2017/03/01 のログ
■オーベ > 遺跡の人工物の割合が次第に減り、天然洞のような岩肌や地下河川などが目立ち始める下層
人間種より二回り程も巨大な体躯を持つ影が激しく手に持った武器で打ち合っている
牛頭の巨体が金棒と石斧をそれぞれ巧みに扱い、巨大なオークは両手斧でそれを受け止める
2つの巨躯が一進一退する脇で、細々とした魔物を的確に潰していく……
―――と、言っても、二体の戦いに巻き込まれる形で半分くらいは悲鳴を上げて潰されていくので、
自分は近づいてきたものを魔術で麻痺させたり、眠らせたりさせていくだけであったけれども
今もまたワーグに跨り、此方に突進してきたゴブリン騎兵が、魔術で生み出された植物の蔦に脚をとられ、
乗っていたゴブリンは勢い余って、地下を流れる河川へと落ちていった…あの川はどこへ続いているのだろう?
「…キリがないなあ…君、遊んでないでそろそろ片付けて」
牛頭を持つ巨体の方へそう告げれば、耳を劈くような叫び声を上げ、両手に持った武器で
一気呵成、とばかりにオークを攻め立てていく
叫び声に気圧されたか、オークの剣筋が鈍れば、上段から振り下ろされた金棒を受け止めきれず、
オークが地面に膝をついた瞬間、もう一方の手に持った石斧が横一閃し、オークの頸を落とし
それきり、オークは動かなくなった…吹き上げた血液が雨のように降り、最悪である
「……もう少し、どうにかなったろう?」
語りかけても牛頭は勝利の雄叫びを上げるばかり
巨体のオークが敗北した、と判れば周辺にいた細々とした魔物も散り散りになって逃げていった
中には川に飛び込むものもいたが慌て過ぎではなかろうか…
オークの血液を避けるべく、フードを被り直せば、未だ喜び勇んでいる牛頭を放っておき、
そこいらじゅうに散らかっているゴブリンなどが装備していた武器や装飾品を拾い上げてはしげしげと眺め始めた
■オーベ > 「……どうも、もう少し奥まで行かなきゃならんようだ」
落とし物の中に探しているものは見つからなかった
杖の先に再度、ライティングの魔術を掛け直してからフードを下ろす
オークなどの魔物の死骸の匂いにしかめっ面を作れば、ぼんやりとただ、立ち尽くすばかりの牛頭を見上げる
「…それじゃあ、もうしばらく付き合ってくれ」
ぺちぺち、と牛頭に触れながら告げればギロリ、と鋭い視線が此方に向けられたような気がする
正直、彼だか彼女だかが何を考えているかは付き合いが浅い事もありよくわからない…
「…死にかけてる所、救ってやったんだから、契約分は働いてもらう…ほら、いくぞ…」
ぺちん、ぺちん、ぺちん
何度か、牛頭の肌を叩くようにしてから先んじて歩き始めれば、一呼吸置いてから、牛頭は
耳を覆いたくなるような叫び声を上げる。堪らず、耳を抑えて叫び声が収まる頃に、背後を振り向けば
しぶしぶ、といった様子ではあるがついては来るようであった
「うちんトコは肉体派少ないから頼むよ…」
そんな調子で巨体を連れて更に遺跡の深部へ進んでいくのであった―――
ご案内:「無名遺跡」からオーベさんが去りました。