2018/06/04 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレイカさんが現れました。
レイカ > 月が上がる時間、私は入り口の前にいた。
何人もの屈強な男たちを前にしても、なんら気持ちが焦ることはない。
当然だ、彼らは人間であるが…私の大事な友人なのだから。

「それじゃあ、今月もお願いします。
報酬はいつも通り、皆さんで分け合ってください。
食事はこちらで負担しますので、ご心配なさらず。」

そう、彼らはこの里を守ってくれている傭兵団。
とある伝手で彼らを雇い入れた私は、こうして毎月交代制で、彼らを雇っている。

里の皆も、この傭兵団には寛容的だった。
当然だ、マグメールから抜け出すときに力を貸してくれた人たちだ。
人間に恨みを持っているとしても、恩がある彼らににらみを利かせる人はいない。
ほんの10数名の傭兵だが、私にとっては心強い味方だった、

ご案内:「ミレーの隠れ里」にヴェルムさんが現れました。
ヴェルム > 里に向かう道を、ある一人の男がもくもくと進んでいる。
日差しを防ぐ帽子に、この時期に合わせた動き易く、収納性のある防具。
背中にはリュックを背負っており、一生懸命に歩いている…風。

「この辺だったかなぁ」

普通に見れば、迷い込んだ冒険者にしか見えない男。
だがその正体は王国軍の師団長。
ある根拠を持って、彼は里を目指して歩いていた。
もちろん、そこに集落があるなど知らない風で、まるで何かを探しているかのようにきょろきょろと周りを見渡している冒険者になりきっていた。
あとは向こうからアクションがあるかどうかだが。

レイカ > 傭兵団は散り散りになっていく。
彼らにしてもらっている仕事は、ドリアードの目が届かない開けた草原の護衛だ。
ドリアードには話を通しているし、この「樹海」の効力は受けない。

だが、もちろんいま入り込んだものに関しては、しっかりとドリアードの効力は発動している。
彼女らの会話で、すぐに私の耳にも誰かが来たことは知れた。

「………っ。」

すっと、私は右手を上げる。
門前にいる傭兵団には門を閉め、その奥を守るようにお願いし。
そのまままっすぐ歩いていけば、彼には城壁のようなものを思わせる防壁。
そして、その前にさっきを隠さない、私の姿が見えるはずだ…。

ヴェルム > こういう雰囲気は、戦場でしか感じられないと思っていた。
恐らく集落に近づいている証拠だろう、肌をチクチクと刺すような感覚が拭えない。
かすかだが魔力も感じ取れる、魔導機械さまさまだ。
集落の防衛力は想像以上にしっかりしているらしい、先日攻撃することになった星の聖猫派拠点になっていた集落とは異なる。
結界を感じ取れないことも含めて。
人の気配がいくつか、人ならざる気配もあるか。
…さて、演技の時間だ。

「んん?なんか…そわそわするな…」

肌につく殺気を寒気と勘違いして、腕をさすりながらきょろきょろと周囲を見渡し道を歩く。
そのまま道なりに進んでいけば、木材を用いた完成度の高い防壁。
そして防壁の前に立つ、一人の女性の姿。
この里の防衛隊長か、責任者というところだろうか。
彼女と目が会えば、ぴたりと足を止める。

「あ、えーと…こんばんは…?
あはは、ぼ、僕は…怪しい者じゃないですよっ!」

さも、殺気を向けられ不穏な空気になっていることに今更気づき、慌てて身の潔白を証明しようとしている冒険者を装い、両手を上げて降参のポーズ。
風貌として見れば不審なところは全く無いだろう、それは完璧だ。
あとは雰囲気や振る舞いが彼女らにどう映るかだが。

レイカ > 「……………。」

殺気に慣れていないような様子がうかがえる。
それなのに、この樹海に足を踏み入れるのは、ただの迷い人だろうか。

だが…完璧すぎるのが逆に怪しい。
確かに一見してみれば、ただの迷い人で人畜無害な装いだ。
けど、どうしてもそれが引っかかってしまう。

先日、水の精霊を宿した青年がこの場所を訪ねたことがあった。
その時は冒険者の依頼の時で、ドリアードのネットワークも完ぺきではなかった。
それだから逆に疑ってしまう…この装いに。

「……茶番はいいだろう…、本音で話そうじゃないか。
何をしにここに来た…人間。」

だから私は、あえてそう言ってみた。
私の人を判断する基準はたった一つしかないから。

ヴェルム > さすがにこちらの言葉を真に受けるほどお人よしではないだろう。
結界の無い集落をこれだけの防壁を築いて守ってきたのだろうから。
この程度で警戒を解いていれば、とっくに集落は壊滅している。
それにしても、彼女の佇まいは只者とは思えない。
何かしらの軍事訓練を受けた経験があるのだろうか。
とにかく、警戒を下げなければなるまい。

「よ……良くぞ聞いてくれました!
実は僕、この辺りにヌレヌレセンベイタケという非常に珍しいキノコがあると伺いまして。
こうして歩いてきたわけなんですよ!
貴方!ここに住んでるんでしょ?何でもいいんです、情報を教えていただけませんか!」

もうほんとに、よくぞ聞いてくれた感満載の、身振り手振りを交えた大げさすぎる話しぶり。
この大げさすぎるのが逆にいい。
もちろん、彼の言うキノコなど存在しない。
ガセネタを吹き込まれこんなところへやってきた、一攫千金を狙う間抜けだが情熱的な冒険者。
というていで、目を輝かせて彼女の返事をわくわくしながら待つ。