2017/04/01 のログ
オーベ > 遺跡中層。広いホールの中央には円形の舞台、崩れた天井の切れ目からどういうカラクリか、
外界の光が二筋ほど差し込み舞台の周辺を照らし出す
対峙した冒険者2人が斬り結ぶのを少し高い位置、突き出した足場のような場所から見下ろしていた
互いに技量が拮抗しているのか、互いの刃はお互いを捉えること無く幾度となく剣筋が重なり火花が散る
どういった経緯があるのかは知らないが2人は戦う。覗き見るつもりは無かったのだが、洗礼された両者の
剣筋にいつしか魅了されていたのかもしれない…或いは、先程、狼によく似た魔物、ワーグに囲まれた際に
使った混乱状態を引き起こす魔術で懐かれた一匹に困り果てて疲れたというの可能性も無くはないが
……ともかく、杖を脇に置き、ゴロゴロと甘えてくるワーグの頭を膝の上に置き、ポンポン撫でながら、
火花を散らし戦う2人の冒険者…戦士の行末に視線を向けていた

「…宝で揉めているのか、2人は戦う宿命だったのか…
 君はどう考える…?と、聞いても何も判りはしないよな…」

ぷすー、と鼻をならすワーグ
頭を撫でていた手を止めれば物言いたげに怖い顔で此方を見上げるので仕方なくまたポンポン撫で撫で、
としつつ戦士が戦う様子を眺める…都合、20分は眺めているが、何方も衰える様子はない
そして、余程集中しているのか、観察している此方に気がつく様子もない

オーベ > 戦う2人の放つ裂帛の気合がビリビリと伝わってくるような感覚
殺意やらなんやら。様々な感情を煮詰めて混ぜっ返したような気配が感じてとれる
それでいて、剣筋が狂ったりしないのだから戦う2人はかなりの使い手と見て間違え無さそうであった

「……都合、5回は死んだな
 あそこに立っている何方かが俺であったらば…」

そう考えると背筋にゾクリと冷たいものが走る
それでも、仮に何方かが倒れて此方に向かってきても逃げる自信はあったし、事前に準備もしてある
腰に佩いた長剣が泣いている…と思われそうだが、これはどちらかと言えば杖に近い性質であり、
自分は魔術師なので逃げても別に恥ではない…と言うより、死ぬよりは恥をかいたほうがマシである
ふらり、と遊びに来た遺跡の地下で死亡…とか、冗談でも笑えない
…と、言うような事を誰に言うでもなく考えていた。膝の上で心地良さそうにしているワーグに聞かせても
仕方のない事である…しかし、いくら気分が良いから、と言って唾液でズボンを汚すのは
辞めて欲しい…これも、聞かせても仕方のない事であるけれど

「…あんなに死力を尽くして戦っているけれど…
 帰りはどうするつもりなのだろう…」

ふと思い浮かんだ疑問を口に首を傾げる
無論のこと返事はどこからもなく…意外と後先考えず戦い問い状況に陥ったのかな、等と考えたりする

オーベ > 何れ戦いの決着がつく頃には姿を消して
さらに遺跡の先へと進んでいくようであった

ご案内:「無名遺跡」からオーベさんが去りました。