2017/04/18 のログ
ご案内:「無名遺跡」にピリムさんが現れました。
ピリム > (遺跡群の表層。半ばで折れた柱や今だかけた部位も無く健在している柱など、様々な大理石の柱で作られた林、若しくは庭園のような場所をさ迷い歩く人影がある。それは罠や卑猥な性質を持つ魔物達が闊歩する無名の遺跡にあって、場に似つかわしくない酷く小柄で弱弱しいヒト、あるいはミレー族の姿をしていた。その身に纏う大きなローブの裾を翻し、その手には錆びて今にも朽ちて折れそうな剣を握り締め、右に左に揺れなら頼りない足取りで、ただただ目的も行き先もわからず、知らず歩いているその姿はヒトの庇護欲を煽るやもしれず……。)

ガキ……ガギギギギ……ガギギギギ……ガキ………
(――その人影は金属を軋むような音をたて、手に握っていた錆びた剣に齧りついていた。ヒトには決して真似できない食事、金属をいとも容易く噛み砕き、尖る破片すら気にせず飲み込む姿はヒトに非ず、迷子にあらず、迷宮に住人に相応しく。――近づき、その剣を咀嚼する姿を見ればそれが庇護欲を誘う為にヒトに子供に擬態しているのが理解出来るか、食事中で気の抜けたヒトの姿をした魔物はこめかみに複数の赤い球状の瞳を爛々と輝かせ、頬の中ほど近くまで裂けた大きな口を夢中で動かして咀嚼していた。異形たる部位と愛らしい相貌が混じる少年、食事をしながら輝かせる瞳には何も映ってはいない、ただただ瞳は空虚で感情が欠落しているようだった。)

ピリム > (――金属を咀嚼する音は長くは続かない、鋭く生え並ぶ鋭い牙に柄まで粉々に噛み砕かれ、最後には金属を溶解する成分の唾液と共に全て飲み込んでゴチソウサマ。人差し指で唇を拭い金属のカスをふき取ると、其処で一息つく為に歩みを止めて、柱の影で完全に歩くのを止めた。)

オイシクナイ……モット、モット、タベタイ…………
(老若男女、ヒトの声ですらないかもしれない、金属と金属を擦り合わせたような不愉快な音色を声にして紡ぎ出すと、フゥと小さな溜息をついて、近くに聳え立つ大理石の柱に寄り掛かる。――彼は人間ではない、擬態を半分ほど解いた姿はそれをより引き立てる魔物でもなく、ヒトでもない、曖昧な姿だろう。しかし、遺跡にはそれを気にする者などいない、故に自分も気にしない、気にするのは今後の食事とより美味しそうなヒトを探す事、見つけること……。)

ピリム > (不安定に左右に身体を揺らしながら歩く人影が急に真っ直ぐと歩き始め、次第に歩く動作が走る動作となり、口端から唾液を滴らせ始め――何かに向けて駆け出した。その数多の眼に移るのは美味なる肉か金属か、人影は獣となり、獣は異形となり、影が闇夜に消えた後は何かを齧り咀嚼する音が辺りに木霊して……。)
ご案内:「無名遺跡」からピリムさんが去りました。