2016/01/16 のログ
ご案内:「無名遺跡」にアンリさんが現れました。
■アンリ > 「………ふん、この私に正面切って戦いを挑むとはいい度胸ね。」
遺跡の内部、小さな部屋の一室でゴーレムと向かい合う魔法使いの女。
長く濃い青髪と、自信満々の瞳。
女性らしい身体のラインをくっきりと浮き上がらせたローブ。
そして、禍々しい形状の杖に、豪勢なマント。
これぞ魔法使い、という格好を晒しながら、ばさぁっ、っとマントを大きく翻させる。
「私が魔を名乗る由縁、その身を持って理解すぶべぁっ!?」
名乗りと口上の途中で、思い切りパンチを受けて吹っ飛ぶ身体。
ずしゃぁっ、と地面を滑る。
ご案内:「無名遺跡」にハスタさんが現れました。
■アンリ > 「……名乗ってる最中に、攻撃すんなぁっ!!」
うっがぁーっ! と両手を振り上げて怒りながらその場ですっくと立ち上がる魔法使い。
流石にゴーレムの一撃は痛い。鼻をおさえて涙目になりながら、がるるるるっ、と唸りをあげる。
「いい!? 名乗ってる間に殴るっていうのは許されないことなのよ!」
吠える。
その気高き咆哮は特に部屋は揺るがさなかったし、ゴーレムの心も揺さぶらなかった。
ずしん、ずしん、と歩み寄るゴーレムは、容赦なくその拳を振り上げて………叩きつける!
「ふんっ、ぐっ……!!」
がっつん、と杖で受け止めれば、ゴーレムのパンチを受け止めきる魔法使い。
無駄の多い、無駄しかない動きではある。
果てしなくレベルの高い子供のケンカ。
■ハスタ > 人間も魔族もそうなのだが、生活という物に一定の余裕が出来ると、時間という物を浪費して、無駄な時間を過ごすことが増える。
それは、どちらかといえば人間よりも寿命の長い魔族の方に顕著なものである。
さらに言えば、不死身の魔物やら魔族になってくると、その多くが無駄な時間の浪費になる。
つまり何が言いたいかと言うと、おっさんはそのほとんどが無駄な存在であると言う事である。
おっさんはこれといった理由もなく(強いて言うなら暇つぶしに)人間界で有名な無名遺跡という何か結構矛盾してるところに足を運んだ。
おっさんは耳も良い。とりわけ可愛い女の子の声を聞く能力は長けている。流石は変態である。
して、常人には在り得ぬ張力で女らしい声を聞きつけ入って行ったのが遺跡内部の何処かしらの小さな部屋であった。
とまあ、アレコレあって明らかにファッションセンスのないながらも小型ゴーレムくらいにでかいおっさんがヒッソリと、
二人の喧嘩の唯一無二の観客としてやってきた。
「ほう。」
ヤケに莫大な魔力を持った女性が右に。
割と結構リアリストなゴーレムが左に。
おっさんはそれら二人の何だかコメディっぽい様な、しかして無駄に周囲に大迷惑な喧嘩をニヤけながら眺め始めた。
嘆かわしいことにしばしば名乗りやポージングが無視された上で攻撃を仕掛けられる事はこのマグメールでは往々にしてあることである。
おっさんは彼等を軽蔑と憎悪を込めて「リアリスト」と呼称する。
「あれってアレ?…こう、物理で殴る魔法使い、みたいな?」
おっさんはその辺の苔生した石ころに腰を落ち着けて、実況しながらのんびりしていた。
杖でゴーレムの一撃を防ぐって。どういう戦闘スタイルなんだろうか。
いっそ重戦士あたりに転職出来そうじゃないかというツッコミは野暮だろうか。
ご案内:「無名遺跡」にアンリさんが現れました。
■アンリ > ギリギリギリギリ………
石の拳は固くて重い。ふんす、と気合を込めてそれを受け止めながら、豪勢なマントを揺らす。
「……私の顔面ぶん殴ったあんたの処遇は決まったわ。
その心無き胸に初めて生まれる感情が、この世に生まれ落ちたことを後悔するっていうのも悲しいことだけれうぶぅっ!?」
右の拳を受け止めてべらべらしゃべっていたら、左の張り手を受けた。
べしゃーんっ、と派手に地面に叩きつけられ……ずに、地面に足を踏ん張って平手を受けきる。
「………んなぁああにやってんのよぉぉおおっ!!!」
右手に炎。
まるで宙空からさもそこにあったかのような仕草で取り出せば、返す刀の遅すぎるカウンターを相手に無造作に一撃。
炎と土は基本的に相性が悪いにもかかわらず、その石でできた胸板から顔面をえぐり取るように溶かして。
…………ぺ、っと血のついたツバを吐きながら、その場に崩れ落ちるゴーレムを見やる。
ホント痛いし。
「………………………」
そこでようやく、観戦をしていた相手に気がついて、目をぱちぱち。
あれ、ずっと見られていたのかしら。 青い髪を揺らして、ゴシゴシと顔をこすって。
……そうしてようやく、ばさり、っとマントを翻した。
「………哀れな生き物ね。私にぶつかった己の運と、ここに作った創造主を恨みなさい。」
カリスマたっぷりのセリフを、勝利者のポーズと共に言い放つ。
■ハスタ > …魔力とか膂力とか凄く高いんだけど。
なんだろう、この子。それと同じくらい凄く残念だと思う。
ゴーレムに張り手かまされて踏ん張ったりゴーレムの腕撃を杖で防いだりするのに。
そしてこのゴーレムは本当に心無き生き物だと思う。
もうちょっと手加減してあげてもいいんじゃないだろうか。
お見事魔法の力で当たり前の様に炎でゴーレムを押し切った。熱そうだとおっさんは思った。
と、実に客観的かつ冷静に思うおっさんだがこの小さな部屋もその炎で段々熱くなって気がした。
そしてゴーレムは溶けた。摂氏何度だったんだろうか。
ともあれ冷静に座って観客していたら…目があった。
「―――。」
取り敢えずこちらに気付く間まで、おっさんは沈黙にて彼女を見据えていたが。
こう、自信たっぷりな目付きに、同じく自信に溢れた仕草を見せつけられた。
そしてポージングである。この子多分こういうリアリスト被害に遭ったのは初めてじゃないんだろうな、と思いつつ、
彼女がマントを翻すと言う仰々しく目に映る動きを行うまで、好奇と好奇を足して二で割らなかった程度の眼差しでニヤけながら見ていた。
見る人が見れば変質者であると疑うだろう。そしてそれは正解である。
「……おめでとう!!」
ようわからんけどもおっさんは暫く躊躇った後彼女に拍手した。
音魔法でテレレレッテレー!という半音上げ気味で無駄に壮大なオーケストラ風アレンジのファンファーレを小さな遺跡の御部屋に響かせこだまさせると、
拍手の音も増幅させ無駄にパチパチ鳴らして、優越感に浸っているように見える彼女へと、
そこそこ惜しみない賛辞を送った。
尚彼女と面識はない。
面識はないけど…何か振られた気がしたからやった。
おっさんはこういう男である。
■アンリ > 圧倒的な力を見せつけて勝利したのだから、恥ずかしがる必要は無いのだ。
2発も存分に殴られているのだけれど、結局立っているのは自分なのだから。
堂々とドヤ顔をしながら自慢気にポーズを取るのだけれど、それでも気になるのか、時折ちら、ちら、と視線を送る。
ビビリ系自信家。
マントを翻すのは何故か、それは格好がいいからだッ!!
「………………」
素っ頓狂な戦い方を見られていないだろうか。
呆れていないだろうか。そんな現実的なところに意識が向くあたりに小物臭が強かった。
ニヤニヤと眺められて、流石に居心地が悪くなったのか視線を向けようとしたところに、思い切りなるファンファーレ。
それに、びくっ、と身体を揺らしてしまいながら。
「……え? ……あ、ああ。 うん。
……いいのよ、別に。 当然のことなのだから。
……で、貴方もここに探索に来たクチなのかしら。 他の人とははぐれたの?」
一瞬、素の呆けた顔で、こく、こくと拍手と賛辞の言葉を受け止めて。
そこからもうワンテンポ遅れて、はっ、と何かに気がついたようにしっかりと立って、その賛辞を受け止めながらふっふん、とドヤ顔をする。
更にカリスマめいたことを口にしつつも、胸を張って。
褒められた嬉しさからか、相手のことを心配する心遣いまで見せ始める。
褒められて伸びて伸びすぎて折れるタイプ。
■ハスタ > 「んぅ?…あ、あり?」
おっかしいなあ、と頭に後ろ手を回して掻きながら、
何でこう…こっちが間違ってしまったのかとおっさんは思った。
言葉と裏腹に、またポージングと裏腹に目が、目が。
動きまくっている。今度はおっさんが目をぱちぱちして顔を擦る番だった。
ニヤけながら困惑するおっさんは、軈てファンファーレを止めていく。
おっさんも本当に彼女がゴーレム倒したのか何か疑問に思って来たので崩れたゴーレムだった土に一瞥を送った。
「―――。」
再び訪れる沈黙。
おっさんは見ていた。しっかり見ていた。
彼女がおっさんの高々音魔法にビビッていたことに。
おっさんは腐っても知性の神性である。が、故に彼女のビビリ症も最早想定してしまった。
その後でさえもどやぁぁぁんと効果音が響いてきそうな彼女のしてやったりと言わんばかりの顔が、
しかも一旦ビビった後に出てきたのだからおっさんは少し笑いかけたがニヤけるに留めて、
代わりに音魔法で「どやぁぁぁん」なる効果音をひっそり鳴らしてみた。他意はない。意味もない。
「いやあ、凄いね!あのストーンゴーレムを倒しちゃうんだもんなー!おじさんビックリしちゃった。」
取り敢えず褒めることにした。
女性は基本的に褒められると喜ぶらしい。貶められて喜ぶ女性もいるらしいけど。
おっさんは両方の真っ黒く淀んだ自身の瞳を光魔法で「きゃるん」と光らせながら賞賛に追撃する。
「アッハッハッハ…当然、そう、当然なんだ。ほうほう、ふむふむ。」
何かからかった口調でやけに関心気味に頷いているが他意はない。
「ああいや、探索かなあ。ま、建前で言うなら機械掘りってとこかね。本音で言うなら暇つぶしー…だけどね。
まぁ、可愛い女の子とお会いできたことですし!おじさん嬉しいんだけどもっ。しかもカッコいい!」
図らずしも、おっさんは褒めまくったらどうなるか試したくなった模様である。
事も無げに自身の目的を告げながら、ニヤけながらマントの彼女の全身を眺め回しつつ再び手を叩く次第。
張られた胸は…かなりあるっぽいのでそこも見落とさないで目を遣った。
■アンリ > 音でビビリ、拍手という想定外の事態で頭が真っ白になる程度のキャパシティしかない女。
しかも、ゴーレムに喋っている最中に二発殴られるという失態。
勝利を収めたとはいえ、彼女の自尊心はぼろぼろだ。
正直誰もいなかったら、痛む頬を擦って落ち込むところだ。
でも今は人がいる。そして賞賛してくれている。
ファンファーレの音がどやぁぁん、とふわふわした音に変わったけれども、きっとこれはあれよね、私の知らない地方の音色なのよね。
えっへん、と胸を張って必死に取り繕う。
「……え? ああ、………ちょっと苦戦したけど、この程度なら簡単よ。
知性も無いし動きも遅いのだから、知恵と工夫で対処すればわけない……って書いてあったわ。」
知恵(殴られても大丈夫なタフネス)と工夫(魔法で殴る)で対処したことを偉そうに語る。
とはいえ、流石に自分がズレていることは分かっているのか、最後にちょびっとだけ、本で読んだことだとわかるように付け加える。
ストーンゴーレムが強い、ということを言われれば、少し表情が明るくなる。 自尊心10%回復。
「暇潰しでこんなところ……? 危なくないのかしら。
……ぇ、ええー、っと。 そう? やっぱり?
ま、まぁーね、当然だけれどもそう言われると悪い気はしないわ。」
一瞬、暇潰しでこんな場所にやってくる相手に訝しげな眼差しを向けるけれども、
可愛い、で自尊心20%回復。 カッコいいもつけてフルコンボ、自尊心30%回復。
みるみるうちに表情がぱぁ、っと輝いて。 照れたようににやける頬を少しだけ抑えて、ふっふん、っと満足気に胸を張る。
大きな胸はローブの下で揺れ、服の生地をぐっと引き延ばすけれども、テンションが上ってしまった彼女がそこまで考えるわけもない。
■ハスタ > 「知性もないし動きも遅い…ねえ。いやあ、しかしお見事だったね。」
「智慧」と「工夫」で対処…?いやいや。とおっさんは思ったがつっこまない。
何かナメプしてレベル差の暴力みたいな感じのナニカを目撃したんだけども。ツッコミたいのにつっこめない。
「あ、書いてあったのね。うん。」
おっさんはそういうもどかしさを抱えて身を震わせながら、振える彼女の胸を見てホッコリした。
茶目っ気があるのだろう。そういうこなのだ。多分。
おっさんは真顔で彼女の付け足しに目をパチクリさせて頷いた。
「アッハッハッハ…ま、転移魔法ってあるじゃない?ああいうのあったら危ない事なんてないのよ。
それにおじさんフェニックスですからね。えぇ。ああいうモンスターもぜーんぜんっ怖くありません!
ぶっちゃけさあ、最近暇だったんよ。誰も構ってくれませんから。」
おっさんは(本人曰く)華麗に全身を用いてバッテンマークを作って流麗に首を左右に振りながら大法螺吹いた。
じゃあなんでゴーレム強いだ何だ言ったんだと言われそうだが。
悲しい魔王事情を述べながら、項垂れる仕草。
「あ、うん。当然なのねソレ。」
表情豊かなものだと彼女が真顔から満足顔へと変わって行くビフォーアフターをおっさんは眺めながらまたニヤけながら困惑した。
再度目をパチクリさせて頷く。言葉と裏腹に凄く嬉しそうなんだが。…ひょっとして、結構ちょろいのか?!と、物凄く失礼な事を考えた。
全身見回すに如何にも魔法使いの女性っぽいのだが…逆に聞きたい。
さっき血吐いてなかった?って。実は全くマグレだったんじゃない?って。
しかしおっさんはツッコミもしないままこのまま彼女はどこまで行くのか見たかったので内面で浮かぶ実に
下衆な笑みを抑えつつ、やっぱりにやけていた。顔が誤魔化せてない。
「…んフっ…ああ、ええと。何だっけ。あー…スリー…ごほんごほん。それで、強く麗しい…いヒッ、お嬢さんはここに何をしに?」
そしてついに笑い声も誤魔化せなくなってしまった。彼女の自尊心が回復していく裏方、おっさんの笑い堪え耐久度が漸減する。
スリーサイズをあわや聞きかけながらニヤけが引かない顔を紳士的に取り繕って、
遠回しに彼女の名前を聞きながらその顔を真っ直ぐと向けた。
■アンリ > 「……転移魔法…?
……そういう術が使えるなら、確かに怖くないかもね。
一人でいるには理由がある、ってことかしら。
………構ってもらえないって、どういうこと?」
はっきりと見る目が変わる。
胡散臭い人を見る目から、胡散臭くて何やらすごそうな人を見る目に変わる。
転移魔法は苦手だ。
祖国から遥か彼方まで飛ばした術も転移魔法だし、彼女自身も得意としていない。
石の中に転移したり、お風呂に入っている女性の前に転移したりと、散々な目に遭っている。
だから、それがあるから大丈夫だと言い張る相手を見る目が変わるのも仕方のないことだろう。
それでも全身で☓マークを作って言い放つ相手が本当にフェニックスだとも思えないし、
胡散臭そうな瞳は変わらないのだけれど。
なんだかずーっとにやけているし。
それでも、褒められるとちょっぴり頬を赤くしながらも、満足気に胸を張る。
相手のことは気になるのだけれども、強く麗しいと言われてしまえば、まーた「そ、そーう?」なんて口にしながら照れ照れと照れて。
「私はアンリ。魔……法使いのアンリよ。
こういう遺跡にはマジックアイテムがあったり、大掛かりな魔法陣があったりするじゃない。
そういうものに惹かれてやってくる悪魔とかね。
それが目当て、かしらね。………何笑ってんのよ。」
流石に見咎めた。
■ハスタ > 「…ふう、やれやれえ。ま、疑われちゃうのはある意味仕方ないよね。」
実に疑りかかった様な目線が向いたのだが。それはさっきから変わらぬ模様。
というか、そもそも突然ファンファーレを鳴らすようなおっさんだから胡散臭いと思われて仕方ない。
本人も自覚しているらしく、やれやれえと首を左右に。
「ま、そういう事よ。一人でいる理由とか、その辺は企業秘密だからあんまり言えないんだけども。」
おっさんは基本的にニヤけがデフォルトである。
人差し指を唇に垂直に向けてニッコリ。ただしむさい。
「…流石に察されちゃいましたか。」
色々口走り過ぎた故に、結局彼女が伸びきって折れる様は拝めなくなってしまったのだろうか。
物悲し気に頭に手をやりこめかみを叩いた。
「いや、何。掘り出し物でもないかと探しながら、
こうやっておじさんものんびりと探していたんだよ。…ん、成程魔法使いのねー、
どっちかっつーともう物理使いっつーか杖使いの様なー…いやなんでもないっす。
しいていうなら、そ、アンリたんと同じでレアなマジックアイテムだとか、大規模な魔方陣とかね。
どっちかっていうと、こうしてもっと珍しいもの探してんの。
ま、つまり悪魔ですか。おじさんもそう言うものに惹かれちゃった系であります。」
無駄に背筋を伸ばして敬礼する。
「…ごめんネ。あんまり可愛くておかしかったものなので。
ね、言い訳してもいーい?」
こうしておっさんは自らの名を名乗り返すこともなく、素直に白状して謝った。
頭を下げて謝罪を述べた後チラ、と顔を横向け目線を遣って、ウインクと☆マークを飛ばした。光魔法。
それでも相変わらずニヤけが止まらないのは、つまるところおっさんはこういう男だからである。
■アンリ > 「………まあ、一人でいるのは私も同じなんだから、聞かないでもいいけどね。
私は強いからだけど!」
相手が言えないのなら自分は言おう!とばかりに言い放つ。
えへん。どれだけ疑っていてもすくすくと伸びるのです。まだまだ伸びる。
ただ、相手の言葉に関しては真面目に聞いて、頭のなかで整理する。
純粋な馬鹿ではない。
「ふぅん………、この場所をのんびりと一人で宝探しできるっていうんだから、相当ね。
道理で私が戦闘中に気がつかないわけね。」
不意の遭遇を相手の実力のせいにさらっとしようとする。
気が付かなかったのもゴーレムに平手を食らったのも全部そのせいだ。
そうしておくことにしよう。
「誰が物理使いよ。 あと誰よアンリたんって。」
コラ、と、ちょっとだけお叱りする。
全くもう、っと腕を組んで困った顔を浮かべるだけな辺り、どうやら対処は甘いようで。
……可愛い、と言われれば渋い顔をしながらも、少しだけ頬を赤くする。
それでもやっぱり、こう、嬉しいらしい。 怒気はほとんど感じ取れない。
「……まあ、言い訳の一つくらいは聞いてあげるわよ。」
ふん、っと鼻を鳴らして言ってみなさいよ、と催促。
☆マークが飛んできたので杖で流し打つ。ストーンゴーレムの体に突き刺さって爆発した。
■ハスタ > 「おう!やっぱり強いなキミは。カッコいい!んん、で、キミは一体何者だ。
ただの魔法使いってわけじゃないだろうに。」
割と結構本心である。おっさんは女好きであるが故に可愛いとかカッコいいとか褒め言葉は本心である。
ただし厭らしい意味を含む。故におっさんは結構その豊満な御胸に夢中だ。
一方のおっさんは彼女の所在や身分について聞いてみたりも。
「ま、…そういうもんでしょ。いやその…ううん。」
何だか釈然としない責任転嫁を喰らったのはきっと気のせいだと思いたいおっさんであった。
「だってさあ。ゴーレムのパンチを杖で防ぐんですよ、杖で。
なんかこう、ジツニマガマガスィ(ここカタコト)デザインの杖で。そりゃもう物理使いでしょ。
え?…アンリたんじゃないの?…ん、んん…んんぅ?」
おっさんの中では既に彼女がアンリたんである事が決定事項であるかのように扱われているらしい。
「えぇ何この子可愛い…お持ち帰りしたい。」
こうして遂におっさんの素が出た。彼女の甘いお仕置きを喰らったおっさんは、
腕組みしつつこちらを窘める辺りでそれはそれはその仕草に見入っていた。
更に所在不明で意味不明のおっさんが相手なのに、可愛い言われただけで照れる素振りを見せるのもポイント高いらしい。
「よっし、じゃあ言い訳をしてみよう。」
そして胸張り深呼吸をした矢先に爆発音。
「え、ちょ、わっつ?…ってかやっぱり物理使いじゃないか!!」
おっさんの光魔法は無害である。ほっといたら消える。
しかして、まるでベースボールの世界の様に見事な流し打ちが目の前で披露された。
咳払い一つ。
「では、改めて言い訳しよう。」
もう一つ咳払い。
更にさらに咳払いしたところで口を開く。
『哀れな生き物ね。私にぶつかった己の運と、ここに作った創造主を恨みなさい。』
彼女と全く同じ声を出してどやぁぁぁんなお顔をして、さらに勝利のポージングも出来る限り再現して見せた。ただしやっぱりむさい。
彼女の様に可愛く美しい女性がやるならともかく、おっさんである。
先程ファンファーレに使われた音魔法はこんな使い方も出来るのである。魔法の力は便利だ。
「…んんっ、どう?…こんなん笑うわって思わない?アッハッハッハ…。」
ニヤけながら、否、肩揺らして笑いながら首傾げた。
■アンリ > 「………ぇ、へへへ。」
そして彼女は嘘であっても素直に喜ぶ性質である。
本心からの褒めを受けてしまえば、こっちもにやけてしまうのである。
「…私? 私は………単なる魔法使いよ。
ちょっと人より才能が溢れてるくらい?」
少しだけ口に困ったように言葉を切って、やっぱり返したのは普通の言葉。
一生懸命出自は隠す。 隠したほうがいいって仲間が言ってた!
「ぐ、ぐぬぬ………そりゃあ、物理だって強いわよ、魔法使いだもの。
魔法って便利なんでしょう?」
相手の言葉に不満そうにしながらも、実際に殴って倒したのも事実だから、それを全て「魔法」の一言で片付けようとする。
魔法だから仕方がない。
光魔法を打ち返して爆発させるのも、当然魔法なんだから仕方がないのだ。
ただし相手へのお仕置きは言葉ひとつ。 ………じぃぃ、っと見入られると少し居心地が悪そうに首をすくめる。
な、なんだろう、この人の視線が怖いような……。
「………………ぅ、………」
かぁぁぁぁぁ、っと見事に真っ赤になって、自分の勝利のポーズ再現を見せられる。
思い切り平手食らった後にこのポーズにドヤ顔に偉そうなセリフである。
茹でられたタコのような顔色のまま、両腕を振り上げて、杖を振り回して怒り始めた。
「わ、笑うなぁっ!! そーゆー台詞が似合う魔法使いを目指したっていいじゃない!!」
むきゃー! 頭から湯気を出しながらぷんすこ。
杖で地面をガンガン叩きながら相手を威圧する。 直接殴らないくらいの怒り方。
■ハスタ > 「可愛い。」
間髪入れずににやけたり照れたりするのってこの国では結構稀少価値が高い。
何せ国民ぐるみで腐りきった娼婦だらけの街だから。
「才能…ま、そういうもんよね。ああ、人間ってこっわーい♪」
今度は♪マークが吹っ飛んだ。魔法の力は偉大である。
ボールで言えば外角右ストレートである。打ちごろのスピードだった。
「いや意味わからねえんだけど?!物理だって強いわよ、魔法使いだものってェ?!
そのりくつはおかしい。まほうのちからってすげー。」
おっさんはこれでも、魔法使いタイプである。
同じ魔法使いタイプとしてそこはツッコミを入れざるを得なかった。
魔法も一定のレベルを超えると不可解になってしまう。
「やっぱキミ物理使いだわ。おじさんアレを魔法と認めません!」
もう一回仰々しくおっさんは×マークを手で作った。
「冥王究極奥義!かるしうむこうせん!」
そしておっさんの両手で作られた×マークは光魔法となりて具現化し犬が歩くくらいのスピードで彼女に迫った。
因みに光であるから無害である。せいぜい眩しい位。しかし彼女であれば恐らく杖で弾けるだろう。魔法ってそういうものである。
「こういうのを魔法って言うんです!」
ふんすと鼻を鳴らす。「かるしうむこうせん」のことらしい。
「あー…失礼。ところでレディにこういう事を聞くのはアレだが、年齢とスリーサイズを教えてくれたまえ?」
事も無げに紳士を装いついに聞いた。
基本的に胸と表情豊かなお顔を眺めることで一定しているおっさん。
「ああうん。そーゆー台詞が…そうねー、可愛いと思うよ、心底。」
取り敢えず彼女を迂回して横側の杖がぶんぶんされてない安全地帯を取ってぽん、とナチュラルに、
蒸気機関車の如く湯気が飛び出す頭に手を置こうと。熱そうだが問題ない。
叶うならば蒼く濃く彩られた鮮やかな髪を撫で梳くだろう。
おっさんは女の子を撫で宥めるのも上手い。…変態だから。
■アンリ > 「あんまり言うと効果が無くなるわよ、全くもう。」
可愛い可愛い言われてそんなことを言い出す。
でも、全くもう、のもう、の部分が間延びしてふにゃふにゃだ。
可愛いってー、可愛いって言われた―。
打ち頃の♪が来たので、おもいっきり踏み込んで杖をフルスイングしたら、♪がゴーレムの脚に突き刺さって爆発した。
「え、え、………そういうもんじゃないの?
ほら、魔法って肉体強化とかそういうのもあるんじゃん?
魔法使いってそういうのも使ってるんじゃあないの?」
魔法=いろんなことできる
魔法使い=だからいろんなことできる
その認識で持って人間に混ざっていたのだけれども。それが間違っているとなると、人間への混ざり方を大いに間違えていたことになる。
一瞬焦るところに飛んで来るかるしうむこうせん。のろのろと迫るそれに気力を奪われつつ、回避するのは容易い。
でも、奥義、って言葉にピクリとしてしまうのも致し方無いところ。
「私だって魔法くらい使えるわよ!
魔王究極奥義!目からビーム!」
ぬりゃー! と目からビームを放ってかるしうむこうせんと相殺させる。
……まぶた熱いまぶた熱い。 撃った後しばらく瞼をごしごししないと目が見えなくなるのが弱点だ。
「……? 年齢は……………あー、えーっと、秘密?
スリーサイズはー……上から88……じゃなくて!? 何言わせてるのよ!!」
ガンガン! 杖で地面を殴りつける音が響く。
むきゃー! っと湯気をたたせるけれども、髪の毛を優しく撫でられると、うぅううぅ……と、怒りがすぐにしぼむ。
すぐになだめられた。……変態は女の子の扱いが上手い、覚えた。
■ハスタ > 「ほう。分かった。ではバリエーションを増やそう。アンリたんの何処が可愛いか言ってみよう。
ドジっ娘可愛い。えへへって笑い方が可愛い。何だかんだ言って照れちゃって可愛い。魔法を勘違いしてて可愛い。杖可愛い。」
何か全く別のもの入ったし、彼女じゃないもの褒めてるおっさん。多分わざとである、ニヤけているもの。
憐れゴーレムの死体。迷惑な野球の被害に遭ったがしかし、おっさんは思った。
「ちょいちょい、杖の握り方さ、こうじゃなくて…こうじゃね?こうやって振ったらホームラン打てんじゃね?」
肩ちょんちょんつっついて、当たり前の様に、まるでそこにあったかのように一本のマジカルっぽい黒い杖を握って振って見せれば、
彼女に一本足打法を伝授する。おっさんは錬金術も得意だ。
すぐそこのゴーレムの足に刺さったって事は多分打球は下向きに飛んだのだろうから。
ここを改善すれば恐らくもっといい打法が…と、そもそもこの世界にそんな遊びがあるかどうかは知らないが。
おっさんは異世界の知識も豊富なので知ってた。
「いやまあ究極はそうだけど…肉体強化したら音の速さも越えたり素手で艦砲弾けるけど…。
それどっちかっつーと魔法剣士とかだから。後衛の魔法使いはさあ、もっとこう、ドッカーン!って、ネ?」
おっさんもよく光速を越えた移動とかやってるのでそれはそうだけども魔法って言うのはそうじゃないのだ。
魔法=物理法則を捻じ曲げれる
魔法使い=だから殴るより炎を出す方が強いし早い
精々こんなところではないのだろうか。
因みにかるしうむこうせんに害はない。名前の由来は、どこぞの巨大魔物か何かが同じ様なポーズで使ってたナントカこうせんだが忘れてしまった。
「…ほう。」
彼女の目からビームと己の究極奥義が相殺する様を眺めて、関心気に呟く。
「フハハハハハハ!おじさんもね、実は同じ魔法使えんのよ。シャイニングビームって言うんだけども。
なんと!このシャイニングビームは失明せず魔力が尽きない限り何時でも撃ち続けられるのだ。ちょっとやってみない?」
無駄な魔法はいくらでもあった。
このおっさん、目からビームを出す魔法は割と結構使っている。何の為に?…面白いからだろう。
おっさんの行動原理は「面白いから」「気が向いたから」レベルに低い。エロガキ同然である。
「教えて?!…うん、88ね。聞きました、聞きました。それだけ聞ければ十分でーす♪
成程かーなりの良い胸だと思う…まぁまぁ、そう怒るでないぞよ、アッハッハッハ…。
どれどれ、じゃあ胴とお尻はおじさんが触診して計ってみましょうかね?あ、ドレドレ…?」
すう、と髪の毛の流れに従い流したり、或いは頭の後ろ側や天辺に触れて撫で撫でしつつ。
宥めてしまった彼女にセクハラ紛いを仕掛けんとするおっさん。割といつもの事である。
貴族っぽい上等な服やマント越しに彼女のお腹周りを触診しようと魔の手が伸びた。
■アンリ > 「やめいやめいやめーい! そういうこと言うなっての!」
流石に恥ずかしくなった。んもー! と言いながら顔が真っ赤になって視線をそむける。
いろんなもの褒められながらちょっと違うものまで褒められているのだけれど、そんなこと気がつくわけもない。
……もじもじ。 照れが過ぎて恥ずかしくなった。
「え? ……ぁ、ああ、こう?
足を思いっきり……ふんふん、こうやって上げて。
タイミングを合わせて?」
ぶぉんっ、と杖を触ればシャープな振りが生まれ、今後に期待が持てる。
魔法使いだからこのくらいの会得は簡単なのであった。
魔法使いはなんでもできるのだ。
「………そう、だったのね。
ええ、まあ、そういうこともできるから。 ええ、魔法使いでいいんじゃないかな。」
視線をあからさまに逸らした。自分の魔法使いの認識が間違っていたことについては隠しておこう。
隠す必要も無いくらいにバレている気はするけれど。
「えぇええっ!? 私しか使えないと思ってたんだけど……!?
友達も、貴方しかできません!って凄く尊敬してくれたんだけどなー。
しゃ、シャイニングビーム?」
脳裏に浮かぶ自分の一番の友人かつ仲間である吸血鬼、モニモニ……モニカの顔が浮かぶ。
無事を祈ってくれている間、迷宮で目からビーム合戦してると知ったらどれだけ怒られるだろうか。
瞼が痛くならない目からビームが使えるのなら、この人は本当に只者ではないのかもしれない。
目に魔力を集める仕草をむむむ、っと観察しようとして………
「ぬひゃぁっ!?」
腰辺りからをマントごしに触られて、思わず悲鳴が上がってぴょん、っと離れようとする。
腰は程よく細くて、お尻は少し大きめかもしれない。
マントでお尻は上手く隠されていた。
「やーめーなーさーいーよー! 身体にいきなり触るとかっ!!」
今度は照れとは違う形で顔を赤くして、もじもじとした。
■ハスタ > 「う…うおおう。おじさんビックリしちゃったわあ。めっちゃかわいいっすね。
何かおじさんも若かりし頃を思い出すわあ…ええ…そうなん。こう、女の子って褒められたら照れるんだなあ。
アンリたんは純粋なんだね…。ふぅむ。」
良い身体だけど、それ以前に精神の持ちようが実に可愛い。
あからさまに色づく顔は誤魔化しでもまやかしでもなく本当に照れてるのだろう。
「そーそ、ここでこうやって足をこうすると…。」
僅か5分で一本足打法のレクチャーが終わった。魔法の力って凄い。
彼女のフルスイングが空を切った。音が鳴った。
「ヘイアンリたん。間違いを認めないのはよくありませんぞ。
幾等かわいいっつっても誤魔化せないわそれは…物理使いじゃないか。」
脇腹擽ってナチュラルにセクハラしながら彼女の誤認を指摘する。バレバレであった。
「イエッス、シャイニングビーム。ザッツライッ。
んん、おっけいおっけい。ああいうのは光魔法と火魔法がある程度使えれば本当は誰だってできるんだよ。
一つ目の魔物とか知らない?ああいうヤツとか、ゴーレムの上位種は割と結構使えるんだ。
まぁいいか、実践する前に説明しよう。アンリたん。キミはさっき、ストーンゴーレムを溶かす時に右手に炎を出してたね?
アレ、なんでキミ自身の右手は溶けなかったか分かるかい?」
ここでおっさんの魔法教室が始まった。おっさんは腐っても知性の神である。教えるのは上手い。
おっさんはまるで最初からそこにあったかのように黒縁眼鏡をかけてクイクイする。
取り敢えずまずはやってみせるより説明であった。
「ほう。」
何か凄い声で離れてった。
しかしおっさんは追い縋った。音よりも、光よりも早く。おっさんは0秒で彼女の元へ縋った。
転移魔法である。
基本的に転移魔法には魔法陣や空間を割る動作、何らかの呪文や闇や炎に入ったり出て来たり、
エフェクトがあるのが多いのだがおっさんの転移魔法には一切そういったものがない。
つまり気付いたらおっさんがそこに居る状態である。すこしこわい。
「成程。理想的なボディをしている様だ。」
触った感じからではまだ何とも言えないけど、お尻もそこそこあり、腰回りはほっそりしているようだ。
ただ、残念ながら、実に残念ながらマントがお尻を阻んで触るに留まった。
「アッハッハッハ…すまない。可愛い子には体を触れと古来より言うだろう。んでは、こちらはどうか。」
おっさんは性懲りもなく今度はローブの胸元へと手を伸ばしたのだった。
■アンリ > 「そ、そりゃあね。 普通でしょ、普通。」
ちょっとだけ唇を尖らせながら、純粋、という言葉には少し不満気だ。
まあ、若すぎる魔王だからこそ人間として溶けこむ「普通」の感覚が残っていると言えるだろうか。
だから、杖で殴っても誰も何も言わないのだ。
「………ま、魔法の方が得意なのは本当だし!
ほ、本当の力を見せてないだけだし!」
視線を逸らしながら、本領は魔法であることを譲らない。
理由? 魔王って脳筋の人少ないよね、っていうそれだけなのだけれど。
「………光魔法と火魔法、まあ、使えなくもないからできるのかしら。
……えーっと、私が魔法使いだから? ……もしくは、こう、才能的な?」
ナチュラルに生徒役になってもそれに疑問も抱かないし不満も抱かない。
んぅー? と首を捻って考える。 ダメ生徒臭が半端なかった。
「……うひゃぅわぁっ!?」
飛び跳ねて回避したと思ったら次の瞬間密着されてふにふにされた。
悲鳴が更にあがって、両腕をぶんぶん振り回して逃げ惑う。
「言うかっ!? あったとしてもそんな古来消えてしまうひゃぁああっ!?」
ふにゅん、っと指が胸に食い込んだところで、素っ頓狂な悲鳴を挙げてしゅぅううんっ、とテレポートを使う!
しゅぅううん、っと2mくらい先に現れた。
■ハスタ > 「…普通、かあ。おじさんあんまり普通って言葉は好きじゃ…んんぅ、どうしたの。」
純粋って言われて嫌がる女性っているのだろうか。
顔に感情が出やすい彼女だが不満感を露呈されているのはどうしてか、おっさんは分からなかった。
「ほら出た!何?変身とかするの?こう…第二形態みたいな?
でもアンリたんの第二形態ならちょっと見てみたいかもっ。」
何故かそういう話に発展する話題。奇しくもおっさんは魔王であり魔法使いタイプであった。
しかして、実に残念ながらお互い魔王である事が未だに分からない二人。
「ま、才能に近いんじゃない?ぶっちゃけさあ、手のそのまんまの場所で炎燈ってたら焼けるわ。
魔法を制御しきったら、その魔法は自身に害を及ぼすことがないんだって。ま、アンリたんの魔法概念がおじさんと全く違う可能性もあるけどね。
つまるところ、手から炎を出そうが目から炎を出そうが自身の身体を焼くことはないわけだ。
同じ様にめくらましのキッツい光魔法。これも制御してたら行使者本人には効かないよね?
まぁ制御レベルとかこの辺は術式だ才能だどうのうだ面倒なんで省きます。
で、この光魔法と火魔法のいいとこをマゼコゼしたのが…シャイニングビーム!」
おっさんの両目からビームが飛び出る。ゴーレム右肩だった部分が焼けた。
肝心なところを思いっきり省略した気がするがそういうものである。
「というわけさ。但し失敗したら魔法は尻から出る。」
どやぁぁぁんと効果音が響いた。おっさんも超覇級のドヤ顔をしていた。
実に下品な小学生レベルの発現をしたと思えば…。
「嘘だけどネ☆」
きゃぴるん。という可愛い効果音と共にウインク。
目から黄色く美しくも突いたら壊れそうな儚さのある淡い憐光が飛び出た。
「…あ?御触りとかダメですか?」
こてくりんと小首傾げて当たり前の様な事を聞いた。
僅かに指に残るローブ越しの豊満な胸の感触は…ただただ虚しかった。
おっさんは1歩で2m詰めた。流石大男。しかし、おっさんは魔法使いタイプである。
「ふむむ、しかし可愛いには違いないと思うんだ。そうだね。アンリたんはかっこよくて可愛い!当然のことなのだろう?」
仰々しく両手を広げて、うんうん頷きながら彼女の言った言葉を反芻しつつニヤけて―――
「えいや。」
広げた両手を閉じて彼女を抱き留めんとした。
セクハラオヤジはしつこいのである。
■アンリ > 【続きます】
ご案内:「無名遺跡」からアンリさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からハスタさんが去りました。