2017/03/23 のログ
オブシディアン > …………ゴクリ

と、最後に口内に残っていた何もかもを綺麗に唾液と共に飲み混むと今宵の食事はこんなものだろうと寝床を探しに歩き始める。
喰う寝る遊ぶ、と言う奴で身体を最高のコンディションに保つ事でいつ何時聖剣使いが来ても襲えるように備えるのだ。
それにそれ以外にも折角人間の身体をもったのだ楽しみたい事だってある。
それにも体力の充実が必要不可欠で、とドラゴンの時には考え付かなかった事を色々考えながら遺跡の奥へと歩いていくのだった。

ご案内:「無名遺跡」からオブシディアンさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にオブシディアンさんが現れました。
オブシディアン > グシャッ……………
名も無い遺跡の中に存在する危険な階層。
上層部と段違いに危険な淫惨世界に引きずり込む為の狡猾な罠やその手の事が大好物な魔物達が徘徊する中層部でも下層に近い場所で今宵も普段なら聞こえる筈の無い荒事の音が木霊する。
冒険者がトラップを掻い潜り魔物を退治し一攫千金を狙い冒険する、そんな心地の良いものではない。
響くのは暴力と暴力がぶつかり合い、更なる力がその暴力を圧倒する音、そして何とも表現がしがたいにおい。
物が焼け焦げる匂いとも鉄錆の香りとも違う、その香りは腐敗臭、それを圧倒的熱が更に香りを濃くさせ、この階層が異常な事を告げている。

「……アア、つまんネェ……なァ?」
暴力を圧倒的な力で塗りつぶす者
腐敗と熱を撒き散らす者
何も持たぬ手で鋼の身体を持つゴーレムの頭部を握りつぶし、その骸を壁に叩き付けて金属の塊に変える者
それは一人の小柄な少年、だが少年であってヒトではなく、その正体はもっと下層に生息する邪竜の1匹である。
わけあって幼い姿をしているが、周囲の惨状を見れば普通ではない事は一目瞭然。
この階層に生息するありとあらゆる生物がくずくずと音をたてて液体と化し、遺跡の床に浸み込んで朽ちている。
その中をゴーレムの首をねじ切り、まるで果実でも齧るかの如く齧り貪り、歩いている。

目的地はその先にある部屋である。
その部屋の中心部には露骨に怪しい噴水があり、清浄なる?水を湛えた噴水が遺跡にそぐわない程に涼しげな音をたて水の循環をくり返している。
部屋自体も魔法の明かりがまるで真昼のように室内を照らし、身体を休めるのには丁度いい部屋となっている。
少年は邪竜はここを気に入り、時折身体を休めにきている。
今宵もその心算で……。

オブシディアン > 「………よっト…………。」
ある程度の魔剣や聖剣くらいなら噛み千切る自慢の牙でゴーレムの頭部を一気に噛み砕いて咀嚼すると、右手の指の全てを順番に折り曲げ、最後にワキワキと拳を握ったり広げたりを繰り返し、手の感覚を再確認して見る。
指の関節の動きが多少ぎこちなく、力もまだ十分ではない。
鱗の代わりに肌を守る皮膚の強度も足りなければ、牙もまた緩いか噛み砕けなかった分の破片をプッっと遺跡の床に吐き出してから、部屋の中央にある噴水の縁に尻を乗せて腰をかけた。

「喰い足りない、奪い足りナイ、何もかモガ足りない……外に出テミるか?」
グギと錆ついた鉄が軋む音に近い音を立てたのは言葉の終りに首を傾げたからだ。
鱗が変化した遺跡の闇よりも濃い黒い髪がまだ力が足りず紙同士が触れて軋んだ音をたて、その髪が普通の髪でない事を音で証明してみせた。

さて、奪いには遺跡の深くでは都合が悪いか、それとも冒険者や騎士にはこの階層は到達するに難しいのか、それなら浅い階層にあがるか、近隣に集落がないか確認するしかない。
と思うが、外に一度も出たことなど無く正直外に何があるのか恐ろしくさえあり、想像するだけでブルっと身震いした。

オブシディアン > 外の世界
其処に出るにはまず冒険者に成りすまさなければならない。
現状の脆弱な身体では冒険者が群れて来られたら何れ力尽きて食い物にされてしまうだろう。
後は言葉、これ関しては言葉の喋れないと言う演技をすればいい。
後は住処、一度外の世界に出れば戻る事は難しい……かもしれない。
色々と問題が山済みであるが浅い階層で出会った冒険者から奪い取れば良いだろう……なんだ簡単ではないか。
奪えばいい、喰らえばいい、何時の時代もこれからも……

邪竜は眠る
縁に腰をかけたまま眼を閉じて眠る
その時だけ表情は見た目同様に穏やかで無邪気なものになるのだった……。

ご案内:「無名遺跡」からオブシディアンさんが去りました。