2018/09/04 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレイカさんが現れました。
■レイカ > ここのところ、随分と平和な日が続いていた。
魔導兵器なるものが騒いでいるらしい話を耳にしているが、こちらにまでまだ影響はない。
王国軍もどうやら、そちらのほうに手をまわしていて、今はミレー族のことにかまっている暇はなさそうだ。
「このまま、それが続けばいいんですけどね…。」
私は見張り台で、独り言ちていた。
防壁を作ったり、ドリアードの防衛人を敷いたりといろいろと手をまわしているものの。
根本的なところは、やはり一つしかない。
襲撃が来なくて、里の皆が何も心配することなく日常を過ごすこと。
それが、私にとって最も平穏な…平和と呼べる時間の過ごし方だった。
「それにしても…ずいぶんと水の精霊が…。」
今日は一段とウンディーネが楽しく遊んでいる。
空気中で漂っている精霊の声を聴くことで、おおよその天候を予測することは難しくない。
これだけ多くのウンディーネが遊んでいるならば…もうすぐ大雨になるかもしれない。
■レイカ > 「……夏の最後の大雨、ですかね……?」
この雨が通り過ぎたら、一気に気温が下がるかもしれない。
暑い暑いと駄々をこねていた子供たちも、これでおとなしくなるだろう。
それは、私もそうなのだが…。
暑いのは苦手だ、体が汗で気持ち悪くなる。
何より、エルフだからなのか比較的体力が落ちるのが早く感じる。
これでも少しは鍛えているつもりだったのだけれども…やはり人間やミレー族にはかなわないか。
肩をすくめる。もう少し、体力があればと。
願ってもかなわないことなのはわかっているけれども、私の背後にある里を守り切るには、どうしても体力が。
いや、体力だけじゃない……もっともっと、力が欲しい。
ご案内:「ミレーの隠れ里」にムメイさんが現れました。
■ムメイ > 「ったく、どうしてこう俺ぁ……」
ぼやく言葉は最後まで続かずに足を動かす
何のことは無い、今日も今日とて仕事――隊商の護衛をしたのだ
隊商を送ったその帰り、元々悪かった空が更に悪化して遂に降られた
そこまではまだいいが、視界の悪い中足を滑らせた結果としてこの近くに落ちた
「……厄日だろ今日」
一応は魔王の末席に名を連ねているが、大体は純粋に強いからである
こういった時の探知能力は、人間並しかない
それは事実なのだが――
「……っと、やべ」
不意に進んだ先、身体に「引っかかる」ような感覚を覚えた
何者かの結界に触れてしまったと即座に気付き
「どうにか今日は泊めて貰えねぇかなぁ、つーか下手に知ってる奴居るとやべぇけど」
ぼやくような、ではなく実際ぼやきながら進んでいく
本来の姿になれば問題はないが、無意味に事を荒立てる気は無いのだ
どちらにせよ結界に侵入した事は、里に居る者は気付くだろう――その対象が敵なのかどうかは、ともかくとしてだが
■レイカ > 「………っ。」
ドリアードの反応があった、どうやら何かが侵入してきたらしい。
結界というにはいささか物足りないが、ドリアードの防衛に足を踏み入れたならば、まず一つ目の罠が発動する。
その足元から舞い上がり黄色い鱗粉のようなもの…。
足元に咲いている眠り草の花粉が、舞い上がってあたりを包む。
体勢があれば別だが…なければ強烈な眠気を誘うものだ。
この地方には咲いていない花だが…ドリアードの”反則技”でその花畑を作ったのだ。
「………ここをお願いします、侵入者です。」
私は弓を背負って、里の外に飛び出した。
ここに入ってくるならば、迷った人間かそれとも奴隷商人か…。
支援者の団体ならば、眠り草は発動しないはずだから、間違いなく私…いや、この里が知らない人物ということになる。
それが敵かどうかはともかくとして…。
■ムメイ > さて、歩きながら考えを整理しよう
そもそも結界らしい何かがある事から、人目につけたくないものである可能性は高い
と言うより、舞い上がる花粉を見れば一目瞭然だ
「エグいな、こりゃ……確か、眠り草だったか?」
花粉を散らせた花を屈んで見る
眠り草で眠らせたところを仕留める獣がいる、だっただろうか?
こことは違う遠い場所で、酒場で噂として聞いたが
「この辺りに咲いてるっつー話は、聞いた事がねぇなぁ……」
耐性、と言うよりそもそも元々がスケルトンである自分には効果はほぼ無い
不死種とは大体そういうもので、本質的にそうである以上は仕方がない
足を止めて考え込み
「……頼むから、話して判ってくれるといいんだがな」
呟きながら立ち上がると取り敢えず前進する
――狩場に紛れ込んだ形になったか、と内心で舌打ちをひとつ
確かに闘争であれば望む所ではあるが、どうにも隠していたものを暴いてしまったと言うか
有体に言えば、「ばつが悪い」と言う心境である
そんな事を思考しながらも、無造作に歩きながら周囲の気配を探る
狩場だとするならば、そろそろ来るだろう
――この狩場の主が
■レイカ > 「………眠り草が効いていない…?」
…眠りに対する防御を這っているのだろうか、それとももともと眠りが効果のないのだろうか。
どちらにせよ、そのまま歩いてくるということはドリアードの迷宮もおそらく効果はあるまい。
この場所に足を踏み入れたものを迷わせる樹海、ドリアードのテリトリー。
だが、そのまま足を進めれば間違いなく…この里が見えてくるだろう。
太い幹を持つ防壁に囲まれて、強い精霊の力を宿している巨木を備えた、この里に。
迷宮は人間には効果がある、しかし。
ドリアードが”すんなりと通した”ということは、少なくとも敵意があるかどうかはわからないというところか。
念のために、すぐにでも精霊の力を行使できるようにしておこう。
最悪の場合…あれを使うことも視野に入れておかねば。
「……………。迷い人か…それとも何か目的がある物か?
…どちらにせよ、今すぐに立ち去ってもらおう。ここには貴様が望むものは何もない。」
目の前に現れたその人物と、私は対峙した…。
出来ればこのまま立ち去ってもらいたいが…。
■ムメイ > 雨に濡れて雨よけのマントも、今は随分と重い
どうにかしてそろそろ体を休める場所が欲しくはある
死んでても疲れはするのだ、特に迷った時とかは
敵意は全くない、と言うか休む場所を提供してほしい訳だが
真っ直ぐ進んでいた所で出くわしたのは――女だ
掛けられる声に、頷いて
「――察しの通り、迷い人の方だな
道を外れちまうと土地勘なんぞ無いから、結界……みたいなもんに引っかかっちまった事は謝る
ただ……流石にこの雨天だ、一晩休む場所を出来れば提供して欲しい」
そこまで言ってから、彼女を見る
随分と自分を警戒しているようではあるが、と考えて
「……少なくとも、事を構える気は無ぇよ
せめて適当な小屋か廃屋のある場所でいい、教えて貰っていいかい?
その感じからして――エルフだろ、あんた?
同族じゃねぇが、こっちもヒトじゃねぇ身なんでな」
意図しなかったとはいえ、隠し事を暴いた
それが相手にとって大事なものであれば、尚の事気分が悪い
自分にとっては不幸な事に態度からして大事なものがあることは、判る
そういった時に戦っても、面白くはないのだ
「後、何処まで信用して貰えるかは知らんが……口外はしねえよ」
■レイカ > 「…………。…なるほど、確かに人ではないよう…ですね。」
私の瞳、識色眼は相手の種族によって、相手から出る気配の色が違う。
そして相手から噴き出るオーラの色は赤色…それも紅に近い、深紅の赤色。
それを意味するものとは魔族―――それも、ただの魔族じゃない。
魔王とも呼ばれるほどの…強力な相手だった。
私はわずかに笑みをこぼした。
どういうことだろうか、普通ならば信用できないような相手なのに…不思議と、ほっとしてしまった自分がいる。
魔族はうそをつかない、嘘をつく魔族はただの低級なものだ。
ドリアードが通したのも、すんなりと納得できた。
「…こちらへどうぞ、明日の朝までならば…。
このあたりは樹海が広がっていて、小屋どころか廃屋すらもありません。
…ただし、妙なことをしたらすぐに叩き出しますからね。」
魔族ならば、おそらく私たちの敵にはなりえない。
私は、彼を里へと招き入れることにした。
■ムメイ > 何かを感じている――聴いているのか視ているのか、までは判らない
ただ、自分をヒトではないと判断したのは判った
紡がれる言葉にほっとしつつ
「そう言われると助かる。 生きててよかった――いや死んでんだけどな」
ずいぶん昔に、と冗句交じりの言葉で礼を告げながら彼女についていく
これでおおよそ、自分がどんな魔族なのかは彼女も判るだろう
自分なりの誠意だ
ただし変な事と言われれば首を横に振って
「戦うならお互い背負うもんが少ない時にしたいからな
そういう形で戦うなら楽しいが、今みたいに気まずい時に戦ったって面白くもねぇよ」
それは心底そう思っているからこその言葉であり、彼女へ近づくと笑いかける
――ただ、背負うものなく戦うなら心底楽しい事になりそうだなと
そんな思考が過ぎってしまうのは、性質上如何ともし難い
「俺はムメイ、傭兵だが――まぁ、何でも屋みたいなもんだ
一宿世話んなる以上、何か頼み事あったら言ってくれよ」
よろしく頼むわ、と素直に声をかけて案内される事にした
■レイカ > 「人間よりは信頼できますからね…。それに……いえ、これはこっちの話ですか。」
魔族、それも貴族級の魔族に友人がいるなどといっても、これは私個人の話だから彼には関係のない話。
その誠意のおかげでどういう種族なのかは分かった。
私の目では、種族はわかっても細かいところまではわからないのだから。
「…戦うのは好きじゃないんですけど……ね。」
護るために戦うならばまだしも、そうじゃないために…。
ただ、楽しむためだけに戦うのは好きじゃない。
背負うものがある以上…そうできない自分がいるのだ。
それに、私の”本質”を知っているからこそ…できるならば戦いたくないのだ。
「…私はレイカ、この里の長を務めています。
何でも屋…ですか、ならば頼みごとがあるとすれば…この里に関する依頼は、できれば…拒否してもらえれば。」
出来れば、魔王級の魔族となんて…やり合いたくない。
しかも不死属性の物ともなれば…いくら彼らでも勝ち目は薄いはずだ。