2015/11/16 のログ
ご案内:「無名遺跡」にアルバトロスさんが現れました。
アルバトロス > 以前に、古代時代の遺物と思われる武器を入手した遺跡に男はまたやってきていた。
勿論、前に何処から入ったかなど覚えているはずもない。別の入り口かもしれないし、同じかもしれない。
男の目的は一つだった。この武器の核となるものを入手するためだ。

「………。」

既に内部へと足を踏み入れてから暫く経った。
今回は道具を豊富に準備したつもりだが、油断は出来ない。
襲ってくる魔物を剣で斬り伏せながら、男は前進し続ける。

アルバトロス > 魔物を剣で斬り殺す度に、全身を覆う黒い鎧へと魔族の返り血が付着する。
慣れぬ者ならば吐き気を催すほどに強烈な血生臭さに、男は眉一つ動かさない。
慣れと言うものは恐ろしいものだった。

「………む。」

ふと、男が足を止めた。
目の前には二手に分かれた穴…どちらも同じようにぽっかりと暗い口を開けている。
出来るだけ消耗は避けたいと考えている男は、少しその場で考え込み始める

アルバトロス > 「…お伽噺のようなことが起きるとも思えないが。」

男は古代武器を取りだすと、二つの穴の真ん中へと真っ直ぐに突き出した。
元々は一つだったものが何かの弾みで別れたとしても、何かの巡り合わせか一つに戻ろうとする。
そんな話を以前、図書館で読んだ。勿論、都合が良い話だと思うが

「…む………?」

掴んだ藁が奇跡を起こすこともあるようで。
僅かに右の方へと引き寄せられる感覚を手に受けた。男は古代武器を仕舞い、右の穴へと入っていく。

アルバトロス > 右の穴へと入ってから、また暫く経った。既に斬り捨てた魔族の数など覚えてもいない。
何度、返り血を浴びたかも知らない。だが、確実に消耗はしている。
鎧の数か所の装甲が破損して、兜も既に半壊している。

「前にも、同じような場所に出た気がするな。」

以前に古代武器を入手した時と似たような空間に出た。
だが、前と違うのは目の前に鎮座する、巨大なゴーレムの姿があることだった。
余りにも分かりやす過ぎる守護者を前に、男は口元に笑みを浮かべる。

アルバトロス > ゴーレムが男を侵入者と見なし、男は嬉々として剣を振りかざして戦いを挑んでから、その空間には轟音が鳴り響き続けていた。
ゴーレムの巨躯から繰り出される攻撃は、単純単調ながらも一撃で男の命を叩き潰してしまう威力。
壁や地面には、既に無数のクレーターが作られていた。

「―――おぉおおおおおあああああッ!!!」

男の姿も散々なものだった。
ゴーレムの拳がかするだけで装甲が破損する。既に鎧としての機能は7割失われていた。
それでも男は剣を握り、咆哮を上げてゴーレムへと向かい続ける。
だが、それでも分が悪過ぎた。

「ごふ、っ…ぅ、ッ」

剣は折れて、鎧は砕け散り、盾は割れて、男は血を吐いて無様に地面に崩れ落ちていた。

ご案内:「無名遺跡」にアルヴァニアさんが現れました。
アルバトロス > 「………此処で死ぬのも悪くは無いが、な。」

また知りたいことがある。それまでは死ねない。
何も役に立たない古代武器を杖の代わりにして立ち上がる。
せめて、この守護者の守る宝を拝んでからにしよう。
男を頭から叩きつぶすように、ゴーレムの両拳が迫る。

「………ぐ、ぬぅうう!!」

鉛のように重たい体を動かして、ゴーレムの攻撃を掻い潜る。
そのまま、宝があるだろう台座まで駆けて行く。直ぐ後ろにはゴーレムの手が迫っている。
台座の上に乗っていたのは、石だった。手に握った武器の核という確証は無い。
だが、このまま無残に死ぬよりは…遥かに、マシだった。

アルヴァニア > 既に幾度も訪れている遺跡の内部。広がっては縮んで、穴が空いては塞がって。そんな事を繰り返しているまるで生き物の様なその中を悠々と進む女が一人。人の部下を引き連れていたが、些か遠くで聞こえた衝撃音と怒号に制止の言葉も聞かずに置いてきた。
道を辿るのは簡単だった。転がる魔物の死骸を目印にすれば良いのだから。
軈て着いた先に広がるのは、穿たれた過ぎた地面と巨大な石人形が拳を振りかぶる姿。

「あらあ…?」

場に相応しくないだろう気の抜けた声を上げると同時、脚が地面を蹴っていた。
跳躍――距離を詰めた先はゴーレムが振りかぶっている片腕側。
女の身体がゴーレムの巨躯に触れる1m程手前で、前に構えた両手の平にするりと収まるのは何処からか現れた漆黒の大剣。振り上げ、大剣の重さを加えたそれがゴーレムの肩の付け根へと振り下ろされた。
青年に石人形の拳が当たるか、大剣が振り下ろされるのが先かの一瞬。

アルバトロス > 男とゴーレムだけしか居なかった空間に、新たに姿を現した女。
だが、男はその存在と行動に気付いてはいない。頭の中にあるのは、台座の石をこの武器に嵌めたら、どうなるのか。
ただ、それだけの実験のような行動の結果を知るために、台座の石を手に取って武器の窪みに嵌めた。
石はまるで予定していたかのように、ぴったりと嵌る。

「…うぉおおおあああッ!!」

恐らく、女の肩の付け根への剣撃がなければ、この時点で殴り殺されていただろう。
男は振り返り、迫るゴーレムの拳へと武器を振るう。その一撃はゴーレムの拳の一部を破砕し、勢いを殺す。
ゴーレムに生じた僅かな隙。其処を突くように、男がゴーレムの懐へと潜り込み、心臓と同じ位置へと武器を突き立てた。
その瞬間、ゴーレムの動きがピシリと止まり、そのまま力無く仰向けに崩れ落ちる。

「………悪くない、な。」

柄を握り締めたまま男は吐き出すように呟き、やがて女の姿を認識する。

アルヴァニア > 女の身長を優に超す大剣が掲げられ、振り下ろされる。勢いと距離が幾らか足りないからか、肩口からすっぱりと落とし切る事は叶わず、半ば程まで食い込んで止まった。
然し、動きを阻害するには十二分だったらしい。
轟、と吼える声に相手の生死を察して大剣を引き抜きながら石人形の肌を蹴って其処から離れれば、間を空けずに崩れ落ちる巨体を見届け――

「ハァイ。トレジャーハントに水を差しちゃったかしらあ?」

女に気付いたのだろう青年に、空いた左手を持ち上げ、ひらひらと揺らしながら呑気な挨拶をした。

アルバトロス > 「………これが古代の遺物とやらの力か。」

ボロボロに朽ち果てたままの武器が、核となる石を嵌めた時から本当の姿を見せ始める。
僅かな光を反射して青白く輝く刀身は、その峰に幾何学的な回路のようなものが薄らと描かれている。
それは柄まで伸びており、先ほど核となる石を嵌めた窪みへと収束していた。
大きさとしては、男が先ほどまで握っていた剣と同じくらいのものだった。

「………構わない。お前が何をしたのかは知らないが、な。」

男は女の一撃のおかげで助かったことを知らない。
呑気な挨拶をしてくる女へと、普段通りの態度で返答した。

アルヴァニア > 青年の手中に収まる青白い光を放つ刀身をもつ剣に視線が行き、それから再び相手の顔へと戻る。――先程まで、そんな輝きを放っていた物があっただろうか。
脳裏に過らせながらも、放たれる言葉には双眸を弧に緩め、揺らしていた手指を己の顎先へと落として軽い笑い声を逃がした。

「――あらやだ、何もしてないわよお。出遅れちゃったみたいで恥ずかしいわ。」

出遅れた、と肩を竦めながら飄々と言ってのければ握っていた大剣を再び亜空へと戻す。空間が歪みでもするよう、大剣との境界を曖昧にして、掻き消す。1秒足らずのそれ。

アルバトロス > 「…そうか。」

男の言葉に笑みを浮かべる女。その言葉に大して短い返事を返す。
女の表情と仕草を前髪を覆う程に伸びた髪の合間から見据える。既に鎧は無いも同然だ。
手と足の部分だけが辛うじて機能しているだけに過ぎない。

「…お前も宝を求めてやってきた口か?だとすれば、もう此処には無いぞ。」

女の持った大剣が次の瞬間には消え失せていた。その現象に、男は眉を顰める。
恐らくは魔法の類だろうと推測しながらゴーレムの残骸から降り立ち、地面に転がっていた前の剣の鞘を拾い上げて、剣を納めた。
そこまでやってから、女へと質問をした。

アルヴァニア > 満身創痍。そう表現しても問題はないだろう青年の姿。怪我の有無までは判別つけられないが、ボロボロの防具や付着している血液がそう見做させる。どの時点でそこまでの状態になったのかは分からないが、道中の死骸とゴーレムの作るクレーターを見れば納得も行くと言うものだ。
上から下まで、分かりやすい程無遠慮に青年の挙動を眺めていれば掛けられた問い。
当たりだが、外れだ。うふふ、と笑い声を逃がしつつ、

「嫌だわあ…そこにあるじゃない。―――…って、言うのは冗談だけれど。あたしの欲しいお宝はそう言うのじゃあないのよね。」

そこ、と告げる女の視線の先には青年の握る剣がある。数秒と経たずに冗句だと撤回するのだけれど。
再び肩を竦め、軽く頭を左右に揺らして見せながら、徐に青年との距離を詰めようと足を踏み出し。