2018/03/12 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレイカさんが現れました。
レイカ > 寒い季節も徐々に終わりに近づいて行っている。
つい1月ほど前までは、凍えるほど寒かったこの里も随分と過ごしやすくなった。
やはり快適な街の生活とは違って、季節の影響をまともに受けるのは考え物だけど、こればかりはどうしようもない。
いくら精霊の力を借りられるとはいっても、気候まで操れるわけじゃない。

「…………フフッ。」

だけど、これでいいと私は思っていた。
快適な暮らしなんか、もともと求めていたわけじゃない。
雨風しのげるだけでもめっけもの、そんな生活をみんなしてきた。
勿論、この私だってそう…季節の移り変わり、それを楽しむ余裕も今まではなかった。

勿論、食糧問題もあるし喜んでばかりもいられない。
冬の間、なかなか食料をとることができない里では、備蓄を少しずつ切り崩しながら生活している。
幸い、とある伝手で薬は手に入るようになったし、病気になる子はすぐに治療できるようになっている。

見晴らし台の上で、私はドリアードたちの声を聴きながら。
少しずつ近づいてくる春の訪れを心待ちにしていた。

レイカ > 「…ドリアード……、山桜が咲く時期はいつ頃ですか?」

耳に手を当てて、ドリアードに話しかける。
森林にあるこの里は、まさにドリアードたちにとって楽園だった。
その楽園に受け入れてもらえたのだから、私たちも敬意を表さねばならない。
この里の中央、ユグドラシルの大樹も彼女らの力によって成り立っているのだから。

ここのところ、ずっと平和だった。
近くのミレー族の集落が奴隷商人の集団によって壊滅させられたらしいが…。
その集団を受け入れるだけの余裕は、今のこの里にはない。
残念だが…私たちは私たちしか、守れないのだ。

すべてを守り切ることなどできるはずがない。
そんな自惚れをするほど、私も愚かじゃない。

レイカ > 「……あら?」

遠くから、誰かが帰ってくる気配がする。
おそらく仮に出ていたみんなが戻ってきたのだろう。

出迎えるために、私は一度見晴らし台から飛び降りた。

ご案内:「ミレーの隠れ里」からレイカさんが去りました。