2016/07/16 のログ
ご案内:「無名遺跡」にアンリさんが現れました。
■アンリ > 「どっこぃ、しょぉーーーっ!!」
遺跡の壁を震わせて、裂帛の咆哮が響き渡る。
魔物に囲まれる経験は豊富な、自称純魔法使いであるアンリの声。
魔王として生を受け、クーデターをあっさり起こされて異世界に飛ばされ、戻る術も無いまま………ってことを隠して、日々を楽しく過ごす魔法使いだ。
現状はもちろん、敵に囲まれていた。
どうやら遺跡のアラームスイッチを踏んでしまったらしく、ゴーレムやらオークやらに追い回される。
この遺跡のオークは頭が良いらしく、ゴーレムを前に押し出して、自分らは投石やら投げ槍やら、簡素な弓矢で攻撃してくるから厄介だ。
■アンリ > 冒頭の咆哮は、オークの投げやりを掴んで、ゴーレムの脳天をぶちぬくように投げつけた時の気合だ。
そう、純魔法使いは何でもできるんだ。
魔法って言葉は便利だね。
「ったく、片付けても片付けてもどんどん湧いてくる。
まー、ゴーレムさえ片付けたらおしまいなんでしょうけど。」
手をパンパン、っと払いつつ、ため息混じりにぼやく。
死ぬ危険は感じないが、ひどく疲れるのは事実だ。
飛んできた矢を裏拳で叩き落として、ちぇ、と舌打ち。
■アンリ > こういう時は………槍をぶん回すんだったっけ、と飛んできた槍を受け止める。
粗末な投げ槍だけれど、それをぶぉん、ぶぉんっと振り回して。
「魔法使いのこの私を止められるもんなら、止めてみなさい!
アンリの魔障に恐れ跪くがいい!」
堂々と名乗り、啖呵を切って。
うおおおお! と槍を振り回して単騎で突破を図る。
振り回した勢いで槍が折れれば、拾った剣で。
拾った剣がへし折れれば、もう最後は拳で。
魔法使いは今日も行く。
ご案内:「無名遺跡」からアンリさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にファルコさんが現れました。
■ファルコ > 遺跡の中、無数に広がる通路の一つ。
松明から伸びる魔法の光を頼りに、蠢く影があった。
がちゃり、がちゃりと太い鎖を引きずり、黒マントの男らしきものがずんずんと進んでゆく。
その背後には、引きずられていく金属製の大きな箱。
どうやって作られたのか接合部もなく、一個の塊をくり抜いたようにすら見える。
稀に、探索中の冒険者と遭遇することもあったが、この浅層をうろつくレベルなど、大したことはない。
向かってくる者を腕の一振りで薙ぐだけで、たいていは吹き飛ぶか、武器を折られて戦意を失くすかだ。
「だが、うっとおしい事この上ないな。
財宝をもっているようには見えぬだろうに」
僅かな灯りに照らされた白い仮面の奥でため息をつくが、そもそもその姿で遺跡内をうろついている時点で怪しさ満点だということに、この男は気づかない。
■ファルコ > 険しかった道のりは、進むごとにだんだんなだらかになり、きちんと整備された壁らしきものがちらほら見え始める。
前をよく見ると、遠くに明かり。魔法ではない自然の光が差し込んできていた。
「む、そろそろ出口か。外の天気はどうかな?」
足も自然と軽やかに、がちゃがちゃと灯りに向かって駆けだす。
やがて視界が開け、涼しげな空気の中へ飛び出すと、鎖を勢いよく放り出した。
金属の箱が草むらを滑り、とある樹にぶち当たって止まる。
「くぅーっ、やはり広いところは良いな。
せまっ苦しい通路など、気が滅入って困るわ」
振り返り、自分が今まで来た遺跡の入り口を眺める。
うっかり者のゴブリンが起こした土砂崩れがなければ、もっと広い場所から出られたのだが、仕方があるまい。
■ファルコ > 「……風はないか。小高い丘があればよかったが、贅沢は言ってられぬな。
晴れているうちにさっさと行こう」
フードを脱ぎ去り、白仮面を外せば、鋭く尖ったものが顔の中央から伸びてくる。
それは嘴であった。
杖を腰にさして両手を広げ、空を見上げて唱え始める。
「我は 鷲よりも気高く」
その背中から、ばさりと翼が伸び。
「獅子よりも勇猛で」
ふさふさとした両足が、ぐぐっと伸びて尻尾が垂れ下がり。
「太陽を背に」
大きくなっていくからだが、陽光に照らされて長い長い影をつくる。
「竜すらおそれぬもの──」
鳥とも獣ともつかぬ咆哮を響かせると、
漆黒のグリフォンは翼をはためかせ、空高く舞い上がった。
■ファルコ > そのままぐるり、ぐるりと上空を旋回し、再び降りてくると、
その鉤爪で箱をしっかり掴み、再び空へ駆け上がる。
向かう先に遠く見えるのは王都。
(さて、いきなり都市の中心はまずい。
あまり目立たぬ平原に、着陸場所を探さねばな───)
ご案内:「無名遺跡」からファルコさんが去りました。