2018/12/03 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレイカさんが現れました。
レイカ > 物見やぐらから里を見下ろしながら、私は冬の空気を感じていた。
まだ温かさが残っている里の中だけど、ここも時期に寒くなる。

だけど、今年の冬は難なく乗り切れるだろう。
食料も、毛布も、そして何よりも暖を取るための薪も十分ある。
1年間準備してきたものもあるし、商会による支援も大きい。
皆、この時期だが何処か、活気があるような表情をしていた。

「…………。」

嬉しい、私は心からそう思う。
ここの里の皆は、以前は本当に絶望しきった、生気など感じないような瞳をしていた。
だけど、今の皆の表情はどうだろうか。

明日は何をしようか、明日は何を食べようか。
そんな希望がありありと浮かんでいる。
それが…本当に私は、嬉しい。

ご案内:「ミレーの隠れ里」にカナムさんが現れました。
カナム > 「ありがとね親方ー。」 

鍛冶屋の親方に手を振り建物を後にする
ここ最近食べて寝て偶に狩りに出るしかしていないせいで時間が有り余っていた
なので趣味と実益をかねて鍛冶屋に鉈の手入れ法を気きに入ったのだが...

「研いだこと無いのに何もする必要ないっておかしくない?」

鉈を手に取り眺める
刃こぼれ一つ無いは刃は親方のお墨付き、よく手入れをしてて偉いなと褒められてしまった
布でゴシゴシ拭くぐらいしかしてないのになぜ...

「もう今日もご飯食べて寝よっかな...あっ。」

鍛冶体験もできず予定もなく歩いていると櫓の上に見知った顔を見つける

何となく見つからないように櫓の元まで近づき梯子ではなく木にしがみついて登っていく
端から見れば猿の真似にも見えるだろう

レイカ > 今日も里は何事もなく、少しだけあくびが出るほど。
いや、あくびを出せるほど平和なのだから、私はそれで構わないと思っている。
騎士団が攻めてくる様子もなく、時折奴隷ギルドがここを襲撃しようと来る程度。

しかし、ここにいる傭兵団がすぐに追い払ってくれる。
ここの里の人間たちも、武器さえあれば戦える、もちろん練度はともかくとして。
だが、あるのとないのとでは全く違うし、何より傭兵団の人たちがみんないい人だ。
戦い方や、武器の使い方をレクチャーしているのを時折見かける。
ここはもう、蹂躙されるだけのミレー族がすんでいる里ではない。
守りも万全、もはやこの里が襲撃されても、私は安心できそうだ。

「………平和ですね…。」

そんなふうに、油断していたのかもしれない。
私は、やぐらに上ってくる彼の気配に、全く気付いていなかった…。

カナム > 「.......」

気配を殺し音を絶つ
森でのサバイバル暮らしには必須のスキルがまさかこんな所で役に立つとは
櫓を登り切ればレイカのすぐ後ろにまで迫り..悪戯の結果にワクワクと期待が高まる

「おねーっちゃん!
何か面白いのみつけた?」

後ろから腰元に抱きつく
一応驚いた際に落ちないように配慮はしている
彼女の体くらいなら軽く支えられるはずだ

レイカ > 「………きゃああっ!?」

思わず、悲鳴を上げてしまった。
私だって女だ、悲鳴を上げれば一応、こういう女らしいところだって出てくる。
腰に元に抱き着いてきたその少年のほうを向いて、鼓動が早くなるのを感じていた。

「か、カナム君…っ!?お、驚かさないでください!?」

本当に驚いた、というよりも油断していた。
ここのところ、襲撃者らしい襲撃者なんてほとんどなかった。
だからだろう、少しだけ平和ボケしていたのかもしれない。

幸い、やぐらの策は私の胸元ほどもある。
落ちないようにちゃんと設計してあるので、落ちるなんてことはなかった。
しかし、この里の長を名乗る私が…不覚である。

「本当に……もう。二度と辞めてくださいね。
次やったら、おやつ抜きにしますから。」

カナム > 「ふっふー。お姉ちゃん油断しすぎだよ。」

ドヤァ...としたり顔である
実力者である彼女の背後を取った、かなり卑怯だったがそれには変わりないのだ
してやったりと満足すればすぐに離れる

「えー...でもこれ訓練にもなるんだよ?
ダメ...?」

二度とやるなと言われれば少ししょんぼりその上おやつ抜きまで言い渡されては不満気である
おやつに出される甘味は貴重な品
あれがなくなるのは里での楽しみが大きく損なわれてしまう

レイカ > 「いつも訓練で気を這っているわけにはいきませんからね。
ただでさえ、この時期はドリアードの力が弱くなるんですから…。」

そう、冬場はドリアードの力が極端にとは言えないが、落ちる時期である。
私の力は精霊の力を借りるもの、やはり季節や空気によって左右されてしまう。
大きな力を使えるものの、天候や季節によって左右されやすいのが、この力の欠点だろう。

少しだけほおを膨らませながら、私は肩をすくめた。
しかし、こんな無邪気なところがあるからこそ、この里の皆とすぐになじめたのだろう。
あきれ顔から苦笑になり、そしてほほえみへと表情を変えながら。

「そういえば、今日は何をしていたんですか?」

この子が里から帰ってきて、しばらく。
退屈だろうということで、狩りをしてくれているメンバーの中に、カナム君を編入させている。
もっとも、この子にしてみればそれでも退屈かもしれないが…。

だが、その借りは今日は不作であったと聞く。
帰ってきてから、カナム君が何をしようとしていたのだろうかと。

カナム > 「ドリアードが...そうなんだ。」

そう聞くとどうしても考えてしまう
冬場に襲撃なんてされたらまずいのではと

「今日はこいつをきちんと手入れしてやろうと思ってさ。
でも親方は今が完璧だから変に触るなって、手入れが上手いなって言われたよ」

腰から下げた鉈を見せる
刃こぼれ一つ無く自身の相棒として持ち歩いてる大鉈
狩りの時もそれ以外でも常に持ち歩いている

「でも僕布で磨くぐらいしかしてないんだよね。
便利だけどやっぱ変だよ、こいつ。」

親方にも里の者にも話していないが目の前の彼女には隠すつもりはない
正直に思ったことを口にする

レイカ > 「でも…こればかりはどうしようもありませんからね。
だからいろいろと策を考えてあります。」

それに、防衛に関しては何も、この里だけで賄っているわけではない。
以前は為した協力者も、防衛に関しては一躍買ってくれている。
それにこの里の最大戦力が、いつもこの里の近くにいてくれている。
そう簡単には、この里は攻められても問題はない。

それに、この季節だからこそ強くなる精霊もいるのだ。
その精霊の力を使えるから心配はない。
そう、カナム君に聞かせて、頭を撫でてあげた。

「……そう、なんですか…?
カナム君、その鉈…ちょっと見せてもらえませんか?」

いつも大事そうに持っている鉈のことを、変な奴だという…。
布で磨く程度のことしかしていないはずなのに、親方…おそらく、ミレー族でクワなどを作ってくれているあの人だろう。
その人が、ちゃんと磨けているという…。

あまり、道具などに識色眼を使ったことはない。
だが、もしもこの鉈が魔剣のような性質を持っているのだとしたら、少しはわかるかもしれない。
少しだけ一呼吸おいてから…私はその鉈を『視』た。

カナム > 「そっか...じゃぁ僕ももうちょっと頑張る。
近くは潰して回ったから少し遠くも見てみるよ。」

大丈夫と言われればそれを受け入れ納得する
自分は自分にできる対策をすればいい
それにいつもの狩りと違って面白くもある野だから一石二鳥だ

「うーん...良いけどちょっと待ってね?」

回れ右してぶつぶつと呟く
耳を澄ませば...

「絶対やるなよ?...絶対だからな?...」

鉈に何かを言い聞かせている様に聞こえるかもしれない
そしてレイカに向き直りはい、と鉈を手渡す
見た目相応の重さの鉈
そして識色眼を通してみれば...ベッタリと鉈を覆うように染み付いた何かを感じるかもしれない

少なくとも鍛冶や付呪で魔力を込めた様な剣とは違う
更に剣からは渋々握られているという意思が伝わるかもしれない

レイカ > 「ええ、お願いします。…ですが、おそらくわかりやすい目印があると思いますが、それ以上は踏み入らないように。」

そこは、支援者たちがこの里を守るために這っている罠が設置してある。
里の皆にはすでに説明をしておいたが、改めて。
カナム君にもその説明をしつつ、私はその鉈を受け取った。

「………っ…。」

一瞬だが、その鉈を握った瞬間に私は怯んだ。
普通、魔剣というものは作られた剣に魔力を込めて用いられることを刺すことが多い。
「魔法の剣」…それを縮めて、『魔剣』と称する。

だが、この鉈は明らかに違う…まるで私に取り付こうかというような、禍々しさを感じる。
識色眼で見られるのは、その種族が発する独特のオーラのようなものを見ることが出来る、私固有の眼だ。
そこから感じる色は…赤色?いや、紫?
ドロドロとした色が見える…それは亡霊にも近いような色だった。

「………ありがとうございます、カナム君。
とても…大事にしている鉈みたいですね、決して手放してはいけませんよ?」

私は、それを言うのがやっとだった…。
おそらくこの鉈をカナム君以外に触れさせてはいけない、そんな予感がする。
彼に鉈を返し、私は背中を伝う冷や汗を感じた。

カナム > 「わかってるさ。それに森の中で罠になんか引っかからないよーだ。」

舐めないでよね。とプクッと頬が膨らむ
シェンヤンでだって生き延びたのに...と過小評価されてると少し拗ねたのだ

「まぁ、僕が目覚めてすぐ隣にあったしね。
多分忘れる前の僕が持ってたんだろうしこれからも大事にするよ。
それに...他の人に渡すと危ないし。」

レイカに変わった様子もなく戻ってきた鉈をよしよしと褒めてやる
他人ならともかく大事な人が触っただけで噛みつくのではと少しヒヤヒヤしていた

「あ、後武器庫の人にこの前の山賊達の装備預けてるからまたお姉ちゃん見といてね?
色々あったからお姉ちゃんに合うのも有るかもだからさ。」

暇をと持て余した際の山賊狩り
その成果について報告しておく
一級品というわけではないがそこそこの量が合ったよと自慢する

レイカ > 「そう……ですね…。」

私ですら、おそらくカナム君が事前に言わなければ噛みつかれていただろう。
殺意、憎悪、そういったものを助長するかのような波動。

私は…それに対しての耐性が非常に低いだろう。
人間や、ミレー族を傷つけるものへの怒りや、殺意。
今でこそこんなふうに、穏やかなふりをしていられるけれども…。
いざ何かあった時に、私はどうなってしまうのか見当もつかない。
特に、この里を傷つけようとするものへは……。

「武器庫にですか……?」

そういえば、最近里の人が酒蔵の裏手に、何か小さい小屋を作っていたような…。
何を作っているのかと聞かなかったが、まさか武器庫だったとは。
道理で目立たない場所に作っていると、苦笑せざるを得ない。

「わかりました、必要なものがあったら持っていきます。
後、使わない武器は必要最低限残して、親方さんに渡しておいてください。
それが終わったら、おやつにしましょう。今日は何にしましょうか…。」

この村で、鉄資源は非常に貴重だ。
何しろ鉱脈があるわけでもないし、鉄の取引は極力控えている。
ここに必要なものは、食糧と医薬品だったから。

だが、その鉄資源がこんな形で手に入るとは。
親方さんに頼んで、桑や農業用の物を作ってもらうことにしよう。

カナム > 「まぁ僕もそのおかげで武器を取られずにすんで助かってるんだ。
だから持ちつ持たれつ?だよね。」

自分にとっては折れないし刃こぼれもしない相棒だ
実際何度もこの鉈のおかげで命拾いしている
これからもそれは変わらない

「そう!武器庫だよ!」

正確に言えばカナムの成果小屋とも言われている
装備を手当たり次第取ってきてここに放り込む
すると里の者が加工したりそのまま持って行ったりする
褒めてもらえるし鍛冶屋の親方はよく使ってくれているのでカナム自身は満足している

「はーい。
おやつ...子供達誘って豪勢なのがいいなぁ。
皆で食べるからおっきい奴とかさ。」

レイカ > 持ちつ持たれつ…どうなんだろうか。
私にはあいにく、あんな武器を持つようなことはなかった。
意志を持っている剣……この目で見るのは初めてだ。

武器の取引は、絶対にしないようにしていた…。
そこから足がつき、反逆の疑いありなどと言われてしまっては元も子もない。
大義名分、そんなもの渡せば騎士団は喜び勇んで、ここに攻めてくるだろう。
それを避ける意味でも。

この里にも、いくつか武器が必要だ。
騎士団に狙われているのもあるし、奴隷商人がこの里の存在を知っている。
だから、どうしても武器が必要になってくるのだ。

「そうですね……じゃあ、蒸し饅頭でも作ってみましょうか。
ちょうど、小麦も肉類もありますし…。」

シェンヤンで、カナム君は食べたことがあるだろう。
この里にも、そういったものを持ってきてくれる人がいる、だからこそそのノウハウを学ぶことが出来た。
それを、里の子供たちで作ってみようかと提案してみる。

カナム > 「饅頭!あれ作れるの?」

シェンヤンで一度食べたきりの饅頭を思い出す
暖かく柔らかいのに中には甘いものや肉々しい物まであり美味しかったなぁ...と思い出す

「作ろう!みんなで作ってたくさん食べよう!」

テンションが上がり意気揚々と頷く
心から楽しみなのが見て取れる

...そして、レイカの顔を見れば小さく笑う

「大丈夫だよお姉ちゃん。
どんな奴らが来ても僕や皆が追い返すからさ。
まだ僕本気だしてないんだよ?
死ぬ気で頑張れば相手が誰だって負けないからさ!」

偶に彼女はこんな顔をする
何かに怯えるような...そんな表情を
いつも笑顔で居てほしいのにとても悲しそうな顔をするときがある
だから自分が元気づけるのだ

レイカ > 材料はたくさんある、肉もあるし小麦粉も、そして調味料も。
すでにこの里には、皆で食べていけるだけの食糧があるのだ。
だからこそ、そういったものもちゃんと作れる。

「…………え?」

不意に、カナム君からそんな言葉をかけられた。
”どんな奴らが来ても追い返す”。その言葉が、とても頼もしい。
頼もしいはずなのに……。

「……そんなに、元気がなさそうに見えますか…?」

私は少しだけ、苦笑しながらそんなふうに聞いた。
本当は、毎日が不安でしょうがない。
いろんなことを考えてしまう、この里を護れなかったら?
この里の裏手にある、私の育った故郷のような焼野原のようになってしまったら。
そんなことを考えて、時折悪夢を見る。

燃え盛る炎、そこで聞こえる阿鼻叫喚の悲鳴。
苦労して建てた防壁が燃えて、崩れ落ちて…私は、何もできず。
そんな夢を見るから、どうしても不安がぬぐえないのだ。
そんな素振り、皆の前で見せるわけにはいかない。そして、この子の前でも見せるわけには…行かない。

「…大丈夫ですよ、カナム君。…さあ、早く材料を運んでしまいましょう。
早く作ればその分、早く食べられますよ。」