が流れると、その匂いを嗅ぎつけて…たいがい新たな存在が寄ってくるものだ。
幸いそうした輩へは、狼のほうが鼻が利く分素早く気が付いてくれるのだが。

「…あら?…新手、ですね。」
狼が前のほうに向きなおり、低くうなる。
耳を澄まし聞こえてくるのは、シュルシュルと何か、地を這うような音。

ちろちろ、と赤い舌を出しながら…灰色の大蛇が二匹、鎌首をもたげてこちらを見るーー

マティアス > 「エアルナ嬢も鍛えておくことをお勧めするよ。プロスペロ氏が居ない時のためにもね。あと、気分転換にもいい」

魔法以外は基本的に物理的な攻撃、防御に対して伴の狼頼みの姿に、アドバイスを送ろう。
魔法の行使力に不足がないのならば、あとは近接戦闘を切り抜ける力だろう。
技でもいい。或いは邪魔にならない使い出のある武器でもいい。窮地を回避できる手段が重要だ。

「……――あれは、少し面倒だね。双頭の蛇……でもないかな?」

そして、狼が闇を前に唸り出す姿に腰のカンテラから出る光を前に向ける。
見えてくるのは灰色の大蛇。それが二体。
それらを前に溜めた息を吐き出し、呪文詠唱を開始する。

エアルナ > 「杖で殴る、くらいですねえ――いまのところは。」
確かに近接戦闘については、あまり心得がない。忠実な狼がいてくれる恩恵のようなものだ。
とはいえ、アドバイスはもっともで…ちら、と自分の裾の長いローブを見た。
まずは服装から、だろうか。動きやすいズボン姿のほうがよかったか、と反省して。

「頭の形からすると、…たぶん毒蛇です。」
丸太ほどはある太さ、大きな口に長い蛇体。絡みついて獲物の骨を折る、くらいは朝飯前にやってのけそうだ。
カンテラの光に照らされれば、シャーッ、と威嚇の音がする。

決して小さくない狼だが、毒のある二匹一度に相手にするのは危険だろう。
「あの類には、…冷気が効くはず」

すっと杖を蛇に向ければ、空気の温度が下がり。ちらほらと雪の結晶が舞う――

「氷の槍、来たりて撃てかのものを――!」
片方は青年に任せて。
狼の背を超え、一匹に氷の槍を解き放つ…!