2017/03/22 のログ
ご案内:「無名遺跡」にオブシディアンさんが現れました。
■オブシディアン > 無名遺跡の奥深くから響く金属が拉げて砕ける音の数々
バリバリ、グシャ、ミシミシミシ……と耳障りなその音の後に
カリカリとその金属を咀嚼音がする、今宵の遺跡は騒がしく、鉄錆の香りよりも硫黄臭い香りや何か油に似た香りが広がる。
その音の犯人は1頭のドラゴンで有り、今は人の身に堕ちた邪竜である。
それが機械仕掛けの罠を引き千切り、動く鎧を素手で掴み潰し、罠だった物を鎧だった塊を一心不乱に齧り貪り喰っていて、その結果遺跡に不可思議な匂いと音が満ち溢れているのだ。
「マッズイ……もっとマシなモノは無いノ?」
指先にこべりついた機械油を舌で丁寧に舐めとり、その味の不味さに喰らった金属の不味さに口元をへの字に変える。
それでも喰らい続けるのは邪竜としての本能であり、あまり燃費の良いとは言えない人の身体の所為だった。
そもそもこの身体は本来の身体ではない。
本来は翼ある巨躯の黒鱗の邪竜なのだ。
何故こんな身体になったのかは思い出すだけでもはらわたが煮えくりかえり、辺りに憤怒と毒素を撒き散らしたくなるから割愛。
今は唯貪るだけ貪り、力を取り戻し、原因の一つである逆鱗の位置に突き刺さった楔を引き抜ける人かその聖剣の持ち主を見つけて犯し殺し貪らねばという思考で一杯であった。
魔法の光が照らす薄暗い回廊、その途中にしゃがみ込み金属を貪る怪しげな姿は誰が見ても普通ではないだろう。
もしその姿に惑わされず力を読み取れる者がいれば1頭の竜の姿が見えるだろう
もし力を欲するものが居れば、その人影はその力を持つと本能が理解出来るだろう。
バリ、ガリガリ……メキメキ…………
一言の言葉の後は再び金属や鉱石を咀嚼する音が静寂の訪れを許さないでいた。
■オブシディアン > 無論邪竜だから金属や鉱石しか食べない訳ではない。
他の生き物の肉だって喜んで喰らうし、地底湖の水や冒険者の亡骸から酒を奪って飲みもする。
しかし今はそれよりも金属や鉱石等を喰らい、魔法が付与されていればそれを率先して喰らう事で身体の回復と鱗の再生を本能が求めている。
だからわざわざ遺跡の罠を破壊して機械油を飲み、歯車等の金属を喰らい、リビングメイルを破壊して魔法の付与された金属を貪る。
それもこれもあれも全ては我が身体に聖剣という楔を打ち込んだあの者がいけないのだ……こんな脆弱な魔物の真似事をしなければ力を取り戻せない身体にしたあの者が……。
この恥辱は忘れない、あの顔は絶対に忘れない、何時か嬲り殺して貪ってやろう、と思考はそればっかり巡っている。
今はその怒りで味などわからない。
きっと幾つかレアな金属や鉱石は合ったのだろうが、まるで砂を噛むような味しかしない。
「未熟な己を恥じるベキか、いや…アレはあの者ガ悪い……。」
ぐむ、と喉に魔法の掛かったナイフの歯が引っかかり言葉をそれ以上続けられず、慌てて浅黒い肌を曝け出した喉元を拳でドンドンと叩いて、強引にナイフを飲み込もうとする。
くっふぅ、…カハッ………と咽ながらだが直ぐに何とか嚥下出来て、ほっと一息を盛大な溜息と共に吐き出す……。
回廊に広がるのは機械油の香りと硫黄に似た竜族特有のブレスを吐くものの匂い、それが一気に広がる事で周囲に隠れている弱い魔物はそれだけで気絶してしまうだろう。