2018/06/24 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレイカさんが現れました。
レイカ > 今日は、いつもとは少しだけ違ういでたちの私。
いつも鎧を身にまとっているわけじゃない、こういった服をたまには着る時もある。
それは、とても大事な日にだけ着る、大切な服だった。

里からさらに森の奥に入った場所にある墓地。
ここは…かつて、私が幼少時代を過ごした場所。
いくつもの不格好な石の墓を前に、私は祈りをささげていた。
すでに滅びたミレーの里で、私はかつて夢を追いかけ続けていた。

まだ、私が「レイカリオ・レウリア・バーセル」と名乗っていた時。
今では後悔と、懺悔の象徴でしかない…私が捨てた名前。

「…………。みんな…。」

野原に咲く花をささげて、私は少しだけ笑顔を浮かべた。
以前は、ここに来るとみんなの恨みの声が聞こえるような気がして、とても怖かった。

けど、今は素直に皆と会話ができる。
やっと、里のほうも心配がなくなり始めたから…今日は少しだけ、皆と話しに来た。
歓迎は…なんでだろうか、されている気がする。

ご案内:「ミレーの隠れ里」にヴェルムさんが現れました。
ヴェルム > 今日はいろいろと状況の変化が訪れる日らしい。
今頃は第七師団の長が王都で演説をしている頃合いだろう。
ここにいるということはヴェルムは欠席。
「これから魔族の国に行ってきます」という挨拶のための会議など聞く必要は無い。
一応団員を数名観覧に行かせているが…たぶん大丈夫だろう、たぶん…

「こっちはこっちの問題を…」

今いるところはかのミレーの隠れ里からまだ距離のある森の中。
どうにも、道が変わっているのは気のせいではないのだろう。
なんとなく、周囲の森もざわついている気がする。
恐らくこちらの接近に彼女はすぐ気づき、向かってくるだろうか。
こちらは…たった一人、部下の兵士も兵器も無し、つまり戦闘も無し。
最初に言ったとおり、状況が変わったのだ。

レイカ > 今は、お兄さんと話している途中だった。
私に弓の技術を教えてくれて、とてもやさしくしてくれたお兄さん。
もしかしたら、かつての私の性格を構築してくれたのは、この人だったのかもしれない。

もっとも…、この下に彼らの骨はない。
骨も何もかも…残らず焼き払われてしまった場所だから、ただ墓標を立てたに過ぎない場所。
ここだけは、静かに過ごしたい場所だった…けれど。

「………っ!」

どうやら、そんな時間はなかったらしい…。
ドリアードたちが警告をしてきた、以前のあの男がまた森に入ってきたと。
今は里に近づかせないように、迷路の中で迷わせている。

里に到着するには時間はかかるはずらしいが…また一人だけらしい。
戦闘の意思がある可能性はないとは言い切れないので、すぐに対処する必要があると…。

「………鎧を着ておけばよかった…っ!」

しかも武器もない…精霊の髪飾りだけはつけておいてよかった。
放っておくわけにもいかない…こうなったら弓矢なし、鎧なしでやるしかない。

「ドリアード、里の人に伝えて!
万一の時は代わりにあの笛を吹いて、彼女に連絡をと…!」

私はすぐに…あの男のもとへと向かった。

ヴェルム > こっちだったか?
森の中ということでまったく景色が変わらない。
木々の隙間から覗くことのできる山々の形状や、太陽の位置でかろうじて里には近づいているものの、その足取りは遅い。
もし攻め入る場合であったならば、飛行隊に上空から道案内させていただろう。
あるいは飛行隊に運んでもらうとかか。

ないものねだりしてもしょうがない。

心の中でそう思いながら、そろそろいいかと歩みを止める。
あまり里に近づきすぎるのも、余計な刺激を与えるだけだ。
神経を研ぎ澄まし、近づく者の気配を探れば…ビンゴ。
ヴェルムはその場に立ち、帯刀こそしているが手ぶらのまま彼女を待つ。

レイカ > どうやら、ドリアードの迷宮に迷い込んだらしい…。
ならば好都合、このまま里に近づかせなければそれでいい。

しかし気になる、なぜ一人で来たのか…。
傭兵団の皆に聞いたが、13師団の兵力は買う実に里の兵力を上回っている。
ならば、森を切り開いてくることも視野に入れたが…まさか一人とは。
つまり、一人でもあの里を滅ぼせると…そういうことなんだろうか。

どっちでもいい、ようやく里の皆が、何も恐れることなく過ごせるようになったんだ。
それを邪魔するつもりなら、今度こそ…。

「…………。」

そして私は、その男の前に降り立った。
不意打ちは…おそらくできたかもしれないが、やめておいた。
以前のように殺気を放つが…服装がこれだから、少し雰囲気が違うかもしれない。

ヴェルム > 「…来た…か…?」

近づく気配に、ヴェルムも緊張が走る。
戦闘の意思はないため、鎧ではなく師団の正装。
不意打ちされればひとたまりも無いのだが、まぁ第一印象は大事だ。
ついに目の前へと姿を現すあのエルフ女、その姿を見やれば…ちょっと動揺。
ただならぬ殺気こそ放っているが、爽やかなワンピース姿だ。
ともかく、まずは話をしなければ。

「…久しぶりだね、今日はちょっと話があって来たんだ。
わかっていると思うけど一人でね。
…ただ、すごくタイミングが悪かった…かな?」

彼女の服装を考えれば、もしかして今日は大事な日だったりしたのだろうかと予想を立てる。
以前と違った雰囲気の彼女と同じく、ヴェルムも今日はばつが悪そうだった。

レイカ > 「……二度と来るな、私はそう忠告したはずだが…。」

…わかっている、どうしてもワンピースの姿では緊張感が違う。
今日はお墓参りに時間を費やすつもりだったので、完全に攻めてくることは想定していなかった。

けど、やはり様子が違う。
軍を連れていないし、正装ではあるが鎧姿ではない。
帯刀しているのは別に気にもしない、この場所に来る敵対勢力だ。
丸腰のほうが逆に怪しんでしまう。

「……わかっているならそのまま森の外に立ち去ってくれるか。
今日は大事な日だったのに貴様が来るといわれたからな…。」

別に…邪魔をされたわけじゃない。
けど、あの里を攻める可能性が一番高い勢力がこの森に入ったのだから。
服装がどうであれ、この男には決して警戒心は解かない。

「……降伏命令書なら捨てた。
そもそも、伝言に来た傭兵の男から聞いたはずだ……。」

決して、こちらから白旗をあげることはしない。
戦うしかないならば、私だって覚悟を決めるつもりだ。

ヴェルム > 「まぁ、まずは聞いてよ。
んんっ、えー…我々王国軍第十三師団は、君の管理するミレーの里への干渉を今後一切行わないと、ここに宣言する。
と…つまりそういうこと」

やはり来るタイミングを誤ったようだ。
よりにもよって彼女にとって大事な日とは。
知らなかったのだからしょうがない…は通らないか。
なので文句を述べる彼女の言葉を遮り、まずはこちらが来た目的をさっさと伝えることにした。

干渉しない…つまり攻撃しないし、一切の手出しをしないということだ。
なんとも演説めいた言い方ではあったが、その内容は彼女にとっては信じがたいものだっただろう。
すぐ信用しないであろう彼女の反応は目に見えていたので、続けて根拠を説明する。

「ちょっとね、状況が逼迫してるんだ。
テロ疑惑のために兵力を動かせなくなった…ってのが大雑把な理由だ」

根拠こそ説明するも、具体的なことについては話すべきかどうか悩んでいる様子。
すべては彼女の反応次第といったところか。

「…その伝令はウチじゃない…まずいな…」

星の聖猫派の調査殲滅を任務としている部隊や師団は、なにも十三師団だけではない。
もし十三師団がここの里をスルーすれば、他部隊が攻撃するだけかもしれないと考え込み始めてしまった。

レイカ > 「………は?」

その男から飛び出したのは、とても信じられないような言葉だった。
一瞬あっけにとられたような声を出したが、少しだけ考える。
13師団の師団長が、そんな宣言をするなんてありえない。

どのような舞台化は知らないものの、王国軍を名乗るからには貴族の力は確実に働いている。
その貴族を狙っている星の聖猫派の協力を疑われている里が、そんな簡単に目を離されるわけがない。

「……別にどこの伝令でも構わない…。
それよりも訳を話せ、王国軍が総出で出動しなければならない理由だと…?」

だが、その理由を話してもらうと…私はある疑惑を思い浮かべる。
それは、ここのところ怒りを抱いている精霊たちのことだ。
それがどうつながるのかはわからない…が、なぜかそれが真っ先に浮かんだ。

王国軍に狙われるのはもはや確定している。
13師団だろうが何だろうが、王国軍が攻めてくるならば対処は変わらない。

ヴェルム > いい反応だ…と、からかいたくなる気持ちを抑えつつ、彼女がこちらの話に興味を持ってくれたことに安堵。
問答無用とでも言われればどうしようかと思っていた。
当然だが詳しい説明をしなければ、やはり納得はしないし信じきることもない様子。

「…第七師団が数日後に魔族の国に侵攻する…そこの師団長とは面識があったよね、まぁそれはいいんだ。
対魔族戦線の主力が国外に出るってことで、国内の防衛戦力の一時的な見直しが図られる。
もし第七が侵攻を成功させれば、残りの師団も魔族の国になだれ込むことになる…そして侵攻が失敗すれば…魔族軍は王国を攻め入る大義名分が手に入る…」

第七師団の団長がこの里に訪れたことは知られていた、だがそんなことは大したことではないらしい。
それよりも戦争、砦の取り合いではなく、魔族の国への侵攻が始まると。
もしそうなれば、国内は慌しくなるどころでは済まない。
そして万が一敗戦するとなれば、国内は混沌に陥るかもしれないと。
テロの脅威も存在する以上、疑惑程度で軍を動かす余裕がなくなってしまったのだ。

「元王国騎士なら、何が起こるかくらい想像がつくだろ…レイカリオ卿」

苦笑いともとれる表情で、彼女の本名を口にした。

レイカ > 「……オーギュストか…。」

この里にやってきて、ミレーの伝承を調べに来た人物…。
確かシェンヤンに行ったはずだったが、もう戻ってきたのか。

あの国は、ミレー族はいまだに畏怖されている存在だという。
あれから顔を出していないが、この男からその名前が効けるということは、無事に伝承の話を聞けたのだろうか。

「…………なるほど、魔族の軍勢を相手にするならば王国も、さすがにこちらに手をまわすこともできないか…。
私としては、別に王国がどうなろうと知ったことじゃない。
混沌の波にのまれようと、それが王国の運命…いや、因果応報というやつさ。」

だから、私は別に王国がどうなろうと知ったことじゃない。
私はただ、里とそこに協力してくれている人を守りたい。
ただそれだけの話なのだ、この男がどういう話をしようと知ったことじゃない。

だが……。

「……………。誰のことだ?
私に名前はない、以前そういったはずだが…?」

私の本名…レイカリオ。
この男がそれを知っているとはどういうことかという疑惑はあった。
が、王国騎士ならば調べて場出てくる可能性は確かにある…。
元・王国騎士団第17師団団長、レイカリオ・レウリア・バーセルの名前は。

「…ともかく、その話をして私に協力しろというならかえってこう伝えろ。
貴様らが墓の下に行ったら、嘲笑いに行ってやるとな。」