2021/09/25 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にロイスさんが現れました。
■ロイス > その場所は、開拓期初期を思わせるような、小さな村だった。
自給に必要な僅かな畑と、周囲の木をなんとか工夫して作った小屋があるのみである。
小屋は、山間部の斜面を平らにする為か、床下式住居の様な形になっている。
その中でも、ひときわ大きな小屋から、ミレーではない男が出てきた。
「ああ、緊張したあ……」
男の名はロイス。
冒険者であり、同時に幾つかのミレー族を"保有"する奴隷主でもある。
本来ならば、ミレーの隠れ里には絶対に侵入できない、ミレーの敵のはずだが……男に限っては事情が違った。
彼が結んだ奴隷契約は全て名目上のものであり、実際はほとんど放任の形なのである。
王都で生きる彼らが奴隷狩りに合わない為だけに、先んじて奴隷契約を結んでいる。
謂わば、王都で活動するミレー族の保護者と言っても良い立場だ。
今回は、その辺りの説明をする為にミレー族の隠れ里に赴いたのである。
「(変な誤解をされて、ミレー族との関係が悪くなっても嫌だしね……)」
とはいえ、その辺りは取り敢えず受け入れられて。
今は族長の勧めに従って、適当に里の中を歩いている。
細かい条件を詰めるため、後一日二日ぐらいは滞在してもらう予定であるので、その間に里の人達に顔を覚えてもらえとのことだった。
確かに、これからも折に触れて訪問する事になるだろうので、見慣れぬ人間である自分に慣れてもらう事は重要だろうが……。
「本当になにもないんだよなあ、此処……」
強いてあるものを挙げるなら景色ぐらいのものか。
とはいえ、それも流石に見飽きるだろうと考えると、暇の潰しように少し困るのであった。
■ロイス > それから数十分後。
男は、とある小屋の前で、洗濯板に洗濯物を擦り付けていた。
膝をついて、時折「中々取れないな」などとぼやいている。
どうしてこんな事をしているのかといえば、それはミレー族の女性が、沢山の洗濯物をしているのを見つけたのがキッカケだった。
子沢山の家らしく、子供が五人ぐらいいて、それ故に洗濯物も多くあったという訳で。
流石にこれを放置はできないと思い、男が手伝いを申し出たのである。
「まあ、これも此処の人と末永くやっていくためさ」
と嘯きつつ。
男は、洗濯物に精を出している。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からロイスさんが去りました。