2018/01/14 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレナーテさんが現れました。
レナーテ > 偽装や幻覚等など、結界に働かせる力は悪党を追いやるための大きな防衛線だが、それも一つの装置のように手入れをする必要があったりもする。
最初に符術を行った者と同等の後継者がいれば問題ないが、育たなければ、暗闇の中で懐中電灯の電池切れを待つようなものか。
結界が砕け、押し入った奴隷商の一団がミレー族を次々と縄に掛けていき、馬車へ押し込めようとしていく。
女は性奴に、男は労働力に……稀に男娼に。
商人の頭がほくそ笑む中、空から大きな影が掛かると、赤い閃光が幾つも降り注ぐ。
大きなベニマシコの背に乗った少女達が携える銃、魔法を弾丸のように放つそれから、高温の火炎弾が放たれ、馬と馬車を接続する木のフレームを焼き切る様に撃ち抜いたのだ。
更に弱めた魔法弾を馬たちの尻に撃ち込み、森の中へ走り出させれば、あっという間に奴隷を連れ出す手段は奪われる。
狼狽える商人達を見下ろし、相棒たる鳥の背を軽く蹴って飛び降りると、風の力を纏い、減速しながら村へ降り立つ。
ふわりと愛らしい衣装の裾を揺らし、色の混じった前髪が踊る中、レンズの付いた魔法銃を手にしているも、銃口はすぐに向けない。

「撤退してください。ここはこれよりグラウ・カルネテル家の命により、我々チェーンブレイカーの所有域となります。住人の扱いも同様です」

更に上空にいたマシコの脚に掴まっていた少女達も同様に飛び降り、羽から借り受けた風の力で減速しながら降り立つ。
一様に魔法銃を携え、練達の動きで周囲を固める。
愛らしい見た目と格好とは裏腹に、軍事を生業とする組織らしい動きを見せながら、商人達を追い詰める。

レナーテ > 『グラウ・カルネテルだと? 証拠はあるのか!』
「あります、命令書です」

ハッタリだと言いたげに商人が声を張り上げると、普段の落ち着いた声色で淡々と返事をすれば、右手で銃を握ったまま、左手で肩下げ鞄の中を探る。
丸められた羊皮紙を取り出すと、封蝋のとじ紐を解き、丸まった紙を広げていく。
そこには確かに祟り神と恐れられるグラウ・カルネテルの二代目のサインと印章も入っており、紛うことなき正式な命令書であることを示す。
それをみた商人も想定外だったのか、目を丸くして驚くものの、周囲の少女たちを見渡し……僅かに口角が上がった。

『なら、命令書が届かなかったことにすれば良かろう? 奴隷の一団にされ――』

飲まぬと言葉にした瞬間、金色の目が少しだけ冷ややかに細まると、素早い動きで照準を合わせていく。
同時に銃口に浮かぶ青白い魔法陣、レンズに浮かぶオレンジ色の光点を商人が手にしていた騎乗鞭に合わせれば、遠慮なくトリガーを引き絞る。
パシュッと音を立てて青白い光が弾丸となって放たれると、鞭の根本を撃ち抜き、その勢いで手から落とさせると、昇順はすぐさま商人の頭部へ合わさった。

「……続けますか?」

逆らうなら遠慮はない、権限も与えられている。
その証拠に先程まで銃口を下げていた少女たちも、一斉に銃口を周囲の賊達に合わせていくと、真紅の魔法陣を銃口に浮かべていた。
より殺傷力の高い火炎の魔法を使うと、煌々と燃えるような赤色を晒せば、商人もあんぐりとしたまま頭を振る。
そしてミレー族の枷を外させた後は、そのまま山を降りるように命じ、その後姿を見守る。
直ぐ側では、あっという間の救出劇に呆然とする者もいれば、安堵して泣き崩れる者もいた。
商人達が見えなくなれば、此方も安堵の微笑みを浮かべつつ彼等の方へ振り返り、無事を確かめると村の中央へと戻っていく。
救出で終わりではなく、ここからがまた大変なのだ。

レナーテ > こうして一悶着する時間が過ぎていき…
ご案内:「ミレーの隠れ里」からレナーテさんが去りました。