2018/06/09 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレイカさんが現れました。
レイカ > 里の食堂で、私はみんなを集めていた。
防衛に加担してくれている傭兵団、そして里で若い人たちにも伝えておきたいことがある。

あの日以来、私はずっと険しい顔をしていた。
子供たちには、ちょっと怖いなんて言われたけれども、そんな顔をしたくなる出来事があったから。

『お……王国軍…が?』
『やはり、あの時の王国軍の男がこの里を……!』
『やはり帰すべきじゃなかったんだ、このままこの里で捕らえておくべきだった…!』

皆、口々に言うことはあるが、共通していることがある。
王国軍がこの里を狙っていることを知って、皆危機感をあらわにしていた。
皆だってわかっているんだ、自分たちでは王国軍など、とても太刀打ちできないことを。

防壁もある、いろんなところの助力もある。
だけど、それらを合わせても絶対に王国軍に立ち向かえるだけの力はない。

「…………傭兵団の皆さん、王国騎士団13師団の兵力などはわかりますか?」
『ああ……そこそこはな。…だが、はっきり言ってこの里の兵力を全部集めても勝ち目はねぇ。』

わかり切った答えをしり目に、里の皆さんの焦りの言葉を私は耳にしていた。
ドリアードの力を通じ、森の道を弄ってもらっているけれども、まだ時間はかかる。
迷いやすくなっているとはいえ…やはり精霊の力は闇雲に使うべきじゃない。
負担もそうだが…このあたりのマナバランスが崩れる恐れがあるからだ。

レイカ > 『レイカ様、やはりあの星の聖猫派に協力しましょう!
このままやつらに、この里を滅ぼされるのを黙って待てというのは、いくらレイカ様の言葉どいえども承服はできません!』
『その通りです!滅ぼされるくらいならば、先に我々が手を打って…っ!』

「いけません、それだけは断じて許しません!
自分たちで彼らがこの里に攻め入る口実を与えてどうするんですか!
この里の守りは、精霊の力と傭兵団の皆さんで何とかします!」

私の精霊の力が働いているこの里に来たとしても、まだ切り札がある。
もともと地の利はこっちにあるし、里の守りは絶対に悪くない。

だが、一番怖いのは防壁を打ち破れる何かを持ち出されたとき。
この里には若い人だけじゃない、女の人や子供もいる。
人質に取られたときに、私たちに打つ手はほとんどなくなってしまう。

聖猫派に協力していたミレー族の里は消えた…。
この里にも、その証拠をでっちあげられたときにそうなってしまうだろう。
せっかく作ったみんなの平穏な場所を、そんな形で奪われてたまる物か。

「…大丈夫、絶対にこの里は私が護ります…。護って見せます…!
傭兵団の皆さんは、この里の入り口の守りをお願いします。
しばらくは、周囲の守りはドリアードの力を使います…。」

負担は大きくなるが、致し方ない。
この里が騎士団に目を付けられている今は、体の負担など考えている暇はない。

ご案内:「ミレーの隠れ里」にフォークさんが現れました。
フォーク > 「いや、まったく……厄介な所に陣を構えたもんだ」

男は湿気に耐えながら樹海を歩いていた。
まるで植物が意思でも持っているかのように行く手を阻んでくる。
その度にこちらは迂回して木々や岩を乗り越えて先に進まないといけないのだ。

「方向は間違っていないんだが……」

男は太陽を見上げた。
ミレーの隠れ里から戻った男から、帰り際にみた太陽の位置を聞いている。
同じ時刻にその太陽の位置に向かって進めば必ず隠れ里にたどり着けるはずだ。

「おーい、王国軍からの伝令だぞー。まったくメッセンジャーボーイも楽じゃないぜ」

ボーイというほど若くもないのだが、それでも頑健さと健脚ぶりは衰えていないのである。

レイカ > 攻め入ろうとする若い人は、何とか思いとどまってくれたようだ…。
当然だ、先日滅ぼされてしまった里のことをみんな知っている。
だからこそ、この場所がどうなるかを想像しやすいのだろう。

その一点は、私はとても安心していた…。
出来れば攻め入ることなく、そして攻められることもなく過ごしたい。
戦うことは、本当は私は…。

そんなことを考えていた矢先だった。
櫓で見張りをしていた傭兵の一人が飛んできたのだ。

『レイカ、きやがったぞ。メッセンジャーだとさ!』
「………っ!…思ってたより早い…!
里の皆をこの場所に集めて、守りを固めなさい!
私が対応します、もしもの場合はすぐに裏手から逃げてください!」

…危惧していたけれども、思っていたよりも早かった。
まだドリアードの迷いの森は完成していない、そのすきを突かれた。
私は弓矢と、髪飾りと、そして…できるならば使いたくない、朱色の笛を持ち食堂を出た。

入り口から顔を出し、その大男を見て……私は。

「………………。よりにもよって………貴様か…!」

フォーク > 男はやっとこさ目的地へとたどり着いた。
応対にでた男……おそらく傭兵であろうが、顔には疲弊と緊張が浮かんでいた。

(士気はやや低め。陣地は二区画分くらいか。天然の要衝は驚くほどに硬いが中は脆い)

「生卵……だな」

男は独り言を呟き、肩を揺らして笑う。
待機していたら、建物の入り口から知った顔が出てきた。

「よう、久しぶりだな。相変わらずミレーの味方してんのか」

しばらく顔を合わせていないが、女の美貌はまるで衰えていない。
女の眉間には強い皺が生まれていた。

「今日は伝令として軍から雇われてね。ほれ、受け取りな」

掌サイズの巻物を女に渡そうとする。

「まあ、中身はなんとなく察しはつくがな。降伏しろって内容だ。
 ここを攻めるのはこの上なく面倒くさいからな。それなら先にバンザイして出てこいってことさ」

果たして巻物の内容は、斯くの如しであった。

レイカ > 本当に、よりにもよってこの男とは思わなかった…。
かつてこの男には、何度も何度も邪魔をされてきた。
この里の住人が、あの場所に移動する際にも何度も邪魔を…。

その記憶がよみがえり、私の怒気は最高潮に上る。
できるならばこのまま、この男をこの場所で縊り殺してやりたいと思うくらいに。

だが、今はそんなことをしたらまるで宣戦布告のようにも思われるだろう。
こちらから無用な戦いをするようなつもりはない…。

「………本当に、どこでもしっぽを振るんだな…貴様は。
どんなコネを使ったかは知らないが、随分と出世したじゃないか…。」

皮肉をたっぷりと込めて、私は半眼を向けた。
この男に対する感情はただ一つ、嫌悪だけだ。

巻物を受け取り、私は軽く流し読みする。
なるほど…どうやらそう簡単に彼らは「攻められない」らしい。
それは好都合だ…私は軽く笑みを浮かべていた。

「面倒な場所に拠点を作らないと、簡単に向こうは攻めてくるからな。
むしろ好都合だ、第一攻められるいわれが全くない。」

そう……この里を攻める理由が、彼らにはない。
今世間を賑わせている集団のことでここを調べるのはいいが、証拠などないはずだ。
つまり…。

「私たちに降伏する理由がない。…答えはノーだ。」

ご案内:「ミレーの隠れ里」にグラスシエルさんが現れました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」にグラスシエルさんが現れました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からグラスシエルさんが去りました。
フォーク > 「傭兵ですから」

男はえへん、と胸を張る。
女は昔と変わらず口が達者だ。少しだけ安心する。まだ心は折れていないようだ。

「先日ダイラスのカジノですってんてんになってな。一張羅まで奪われて途方にくれてたら
 同じく素っ裸だった男と意気投合したんだわ。そしたらなんとビックリ、そいつが王国軍のお偉いさんでね
 ……って、んなことはどーでもいいわな」

それが縁で伝令の仕事をもらったのだ。もちろん傭兵なので単発の仕事なのだが。

「ノーか。そうだろうねえ」

返事はもちろんわかっていた。降伏を受け入れるならもっと早くしていたはずだからだ。
なら自分の為すべきことは一つしかない。

「ようし、やるぞう!」

男は太い腕を鳴らしながら、女の横を通り過ぎ、陣地を確認しようとするのだった。

「食糧はどれくらいだ。戦える人数と武器はどれだけある?」

嬉々とした表情で周りの連中に質問するのであった。

レイカ > 「…………本当に…なんであの人とこんなに違うんだろうか…。」

私の知っている傭兵の一人とは、本当に雲泥の差だった。
あの人はもっと誠実で、そして何よりも優しかった。
こんなに粗暴な男とは、本当に似ても似つかない…。

そして何よりも、こんなに図々しくはない。
男が入り口を通ろうとした瞬間に、入り口の門は固く締められていた。
人間一人の力ではどうしようもない、巨木の防壁だ。
火砲でもない限り、これは壊れないし…そして。

「………王国軍に加担してる貴様が、この里に入れると思うのか?」

――――――私は、笛を吹いた。
この男に関しては容赦という言葉はすでに忘却の彼方に追いやった。

聞こえてくるだろう、遠くから響く―――轟音が。

「…一度だけ警告する、今すぐこの場所から消えろ。
さもなくば……焼き殺す。」

フォーク > 「そりゃそうさ。俺はあの人じゃねえからな」

軽く肩をすくめる。
『あの人』が誰のことかはわからないが。一緒にされてはこっちが迷惑だ。

「お前さんがノーと言った時点で俺の仕事は終わったんだよ。もうフリーなの!」

あとはやりたいことをするだけだ。
すると女が口笛を吹いた。遠くで聞き慣れない轟音が鳴る。

「こちらは忠告だ。俺を殺すと三つの不幸が訪れるぞ。
 お前さんにじゃねえ。お前さんの守っているものたちにだ」

男は女に向かって三本指を突きつけた。

「一つ。伝令を殺すは古来より暴君の所業なり。少なくとも俺があんたの部下ならやる気もなくなるぜ
 一つ。俺が死ねば王国軍は躊躇なく奥の手を使うだろう。何しろ相手は伝令を殺す残虐非道な連中だ
 何をしたって心は傷まねえ」

そして最後に一つだ、と。

「一つ。山岳戦のプロフェッショナルを、このまま殺すのは勿体ねえだろ?」

自分のプライドと守るべきものと、どちらを選ぶのかと説いた。

レイカ > 「………つまり貴様は死にたいと、そういうことか…。」

すでに、その轟音は目の前にいる。
防壁を囲むほどに大きく、そしてただの人間では絶対に太刀打ちできない存在。
その巨体を巻き、今にも食い掛ろうとしている…ドラゴンが。

「私は暴君なんて柄じゃないし、何よりも先に喧嘩を吹っかけてきたのは王国軍だ。
そしてなぜ王国が傭兵を雇ったのか…使い捨てだよ、君は。」

傭兵の存在はもともとそういうものだと、教えてもらった。
何しろここを守っているのは、私とドラゴンだけじゃない。
傭兵団の人々もいるのだ、そして常日頃から彼らは言っている。
自分たちは使い捨てられる側の人間、その命が消えるのは日常茶飯事。
つまり、このまま殺したとしても、王国が奥の手を使ってまで動くのは考えにくい。

ただ、一つだけ間違いないのは、彼を殺せばそれが宣戦布告になる。
だからこそ、私は彼女を今…抑えている。

「…山岳戦のプロフェッショナルならすでにいる。
貴様がこの里でできる事なんか何一つない、貴様の戯言に付き合うつもりなんかない。」

今、このミレー族を守っているのは私だけじゃない。
一人と複数、どっちが有利かなんて馬鹿でもわかる。

「…さっさと私たちの前から消えろ!
そして王国軍に伝えておけ、この里に手を出すなら私はいくらでもお前たちに牙をむくと!」

フォーク > ドラゴンが背後にあらわれても、男は眉一つ動かさなかった。
男に敵意はなくとも現状は敵陣なのだ。
命一つで戦場を渡り歩いてきた生粋の傭兵は、戦場では死人に等しい。死人がドラゴンを怖がるわけがない。

「使い捨てなんて当たり前だ。傭兵だからな。でもな、伝令は伝令なんだよ。王国軍に『口実』を与えるつもりか?」

王国軍が一番欲しがっているのは大義名分だ。大義名分があれば人はどれだけでも残酷になれる。

「すでにいるのか。ならもう一人いてもいいだろう。船頭多くして船山に登ると東方の諺があるが、
 山に籠もるか籠もらないかの話ならもってこいの状況だろ?俺にできねえことがそいつにはできる。
 そしてそいつにはできねえことが、俺にはできるんだぞ!」

さらにだ、と男はつけくわえる。

「俺が戻らなければ、軍は斥候を飛ばすだろう。俺の生死を確認するためにな。
 斥候が戻るまでは時間が稼げるってことだぞ。俺が帰れば、すぐに軍は攻撃に入る」

軍はとっくに準備はできているのだ。だからこそ後は攻撃の名目が欲しがっている。
伝令が殺されたともなれば、舌なめずりして采配を振るうことだろう。
ならば男が人質にでもなれば、しばらくの間は時間が稼げるというものだ。
もちろん男の命など軍にとってはちり紙に等しいのでせいぜい数日だろうが。

「お前さんはさっき『攻められるいわれはない』と言ったな。
 兵が動けば、それだけで死人が出るんだよ。理屈じゃないんだ」

軍は動いた。すでにこの近隣では不良軍人による略奪や暴行が起こっている。
すでにいわれはなくとも血は流れたのだ。

レイカ > 「……だから立ち去れといってるんだ。口実を与えるつもりならさっさとやってる。
王国に攻めるなりなんなりしてな。
私たちが欲しいのは血を流す戦争じゃない。」

大義名分、それを与えることになるからこそだ。
彼女にそのまま彼を食わせるのは非常に簡単なことだけど、それをすれば間違いなく。
証拠をでっちあげる事すらして、王国軍はここに攻め入るだろう。

それを防ぐ対策はいくらでもしてある。
森にすむドリアードの力も借りて、私の力も最大限に使って。
このドラゴンだってそうだ、彼女は戦争をするためにここにいてもらっているわけじゃない。
あくまで、この里を守るためにいてもらっているだけだ。

「フフッ……アハハっ!!!
兵が動けば死人が出る?何をそんな当たり前のことを偉そうに言ってるんだ?
まさか、それを私たちの責任なんて言うつもりじゃないだろうな?
…私はこの里を守る、だがほかのところは知ったことじゃない。
私が今欲しいのは、この里の平和であって世の中の平和じゃない。」

私が護れるものなんて、きっとこのちっぽけな防壁の中だけだ。
この近隣で起こってることなんて知ったことじゃない、他のミレー族の里に関してもだ。

だからこの男が何を言っても、私はきっと彼がここにいるのを良しとしないだろう。
それに、王国軍を盾にしているということは…。

「……それに、貴様は墓穴を掘ったな……。
貴様が帰れば、王国軍はすぐにでも動くといったな。
そんなやつを、この里の中に入れるつもりはない……。」

私は、ドラゴンの間を縫って里の入り口をくぐった。
最後に最大限、彼に殺気をぶつけて…。

「…二度とこの場所に近寄るな…。
次に来た時には…食い殺してもらう…。」

その一言だけを残して。

ご案内:「ミレーの隠れ里」からレイカさんが去りました。
フォーク > ドラゴンの牙にかかれば、男の頭部など子どもが砂糖菓子を齧るよりもあっさりと砕けてしまうだろう。
だからどうした、なのだ。
女の心地悪い殺気を全身に浴びる。額から汗が一筋たれた。

「……なあ、ドラちゃんよ。お前の名前は知らねえがどう思う?」

男は取り残されたドラゴンに話しかけるのであった。

「なんか色々と言ってるがな。要はあの女は俺のことが嫌いなんだよ。昔いろいろあってな。
 俺はあんまり気にする性質じゃねえからアイツのしたことは怒ってねえんだが……。
 向こうはどうも怒ってるようだ」

人間関係とは実に難しい。
こちらが水に流しても、向こうにはまだ流れない蟠りがあるのだろう。

男は、里の門に向かって叫ぶ。

「どれだけ死ぬかな。お前の変な意地で、どれだけの犠牲が生まれるかな?
 お前に付き従った連中が可哀想でならねえ!傭兵を使い捨てと考えているのはお前も軍と一緒だぞ!」

男は里に背を向けて、歩き出す。
人質にされるなり、殺されるなりすれば多少の時間は稼げたかもしれないが、女は男をただ見逃した。
男の前に見逃した者の手引きで、軍が動いたのにもかかわらずだ。
戦況が劣勢になれば傭兵の中から裏切り者が出てくる。それを阻止する術はあるのか。
男は複雑な思いを抱えたまま、山を降りていった。

ご案内:「ミレーの隠れ里」からフォークさんが去りました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」にラフェルさんが現れました。
ラフェル > 滅ぼされ、今は誰も居なくなったミレーの隠れ里。
その上空から現れる大きな影、薄っすらとした輝きを纏い姿を現わしたそれは一人の少女だった。
頭の上に浮かぶ輝く輪に背に生えた大きな白い翼、まだ朽ち果てたとまではいかない建物の並ぶ里の真ん中にふわりと舞い降りる。

「新たなる歴史の犠牲者の方々に、せめて逝く先の安らぎを…」

目を閉じて祈るように胸元へと両手を組み、誰に伝えるでもない言葉を紡ぐ。
そして祈りを捧げ始めると共に少女自身を包む薄い輝きが強まる。
それはまるで一つの波紋の様に周囲へと広がれば、一つ、又一つと光の粒子が浮かび上がり始めた。

ご案内:「ミレーの隠れ里」にルシアンさんが現れました。
ルシアン > …さて困った。それが、青年の現在の心境であった。

狩人として森に入ったのが数日前。少々いまいちな結果であったが故、少し足を延ばそうと思ったのが運の尽き。
見事に深い森の奥へ奥へと迷い込み、どうやら地図にも載らないような場所に居るらしい。
それでも、今の緑豊かな時期であれば、飢えて死ぬという事は無いのだけど…。

途方に暮れ、とりあえず今宵の宿でも探そうと歩を進めるうち。
ふと、空の彼方に浮かぶ淡い光が目に入る。
何だ?――そこでそれを追い、足音も気配も消しつつ二近づいて行ったのだけど…。

「…………………っ」

その光の源を見つけたならば、思わず息をのんだ。
それは、まるで…いや、まさに天の御使いの姿以外の何物にも見えなくて。
足音を忍ばせていたのは幸いだった。こんな崇高な祈りの姿を邪魔することなどできないのだから。
魅入られたよう、息をのみながら、木陰から様子を伺う事しかできなくて。

ラフェル > 「天に召します我等が神よ、彼らに一時の救いを…」

浮かぶ粒子は滅ぼされたミレー族達の魂。
言葉の締め括りと共に魂達は緩やかに上空へと舞い上がり、それらが見えなくなるまで少女は祈り続けた。
祈りを終え、一度だけ魂達の消えていった上空を目を開き見上げる。
そしてゆっくりと木陰に隠れている存在へと振り向いた。

「待って欲しいと御伝えするまでもありませんでしたね。
その御心遣い感謝致します」

相手の感情が色彩となって自分に存在を伝えてくれる。
そう伝え乍、深々と頭を下げて。