2017/04/20 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にレイカさんが現れました。
■レイカ > ミレー族の里は本来、結界が張られていて人間の目には見えないはず。
しかし、私が護っているこの里は、外部から丸見えだった。
それは仕方がないことだと、私は思っている。
何しろ、この里には魔法の心得がある人が少なくて結界を張ることができない。
いや、心得は合っても彼らにその技術があるとは到底思えない。
ずっと虐げられ続けていた彼らに、基礎的なことはわかっても結界を張るなんて、そんな技術はない。
だからこそ、こういう原始的な手を使うしかない。
だけど、私は下手に結界を張るよりもこっちのほうが、ずっといいと思っている。
結界があると慢心して、注意をおろそかにすることで崩壊を招く。
そんな里を、私はいくつも目にしてきたのだから。
「はい、そこはその位置で…もう少し右……はい、ゆっくりと下ろしてください。」
皆で力を合わせて、大きな大きな木の杭を一つずつ立てていく。
防壁、九頭竜山脈の森を切り開き、ぐるりと里の周りを囲った簡易的なもの。
それでも、結界なんてものよりもずっと頼りがいがあった。
だけど、まだまだ完成には程遠い。
完全に里を覆ってしまうためには、半年なんて短い時間じゃ到底不可能だ。
少なくとも3年、いやもっとかかる。
それでも、門と呼べるものは完成したし、そこから伸びている見張り台もある。
九頭竜山脈の奥地にあるということを考慮しても、少しはましになるだろう。
ご案内:「ミレーの隠れ里」にカナムさんが現れました。
■カナム > 見つけたのは偶然
木の上を跳んでいたら偶然目に入った集落の様なもの
あんな場所に今まで建物なんてなかった筈
そう思えば既に足は彼の地へ向かっていた
「なーんか面白そうだよねっ!」
湧き上がる好奇心のおかげで体が軽い
猿の魔物に似た木の上の移動
ピョンピョン飛び跳ねながら笑顔を浮かべる
そして近くに来れば気づく
里を囲う様に配置された木の杭
なんでそんなものを刺しているのかと考える
「んー……」
日々暮らしていくのに邪魔にしかならなさそうな木の杭
斬新な保存方法なのかとも思える
けれど出入りが面倒そうだし…なんで?と首をかしげる
木の下に降り突き刺さった木の杭に触れてみる
しっかりと刺さったそれは少し触ったぐらいじゃびくともしない
かなり考えてみたけれどこの杭の意味が全く分からなかった
■レイカ > 今日の成果は、残念ながら5本が限界だった。
牛歩のような遅さだが、一つ一つ確実に太くて大きい、木の幹を刺していく。
これが、この中の集落を護るために必要なものだと、皆わかってくれている。
私の指示に、文句の一つも言わずにゆっくりと、防壁を作り上げていく。
本当は、もっと力が強い人がいればいいな、とは思う。
高さは5メートル、太さでいえば50センチはあろうかというもの。
こんなものを立てられる人物なんていないから、30人のミレー族総出で一本ずつ。
こんな風に、皆の力で一つのことを成し遂げるのは、嫌いじゃなかった。
そんなことを想いながら、次の指示を出していた時だった。
この森には、私が配置したドリアード―――木の精霊たちのネットワークを張り巡らせている。
うっそうと茂る森なら、侵入者が入ればそのネットワークを通じて、すぐに私のところに届く。
耳飾りが振動して、木の精霊たちの声を集め私の耳に届ける。
「…………皆、ここはよろしく頼む。」
私の口調は、有事とそうでないときで著しく変わるようになっていた。
不審者なのか、それともただの迷子なのかは不明だけれども敵ならば即刻たたき出す。
場合によっては、命を奪うことすら辞さない。
私は、現場からすぐに飛び上がり、木のネットワークに引っかかった場所へと向かった。
(…防壁のすぐ近く……。こんなに近くまで侵入されていたのか。)
それは、ようやく立てた防壁のすぐ外側。
その場所に駆け付けるのに、そう時間はかからない。
木々を跳び移り、私は…その人物、カナムのすぐそばに着地した。
鋭く目をとがらせ、殺気を前面に押し出しながら。
■カナム > 改めて杭を持ち上げようとしてみる
が、そう簡単に持ち上がる訳もなく見た目通りかなり重い
本当にこの邪魔な木は何なのだろうと見上げる
「重たっ…変な事するなぁ」
この村に住む者達の奇妙な風習に興味が湧いてきた
コンコンと木を叩いてみたりと遊んでいるとこちらに誰かが近づいてくる
音を殆ど立てないのが相手が獣ではないと教えてくれて
「んー……ん?」
少し微妙だったがこの距離まで近づけばよく分かる
分かりやすいぐらい自分に殺気を出している
目の前の女は自分の事を殺そうと考えている
彼女が誰なのか、ではなく何なのか確かめないといけない
ご飯だったら小腹も好いてて丁度いい
「言っても無駄かもしれないけどー大人しくしな?」
笑顔を浮かべそう口にする
獣はこれで大人しくなってくれる事が多い
が、人型の生き物はなぜか成功率が少ない
怖がらない様にと浮かべた満面の笑みはまるで顔に張り付いた仮面の様
鏡を持たないカナムはその笑顔の奇妙さが分かっていなかった
■レイカ > 「…………え?」
殺気を前面に押し出していた私は、その人物を見て驚いた。
その子を、私はよく知っている。
以前…そう、以前私がいた場所で、3回ほど出会ったことがある。
おとなしくしな、その言葉に従っているように私は殺気を自分の中に押し込めた。
この子は私にとって、敵にはなりえない。
いや、敵対しているとか相手にならないという意味ではない。
この子は、ミレー族に対して敵意を持っていないという意味だ。
ミレー族の敵でないなら、私にとっては敵ではない。味方でもないが。
「カナムくん……ですか?……いや、違う……。」
だが、あの場所を出た私は顔見知りに合うなんて、夢にも思ってなかった。
そこまで付き合いがあったわけじゃない、だけど私はこの子の印象はそこまで悪くない。
だが……なんだろう、この違和感は。
カナム君なのは間違いない、だけどこの子はこんな…。
そう、こんな仮面のような笑みを浮かべていただろうか。
この子は、もっと天真爛漫で……こんな、仮面みたいな笑い方はしなかったはずだ。
カナム君であってそうではない…そう思えば、私は再び視線を鋭くした。
殺気は出さず、だけど警戒だけはして。
「…おとなしくするかどうかは、キミの答え次第だ。…場合によっては、私も黙っているつもりはない。」
■カナム > 「おー成功した」
とても数少ない人型の相手へのお話
笑顔を浮かべて声をかける偉大さにうんうんと頷く
と、なぜか教えてないのに名前を呼ばれた
なんで?どうして?村や木よりも彼女が気になる
「そうだよ。僕はカナム、でもなんでお姉さん僕の事知ってるの?」
自分の気になった事を尋ねる
用事の済んだ笑顔は捨ててきょとんとした表情を浮かべる
分からないという恐怖はないが今カナムの関心は全て彼女に注がれていて
「黙らないでお話ししてよ。
なんで僕の事知ってるの?もしかして会った事有るの?」
黙るという言葉を素直に受け取ったのか話をしようと口にする
そして無遠慮にそちらに近付いて行き見上げる
敵対する恐怖や警戒を抱いている様子はない
ただ純粋に知りたい…そんな印象を受けるかもしれない
■レイカ > 「………え?……え?」
間違いない、この反応はカナムくんだ。
どこか子供じみているし、そしてこの反応。
見たことのあるそのままのカナム君に、私は余計にわからなくなってしまった。
確かに、施設を離れてかなり長くなっている。
おおよそ、一年という月日が流れているだけに彼が私のことを忘れてしまっているだけ、かとも思った。
だが、気になるのはさっきの仮面のような笑み。
いくら1年間顔を見ていなかったとはいえ、あんな笑みを浮かべるカナムくんを、私は見たことがない。
知りたがりで、純粋な魔族の混血児……。
「…本当に、カナム君なんですか?
あの…もしかして、私のことを忘れてしまっている…とか。」
やっぱり、この子は私にとって敵にはなりえない。
警戒を解き、知りたがっている様子のカナム君をたしなめた。
私のことを忘れてしまっているなら、少し話せば思い出すだろう。
それが本当に、忘れているだけ…なら。
「ええ、会ったこともあるし遊んだこともありますよ。
覚えてませんか、夏場に川辺に誘ってくれたじゃないですか。」
■カナム > 「だからカナムだよって言ってるでしょ?
それよりも、なんでお姉さんは僕の事知ってるのー?」
中々教えてくれないのでなんで?なんで?と何度も尋ねる
戸惑う様子のレイカを見つめながら返答を待つ
「忘れてる?お姉さんと僕って知り合いなの?」
質問の答えが新たな疑問を呼ぶ
会っている
遊んでいる
川に誘った
グルグル頭を揺らしたりして考える
どれだけ考えても答えが出てこない
「知らなーい。僕名前以外覚えてないから多分忘れちゃったんだね!」
アハハと笑ってそう答える
レイカとの出会い、思い出を言葉にされても何も様子が変わらない
そして同時にカナムの疑問も納得に変わる
過去に会ったことがあるから自分の事を知っていたのだと
過去にどんな知り合いだったのだろう?
こうして話しているくらいだし仲が良かったのだろうか
なら……
「ご飯じゃないのかぁ…」
ボソリと呟いて少し肩を下ろす
仲がいい上に殺気も全く感じない相手は食べられない
■レイカ > 「……………。」
名前以外全部忘れている、それはつまり記憶喪失ということか。
何か、強い衝撃でも食らったのか、それとも別の要因で記憶がなくなってしまったのか。
どちらにせよ、彼がカナム君であることは間違いない。
私のことを覚えていないというのは、少し悲しかったけれども元気な姿を見ていると、自然と笑みが浮かんでくる。
敵意さえなければ、私の素はこんなものだ。
「忘れてしまっているなら…名前からですね。
私はレイカ、このミレー族の里で守り人をしているものです。」
今いるこの防壁の向こう側が、ミレー族の里だ。
30人規模の小さなものだが、平和に暮らしていくなら問題ない規模だ。
だが、ぼそりと聞こえたその言葉は私の肩をこけさせるには十分だった。
なるほど、知り合いでなかったら私は食べられそうになっていたのか。
「おなか…空いてるんでしたら何か作りましょうか?」
里の中には畑もあるし、狩りをしてくる人もいる。
備蓄量も困りはしないほどにあったはずだし、よければ何かご馳走しよう。
彼のこと、少し気になるし…。
■カナム > 「レイカ…ミレー族ってあの引きこもりの?」
山で暮らしている中でミレー族の事は少なからず知っている
戦う力が弱く魔法か何かで隠れて住んでいる者達、それぐらいの認識
笑顔を浮かべるレイカを見上げ安心する
彼女の笑顔が敵意のない笑顔だったから
「ほんと?じゃぁおねがーい!」
今日はまだ物を食べていないので口と胃が寂しかった
わーいと両手を上げて喜んでいる
最初、レイカに向けた笑みとは違う自然なもの
以前会った時よりも幼い印象を受けるかもしれない
警戒なんてする訳もなく言われればそのままレイカに着いて行くだろう