2018/03/21 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレナーテさんが現れました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
チェシャ=ベルベット > 何が悪かったのか、みるみるうちに涙目になるレナーテの表情にらしくもなく動揺する。
バツが悪そうにそっぽを向いて、つま先の地面を軽く蹴りつけた。

「……大げさだな。あんたと僕はそんな深い仲でもないのに。
 仮に良かったとしても、それぞれの目的が違ったら対立することだってあるはずだし……」

ぶちぶちとつまらなさそうに言葉を紡ぎ、レナーテの顔からしいて視線を逸らし続ける。
参ったようにため息を吐いて、レナーテの言うことを黙って聞いているが
組んだ腕や尻尾の先が不用意にいらいらと動いているため、不機嫌そうなのは相手に筒抜けだろう。

「そうだよ、覚悟なんて誰でもあるわけじゃない。そんな準備期間すらないことだってままある。
 でもそこであえて覚悟を決めないと、どうしようもないだろ。
 付け焼き刃の戦闘訓練なんて、無意味だよ。本当に守りたいなら、失いたくないなら
 何かを切り捨てなきゃならないときだってある」

遠くで銃剣術を訓練するミレー族の若者を見るレナーテの目は優しい。
しかしチェシャが見る分には、あれでは前線に出たところで足手まといにしかならないと思った。
武器を手にとった勇気だけは確かに評価してもいいが、
守るというのならまずはじめに自分の身の安全からと言いたかった。

――結局、どっちにしろチェシャはここでは部外者であるし、
ここのリーダー格としてのレナーテが彼らの意志を尊重するというのなら何も言うことはない。
何度めかの深い溜め息を吐いて、話を進める。

「それで、結界は直せそうにないの?」

彼女たちチェーンブレイカーがここにずっと滞在することはないだろうとは思っていたが
結界は直せるかわからない、というと案外彼女らの中にはそれらしい魔術師はいないのかも知れない。
とするともしかしたらチェシャならもう少し詳しく見れるかも知れないが、それを彼女が許すだろうか。

レナーテ > 「……っ、私は……チェシャさんのこと、友達以上の人だと……思ってますよ? だから、対立なんてしたくないです」

深い仲ではない、その言葉がぐさりと胸のやわい部分に突き刺さっていく。
ぴくりと身体を震わせ、奥底から沸き立つ痛みを押さえ込みつつ、瞳を逸らす彼を見つめた。
時間は短いかも知れないが、肌を重ねて、自分の情けないところも笑ってくれた彼が、遠い存在だとは思っていない。
距離感の違い、それが重ならない視線に焼けるような痛みに代わって、徐々に俯いていく。

「それは……そうかもしれないですけど、切り捨てなきゃいけないというのは、本人達が一番わかっていたことだと…思いますよ」

守るべく剣を手にした彼等を称える自分とは違い、彼の言葉は冷徹さすら感じるほど現実的だった。
言葉に困りながら、戸惑うように答えるものの、忠告はしている。
それでもここを離れるわけにはいかないと答え、守ることを選んだ彼等の覚悟を無下にも出来ない。
苛立ちに揺れるしっぽや、それ以上に追求しない彼の溜息は、落胆のようにも感じ、不安げに彼を濡れた瞳のまま見上げた。

「……私達では無理です。組合長さんなら、直せるかも…ですけど、多忙ですから」

問いかける言葉に唇が僅かに震え、答えるべきか迷いが生じる。
しかし、彼がちゃんと答えてくれたのも、苛立ちながらも忠告するのも良心なのだろうと思えば、ゆっくりと現状を答えていく。
先程の言葉通りなら、彼には直し方が分かるやも知れないと思うと、軽くあたりを見渡し、他人の視線が向けられていないのを確かめる。

「こっちへ……」

そう告げると背中を向け、結界の祠がある村の北側へと歩いていく。
たどり着けば、そこには苔の生えた木製の社のようなものが鎮座している。
小屋ほどの大きさがある祠の扉を開けば、石碑のようなものが祀られ、古い魔術の式が刻まれているものの、経年劣化で薄れて消えている部分もある。
彼には何がマズイか分かるのだろうかと、確かめるように金色の瞳が再び彼へ合わさっていく。

チェシャ=ベルベット > ぎくりとレナーテの肩が揺らいだのを見て、また自分が傷つけてしまったことを悟り
余計に苛ついてしまう。
もっとうまく言葉をかけてやったり、優しくしてやったりできればいいものの
それをするにはチェシャという少年は色々なものを取り落としすぎた。
彼女のことはそれほど嫌ってないはずなのに深い関係性を築こうとしないのはチェシャが恐れているからだ。
彼女と自分は違う場所に居ると思っているし、他人に心を開くのはとても難しく恐ろしいこと。

「……そんなの、できれば僕だってしたくないけどさ」

ぽつんと心の底を漏らすようにチェシャが呟く。
わがままを言う子供のような表情、しかしそうもいかないのが世の常だともいいたげな顔。
ここで言い争っていても埒が明かないのをわかって髪をかきあげる。

「ま、僕は部外者だからどうでもいいけど。
 その、組合長って人以外に結界とかそういうのに詳しい魔術師はいないなら
 今後のことを考えて心得のある奴捕まえといたほうがいいよ」

まだこちらを信用しきれていないのかも知れない。
震える唇と迷うような視線がレナーテに見えると無理をさせすぎてもいけないし、
きびすを返して去ろうとしかけた所に、彼女の声がかかる。
大人しくレナーテに付き従って歩いていく先、結界の祠が見えれば内心驚く。
用心深い彼女が渋々ながら祠へ案内してくれたこともそうだが
自分を信用していたことについても驚いていた。

祠の中に入り、祀られている石碑の前に屈み込んで魔術式を検分する。
指先で石をなぞり、古くなって消えかけているところを見ると一度解読して再び書き加えなければならないかもしれない。

「……魔術式がほつれてる、でも古くなって式がちゃんとしなくなっているだけだから
 ちゃんと直してやればまた結界は作れると思う。
 でもこの式の解読にしばらく時間がかかりそう、3日かけてなんとかって感じ。
 それと魔術をまたかけるのに4日手順が要りそうだから……しめて1週間。
 時間はそれだけあればどうにかできると思う」

不安そうな金色の瞳に、今度は視線を重ねて安心させてやるように言った。

レナーテ > ただ、仲良く言葉をかわしたり、傍にいたい。
組合の秘書という立場ではなく、ただの少女として彼と仲良くしたい。
自分とは違い、きっぱりとした物言いをする彼をもっと知りたいと思うからで。
そんな想いが引き裂かれたかのような心地になり、喉の奥が引きつるような感覚を覚えていた。

(私が勝手に……思っているだけですよね、こんな事)

彼にとっての自分は、それほど大切ではないのかも知れない。
どう足掻こうともそれは変わらない、彼の心のあり方。
せめていい子らしく、苦笑いでも浮かべようと顔を上げるも、そんな想いを遮る言葉に痛みが消えていった。

「……じゃあ、しないようにしましょう?」

そんなものは望まないと、彼が願う言葉に自然と頬が緩んでしまう。
嬉しそうに目を細めながら、満面の笑みで答える頃には、どんよりと奥底で渦巻いていた感情が消えていた。
リアリズムな彼の考えより、そう思ってもらえたことをただ喜ぶ微笑みは、いつもより幼い表情になってしまう。

問いかける言葉に、その笑みも一度は消えかかったが、自ら信じようと踏み出す。
背中を向けようとする彼に、道案内の言葉をかけると結界の祠の前へと歩いていった。

「私としては、チェシャさんがお手伝いしてくれると……嬉しいです」

結界について心得のある人材の確保、それには同意せざるを得ない。
現に戦力に結構な負荷をかけている今があるのだから。
祠の前で、無理かなと思いつつも苦笑いで彼へと振り返る。
どこか驚きの様子が見える彼に、こちらも何を驚いているのやらと察しが着かず、小首をかしげてキョトンとしていた。
それから祠の中へと入り、ほつれた術式を撫でる彼の隣で、前屈みになりながら一緒に術式を眺めていく。

「本当ですかっ!? よかった……! 1週間ぐらいなら、皆にちょっと頑張ってもらえれば大丈夫です」

彼の優しい瞳と言葉に弾むような声で安堵し、身体を起こす。
微笑みも穏やかに浮かび上がり、安堵の吐息が溢れる。
脳内であっという間に仲間たちのスケジュールを纏めていっても、それほど無理なくいけそうな範疇だ。
そして、はっと何かを思い出すと、再び前かがみになりながら耳元へ唇を寄せる。

「その、報酬はどれぐらい……必要ですか?」

彼も仕事して引き受けてくれるのだろうと思えば、その代価を問う。
特に値切るつもりもなく、望む額を払うつもりだが、仕事柄どれぐらい掛かるものなのかは気になったのだろう。

チェシャ=ベルベット > 「なにその言い方。するもしないも、君の組織と僕の向かう方向次第じゃん。
 そんな未来のことはわかんないよ……」

対立したくないのは本当だが、対立せねばならなくなる時もあるかもしれない。
せっかくレナーテが自然と表情を明るくしてくれたのに、掛ける言葉はまたもやつれない。
暗に彼女との関係を期待しすぎて、落胆したくないのかも知れないが。

「手伝うも手伝わないも報酬次第。タダ働きは僕嫌だからね」

距離を縮めたかと思うとまたツンとそっぽを向いて距離を取る臆病な猫の風情。
そもそも結構な大きさのある組織なのだからてっきりそういった人材にも事欠いていないものだと思っていたのだ。

簡単な調査結果を伝えただけで、顔をほころばせ嬉しそうに安堵するレナーテに
またぞろチェシャはむっつりと黙り込んで頬を赤らめる。
照れ隠しのように術式をなぞる指先を忙しなく動かしたりするも、
やがて報酬に話が及べばぴくんと黒い猫耳が傾いた。

「……手順に必要な素材の調達とか諸々込みで60万ゴルド。
 払える? ……まぁ、割り引いてもいいけど」

立ち上がりぱんぱんとズボンの裾を叩いてホコリを落とすと
ちょっと意地悪そうな顔をする。

「キスして、それ以上のもしてくれたら、ちょっと安くするよ」

などとからかうように口の端を吊り上げる。

レナーテ > 「そうですよ、だけどお互いにぶつからないようにって、舵を取ればいいと思います。それに組合長さんも、もう何処かと闘うのは懲り懲りだと言ってましたし」

対立の有無は先を見通せぬ話とも言える。
けれど、ある程度は回避できるはずと、前向きに微笑みながら答えていた。
望むなら掴みに行く、それは絶望に叩き落とされた彼女なりの考え方といったところか。

「勿論です、ちゃんと報酬も出しますよ?」

気まぐれな猫のような態度も、普段の彼らしい雰囲気で安堵すら覚える。
微笑みのままに小さく頷くも、彼の予想とは裏腹にそんな人材は抱えていなかった。
元々、ミレー族の少年少女を主体とした傭兵部隊といった部分が大きい。
後方の事務官も、別途組合長を筆頭とした教育で拵えたところもある。
結界という魔術ともなれば、専門の技術となるも、それを持ったまま組織の門を叩くものは今までいなかった。
それなら任せられる彼にお願いしたいと思いつつ、妙に忙しなくなる理由に気づかぬまま、後ろ姿を見つめている。

「60万ゴルド……! か、会計の娘に相談しないとですけど、多分大丈夫…です」

税収の締め付けも緩んだ今、金庫の潤いも増えてきた。
とはいえ、即答しかねるのは並大抵ではない額に、一人で決めるのが難しいからだろう。
しかし、組合長の許可が出たなら確定とも言えるものであり、却下する率は低いが念の為の答え。
そして、値下げできると聞けば、本当に?と問いかけるように見つめ返すも、意地悪な笑みに何となく嫌な予感がして眉尻を下げる。

「……」

キスして、それ以上のこと。
今までのことが脳裏に蘇ると、金色が恥じらいに濡れていき、頬も薄っすらと赤く染まりながら俯いていく。
色々としでかしているが、恥ずかしいことに変わりはない。
もじもじと指先がスカートの裾を弄んだ後、意を決して彼へ向き直る。
心の中で、ひっそりとごめんなさいを紡ぎながら、両手を彼の肩へと伸ばしていく。
届いたなら、そのまま顔を近づけていき、緩やかに瞳を閉ざしていく筈。
そして、自ら彼の唇へ軽く重ね合わせようとするだろう。

チェシャ=ベルベット > 「……楽天家っていうか前向きっていうか。やっぱり僕、君のこと苦手かも……」

呆れたようにため息をつくと、まぁそれもいいかと頭の片隅で考える。
微笑むレナーテとは対照的にチェシャはむすりとしたままだが黒猫のしっぽが穏やかに揺れる。

組織の内輪事情はわからないが、魔術師不足というのなら売り込まない手はない。
ただし乱用はしないし、されたくはない。深入りも禁物。
結局の所チェシャの使われる先は主人ただ一人なのだし、小遣い稼ぎ程度ならば構わないとは考えている。
報酬も出ると言われれば満足そうにうなずいた。

「ふーん、払えるんだ。もう少し高くふっかけとくべきだったかな」

意地悪そうにニヤニヤと口の端を歪める。
値下げの件に関してもすぐに冗談だと切り出そうとしていたが、
相手が真面目に受け取って何やらもじもじしだしたから黙って事の成り行きを見守っていた。
しばらくすれば、意を決したレナーテがそっと肩を掴み、こちらに顔を近づけてくる。
抵抗することもなく彼女の唇を唇で受け止めると、柔らかいそれに吸い付いた。
舌は入れない、軽いものだった。

「……いやなら別にしなくてもいいんだよ?」

口を離し、冗談だと切り出すタイミングを見失って一応というように断りを入れる。
そうは言いつつも両腕でそろそろとレナーテの細い体を抱きしめ始めていた。

レナーテ > 「前向きと言ってほしいです。ぅ……その、嫌ですか…? こういう考え方」

楽観視しているわけでもなく、ただ前向きにと考えた結果。
最初の言葉にこそ、嬉しそうに微笑んでいたわけだが、続く音に不安そうに音はすぐに揺らいでしまう。
苦手=嫌いと言われているような心地になるのか、揺れるしっぽに気づく余裕すらなく、力なく項垂れてしまうほど。

「っ……意地悪です、チェシャさんはっ!」

これでも払えるかどうか悩んでいるというのにと思えば、意地の悪い言葉に頬を少し膨らませ、不機嫌顔で呟いて視線を逸らす。
しかし、交渉の言葉に心を決めれば、今度は恥じらいを押さえ込みながら、おずおずと唇を差し出していく。
重なるだけの淡い口吻、ゆっくりと唇を離していくと、開かれた瞳は彼を直視できず、少しだけ視線を反らしていた。

「……誰にでも、するわけじゃないです」

確かめるような言葉に、鼓動は高鳴る。
自ら選んだのだと思い知らされれば、恥じらいの熱は耳朶すら赤く染め上げていく。
重なった膨らみの薄い胸元、そこを通して早鐘のように鼓動を刻むのが伝わる筈。
金色を反らしたまま呟くと、背中に重なる腕の感触にふるりと身体を震わせながらも、自ら彼の身体に寄り添うように重ね合わせる。
彼の両肩に掌を重ねていたものの、徐々に滑り落ち、彼の腰元に腕を回すようにして仕草で答えていく。

チェシャ=ベルベット > 「嫌っていうか……、別にいいけど。僕はそういう考え方できそうにないってだけで」

明るく笑ったかと思えばすぐに落ち込んだり揺らいだりするレナーテに
よくコロコロと表情の変わるやつだなぁと眺めてしまう。
そうさせているのが自分の言葉だと思うとおかしな気分だが。

「そうだよ、僕は意地悪だけど」

なんか文句ある? と言いたげにふんぞり返って胸を張る。
今度はレナーテが平静を装えないのか視線をそらす様にわざと顔を近づけて視線を合わせて見つめ合う。
さっきから、意地悪したくてウズウズしていた、と言ったらおかしいが
でも今彼女を困らせたり笑わせたり拗ねさせたりするのはなんとなく楽しい。

震えるように身を差し出すレナーテをしっかり抱きしめるともう一度、
今度は自分からキスをねだるように重ねていく。
ゆっくりと唇を舌で舐めてから割り開かせて、中に侵入させていく。
歯列をなぞり舌を絡めて唾液を交換すると口を離した。
銀糸が二人の間に垂れ落ちる。

「……誰にでもしないけど、僕にはするんだ。へぇ……。
 それとも僕以外にも誰かとしたりするの? 教えてよ……」

相手のベレー帽を払って地面に落としてしまうと彼女にもあるミレーの耳を軽く食む。
吐息を吹き込み、味わうように舌を耳穴になぞらせてちゅ、ちゅ、と耳を犯すようにわざとキスの音をさせていく。

レナーテ > 「……それなら、よかったです」

嫌ではない。
その言葉に、ゆっくりと口角を上げていく。
普段は背伸びした落ち着いた秘書らしい顔を作ることも多いが、こうして心許せる相手の前では異なる。
子供っぽく嬉しそうに微笑みながら彼の腕に包まれるも、開き直るような言葉に直ぐに恥じらいに染まっていき、顔を隠すように彼の胸板に額を押し付けようとする。
しかし、遮るように彼が覗き込むなら、恥じらいが強くなって瞳が一層潤む。
はくはくと恥じらいに蠢く唇と、震える瞳孔。
意地悪、と小さく呟きながらも、鼓動に耐えながらが唇は重なっていった。

「んっ……は、ふくっ……んぁ…っ…」

重なり合い、恥ずかしくも心地よく感じる唇に吐息に甘さが交じる。
瞳を閉ざすと、恥ずかしさに溜まった涙はにじむように頬を濡らすも、嫌がる涙とは異なる。
頬に吸い込まれるように涙は消えていき、唇をくすぐる舌先に答えていく。
開かれた隙間から舌が入り込めば、歯列をなでる動きにくすぐったそうに口が開かれてしまう。
その瞬間、舌が入り込んで擽れば、びくりと身体を跳ね上がらせ、それに耐えるように舌を踊らせる。
表面をこすり合わせるように絡ませ、その度に混じり合う互いの唾液が薄っすらと泡立つ。
不規則に身体を震わせ、じわじわと淡い熱が身体に灯っていく中、唇は離れていった。
ぼぅっと夢見心地のまま、垂れ下がる銀糸を見つめる瞳は普段のしっかり者な少女から、年頃の娘へ顔を変えていく。

「……っ…それは……ひゃぁっ!? 耳、駄目……ぇっ、んひ……っ、あっ、ふ……ぁっ!」

ベレー帽が板張りの床へと落ちていき、茶色の入り混じった毛の映え揃う垂れ耳が顕になる。
そこに甘噛みをされれば、ぴんとスカートの中からしっぽが飛び出し、くすぐったさに身体が小刻みに震えていく。
ぎゅっと瞳を閉ざしながら耐えるも、内側の桜色の耳介に舌が這いずれば、こそばゆい刺激に声までも震える。
ぞわぞわと淡い痺れが腰を震わせ、濡れた音がそれに拍車をかけるも、問いかける言葉にはすぐに答えられない。

「……怒ったり、嫌ったり…しない、ですか?」

その物言いは、半分ぐらいあると答えているようなものだが、余裕のない今は考えることもできず。
そろりと隣でじゃれつく彼へ視線を傾け、不安そうに見つめる金色は普段よりも幼く、縋るように彼を見つめ続ける。

チェシャ=ベルベット > ひどく子供っぽい、いつもの真面目な彼女とは違う表情を見せられると
どきんと胸が高鳴って苦しくなる。
それを押し殺すようにわざと意地悪をして相手に余裕を与えない。
覗き込んだ瞳が潤んだならこちらはどこか嬉しそうに笑み、深いキスを味わう。

自分の舌技でレナーテの体が緩み、蕩けていくのが分かれば自然と機嫌はよくなる。
淡い喘ぎを漏らす声を貪るように何度か角度を変えてキスをすればその度に相手も応えるように舌を絡めてくる。

「可愛い」

ぽつんとキスの余韻に浸りながらほぅとため息とともに相手の耳にささやく。
ミレーは大概耳が弱いのは自分とて同じだから、わざとそこばかり責めてみる。
丹念に内側の毛を舐めて、耳先を唇で食み柔らかく冷たい耳の感覚を味わって。
ぴんと飛び出したしっぽも、いつの間にか背から滑り落ちた両手で尻ごと撫で回し自分のしっぽと絡め合う。

「怒ったり、嫌ったりはしないけど……嫉妬したり意地悪はするかも」

正直に答えてくれなくても意地悪するけど、とスカートの上から小ぶりの尻を掴んで柔く揉む。
レナーテの襟元をくつろげさせ、白い首筋や鎖骨を顕にするとそこに鼻先を滑らせて跡を残すように口づける。
前は跡を残すのを嫌がっていたような気もするが、
今はこの後見るかもしれない誰かを嫉妬させるためにつけてやりたい気分だった。