2016/08/16 のログ
ご案内:「無名遺跡」にシェリルさんが現れました。
■シェリル > ダンジョンの一室。
蠢く触手の群れが奏でる、粘性の高い水音。それに混じる、息も絶え絶えといった風情の喘ぎ。
触手の群れの中で、無数の触手に絡まれ、触手の海に溺れているようにも見える遺跡漁りの冒険者カップルの成れの果てを眺めながら、美味しい料理を味わい尽くしたかのような満足そうな顔で眺める。
「庇いあい、励まし合う姿は美しかったわねぇ……」
しみじみと、絶望に心折られる事無く機会を窺い、互いに励まし合いながら触手の群れによる人外の快楽による蹂躙に耐え続けたのは見応えのある寸劇だった。
結局、脱出の機会などは無く精根尽き果てたわけだが。
ダンジョンの中でいちゃつきやがってこのカップルどもがとか、別にそんな事を思って襲ったわけではない。不自然な格好だ、怪しいヤツだと襲われてたから、これは正当防衛。
返り討ちにしたから、玩具にしただけで別にイラついたからカップルの中を引き裂こうとしたわけではないのだ、これは。
結局、ふたりの絆は引き裂けなかったわけだが。
「しかし、男を触手責めしても見目がよろしくないわね」
美女や美少女との絡みなら、絵にはなるのにと物足りなさに吐息を漏らし。
まだ死んでないし、もう少し玩具にしようと触手をけしかける。男の方は、まだ尻を責めれば反応があるしと。
ダンジョンなら、危地に立ち向かう人間の輝き的なモノを見られるかと思って来たが、期待とはちょっと違うが当たりだと、機嫌よく。
他の獲物がかかるまで、まだ遊べると。
ご案内:「無名遺跡」にレガトゥスさんが現れました。
■レガトゥス > たたん、たん、たんっ。
軽快な足音が、幾つか聞こえる。
人間のそれとは、テンポと言おうか、ペースの異なる足音だ。数も多い。
それもその筈。
足音の主は、数頭の狼であった。
ぐるるる……
唸り声と共に狼達は、触手の海に向かって行く。
そして彼らは、牙の鋭さに任せ、触手に噛み付き、引き裂こうとするだろう。
救出者か? 否。彼等は、囚われの冒険者を助けるつもりなどまるでない。
何故なら、その牙が偶然にも彼等に届いた時は、触手にするのと同様に、無慈悲に肉に牙を突き立てるだろうからだ。
魔の少女が貶めた玩具を、不作法に食い荒らさんとする乱入者――
「――喰え」
――の、後ろ。
少年と呼ぶには華奢だが、少女と見るには長身の影が、かつ、かつ、と床を靴で叩き、向かって来る。
フードの中に見える顔もまた、少年と呼ぶべきか少女と呼ぶべきかに迷うながら、鋭利な刃物の如き容貌。
■シェリル > 「おや、まぁ……」
いきなり現れたかと思うと、触手の群れへと吶喊する狼の群れ。こんなダンジョンの中にそんな物が現れるのも不自然なら、その行動も不自然。
野性の獣はもっと、自分の安全に気を配る。
その不自然さに興味を覚えて、何をするかと眺めていれば一心不乱に触手も、そこに囚われていた冒険者も区別なく牙をたてる様子。
快楽責めに用いた触手の体液は媚薬作用を持つのに、口にして大丈夫なのかしらとちらりと思いながら、誰かが助けに来たというわけでもないわねと区別無しの襲撃に、何事なのかしらと首を傾げ。
「それで、貴方はどなたで、何をしに?」
半ば遊び終わっていた玩具よりも、目新しいモノが来たようだと姿を現した侵入者へと目線を向けて、訊ねかける。
狼の群れを使役しているのはこの者だとしても、触手の群れへと挑んでくる程度には自信はあるのだろうと、その瞳には興味と関心が宿り。
■レガトゥス > どなたで、何をしに。
この問いに答えるのは、この存在にはなかなかに難しかった――特に、一つ目が。
「俺は――、私は――、僕は――」
外見よりは些か、少女的な声が、一人称を定めず逡巡する。
これはそもそも、個に非ず。
数頭の狼は、十分に肉を喰らうと、次はローブの影へと殺到する。
飼い主の元へ戻るのか――?
それも、否。
「――我々は、レガトゥス」
数頭の狼は、謎の影が纏うローブの中に、溶け込むように消えた。
それから、レガトゥスと名乗った影は、フードの下の顔を僅かに歪ませ――
「媚毒か」
艶めかしく、唇に舌を這わせた。
そしてシェリルの方へと、歩いて近づいて行く。
妨げるものが出るか、シェリルが間合いを取ろうとするまでは、最終的に手が届く範囲まで近づこうとするだろう。
「喰らいに来た」
華奢にも見える細腕に、万力の如き力を込めて、一個の群体はシェリルを抱き締めようとする。
■シェリル > 「……あらあら」
問いに応える意志はあるのか、言葉は返ってくるが一人称が惑うように定まらない様を不思議そうに眺め。
触手を喰らっていた狼たちが、ローブ姿の誰かさんへと殺到したかと思えば、その身を回帰させる様を眺めて、興味深そうに目を細め。
「召喚じゃなさそうね。つまるところ、群体型の何かといったところかしら。
色事をこなす触手では、珍しくないと思うわよ。感想を聞けるのなら、気分はどう? って、ところかしら」
我々という一人称を使ったあたり、そういう事だろうと珍しいモノを見たと好奇心を隠さずに、じろじろと観察の視線を相手の全身へと這わす。
狼を回収して、媚毒かと感想を漏らすのなら喰ったモノも共有しているのだろう。はてさて、取り込んだ媚毒が効いているのかどうか。純粋な興味で訊ね。
「比喩的な意味でなら、それも一興かもしれないけど。貴方みたいなタイプだと、直接的な意味でという事もありそうなのが……ね?」
喰らいに来たと言いながら、近づいてくる相手。手が届く、その一歩手前程度の距離まで近づけば、さすがに無警戒に近づけるわけにもと、シェリルの足元から飛び出したのは手のひらサイズの蟲。生きた鏃のような、鋭利な衝角を持つ蟲が羽音を立てて、近づくなと相手の顔面めがけて飛翔する。
■レガトゥス > 「気分は――悪くない、昂揚する」
触手の体液による媚薬効果は、十分に功を奏している――根が、獣である。
むしろ、数体の狼が喰らった分を同時に取り込んだだけ、摂取量も多い筈だ。
だが、その効力に困惑を見せないのは――
そもそもこの獣の群れ、性的な昂揚を、好ましいものと感じているためか。
「……!」
両腕を広げ、獲物を手の内に捕えようとした瞬間、顔目掛けて飛び出す鏃の如き蟲。
然し〝それ〟は、脚を止めなかった。
前へ進み出て、その顔面を、鏃の如き蟲に貫かれたのだ。
頑強とは言えない体が、ダンジョンの床に仰向けに倒れた――
――次の、瞬間だった。
「〝殺された〟が――その蟲は、美味そうだ」
倒れた〝それ〟の腹を裂くように、巨大な舌が二つ伸びる。
形状を言うなら蛙の舌のようだが、見える部位から逆算すると、その蛙は人間より余程大きくなってしまう。
そんなものが、一つは、〝それ〟の頭部を貫いた蟲を捕え、飲みこまんと。
もう一つは、シェリルの手首を掴み、引き寄せんとする。
■シェリル > 「効果が出てない……というわけではないようね」
高揚するなどと言っている事だし、普通に効果を発揮しているっぽいけどと、相手を眺め。
人間的な羞恥心や貞操観念、倫理とのズレ。受け手の感性の問題かしらと、目に見える様子に見慣れた雰囲気の変化との違いがあるわねと、考察を巡らし。
「普通じゃないとは、思ってはいたけど……」
何かしらの反応を見せるかと思っての牽制の一手に対して、無防備に受けて倒れる姿にきょとんとし。そこからの変化に、ああやっぱりと納得の表情。
蟲を美味そうとか言うとは悪食そうだとか。殺されたとか言ってるところからして、命のストックを蓄えてるタイプの不死者かなどと意識の一部は考察を続け。
そうしながら腹から伸びてくる舌を、後ろに下がり避けようとはしたものの。反応が遅れて、手首を舌に捕まれ引き寄せられてしまい。蟲ともども、捕らわれ。
■レガトゥス > 「どうした、その程度か――その程度でもあるまいが」
穴の開いた頭蓋が修復され、また元のような口調で口を利きながら立ち上がる〝それ〟。
舌に囚われた蟲を、端正な顔の口元へ運ぶと――
ばぎっ。
がしゅっ。
並びの良い白い歯列で、がつがつと、けだものの如くに喰らう。
喰らうの意味は――シェリルの思う通り。二つの、どちらの意図でもある。
食欲と、性欲。
単純に、欲求を満たす為、この群れは徘徊するのだ。
「もう手が無いのなら、喰うぞ」
引き寄せたシェリルの前で、再びローブの内側から這い出す、数頭の狼達。
仮にシェリルが、このまま無抵抗であるならば、狼達はシェリルの四肢に牙を突き立てるだろう。
肘や膝を砕き、逃げる術を失わせて、存分に嬲る――
この辺りの思考は、食欲に任せた獣というより、人のそれに近いかも知れない。
■シェリル > 「確かに、この程度ではありませんけど……」
痛みを感じている風情は無し。先の反応からして、催淫系統も効果は微妙。
蟲をがつがつと喰う姿からは、品性だの感性だのは人間と言うより獣のソレが近しいように見える。
何も考えずに直接的に頑健さや不死性任せに突っ込んでくる手合いに見えるが、さてどの程度のしぶとさなのだろうかと考え。
「痛いのは趣味じゃないので、遠慮したいわね」
痛いのよりはまあ、いいかと意識を性欲方面に傾けれるかもと淫気の発散。ついでに、吐息に混ぜて発散させるのは神経性の毒。神経機能が停止して死ぬか、麻痺するか。あるいは、無効化するか。相手の性能が読めず。とりあえずは、少ないよりはいいかと人間の致死量の数倍の量を込めた毒の吐息。
■レガトゥス > 毒物の致死量を言うのなら――それこそ、軍勢を殺す程の毒が必要となる、一個の群体。
仮に殺すことを狙うのであれば、人の致死量などではなく、都市を滅ぼす覚悟が必要ともなろう。
事実、〝それ〟は、まるで死ぬ様子も無く、狼達もシェリルの四肢に喰らい付かんとしていた。
その動きが、止まる。
「……?」
フードの下の顔が、初めて怪訝な色に染まる。
〝それ〟は、本体の右手を眺めながら、他の手足を動かそうとしているようだった。
だが、動きがぎこちない。
狼達が床に伏し、人間の姿をした本体もまた、壊れたからくりのように片脚だけ動かして、横倒しになる。
レガトゥスは、数多の命の群体である。故に、その無数は、多種多様の性質を持つ。
毒に強いもの、弱いもの、そもそも毒が利かぬもの、毒に全く抵抗力を持たないもの――そんなものが、寄り集まっている。
今、〝それ〟が感じている困惑は、その多数の命のそれぞれが、異なる強度で神経毒に侵されたが為のもの。
人間で例えるなら、四肢や指、表情筋の一つ一つから全てが、強弱の度合いをずらして麻痺したようなものだ。
「なんだ、これは。何をした」
呆然としながら問う。
問いながらも然し、この獣は、己に集う命の中から、対策を探し続けていた。
■シェリル > 「……なるほど」
喰らいつこうとしていた狼たちが床に伏せ、人間の姿をしていた何者かもまた不自然な動きで地に横たわる。
耐性の問題か、量が足らなかったのか。死にはしなかったが、毒は効果ありと認識し。普通に攻撃して殺すのと、毒の類で殺すのではどちらが殺し尽すのに手っ取り早いかなどと考えながら、手首を捕らえる舌を振り払おうとし。
「自分を喰おうとしていた相手に、どう対処したか教えると思うわけ?
そうね……。人の事を喰おうとしたんだから、少しは喰われる気分を味わいなさい」
何をされたか認識できてない様子を見せる相手に、呆れたという風に溜息をついてみせ。
手元に召喚したのは人間サイズのピンク色の蠢く原形質の塊。いわゆるスライム。ローションや淫具代わりに使いもするが、この場合は普通に捕食。破壊されるべき器官も組織もない不定形の粘体には刃も爪牙も意味が無く。
触れる端から溶かし喰らうそれが、無数に偽足を伸ばし。狼たちを、人間型の本体を捕食しようと蠢く。
■レガトゥス > この群体が苦手とするものは、幾つかある。
集団全てに作用する攻撃、遠距離攻撃、そして不定形の敵。
無論、レガトゥス本体も、自分達が何を苦手とするのか理解していた。
巨大なスライム――喰う部位の無い的。
ましてやそんなものに、自らが喰われるなど――
「っ、ガアアァッ!」
人の顔が、獣の声で吠えた。
次の瞬間、そこに現れたのは――壁の如き巨躯の、四肢も無い、ただの肉塊であった。
床から天井にめりこみ、左右の壁に体が触れる巨体は、しかし動く手段を持たず、口も有るのか、耳目も有るのか――
端的に言うならば、〝そこに在る〟こと以外、何も出来ぬ一個であった。
それをレガトゥスは、自分達から切り離したのだ。
肉塊が、床に伏す狼達が、スライムを浴びる。肉が、骨が溶け、液体となり、スライムに同化していく。
然し肉塊の巨大なことは、人間大のスライムを以てしても、溶かしきるのにある程度の時間を要した。
そして、壁のように立ち塞がる肉塊が、抵抗の手段無く溶け尽くした時――
その後に、あの人の姿をした獣はいない。
喰らうには、己の手に余る獲物と見て、尻尾を巻いて逃げ出したのであろう。
遺跡に残るのは静寂と、遠い何処かの部屋で、獣が遠吠えをした、その反響であった。
ご案内:「無名遺跡」からレガトゥスさんが去りました。
■シェリル > 「――っ!?」
いきなり爆ぜる獣の咆哮。
何事かと、驚きとともに一瞬硬直し。気づいた時には、目の前には巨大な肉の塊。
これが何かを仕掛けてくるのかと、とっさに飛び退り警戒しても何事も変化はなく。
抵抗を見せる事無く、スライムに溶かし喰われていく様を見ているうちに、警戒を解き。
「ああ、なるほど。トカゲの尻尾切りと似たようなものなのね」
予想通りに、全てがスライムに同化されたそのあとには先ほどの人影は無く。
逃げたわねと、深く息をつくと緊張の糸を緩め。さっきのは、何だったのだろうかと考えながら、興も削がれたし帰るかと足音を残して、自分もこの場を去り。
ご案内:「無名遺跡」からシェリルさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にレヴィさんが現れました。
■レヴィ > 「はぁ……どこにいるッスかね」
名もない遺跡の一つ。
そこに調査に向かった一団が戻らないという事で出来れば救助、無理でも遺品か足取りを持ち替えるという依頼を受け目的の遺跡にと潜る。
ランタンを片手に時折に床を調べ足跡や物音を確認すれば罠の発動の有無もついでに調べ先にと進む。
「ここは通ってるッスね。
死体もないからもっと先ッスか…」
この辺りで見つかってくれれば楽だったと肩を落とし次の階層へと続く道を眺めて先に進むかと考えて
■レヴィ > 「行くしかないッスね」
ここで戻れば仕事放棄と取られても困る。
そう考えれば進むしかなく…
気を引き締めて先へと進んでいく
ご案内:「無名遺跡」からレヴィさんが去りました。