2017/06/08 のログ
■セイン=ディバン > 改めて。真っ直ぐ、向き合った少女は……どこか、少し落ち着きを取り戻したように見えて。
あぁ、やっぱり根は優しいし。自己を律せる子なんだろうな、と思う。
その分、息苦しい生き方をしている。いや、させられているというか。そんな印象も受けたが。
口早に語った言葉を全て受け止め。その上で自身の境遇や意見を口にしてくれるその姿に、少女は改めて息を吐き。
その言葉の重みも、指摘どおり。あくまでも感覚でしか理解していない。
自身だってクソみたいな人生を送ってきたが。そんなもの、この国の今の中では珍しくもないのだ。不幸自慢をしたい訳でもないが。
改めて心中をさらけ出してくれた相手に対し、少女はにへら~、っと笑顔を浮かべる。
「……うん。判るよ。ミレー族の境遇とか。
キミの言葉の意味も、判るよ。でも、それは判るだけだ。
オレにはオレの。キミにはキミの事情がある。
オレみたいに笑顔で近づいて、裏切る様なヤツとかもそりゃ一杯いるだろうさ。それで疑心暗鬼になって、相手を疑うのは悪くない。むしろ懸命だ。
……じゃあ、こういう提案はどうだろう。今後、キミの集落にオレが物資を持ってくるときは、必ず一人でここに来る。
ここから里までは、キミがオレを監視しながら移動する。少しでも不穏な動きがあれば。その場でオレを殺して良いよ。
……だからさ。もう一度だけ。人間を信用してみてよ。人間全体、なんていわない。まずはオレだけでも。ね?」
その言葉が。静かな物だったのに。叫んでいるように聞こえたから。
その言葉は、強い決意なのに。どこかタスケテと聞こえたから。
少女は、笑顔のまま相手にそう言い、もぞもぞと身体を動かすと、拘束されている状態から、片手だけをぽんっ、となんとか取り出す。
そのまま片手を差し伸べて、満面の笑顔。少しでも良いから、と。
まるで子供の約束のように。気軽に命を差し出して、手を取り合おうと提案する。
「まぁ、実際キミの相棒を過小評価してたことも謝罪したいし?
……後は、さっきも言ったけど、エーテルちゃんみたいに可愛い子とは仲良くなってセックスしたいしね~」
最後に付け足した言葉は、まぁヒドイ物だったが。これは少女なりの、雰囲気が重くなりすぎないための冗談のようなもので。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からエーテルさんが去りました。
■セイン=ディバン > 【継続予定です】
ご案内:「ミレーの隠れ里」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレイカさんが現れました。
■レイカ > 防壁の工事は着々とすすんでいた。
ここのところ進みが速くなっている、どうやら皆コツをつかみ作業が効率よく進んでいるようだった。
これなら、私の管理ももう必要ないだろうと、今は里の中央。
大きくなり始めたドリアードの木の世話をしていた。
「…………♪」
ごくごく自然に、鼻歌が漏れてくる。
エルフであるからなのだろうか、こうして草木が育つところを見ていると、とても心が躍る。
もともと、森に棲んでいるエルフ族は草木を愛し、共に生きているという。
ルミナスの森で暮らしているエルフたちも、こんな気持ちを味わっているのだろうか…。
だからこそ、私はここに来るまでに何度も何度も頭をよぎらせた。
もういいじゃないか、こんなにつらい思いをするくらいならルミナスの森に引き込んでしまえば…。
体を壊し、子供が…赤ちゃんができない体にまでなって。
なんで私はこんなにも、ミレー族を護っているのかと心が折れそうになったことなんか、数えきれないくらいあった。
だけど、その度に廃墟地区にいたミレー族が、励ましてくれた。
炊き出しをして、ありがとうと笑ってくれるから私は心を折らずに済んだ。
そして、ようやく皆は安住の地を手に入れようとしている…。
私を育ててくれたミレー族、護ってくれたミレー族に恩返しを。
そう思うと、私はやはりここにいなければならないとと、そう強く思う。