2018/08/01 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレイカさんが現れました。
レイカ > 「………。」

木々を飛び移りながら、私は森を駆け抜ける。
ついさっき、すぐに来てほしいとドリアードの連絡網を通じて、里の人から連絡があった。
狩りに出ている人だから、危険はないとは思うものの…その声はどこか、怒りに震えていた。

いやな予感がする…もしかして、同行していた里の誰かが傷つけられたのか。
もしそうなら、すぐにでもその傷つけた人物を探し出したい。
私たちの里に手を出すならば…たとえ誰であっても、必ず見つけ出してやる。

「…………お待たせしました。」

その場にたどり着いた私…その前には、里の人たちがいた。
誰一人かけている様子はない、だけどみんな、どこか怒りを抱いているような顔をしていた。

まあ……無理もないだろう、私もその光景を見ただけですぐにわかった。
また…ミレー族の里が一つ、人間の手によって滅ぼされていた。
まだ炎のにおいと、燻っている個所が何か所かある。そのそばで、ミレー族の家族が泣いていた。
泣き崩れていた…。

レイカ > 「………………。」

何を言えばいいのだろうか、私はそれを必死に考えていた。
こみあげてくる怒り、それを抑えるだけで精一杯である私は、何も言葉が出てこなかった。

これがこの国の姿だということはわかる、しかし…。
だからといって、理不尽に泣かされているミレー族を目の当たりにして、平常でいられるわけがない。
一歩、村に踏み入った私を見る目は、皆何処か生気が抜け落ちているような…。
絶望しきった眼をしていた。

「(過去の私も…きっとこんな目をしていたんでしょうね…。)
…すぐに生き残りを確認してください。いいですか、決して見落としがないように。
草の根一本描き分けてでも、全員見つけてください。」

小柄なミレー族は、本当に見つけにくい。
だからこそ、私は後ろにいる里の皆にそう告げた。
見つけたら……そんなことは決まっている。

「全員……私たちの里で面倒を見ます。
今の私達にはその力があります…だから、全員里に匿います。」

ご案内:「ミレーの隠れ里」にラファルさんが現れました。
ラファル > バサリ、と翼を広げて空を飛んでいる一匹のドラゴン。
 その胴体には、いくつもの大きな木箱が括りつけられていた。
 それでも、空を舞うことに支障はなく何時ものように、風に乗り流れるように飛んでいた。
 空から見れば一目でわかる異常があった、煙が出ているのだ。
 森の火事は周囲の木を巻き込んでおおごとになることが多いし、放置していたら今から行く場所にもきっと被害が出てしまう。
 そうなるとお使いどころではないと、そのドラゴンは判断する。

 ばさり、と翼を翻して高度を落として――――

 そして村を視認すると、知っている顔がある。
 村の入口あたり、少し開けた場所に降りることができそうなので、ドラゴンは風を操りゆっくりと降りることにする。

「しゃぎゃあ。」

 ……本人は普通に喋ったつもりだが人間時と声帯が違いすぎたのでこんな声になった。
 基本ほかのドラゴンはそれで通じるので、失念していたとも言う。

レイカ > 「……すいません、心中お察ししますが…聞かせてもらえませんか?
この里を襲ったのは…いったいどの集団なんですか?」

ミレー族を狙う集団はいくつもある。
奴隷商人の一団が最も有力だが…中には貴族が、”ただのお遊び”でしている場合もある。
その力を持っている集団は、王都にはいくつもあるから…心当たりなんて、腐るほどある。

泣いているミレー族の肩をさすりながら、私はそっと語り掛けた。
以前なら、きっと何も言わずにこのまま去っていただろう。
だけど、今の私たちの里には…それをできるだけの物資も協力もある。
本当は、里を広げるつもりなんかなかったが……。

隠れているミレー族も併せて探しているさなかに、一頭のドラゴンが舞い降りてきた。
この周辺には、ドラゴンが下りてくるところなんて一か所しかない。
そして、ドラゴンがここに興味を持つことなんて…。

「…すいません、ここをお願いします。」

私は、近くにいた里の人に告げてすぐにそのドラゴンを迎えに行った。
……が、その声は何を言っているのか…。

「……ラフェルさん、とりあえず人間の姿になってください。
じゃないと、私はドラゴンの言葉はさすがにわかりませんよ…?」

ご案内:「ミレーの隠れ里」からラファルさんが去りました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」にラファルさんが現れました。
ラファル > やはり、ここはお使いの場所ではなくて、それでもお使いの相手がいるのがわかった。
 彼女は誰かと話をしているようだ、邪魔しては悪いのかもしれない、けれど、声を上げてしまったし。
 彼女はこちらに気がついたらしく、近づいてきた。
 声がわからないと言われてちょっと戸惑った、今は荷物を持っていて、いま元に戻ると荷物どうしようと思った。
 けれど、まあ、いいやと、思う事にする。

 彼女には、同意の首肯を一つして。ブルリ、と身を震わせる。

 3mの巨体はみるみる縮んで140センチぐらいの少女の姿へと変化していく。
 そこには、生まれたままの姿の少女が立っていた。
 金髪で金眼の竜眼を持った少女。荷物の箱は少女の脇に近置いてあった。

「レイカ、何があったの……?」

 守り手である彼女が離れるということはどういうことかは彼女もわかっているだろう。
 それでもこんなふうに出てきているのは、後ろで泣いている彼らが理由なのだとは思うけれど。
 少女は首をかしいで問いかけた。

レイカ > 「………視ての、通りですよ…。」

そう、見ての通りなのだ。
私は里の護り手だ、だがその私が離れるということは何かが起きている証拠。
私の後ろには、焼け残った家屋が数件あるだけの、滅びた里がある。
そこがついさっきまで、人の営みが行われていた場所だった。

「…また一つ、ミレー族の里が滅びました……。
話を聞いていないのでわかりませんが、おそらく奴隷商人の一団でしょう。
”商品”を手に入れるために、またここに来たんでしょうね…。」

いつになっても、絶対に彼らは里を見つけてくる…。
私の里も、今はドリアードの防衛があるから襲われてはいない。
だが、何の守りも持たない彼らは…こうして蹂躙されるのみだった。

私は拳を強く握った。
怒りがこみあげてくる、ただ平穏に暮らしたいだけの彼らが…どうして。
こんなつらい目に合わなければならないのかと。

「本当……なんでほっといてくれないんでしょうね…人間は。」

ラファル > 「………」

 見ての通り、少女は視線を向けて、村の残骸の様子を見る、村が襲われて、絶望しているミレー族がいて、死んでいるのも居て。
 蹂躙された結果がある、力がない故の罪と言うべきであろう状況。

「奴隷商人。」

 付き合いがないとは言わない、トゥルネソル商会の商品にも奴隷は含まれているのだ。
 こういう事をする商人ではないが、それは、珍しくもまっとうな商人というだけであり、金のためにこういうことをするのは珍しくもないだろう。
 じい、と少女は村の惨状を見つめる。

「………。」

 視線を、レイカに戻す。
 彼女の慟哭とも言うような言葉が聞こえ、その表情を見る。
 言葉を放つべきかどうか、悩む。
 人として、言葉を放つのか、ドラゴンとして、言葉を放つのか悩んだから。

「………多分、これが人間の弱肉強食なんだよ。
 自分たち以外は、お金っていうものに変えるための、餌。
 傲慢で、強欲な。

 お母さんと同じ。」

レイカ > トゥネルソル商会も、奴隷を扱っている以上付き合いがないとは絶対に言えないはずだ。
そんな立場であることもわかっているつもりだが…それでも。

「かつて……私はミレー族に育てられたんです…。
みなしごで、物心ついたときにはミレー族が私の家族でした…。
だから……わかってても、許せないものもあるんです。」

自嘲気味に、私は笑う。
彼女の言う、人間の弱肉強食である世界だといわれて…そうじゃないと、私は言えない。
この世界の理だからこそ、こういう悲劇も結局は生まれる。
それをいちいち憂いても、きっと何にも変わらないだろう…。

だから、私は彼らのこの後を、悲劇ではなくそうと思う。

「…この世界の理でも、人の理じゃない…。”今の”私は、そう思います。
ラファルさん…手伝ってくれますか?」

ラファル > 「家族。」

 基本的に、ドラゴンである家族は強い。弱いといえば、リスのお父さんお母さんは、純粋な人間。
 リスお母さん自身も、人間からドラゴンに作り替えられているものの、ドラゴンとしての力は、やはり低いのだろう、本人がドラゴンとしての力を自覚していないのもあるし。
 それを踏まえ、家族を殺されることを、考える。

 ――――――――

「家族を傷つけられるのは、とても嫌だ。
 ガブッて、噛み付きたくなる。」

 子供のような―――――こんな見た目ではあるが、少女はまだ生まれたばかりの子竜だ。
 彼女の悲しみを理解仕切っているわけではないかもしれないが、彼女なりの嫌だを覚える。

「いいよ、ボクでよければ、お手伝いするよ。」

 手伝ってくれと言われた。
 だから、手伝うことを同意した。

 だって、嫌だもん、家族をいじめられるのは。

レイカ > 「……そうですね、傷つけられるのは…とても嫌ですから。」

やっぱり、ドラゴンとはいえ家族は大事なのだろう。
傷つけられる、いじめられるとわかれば…きっとその弱肉強食が、とても嫌なことだとわかってくれるはず。
あの徐は純粋だ、私はそう思っている。

リスさんも、アッシェさんも……きっと、わかっているはずだ。

「…この村の人たちを、私たちの里へ案内します。
人数が増えるので…もしかしたら、物資を送ってもらう回数が増えるかもしれません。」

今まではそんなことは絶対にしなかった。
里の規模をいたずらに拡大することで、見つかりやすくなってしまうことを恐れてというのもある。
だが、実際には食料や物資が不足しているのが、一番の問題だった。

受け入れたくても受け入れられない…そんな毎日だった。
でも、今隣にいる彼女らの支援があるからこそ。
その問題が解決した今だからこそ、里を拡大することが出来るようになったのだ。

「……決めました、私は里を大きくします。
勿論全部を受け入れるつもりはありません…が、私ができる範囲で…やってみようと思うんです。」

ラファル > 多分、ドラゴンとしては甘いのだろう、でも、人間でもあるのだ。
 それに、純粋ドラゴンのアッシェお母さんは、きっと同じように僕たちが傷つけられたら報復に出るだろう。
 ボク達と規模が違うのだろうけど。

「ん、構わないよー。そんな遠くないし、荷物にはまだ余裕があるから。
 リスお母さんに言っておくよ」

 その程度は別に今だって、荷物は軽いと言っていいレベルである。
 その願いに関しては、少女は軽く笑って頷いた。
 食料の供給は問題はない、持っていくのも楽なもんである。
 そして。

「大きくするのはいいと思うけど。
 レイカ、守りはどうするの?
 具体的に、ドライアドの守りを抜けられたあと。」

 少女は問いかける。
 ほかのドラゴンがいるのは聞いているが、軍隊が抜けてきた場合。
 ドラゴンがいない場合、彼女以外に見るべき実力者がいないように思える。
 ミレーの子も、訓練はしているようだけれど、正直普通の人間と同等ぐらいだ。
 軍隊が来たら、ひとたまりもなさそうなので、問いかける。
 逃げる時間を稼ぐと言っても、大きくなれば、大きくなったぶん逃げるのも時間がかかるものだし。
 魔法陣での転送は、一度きりなので、集まるまでの防衛手段という意味でも。

レイカ > 軽く笑ってくれるラファルさんに、軽く頭を下げる。
里の人に、生き残っている人たちを集めてもらい、残った物資をできるだけ集めてもらっていた。
勿論それも、かなり少ないのだろう。

人間たちは容赦がない。
本当に、根こそぎ持って行ってしまうから…人も、命も。
この場所を復興させるとしたら…どれだけの人と労力が必要なのだろうか。

「一応、傭兵団を雇っていますが…それでも軍隊が攻めてきたら、軽くひねられる程度でしょうね…。」

正直に言えば…そこが一番のネックだった。
彼女の母親に設置してもらった魔法陣の力は一度しか使えないし、攻め込まれて占拠された里はもう使えない。
立て直そうにも、すでにそのころには顔が割れているはず。
そうなれば、トゥネルソルには里を切り離してもらうことになるだろう…。

つまり、ドリアードの守りが突破された時点で、防衛を担ってくれている彼女がいないとあの里はどうすることもできない。
いくら私が戦えるといっても、一人で1000人規模の部隊を相手にするのはできない。
うまく精霊を使うにしても限界があるのだ…。

「…………今後の課題ですね…。」

ラファル > 「それも持って行くの?
 なら、ついでに持っていくよ。」

 箱とかあるならそれに詰めてねーと、少女は軽く言う。
 今持っている物資に追加して持てばいいだけだし、と今、必死にかき集めているミレーの人たちに言っておく。

 自分の金のため他の命を些事と考える、人間特有の思考。
 あれも、これも、それも、全部全部、持っていく、そうされないようにするには、強くなるしかない。
 ここにも、弱肉強食のルールが息づくらしい。

「じー。」

 悩んでいる様子のレイカ、少女はそんな様子をじぃっと見つめる。何かを言いたそうに。でも、口にしない。
 ただただ、何かを言いたそうに見つめるだけである。

 防衛戦力とかに関しては、何やら心当たりがあるらしい。
 心当たりというか、確信というか。

レイカ > 「…すいません、助かります。」

持って行ってもらえるならば助かる。
幸い、ここから里はそこまでは慣れていないし、燻っている火をウンディーネに頼み、消しておいてもらおう。

不可解な現象だが…村を囲うようにして雨が降り始める。
ウンディーネを操りながら、私はその視線を感じた。
なんだろう…何か、私に言いたいことがあるような…。

「………!…ええ、防衛に関しては何も思い浮かびません…困りました。
誰か、教えてくれるような人がそばにいてくれればいいんですけど…。」

と、私はとてもわざとらしく彼女に言ってみた。
何か心当たりがあるような、そんな視線を受けていたから…。

だけど、素直に教えてほしいというよりも、彼女の自尊心を刺激してみよう。
知っていることを教えてくれると、褒められるということを知っているラファルさんだからこそ。