2018/06/25 のログ
■ヴェルム > 「本当にあの里の外がどうなっても気にしないんだな。
まぁ、それが時代の流れなら…なるようにしかならないか。
少なくとも、君の里はしばらくは安全ってことだ」
彼女の里が今後も平穏となるか、再び不穏な影が落ちるかは、戦争がどのような結果になるか次第ということ。
とりあえず、現状において王国軍の脅威は無くなったとみていいだろう。
彼女らしい答えだった…という印象だが、もし魔族軍が王国へ侵攻したとき、この里も…そして里に関わる人々も戦火に巻き込まれる可能性はあるということを理解しているのか。
「はは、貴族連中は今はミレーどころじゃないな。
我々がいつ攻撃してくるか、たぶん君たちもやもやしてるんじゃないかと思ってさ、はっきりしたことを伝えに来てみたんだ。
…死んだ者にまで鞭打つことはないよ、虚しいだけだから」
貴族からの命令ではなく、師団独自の行動らしい。
ただ第七師団の侵攻に際し、すっかり浮き足立った貴族連中を言いくるめるのであれば、よいタイミングだ。
■レイカ > 「………そうやって油断させる可能性もあるがな…。」
まあ、少なくともここの所王国軍がおとなしかったのは知っている。
その理由が知りたかったところだが…そういうことかと理解した。
魔族に攻め入る口実をずっと探していた第7師団に押し切られたとみるべきか。
それとも、目下の脅威を魔族に置き換えただけか。
「それだけ恨みが深いということさ…。
あの里にいるミレー族はみんな、そういうものを少なからず持っている。」
だから、きっと死んだ人間にまで鞭を打つだろう。
それも、とてもひどい鞭を。
■ヴェルム > 「もちろん、あの里の人々がテロに関与でもしていたら撤回するけどね。
だから…まぁ、気をつけて」
あくまで疑惑の段階であるから、と改めて攻撃しない理由を伝える。
当然ながら、テロに関与すれば話は別だ。
彼女らがテロに関わっていないと確信していたからか、つい気をつけてなんてつまらない言い方をしてしまった。
「だれだって大なり小なり恨みを持ったりしてる…。
…第七師団全滅してくれたらいいのに…なんて心の隅で思ったりもしてるよ」
彼女らがどのような仕打ちを受けてここに着たのか、聞きたところで楽しくなるはずがない。
それで言葉に詰まってしまえば、内心思っていたことを口にしていた。
■レイカ > 「……していないといっただろうが…。」
まだ疑われているらしいが、貴族はミレー族をおもちゃと思っている節がある。
そのおもちゃを取り上げられるならば、それを邪魔するものを消す。
典型的な、自分勝手な人間の集まりだ。
「だったら魔族の側にでもついたらどうだ…?
得意だろ、お前たち人間はそういう裏切り…。」
皮肉を込めて、私はそう言ってやった。
今まで何度も裏切られてきたのだから、もう慣れてしまっている。
必ずどこかで裏切る、誠意のある行動をとらない人間はいつだってそうだ。
「……魔族との戦争ならそっちでやってくれ。
私たちはその戦争に加担することは絶対にしない…。」
■ヴェルム > 「言っとくけど、こっちにとって貴族の腐敗とかミレーの恨みとかどうでもいいんだ。
言いたいことは単純、見逃したこと後悔させないでねってこと」
彼女が貴族をどう思っているかなど、こちらには関係ない。
こちらはあくまで、根拠と証拠と論理で動く…今回は義理で来たが。
王国に暮らしている以上、証拠が出れば王国の法で罰せられるのは当然だ。
問題がなければ、ちょっかい出したりはしない。
「それで死んだ人が帰ってくるならいいかもね。
…第七師団は…あの男は、ティルヒアの兵だけでなく民間人まで虐殺した。
どうせ貴族連中も皆殺しにするとか啖呵を切ったんじゃないか?」
彼女の皮肉を笑って返す…が、目は笑っていなかったかもしれない。
第七師団のあの男について、彼女はずいぶん買っているらしい…恐らく憎む対象が同じだからなのだろう。
だからなんとなく、彼女に言った言葉も想像できた。
「鼻から関わらそうなんて考えてないよ」
■レイカ > 「………それは、どっちに向かって言う言葉かな?」
王国がどう腐っていようと、そして証拠がどうとかは関係ない。
攻めてくるなら私は、王国軍とだって戦うつもりだ。
貴族のいいようにしかならない王国の法律など、私にとっては護る価値すらもない。
こっちは、その王国に裏切られたのだから。
「その貴族はミレー族の文化すらも壊して、今も奴隷としてミレー狩りを行っている。
それと一体、どう違うのかぜひ教えてほしいな…?」
ティルヒア戦争は私も知っている。
ただ、その時にはすでに私は王国騎士団を抜けていたが。
だが、そのティルヒアの文化を使っている王国軍があることも…一応伝えておいてやろうか。
「一つだけ教えておいてやる…。
第7師団は魔族に対する切り札を見つけたんだろう……。
では……その”休戦”が長く続くことを、一応祈っておくよ。」
だから…おそらく負けはしない。
その一言だけを残し、私は踵を返した。
休戦…だろう。私はまだ、この男を信用してはいない。
里に戻りながら、私はずっと…殺気を出したままだった。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からレイカさんが去りました。
■ヴェルム > 「じゃあお互いに、後悔しないよう」
彼女がこちらを信じていないのは仕方がない。
対してこちらは証拠でもって判断する、信じるとかそういう話ではない。
こちらに王国軍の肩書きがある以上は、彼女も決して心を許さないだろう。
「切り札か…それで戦局が覆るほどなのか。
…王国が勝てば、魔族はミレーのようになるんだろうな」
第七師団のあの男がやろうとしているのは、そういうことだ。
魔族を恐れるあまり、殲滅し人間の下に管理しようという野望。
…勝ってはいけないのだ、我々は。
踵を返し里へと帰っていく彼女の背を眺めつつ、ヴェルムはため息をついた。
「どんなに腐った貴族でも、家庭に戻れば気のいい父親だったり愛妻家だったり…そういうのを見るとなぁ…」
彼女にはすでに聞こえていないだろうが、そんな言葉を呟いた。
貴族とミレーに違いなどない、あるのは勝者か敗者かの違いだけだ。
ともあれ、今後は休戦となろう…この戦争の結果しだいだが。
王都まで戻る森の道は、来るときと違い迷い無く出ることができた。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からヴェルムさんが去りました。