2018/05/13 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にイナリさんが現れました。
イナリ > ○月×日 雨
あれから数日、ミレー族の皆さんとも理解し合えた事に幸運を
色々とこの地の事を伺うも、いまだに理解し切れない部分は御座います
ですが、今は慣れる事を第一に頑張っていきたい所存
折角この里へと社を建てるに到ったのです、先を見据えませんと
あの駄狐の事は余裕が出来てから考えましょう

ミレーの隠れ里の一つ、その片隅に立てられた造りの異なる建物。
ある地では社と呼ばれるだろう、その建物の中に少女は居た。
人が4・5人入れれば良い程度の広さを持つ空間。
樹の匂いに包まれたその場所で、ことり、と筆を置く。
ゆっくりと立ち上がり、両開きの扉を開き、そこから見える空を眺めた。

「…夜通しで降りそうですわね。念の為、周囲の確認でも致しましょうか」

社の壁に立て掛けた傘を手に、ばさりと広げ、社を後に里の周辺へと歩んで行く。
雨に降られ、ぬかるむ地面に危険そうな場所は無いか。それを確かめる為に。

イナリ > さすがに、この時間帯となると、外出をしている者も少ない。
点々と見える建物から漏れる灯りを見遣りながら、少女は里の外周を歩き続けた。

「それにしても…何度聞かされても、複雑な気分ですわね。
人々を守ってきた私が、今は逆に人々からこの里の方達を守る立場になりますとは…」

何でも、この里や付近で生きるミレー族と言う存在は、人間にとって奴隷との認識とか。
地が違えば考え方も違う、しかし、こうも違うと受け入れるのになかなか時間が掛かった。
幸か不幸か、この里に世話になってから、人間がこの里に来る事はまだ無い。
果たして、本当にそうであるのか、思い込みであるのか。
色々と思う事はあるが…今は、深く考えないでおこう。

いずれ、話しに聞いた他のミレーの隠れ里にも赴きたいところ。
上手くすれば、その地にも社を建てさせて貰い、少しは信仰の足しに…そう上手くいくと思うのも何なのだが。

ご案内:「ミレーの隠れ里」にエイブラさんが現れました。
エイブラ > 「ふーむ、裏の方に聞いた話ですと、この辺り
にいらっしゃると聞いたのですが…いや、なかなか見つからない
ものですね…」

(雨の中、傘も差さずに九頭竜山脈の奥地をのんびり歩く執事
服姿の男。街に住むミレー族と山に住むミレー族、どういった
差異があるのだろうかと、見比べてみたく裏の人間に金を支払
い生息地帯を教えて貰い尋ねてきていて)

「結界を張っているのでしたか…余りそちらの才能がないです
からね、手当り次第にこの辺りを破壊していたら出てきそうで
すが、それでは観察になりませんし…どうしたものでしょう
か。ん?今、何か足音と声が聞こえたような…?」

(雨は元々水生生物であった自分にとっては心地よいくらいの
もので、執事服と革靴も今回は自分の体表をそう見えるように
擬態させており…街中では絶対に出来ない、実質全裸状態であ
るがこの山中なら誰も見ていないし大丈夫だろうと。そして微
かに足音と声が聞こえた気がすれば、そちらへと近づいていく)

イナリ > 結界の話は聞いている、何でも外からの侵入者を惑わす為のものとか。
だが、それでも、それを抜けて来る者が居ない訳ではない。
そういった者達を追い返す為、その見回りでもある。
そして…

ぴくん、耳が揺れる。
里の周囲に現れた存在、それが立てる音を捉えたのだ。
里の者達に認められ、自分は結界を出入りできる。
それが出来ないからこそ、捉えた存在は入ってこない。
初遭遇ですか…そう思いながら、その場所へと向かう。

「不躾ながら失礼致します。
あなた様は、ミレー族の御方では御座いませんね?」

お互いに見えない位置、しかし、お互いの声は聞こえる位置。
その位置取りをすれば、そちらへと向かい声を掛ける。
もっとも、もう少し歩みを進めれば、身を隠す木々の間からでもお互いの姿を少しは確認出来るだろう。

エイブラ > 「こちらに近づいていらっしゃるみたいですね。
ミレー族の方でしょうか…もう少し気配に関して敏感になる
訓練をするべきでしたね…水中なら得意なのですが」

(流石に水があるとはいえ足元の水から気配を辿る、というのは
難しいことで。意識を集中すれば出来るかも知れないもののこ
ちらへと近づいてくれているらしいので、こちらからも近づき
つつ、どこにいるだろうかと視線を巡らせて)

「おっと…いえ、こちらこそ貴女方の領域内を買ってにうろうろ
して申し訳ありません。確かに私はミレー族ではありませんが
そういう貴女ももしかしたらミレー族ではないのではないです
か?もしかして、噂に聞くミレー族を保護されている方々で
しょうか…私は別に彼らに危害を加える気はないのですが」

(自分達のことを自分でミレー族というだろうか、と思って相
手もミレー族ではないだろうと尋ね。守護者的な立ち位置にい
る組織の方かと思い、危害を加えるつもりはないと両手を広げ
て声のする方を振り返り、そちらへと近づいていこうとする)

イナリ > 掛ける声に応えたのは、男の声。
己の問いを肯定し、逆に問う言葉に軽く考える。
ミレー族を保護する者達、そう言った話はまだ聞いた事はない。
少なくとも、己が舞い降りたこの里には居なかった。
情報が足らないだけで、そう言った存在も居るのだろうか?
…それも考えたが、今の己の立場から出す答えは…

「申し訳ありませんが、その問いに応える義務は御座いません。
この言葉を聞き、あなた様がどう想像するかは勝手ですが…
私から御伝えする事は、ただ一つ。
悪戯に、この地に足を踏み入れないで頂きたく思います。

何を望んでいるのかは分かりません。
ですが、話し合う為にいらっしゃったのでしたら、日と時刻を改めるよう御願いします。
こんな天候の、こんな時刻です、怪しまれるのは当然でしょう?」

己を含めた情報を伝えるのは、今はすべきでない、との判断。
ゆえに、突き放すような言葉を返す。
一度ミレー族の者達に伝え、判断を仰がねばならない。
自分勝手な判断は控えなければならないのだ。

「…出来れば、そこで足を止めて頂けると助かります。
でなければ…力尽くでも追い返す事も止む無し、で御座いますので」

と、そうは伝えるのだが…
距離が縮まった時点で、僅かながらにも、木々の隙間から僅かに服装や、傘を手にしている、その程度は確認出来る。

エイブラ > 「確かに義務はないでしょうけれど…別段、敵対
する気も危害を加えるつもりもないのですが。それに姿も見せ
ずに一方的にあれをしろこれをしろ、と言うのも少々失礼なの
ではないでしょうか?せめて姿を見せて頂くぐらいはして欲し
いものですが」

(相手からの脚を踏み入れないで欲しい、改めて出直すように
と言う声に、確かにこの時間のこの天気。妖しさは満載だろう
と納得はするも、姿も見せようとしない相手にそれで言うこと
を聞くようにと言われても、と)

「力尽くとは穏やかではないですね…こちらは話し合いの意志を
見せているのに、そちらは暴力に訴える、ということですか?
それは少々野蛮ですね…おや、その服装と傘は…シェンヤンのも
のと似てますが少し違いますね…和服、着物、というのとも少し
違うような…?」

(ちらりと見える服装、そして傘。見覚えのある服に似ている
ものの意匠の違うそれに首を傾げて。知り合いが着ているもの
に似ていて違うな、と)

イナリ > 「安全を重視すればこその、当然の手法と考えます。
姿を見せた時点で、その危険性は大きなものでしょう。
不躾なのは理解しておりますが、その点、御理解願います。
そこまでの警戒をしなければならない、そんな存在なのだと…」

男の言い分は、己としても十分理解している。
それを伝えつつも、ミレーの隠れ里の状況の理解を求めて。

「えぇ、決して穏やかではありませんね。
ですが、こちらは力の無い、か弱い者達の集まりです。
手の平を返される可能性を考えれば、そこまで考えるべきでしょう。
深読みをし過ぎでは、との問いは受け付けられませんよ?
それは、先程も伝えた通り、頃合を見誤っているのですから」

…と、そこまでは事務的な対応の言葉を紡ぐ。
だが、続く言葉に、僅かに言葉が止まった。

「………考えるのは後に、今は御帰り頂けますよね?
ここは、ミレー族の方達が静かに生活を送っておられる場所ですから…
あなた様の事は御伝えしておきますので、これ以上、私を困らせないで頂けると非常に助かります」

見えてしまったならば、致し方ない。
己がミレー族ではないとの立場を認めるような言葉に変えながらも、続けて相手へと引く様に求めて。

エイブラ > 「…確かに、ミレー族の方々は狙われやすく
奴隷にされやすいですからね、か弱い存在なのだということは
分かりますが…ふむ、確かにそう言われれば仕方ないですね。
慎重にも慎重を期さないと守りきれない、そういう方々でしょ
うし」

(相手、声の感じからすると女性であろう。その言葉に街での
ミレー族、一部、奴隷として扱われていることを想像すればこ
ちらの手の内が分からない以上はそうなっても仕方ないのだろ
うと頷いて)

「随分とミレー族の方々を大事に思ってらっしゃるんですね。
同族、という訳ではないでしょうけれど…まぁ、乱して普段の
生活風景を見れなくなるのは不本意ですし、敵対するより仲良
くなって見学させて頂いた方がいいですからね。今日は退きま
しょう?ああ、二つだけお願いを聞いていただけますか?
私はエイブラと申しますが…貴女のお名前を教えて頂きたいので
す。それと、お顔を見せてはいただけませんか?こちらだけ一
方的に見られてるのではフェアではないですし、これぐらいは
良いでしょう?次に貴女を見かけたときに、声も掛けやすくな
りますし…この二つを聞いて頂ければすぐに帰りましょう。
それから、こちらの近くにあるであろう集落に手を出そうと
している不埒ものを見かけたら成敗しておきますよ」

(今日の所は退くことにして、その代わりに二つほどお願い。
聞いて貰えるかどうだろうかとは思うものの、取りあえず頼む
だけは頼んでみる)

イナリ > 「御理解頂き感謝致します」

男の言葉に応えながらも、律儀に頭を下げたのだろう。
僅かに覗く隙間から、それらしい動きが見て取れた。

「私もまた、ミレー族の方達を必要としておりますので…
申し訳ありませんが、名乗るだけにして頂きたく。
実のところ、私の方からはあなた様の姿は見えておりません。
ですので、平等かどうかを問われると、私の方が不利ですよ?
ちなみに、私の名はイナリと申します」

相手からは、社を建てる為の土地と許可、そして信仰を。
己からは、その代わりに天災等からこの地を守る事を。
それ以外も色々とあるのだが、細かく説明すると長くなるので省いておいた。
そして、男が出した条件に関しては、片方だけを受ける形に。
伝えた通り、身丈的な問題なのか、木々に隠れて今だこちらから相手が見えないのだ。
次の機会…あるのならば、声は覚えたから大丈夫だろう。
少女には、その辺りの誤魔化し等は一切通用しないのだから。

「…そちらの件につきましては、私からは何とも…
一応は、同じく伝えておきましょう」

まぁ、多分、ミレー族の者達からすれば助かるのだろう、そう思う。
なのだが、それに関しても確信が持てる訳でもないのが辛いところか。

「では、私はそろそろ戻ると致しますね」

と、そう締め括り、くるりと元来た道へと振り返る。
そのまま、何事もなく終わるのならば、少女は去って行くだろう。

エイブラ > 「いえいえ、こちらこそ長々とお引止めしてしまい
申し訳ありませ…ん」

(頭を下げたらしい相手、ちらりと見えたその頭に二つの見覚
えのある形の耳が見えて、一瞬だけ言葉に詰まり。それでも
言い切れば相手が名乗ったことに頷いて)

「おや、こちらは見えてなかったのですか…それは失礼をいたし
ました。稲荷…イナリ様、ですね。ありがとうございます」

(相手の発音、そして自分の知る発音とその名前の意味。
もしかしたら、という思いがだんだんと確信に変わっていき
意外と危ない橋を自分がわたっていたことに気付く)

「まぁ、警戒して警戒して慎重にも慎重を期してそれでもまだ
足りないくらいですからね、ミレーの方々は。私も無理はいい
ませんので話に少し出すくらいでいいですよ。ええ、それでは
お引止めして申し訳ありませんでした。私もこれにて失礼いた
します…」

(相手から見えていないとは思うものの一礼をし、足音が遠ざか
っていくのを聞いて完全に聞こえなくなってから一つ、大き
な息を吐く)

「稲荷、いえ、イナリさんですか…おそらくタマモの言ってい
た方、なんでしょうね…やれやれ、藪をつついて蛇を…この場合
は天狐を出す、にならなくて良かったです…」

(この辺りで見かけた、ということを良く知る少女に伝えた
ものかどうか、そう考えながらその場から撤退することにし
て。途中で出会ったミレー専門の人攫い集団をきっちり壊滅
してから、いずこともなく帰っていく)

ご案内:「ミレーの隠れ里」からエイブラさんが去りました。
イナリ > ○月×日 雨
追記
ミレー族の方達以外と初めての出会い
ですが、私はこの地を守らなければならないので仕方なく引いて貰う形に
話し合いを求めていましたが、それが叶う事を願っておきましょう

「ふぅ…あれで良かったのか、考えさせられますわね。
ミレー族ではなかった、ですが、人間でもなかった…一体何だったのでしょうか…?」

社へと戻った後、再び筆を取り、書き足す。
そんな疑問を呟きながら、布団に入り今日を終えるのであった。

ご案内:「ミレーの隠れ里」からイナリさんが去りました。