2018/07/12 のログ
レイカ > …元気な子だ、と普通ならば思うだろう。
だけどわかる、この子もドラゴン…本当に心強い後ろ盾だった。

しかし思う…この里はよっぽどドラゴンに好かれているみたいだ。
ドリアードの反則技を使って建てた、里のシンボルのユグドラシルがそうさせているのか。
それとも、この地にはドラゴンが寄り付くような空気でもあるのだろうか。

「転移の魔法陣ですか…、そのようなものまで仕掛けられるとは、やはりすごいですね。
では、後日仮設の避難所に案内しますので、設置などはそこで検討するということで。」

一度限りとはいえ、里の皆を即座に避難させられる設備は嬉しい。
王国軍がどういった規模で攻めてくるのかは未知数だが、安定した避難所があるだけでも。
ここは戦えないものが大多数を占めているからこそ。

「…わかりました、それでは今後は、足りない物資はラファルさんへ伝えるようにしますね。」

例のシルバーカードのこともあるが、基本的にはマグメールへ誰かが赴くという形は難しい。
何しろ私は、王都ではあまりいい思い出がないうえに知り合いがいる。
それに…騎士団に私の顔を知られてしまっている以上、うかつに王都に行くのはためらわれる。
買い出しをしてくれている彼女に、その旨を伝えておこう。

ちなみに…ない胸は私も同じなので少し親近感が生まれるのは言うまでもない。

「ああ、その点ならご安心ください。
竜雪さんは以前にもこちらを尋ねられたのですが…この方面にお酒を売る際に、ここに倉庫を構えたいと。
その管理に時折こちらに来られるらしいので、その時に一報を伝えられると思います。」

個人経営まで任されているということは、やはり相当な信頼があるのだろう。
もっとも…さすがに心を読んだりはできなので、そのいたずらには気づけないが。
まあ、仮にばれたとしてもこちらから言い訳をしておこう…。

ラファル > 多分、ドラゴンに好かれるのはレイカ様自身の人徳なのかもしれない。
 まず、アッシェお母さんと友誼を結んだ、彼女がドラゴンの谷の長なのである。
 そして、元人間でアッシェの伴侶がこう言う弱い物に手を貸すのが好きな性質だった。
 そして、娘たちは、そんな両親に育てられ、母の友人に手を貸すのは別に嫌だと思う子はいなくて。
 なので、レイカ様の人徳がひとえに、ドラゴンを呼び集めているのだろうと思われる。

「仕掛けるのは多分、アッシェおかーさんか、竜胆おねーちゃんあたりだとおもうけどねー。
 ん?……あれ?設置場所は最初の避難所のトゥルネソル商会のミレー族の寮……??
 ま、いっか!こっちからの方が早いもんね!」

 手紙で書いたことと違うなーと思ったけど、彼女の言う方が効率的で安全である。
 ならそっちがいっか、言っとくよー!と元気に。

「あい!たまに遊びに来るからその時とかでもねッ!遠慮なくどしどしどうぞ!
 おかーさんたまに危ない目で女の人見てるし。」

 そっちの気が振り切っているお母さん、美人を窓口にしてるとそのうち仕事そっちのけで口説き始めそうで怖いし、なんて、娘はケラケラ笑う。
 これでも見た目よりは力があるしいざとなればドラゴンにチェンジすればいいだけの話だ。
 まーかせて!少女は胸をどんと叩く。

 胸が薄いのに、上半身はベルトだけの格好。
 だから少年と間違われる時が多々あります、気にしませんが。

「しかし、すごいよね。
 ヒキコモリを自称して外に出ないお姉ちゃんがここに来るんだから。
 よっぽど懐いてるんだねー。」

 対人の会話も苦手としている長女。
 それでもここに来たり色々したりするのだから、それだけ心許してるのだろう。
 言い方はともかく、すごく感心してる。

レイカ > 避難所から更なる避難所へ飛ばしてもらう前に、まずはこの里から逃がすことが先決だった。
ならば、こちらが仮説として組んでいる、この里からもう少し奥まったところにある洞穴。
そこに魔法陣を設置してもらう案を思いついた。

ここからマグメール、もしくはダイラスのトゥネルソン商会へ行くにはかなりの時間がかかる。
いくら精霊の力が働いているとはいえ、30人という規模のミレー族を逃がすには時間がかかりすぎる。
かつて、王都から彼らを逃がした際でも、4日という時間を要したのだから。

「そうですか、ならばその二方に提案を持ち掛けてみます。
…ああ、そういえば同性愛者でしたね…。」

…私も少し口説かれそうになった。
おそらくあそこが商談の場でなかったら、口説かれていた可能性もある。
まあ…ああ言う人ならば別に悪い気は……。
と、私は考えそうになってその考えをすぐに捨てた。

「…そう、なんでしょうか……?
私はただ、協力を申請してくれた人たちに報いたいと思っているだけですよ。」

感心されているけれども…私は別に、特別なことをしているつもりはなかった。
ただ、私はこの里を守りたい、そのために協力してくれる人たちがいる。
その人たちが信頼できるから…できることは私も協力したいだけだった。

「……ラファルさん、甘いものはお好きですか?
実はタルトを作ったので…まだ食べることはできませんが、持ち帰って冷やしていただければ、明日のティータイムには食べごろになると思いますよ。」

ラファル > 「うん、ボクの方からも伝えておくから。
 あと……ダメだよ気を許しちゃ。
 リスおかーさん変態さんだから、全力で迫って来るよー?」

 娘は忠告する、彼女は真正の変態である、好みのタイプは全力で口説きに行く。
 まあ、今日来てない理由も、娘が隠れるのが得意というのと、そのへんもあるのだろう。

「うん、だからだと思うよ。」

 姉の思考は自分もよくわからないけれど、アッシェお母さんが好きで認めてる相手。
 立派な考えに、姉も感化されたのであろう、最近侍じみてるし。

「!?!?!?!?
 是非!!!」

 目が輝いた。
 甘いものとか美味しいものとかには目がない子供である。
 ボクいろいろ頑張っちゃうよー!!と即効で餌付けされるタイプであった。

 彼女の案はちゃんと自宅に違わず伝えられるだろう。
 そして、後日魔法陣設置に少女の姉か母か、どちらかが来るはずである。

レイカ > 「アハハ……、肝に銘じておきます。」

しかし、あのアッシェさんが認めた相手なのだから悪い人ではないだろう。
しかし、実の娘に対してここまで言われるとは…どれだけの性癖を持っているのか。
尊敬できる人だとは思うが…許しすぎるのはどうか、なんだろうか。

「では、こちらへどうぞ。
まだ冷やし始めたばかりなので、持ち帰ったらすぐに保存してくださいね。」

私は、ラファルさんを食堂に案内した。
簡素なものだが、一応機能はしている。

その奥の食糧貯蔵庫の、さらに奥。
小さな一室には、肉類などを保存させるために冷たい部屋を用意している。
彼女が、魔法の力を感じ取れるならば、水の精霊があたりを冷やしているのがわかるだろう。

その中から、私は四角い箱を取り出した。
そこには、フルーツをあしらったタルトの作りかけがある。

「トゥネルソル商会のおかげで、久しぶりにお菓子も作れるようになりました。
よければ、ご家族で食べてください。」

ラファル > 「考えても見てよ、女同士で結婚して子供作ってるぐらいだし?」

 まともじゃないよねー。と苦笑いする相手に笑いかける。

「わぁい!わぁい!!やったー!」

 ぴょんぴょんぴょん、嬉しさのあまり飛び回る。
 タルト♫タルト♪と、歌い始める始末。やはり子供なのである。
 ウンディーネだ、と少女は言う。見えても、見えるだけ、シルフィードがいじけるので、ラファルは力を借りることはできないことが分かる。

「あい!、タルト、ありがとう!!!
 じゃあ、今度来るときはお返しにケーキとレシピ持ってくる!
 じゃあ、またね?」

 タルトを渡されて、大事に抱える。
 美味しいものはいっぱい食べたいよね、と。

 少女は用事は全部終わったし、あまり長居してもいけないよね、という。
 思考はもうお菓子であるのは目に見えてるだろうけれど。
 ありがとう、またくるね、とタルトを抱えて少女は。
 それこそ風のようにダッシュで去っていくのでした。

ご案内:「ミレーの隠れ里」からラファルさんが去りました。
レイカ > 実のところ…そんなことはたいして気にはならなかった、
何しろ王都にいたときは、もっとひどいことを何度も見させられたのだから。
今更、女性どうしてどんなことをしていてもさして気にはならない。
それを思えば、子供を作りちゃんと夫婦?をしているあの二人は、むしろ敬意を表するに値すると思う。

「ええ、ぜひお願いします。
里の子供たちも、ケーキが食べられると知ればきっと喜びますから。」

甘いものが好きなのは、どうやらどの種族でも同じらしい。
子供っぽい…とは思うものの、嫌みなことは決してない。
むしろ、これだけ明るければ万事の際でも、きっと子供たちは不自由なく暮らせるだろう。

ここに移ってよかったと…本気で思う。
皆も、もうつらい思いをしなくて済むのだから。

「ええ、道中お気をつけて。」

風のように走り去っていくラファルさんを見送り、私はユグドラシルを見上げていた。
ドリアードの力が今日もしっかりと、この里を守ってくれている…。
心強い味方がたくさんいる…だからむしろ、こう言える。

攻められるなら攻めてみろ、この里は絶対に守り切って見せると…。

「さて、タルトを作り直さないといけませんね…。」

つまみ食いしてないのに、おやつがないと子供たちに怒られる前に。
明日のおやつに間に合わせるために、私は今一度食堂に戻っていった。

ご案内:「ミレーの隠れ里」からレイカさんが去りました。