2018/06/11 のログ
レイカ > 「そうか……それは助かるよ。
私も、過去の私とは決別したと思っているからな…。」

あまり自分が騎士団にいたときのことは思い出したくない。
毎日、地獄のような日々を送ってきたから。

私の理想としていた世界を踏みにじられて、あっけなく壊れていく。
それを感じた瞬間、私は完全に壊れてしまった。
その時のことは、あまり思い出したくはないから…。

「…………、それなら私だ……。
私が今、この里を取り仕切っているものだ…、聞こう。
だが、先に言っておくが…降伏しないのはなぜか、という問いにはありきたりな答えしか返せない。」

だが、彼女は言った……個人的な理由だと。
王都が絡んでいる可能性は高いけれども、個人的な用事もはらんでいるならば。
勿論、このまま帰ってくれるのが一番いいのだけれども…難しい、だろうか。

ミリーディア > 「誰でも忘れたい過去の一つや二つはあるものだからね。
特に新しい道を見付け、その為に必死に生きる様は素晴らしいものだ。
…過去を忘れてはならない儂にとっては羨ましい話だよ」

彼女が師団を抜けた詳細までは流石に理解していない。
そうであった事実を知っているのみだ。
今は何をしているのかは分からない…が、それは次の言葉で理解出来た。

「………なるほど、君が…
なら同じ質問を受けているかもしれないが、儂自身で確認しなければならなくてね。
悪いけど答えて貰おう。
この質問に対する嘘や誤魔化しは通用しない、そう理解してくれ給え」

そこまで彼女へと伝えると一度言葉を止める。

「君が取り仕切っているこの隠れ里は、星の聖猫派と関係しているかね?
主に、協力関係としてのものでだが」

そして、続けて向けた質問と共に彼女へと向けている瞳に薄っすらと魔法陣が浮かび上がった。
それが何なのか理解出来る知識が在るならば、先に伝えた通りに嘘や誤魔化しの効かない看破系のものだと分かるだろう。

レイカ > その新しい道を、王国騎士団によって閉ざされようとしている。
皮肉めいてそう言いかけたけれども、彼女はまだどちらかといえば中立的な立場だ。
ただ、王都への影響力は正直わからない。
嘘か本当かはわからないが、あの容姿であっても旧王都時代から生きているとか何とか…。

エルフではあるが、まだ若輩者の私ではわからない。
だが、今発動しているこの魔法は確実に、嘘ではないことを見分けてくる魔法だ。
私の識色眼に移るオーラの色が、それを物語っている…。
だが、彼女への質問はある種の愚問であった。

「…じゃあ、期待通りに言うことにしようか……。」

わざとらしく、ため息をついた後。

「もちろん、そんなことは一切ない。
事実を隠さず言えば、この里のミレー族はみんな元々は王都の奴隷だった。
それをかくまっているから、全員王都への恨みは少なからずある。
だが…星の聖猫派への協力をしたことは一切ない。
私がここで、皆に与えたいのはただの平穏な暮らしだ…それを理解してもらいたい。」

彼女の魔法に、それはきっと嘘偽りない言葉だと…映るだろう。
だが、彼女も王都の騎士団…それを捻じ曲げられてしまう可能性だってある。
だが…彼女は信じてもいいはずだ…私よりも長く生きている(らしい?)彼女ならば…。

ミリーディア > 彼女の考えを理解出来る様な力は使っていない。
故に自分を如何思っているのかは想像上でしか分からない。
只、話しに聞いた様な強い拒絶感は感じられないか。
矢張り、噂は所詮噂なのだと少女は考えていた。

彼女の仕草から、看破の魔法は理解されただろうと考える。
尤も、彼女の持つ瞳の力を理解した上での言葉なのだから当然の結果とは言えるだろう。
嘘偽り無く伝える言葉に耳を傾け、其れが終われば瞳の魔法陣は消えていった。

「そうか、此処にミレー族の結界がない理由がそれか。
まあ、人間に恨みを持たないミレー族の方が珍しいのではないかね、この国では。
自分らの身勝手で追い遣り僕扱いしておき乍、反乱を起こしたら罰するなんてのは人間の身勝手な考えさ。
尤も、そうなってしまっている時代の流れの上では仕方の無い事かもしれないが…」

言葉を返し乍、同じ様に肩を竦めてみせる。
尤もな意見だ、此処に来るまでに巡った隠れ里のミレー族達も同じ様な気持ちだったのは聞いている。
只、平穏な生活をしていたい、願いとしては本当にささやかなものだろう。

レイカ > 私は別に、話をする分にはそこまで拒絶するつもりはない。
最初から決めつけである行動や、嘘偽りを前面に出した行動。
そして、最初から里へと入ろうとするような無作法な輩が嫌いなだけだ。

そして、短い話の中でも信頼できるかどうか。
私の判断基準はそこだ、敵対する意思があるかないか。
彼女からはそれを感じることはなかった、だからこそ拒絶を全面的に押し出したりはしない。

だが、王国軍にいる人間ならば…やっぱり皮肉の一つも言いたくなる。

「…………そう、かもしれない。
だからこそ、私はできる限りのことをしたいから…ここで長をしている。
だからこそ…それを壊すような真似をするやつは許せない……。」

星の聖猫派に協力している証拠をでっちあげようとする王国の貴族。
王国の騎士でありながら、偽ってこの里を調べようとしたもの。
降伏状を突き付け、恩着せがましくこの里へと入り込もうとしたあの男。
すべて、敵と認識するには状況が十分すぎる。

だが、彼女はうそ偽りなくこちらと会話をしてくれた…。
だからこそ、拒絶はしなかった。

「………無理なお願いを…してもいいだろうか?」

ミリーディア > 長く生きていると、ある程度上に立つ者は同じ様なものだと考える。
必ず何処かからは持ち上げられ、媚び諂われ、そしてある時は拒絶される。
同じ種として存在していてもこうなのだ、他の種、他の立場となれば仕方ないだろう。
だから彼女がどんな反応を示そうとやる事は変えるつもりはなかった。
尤も、今回は流れとしては良い方なので助かったのだが。

「その気持ちに、その者の存在の違いは関係ないだろう。
守るべき相手が居る者は強く、時に脆く弱いものだ。
その気持ちが強さに繋がる一方で、守るべき相手が弱点と成り得る。
…気を付け給え、君にはその傾向が強い」

こういった考えの持ち主は何処にでも居るものだ。
自分の言葉がどう相手に受け取られるかは分からないが、念の為に伝えておいた。
そして、聞きたい答えも聞けたし戻ろうかと考えた矢先、彼女の続く言葉に考えを一旦止める。

「聞く事は出来るが、それが叶うかは内容次第だろうね。
それでも良いならば聞こう」

普段ならば、誰かの頼み事が向けられれば面倒との言葉が先ずは出る。
だが、雰囲気的なものなのだろうか…そう彼女へと答えた。

レイカ > 守るべきものがあるからこそ、時に強く…時に弱い。
わかっているつもりだけれども、改めて言われると…なんだか胸に刺さる。

後ろにいる30人の命を背負っているからこそ。
そして、守りたいと願っているからこそ思う……。
わかっているつもりだ、私の弱点は……致命的すぎると。

「……騎士団に身を置いているならば…難しいかもしれない、けれども。
…どうか、ここの里の平穏を壊さないでほしい…。」

今、この里は彼女が質問した組織の一件で、騎士団に目の敵にされている。
おそらく近いうちに、ここに王国騎士団が攻めてくることになるだろう。

だから…私は彼女の影響力を信じて、願った。
可能性は低いかもしれない、彼女自身の立場すらも危うくしてしまうかもしれない。
けど、私の口はそう動いていた。

「………この里の平和を…平穏を壊さないでくれ…。」

ミリーディア > 彼女の願いを改めて耳にすれば、腕を組み思案する様子を見せる。
確かに以前在っただろう件で、この結界のない隠れ里は話題に挙がっていた。
主に危険視をされている方向で。
だが、それはどれも此方側からの侵入が原因だったと聞いている。
それならば少しは考え様も在るだろうか、そう考えた。

「あくまでも補佐なのだ、正式な団員ではないよ。
あんな立場は面倒なだけだろう?
然し、そうだね…儂の個人的な立場で伝えておいてやろう。
そもそも、此処に来たのは隠れ里に居るミレー族達の疑いを晴らし、第二師団の者を借り出させない為だ。
星の聖猫派と無関係ならば、隠れ里の結界を看破し解いて攻め入る必要は無いからね。
勿論、此処も無関係だと分かったんだし他と同じだ。
……まあ、興味本位で向かう輩は居るかもしれんが、適当に追っ払ってくれ」

元々の目的がそれだったのだ、この報告を終えれば騎士団が動く事は無くなるだろう。
付け加えた様に、それと関係なく入り込むのも居るだろうが、流石に其処までは関与しない。
隠れ里は領域を侵されたから敵対する、その先は自己責任とするつもりだ。

「思いの外に時間が掛かった、さっさと戻って儂は一休みだ。
先が如何なるかは分からないが、君達も頑張り給え」

最後にそれだけを伝え、帰還の為の転移の魔法陣を展開する。

レイカ > 「………ああ、わかっている。
其方の件では、私はいつも通り動くだけだ。」

この里を隠れ里として認知されているのはもはや隠し切れない。
この、結界を張れない隠れ里はおそらく今度、完全に地図上に描かれることになるだろう。

だが、そう簡単にたどり着かせるつもりはない。
ドリアードや、他の精霊たちと協力して…さらに強固な陣を敷く必要がある。
彼女の話を聞いて、そして願いを聞くだけでもしてもらえた。
それだけで、まだ少しは報われる気がする。

「ああ、手間をとらせたな。ゆっくり休んでくれ。」

…騎士団にも話の分かる人はいる。以前の…第七師団騎士団長もそうだった。
まだ、この里から引っ越す必要は…ないのかもしれない。
王都から騎士団が攻めてくる可能性も、まだ残されているが…。

魔法人を展開する彼女を見送ってから、私は里に戻った。
今日は……ゆっくりと休むことにしよう、明日はまた忙しい…。

ご案内:「ミレーの隠れ里」からミリーディアさんが去りました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からレイカさんが去りました。