2017/04/21 のログ
■レイカ > 「引きこもりじゃないですよ、彼等は彼らの社会で生きているだけです。」
そう、彼らはこの山の中で独自の社会を築き、そして人目を忍んで生きている。
それは、彼らがこの世界では社会的弱者…奴隷階級であるということもある。
それを目的に、お金を稼ごうとしてやって来る者たちから守るための防壁。
この巨大な気の壁は、彼らを護るためのものだ。
とはいえ、建設途中でまだまだ穴が開いている箇所は多い。
前面程度しか覆われていないけれど、その側面はうっそうとした森が囲んでいる。
私がカバーできる範囲でもあるし、防壁ができるまでは頑張るしかないだろう。
いつになるかは、まだまだ分からないけれど。
「ふふっ、そう言うところは以前よりも子供っぽくなってませんか?
…昔は、負けず嫌いで人のいうことなんか聞く耳持たない、ちょっと困ったさんだったんですけどね。」
でも、こういう可愛いカナム君のほうがいいかもしれない。
何があったのかはわからない、けれども以前よりも子供っぽくなったカナム君。
…彼をそうさせた何かを、私は無性に知りたかった。
「こっちです、ついてきてください。」
彼を伴って、私は里の中へと入っていった。
その中は転々と、瓦葺屋根の建物が立っているだけの質素なもの。
その奥には、小麦や野菜なんかを育てている畑。
そのさらに奥に、ひときわ大きな建物が立っていた。
この集落の人々が、食堂として使っている大きな建物に、カナム君を案内した。
この時間なら、使っている人たちはほとんどいない。
皆、今はまだ防壁を立てるのに忙しい頃合いだろうから。
■カナム > 「そうかなぁ?」
自分にとって彼らは害にならない割かしどうでもいい存在
そう言えばそんなのも居たなぁ位に思っている
それになぜか…彼等には必要以上に関ろうとは思えないのだった
と、ここで木について聞いてみるとあれはどうやら壁の役目をしてたらしい
道理で邪魔くさいと思ったと木についても納得したカナムだった
「へー僕って面倒だったんだ?」
負けず嫌いで言う事を聞かない
そこだけ聞くとかなり面倒な相手に思える
よくそんな奴と仲良くなったなぁとレイカを見つめる
ミレー族の面倒も見ている様でもしかして世話好きと言うやつなのだろうか?
「ふーふふーん♪」
案内されるまま鼻歌を歌いついていく
食堂に着けば大人しく席に着き食べ物を待つ
普段料理なんて殆どしないので何が食べられるか楽しみだ
■レイカ > 「そうですよ。」
どこか、彼のその返答には無関心さを感じずにはいられなかった。
そういえば、彼は施設でもあまりミレー族に関して何かを言うことはなかった。
彼にとって、ミレー族とはそういう人種なのだろう。
だったら、決して敵にはならない存在だと、私の中で確信できた。
「ええ、とても面倒な子でしたね。
立ち入り禁止のところに気づかず入って、戻れと私が忠告してもかたくなに出ていこうとせず、挙句暴れたりもしてましたし。」
今となっては、其れもまたいい思い出だ。
彼との出会いはあまりよろしくはなかったかもしれない、だけど。
今となっては、其れもまた笑って話せるほどの出来事になっていた。
仲良くなったのは、カナムくんが誠実に向き合ったから。
そうでなければ、きっと仲良くはなっていなかっただろう。
「じゃあ、ここで少し待っててくださいね。」
彼は、肉が好きそうだなと率直に思った。
だったら、少しボリュームのあるお肉を出してあげるのがいいだろう。
棚から、先日狩ってもらったばかりの動物の肉を引っ張り出し、一口サイズに切り分ける。
其れの量を確かめながら、火にかけて少し調味料で味付け。
塩、コショウ…それだけでも十分美味しいだろう、私は肉類をほとんど食べないので何とも言えないが。
調味料を作ることはできないので、時々ふもとの村に買い付けに行くこともある。
だが、それ以外は全部この集落で作ったり狩りで仕留めたものばかりだ。
後は、少し生野菜をお皿に添えて…、その中央に、焼いたお肉を山のように乗せる。
食べきれなかったら、この里のみんなで食べるだけだ。
■カナム > ミレー族とカナムが敵対することは現状ありえない
自分達の平和を維持しようとする彼らをカナムが襲う理由がないから
自分に害がなければどこで何をしようがどうでもいい
こちらから態々襲い掛かる理由なんて言うのもないのだし
「…よく仲良くなったね?」
川に誘うと言っていたのと今の言葉が組み合わなくて首をかしげる
今の所以前の自分は言う事を聞かず面倒くさく暴れ回る様な輩だったらしい
流石に自由に生きてるなぁと自分の事を棚に上げて思うのであった
「はーい」
待てと言われたので大人しく机に持たれながら待機
運ばれてきたのは肉の山
おおぉーと感嘆の声を挙げ目の前に置かれれば素手で食べ始める
焼き立ての肉を熱がる様子もなく、またマナー等も考えていない様
野菜の方にも手を出すが少し齧ってかなり渋い表情を浮かべた後そっと元の場所に戻した
余ると予想していたレイカの考えを裏切るかの様に肉の山はどんどんと削られていく
放っておけばペースも変わらず完食してしまいそうだ
■レイカ > 「本当に、私でもそう思いますよ。
でも…なんとなくですけど、放っておけなかったんだと思います。」
何より、彼のまなざしがほかの子供と大差なかった。
誰かにかまってほしい、遊んでほしいというような純粋なまなざし。
私は、きっとその瞳を見て、彼と仲良くなったんだろう。
今思えば、そういうことだったんだなと思う。
それに、川に遊びに行った時も結局は楽しかった。
私も知らなかった、上流の綺麗な小川。
そこに連れて行ってもらったとき、彼が本当に純粋なんだなと思ったものだ。
訓練に付き合ってもらったときもそう、結局は…すべて、彼が素直で純粋だったのが原因だったんだろう。
「お待ちどうさま、たくさん作ったので残してもかまいませんよ。」
だけど、私のその言葉は裏切られることになった。
マナー知らず、そして熱さをものともせずガンガン削れていく肉の山。
動物の肉、1ブロックほどあったはずなのだが…この子の食欲はそこまでだっただろうか。
そういえば、彼に食事を出してあげたことなどなかった。
そのせいで、彼の食欲というものを私は把握していなかった。
呆気にとられる私をよそに、カナム君はどんどん食べ進めていく。
…野菜以外を。
「あ、こら。ちゃんと野菜も食べないとだめですよ。
ほら、こうやってお肉をくるんで食べると、おいしいですから。」
添えただけのものだが、少し齧っただけでいやな顔をして戻した様子。
それを見て、私は苦笑しながら野菜でお肉を包み込み、彼に持たせた。
素手で食べている様子、かなり汚れているだろうし後でお風呂にも案内しようと思いながら。
■カナム > 「そっかー」
放っておけないと聞いてそうなのかと納得
どうも前の自分は運が良かったらしい
思い出そうとも思っていなかったが今回の件で余計に昔の事を思い出したくなくなった
多分そんな性格の奴の記憶なんて蘇らない方がいいだろう、と
「へんふ、はへふっ!」
口に肉を詰め込んで全部食べると言い切る
体の大きさを考えても異常な程のペースで肉山が削れる
野菜は勿論最初にネズミが齧った程食べて以降手を付けていない
「……葉っぱは苦いし臭いし食べない方がいいと思うよ?」
野菜は臭い葉っぱ扱い
肉を包むとなんて事を…と言いたげな顔で見やる
持たされてしまったので仕方なくそのまま食べるが…やはり渋い顔をする
これがレイカ相手でなかったら野菜は放置していただろう
全て肉を食べきると満足気に椅子にもたれる
結局野菜はレイカに渡された分以外は食べなかった
食べる時は物凄く嫌そうな顔をしているのも最後まで変わらなかった
■レイカ > 「……カナム君、食べながらでいいので聞いてください。
私と会っていない間に何かあったんですか?
記憶がなくなるほどの出来事なんて、そんな小さなことじゃないはずですけど…。」
彼に、いったい何があったのだろうか。
それに、獲物にしていた鉈もひどく真っ黒になっている。
まるで、激しい炎であぶられた何かのように。
彼の性格上、その鉈はかなり大事に扱っていたはずだ。
だからこそ気になる、彼の身にいったい何があったのだろうかと。
全部食べると言い切り、異常なほど大量に詰め込まれていくお肉。
あれだけあったはずのものが、彼一人の中に消えていく様は、見ていてむしろ爽快だった。
くすくすと笑みを浮かべながら、野菜を少ししか食べないことも結局、私は大目に見ることにした。
「私はむしろ野菜のほうが好きですけどね、種族柄というのもあるんでしょうけど…。」
私はエルフだから、どうしても野菜中心の食事になってしまう。
お肉ももちろん食べられないこともないが、あの油のきついのがどうしても苦手だ。
だから、お肉は大体個々の集落のミレー族にいきわたり、私は野菜生活。
でも、いやそうな顔をしつつも手渡せば食べるのだから、やっぱり彼は純粋だ、素直だ。
食べきって、満足げに椅子にもたれかかるその様子から…よほどお腹が空いていたんだろうな、とも思う。
「ほら、そんなに汚れて……。」
まるで、弟の面倒を見ているようだった。
いや、確かに私には弟が一人いる…施設を離れるとき、彼には置手紙しか残してこなかった。
彼ならば、ここに来るだろうと踏んでの事なのだが…もうずいぶんと立つ。
彼の世話をしているような気分で…少し、罪悪感を感じていた。
■カナム > 「んぐんぐ…そんなの知らないよ?
なーんにも覚えてないからね」
腰にぶら下げた鉈は見た限り黒一色
しかしそこまで粗雑に扱っている訳でもないのか食事中でも身体から離そうとはしない
けれど手入れもろくにされた様子もなく以前よりもかなり扱いが悪いのは確かだ
「種族?……あっ、お姉さんエルフなんだ!」
少し耳が特徴的だとは思っていたがここでやっと相手がエルフだと気づく
自分と同じ人間だと勝手に思っていたらしい
肉が好きじゃないなんて自分にとっては全く理解できない
美味しいのにとは思うけれど分けなくていいので都合は良かった
「んんーっ」
顔を拭かれてそんな声を上げる
レイカの感じる罪悪なんて欠片も理解していないカナム
レイカの表情が曇ればただ少しだけ首をかしげるのみ
■レイカ > 「……そうですか…。」
彼が思いだそうとしないのは、性格によるものなのだろうか。
それとも、深層心理の部分で思い出すことを拒んでいるからなのだろうか。
彼ほどの純粋な人間をそこまで追い詰める出来事…。
いったい何なのか、どうしても気になってしまう。
使い古されているのか、それとも扱いが雑なだけなのか。
腰に下げられている鉈は、以前から彼が不安になるからと手放さなかったもの。
それを手放さないのは、本能によるものなのだろうか。
「え……ええ、そうです。エルフは珍しいですか?」
確かに、ミレー族と並んであまり見かけない種族であることは間違いない。
森に”引きこもって”いるというイメージが強いだけに、人間だと思いこまれるのは仕方がない。
尖った耳、それを見られればエルフというのはすぐにわかるのだが。
「………あ、いえ。なんでもありません…。」
今頃どうしているだろうか、と気になることはある。
あれだけ世話をしておいて…今更私が置いてけぼりにしてしまうなんて。
出会えたら、どんな顔をすればいいだろうかと悩んでしまう毎日が続いていた。
■カナム > 「そだよー」
思い出そうとも思っていなかったけれど実際どうなのだろうか
思い出そうと思っても何も浮かんでこない
こうして知った顔に出会ってもそれは変わらない
何か思い出さないかとレイカを見つめていたけれど何も変わらない
でも、出会ってばかりの筈が安心できているのは気のせいだろうか
「んーすっごくたまに見るかなぁ」
人間と魔族はよく見かけてエルフは珍しい
ミレー族は捕まった者でなければ殆ど見る事はない
「そう?」
本心ではなさそうだけれどレイカがそう言うのならそうなのだろう
自分に何かできる訳でもなさそうなので追及はしない
手も綺麗にして椅子から立ち上がる
「それじゃぁ僕そろそろ行くよ」
帰る場所なんてないがそう言い切る
ふぁぁ…と欠伸を漏らしているのを見るにどこかで昼寝でもする気なのだろう
今のカナムはかなり欲望に逆らわずに行動している
■レイカ > 無理に思い出して、何か起きても困りもの。
ならば、彼が思いだすときに思い出すだろうと楽観視することにした。
私にはどうすることもできないだろうし、何より彼が拒んでいる場合。
それによって精神崩壊を起こしてしまっては元も子もないのだから。
それでも、もし安心を得られているならばそれに越したことはない。
彼が求めているかどうかはともかくとして、安心できる場所は一つでもあったほうがいい。
「……カナムくん、もしレンっていう男にあったら…ここで待っていると伝えてくれますか?」
彼が、レンがここに来るかどうかはわからない。
けれども、もしカナム君がここに私がいるということを伝えてくれれば。
ここに来ることがあるかもしれない、その時はちゃんと謝るべきだろう。
それで許されるかどうかは、わからないけれど。
「あ、それなら入口まで見送りますよ。
あと…お腹がすいたら、たまにでいいのでご飯を食べに来てもいいんですよ?」
彼ならば歓迎するだろう。
ミレー族たちにも、彼の特徴と敵ではないことだけ伝えておけば、快く無会えてくれるはず。
欲望に忠実に生きているカナム君だが、それはすべて素直さ純粋さからくるものなのかもしれない。
だから…私はもう、何も言わなかった。
■カナム > もし記憶が戻れば今の自分はどうなるのだろう?
消えてなくなるのか、それとも逆も…
「レン?…うん、わかったー」
そのレンと言うのが誰かは分からないがもし出会えば伝えておこう
探してるのだろうか?そのレンの話をした時のレイカの表情はとても暗いものに見えた
「じゃぁまた美味しいの食べさせてね!
今度はお土産もってくるから」
獲物を仕留めてここに持って来ればレイカが美味しく料理してくれる筈
こうして話しをするのも楽しかった
久しぶりに人間らしい事が出来てなんだか嬉しい
ばいばーいと手を振って森の奥へカナムは歩いていく
カナムはきっとまたここに来るだろう
美味しいものを食べに、レイカに会いに
そして今日1つ学んだ事…ここのミレー族に手を出してはいけない
初めて会ったレイカが悲しむであろう事はしない
また笑ってご飯を食べさせてもらう為
ご案内:「ミレーの隠れ里」からカナムさんが去りました。
■レイカ > 「ええ、また来てください。
お土産、楽しみにしてますね。」
たくさん笑っているところを見られた、そして。
たくさん話をして、彼がどういう人間なのか分かった。
人間だとひとくくりに、悪人と決めつけるつもりはない。
こうして、会話をして打ち解けられるならば…本当はそのほうがいいのだろう。
私は心を鬼にした、けれど殺人鬼になったつもりはない。
手を振って森の奥へと消えていくカナム君を見ながら。
久しぶりに、私は人らしい笑みで見送ることができたのは…感謝すべきだろう。
「さて……皆さん、もうひと頑張りしましょう!」
そう、私は皆に声を掛けた。
この防壁の向こう側…また彼が遊びに来るのを待つためにも。
ここを護らなければならない、私はもう一度、心に決めた。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からレイカさんが去りました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレイカさんが現れました。
■レイカ > 水路の調子がいまいちだから見てほしい、その他の身を私は聞き入れた。
水の精霊の地下を使えば、水作業を一番長くできるのは私だ。
魚系のミレー族がいるなんて話も聞いたことはないし、ここには陸で暮らすミレー族ばかり。
30人規模の小さなミレー族の集落の中央。
結界で姿を隠せない集落の水処を支えている、中央にある井戸。
皆で手分けして、遠くの川から水を引き、ここまで引っ張ってきた。
その水路の調子が悪いと聞けば、集落皆が困ってしまう。
もちろん、私も水を飲まなければ生きることができない。
今日はその水路を確かめるべく、私は森の中を一人。
木から木へと飛び移り、目的の場所に急いでいた。
(先日の雨で、どこか決壊したかな…。)
一人で来るのは、ちょっと失敗だったかもしれない。
私は土木建築に関しては素人も同然だ、あの防壁だって私じゃない別の人の提案。
もし、どこかで水路が決壊しているとしたら私では応急処置もろくにできないだろう。
ただ、場所さえわかれば今度集落の土木建築を専門にしてくれている人に話せば、修理をしてくれるだろう。
人任せになるけれど、あの集落は皆で助け合って暮らせるように。
裏切られる心配もなく、襲われる心配も当面はない。
そんな、安心な場所を作ろうとしている…。
■レイカ > 「……ここか。」
水路を見て回りながら行くと、一つ決壊している箇所が見つかった。
湧き水をくみ出し、それを通している木の水路。
その一部分に穴が開き、水が漏れてしまっている。
このせいで、水が上手く届かなくて水がやってこなかったのだろう。
幸い、これならば私でも十分治すことができそうだ。
ただ穴が開いているだけならば塞げばいい。
あたりを見回し、よさげな枝を見つけるとその孔の中に差し込む、
差し込もうとする…けれど。
「……大きすぎるか。」
ただの応急処置的な使い方しかできないので、不格好にもなる。
大きすぎる木の枝を、私は矢じりを一本取りだして軽く削る。
鉄でできている矢じりは、いとも簡単に枝をとがらせて穴に入るようにする。
それを、突き刺すように穴へと差し入れて後は強く押し込むだけ。
穴がふさがり、水が上手く流れるようになったのを確認して一息ついた。
「これで、当面は大丈夫……かな。」
だけど、速球に対処してもらうように言っておこう。
こんな不格好なものじゃ、またいつ決壊するか分かったものじゃない。
地下通路を作ろうにも、そんな技術はさすがに手間暇もかかりすぎて非効率だ。
かといって、毎回組みに来るのも効率がいいとは言えない…。
この水路は、ある意味あの集落の生命線とも言えた。