2016/03/29 のログ
リーユエ > 「…殆どが男性の方ですから、そう感じるのだと思います。えっと、やはりそういう環境ですと、私の様な若輩者は可愛く映るものでしょう」

それなりにお年を召した方々がそういえば多かった。
子供とか、孫とか、やはりそういった方というのは可愛らしく感じるだろう、と。
では、お互いにお世話になっていると云う事にすれば良いでしょう。もう少しばかり同じ様な会話が続きそうだけど、結局はそれで収まるだろう。
不意に慌てるような様子を見せられ、不思議そうな表情を浮かべる。

「…え?いえ、変わった事を仰った様には思えませんが、如何か為さいましたか?」

まさか、自分の困り顔を見て慌てているなんて思わなくて、つい問いに問いで返してしまう。

「…仕方在りませんでしょう、こんなものを見せ付けられれば。
ただ、怒ってばかりでは何も始まりません、私には私の出来る事をやるだけ、それしか私には出来ないのですから。
リーゼロッテさんも、リーゼロッテさんの出来る事を為されば宜しいでしょう。
今は怒りを抑え、それは、この愚行を行った方々を前にした時に向けなければなりません。
…同い年でこの差ですか、より驚かされますね」

その言葉に、こうしているが、自分とて理解すれば理解する程に怒りが込上げているのだという含みを込めた言葉を返す。
だから、その気持ちは分からないでもないのだと。
年齢を教えあってみれば同い年、言葉の通り、これでこの差があるのだと思うと驚かずにはいられない。

「…いえ、やはり十分だと思いますよ?自覚が無いだけで、リーゼロッテさんはそうやって色々と頼られているのですよ」

ここで自分が出来る事といえば、治療の手伝い程度だろう。
本当ならば、もっと色々と出来る事がない訳ではない。
だけど、それを行えば立場を危うくしてしまう可能性が高くなる、不本意だけど仕方が無いのである。
それだけが、自分にとってとても悔やまれる事だった。

少女の視線が視界に同じく入る大きな鷹へと向けられた、そして、苦笑を浮かべている。
自分と話していて、そんな表情を浮かべるような内容は無かった気がするから、不思議に思えた。

「…どうか為さったのですか?私に出来る事があるなら、少しはお役に立てるとは思いますが」

だから、ついそう聞いてしまう。慣れてきたのか、少しばかり言葉も掛け易くなってきているのを感じる事が出来る。

リーゼロッテ > 若いからだと説明されるものの、自分とは対象的な落ち着いた色合いと雰囲気、水色と白の可愛らしいドレス姿と上から下へなぞるように視線が降りて、再び彼女の瞳を見つめて微笑む。
リーユエさん可愛いと思うよと、思うままに褒め言葉が溢れた。

「ぁ、えっと…何だか困ったような顔をしたから…私、思ったことそのまま言っちゃう時もあるから…」

変なこと言っちゃったのかなと誤魔化すように苦笑いを溢した。
続く言葉に何となく察されていたのかななんて思うものの、今は怒りを抑えてという言葉がザクザクと刺さり、苦笑いが深まるばかり。

「ぅ、うぅ…ユエちゃんの方が大人っぽくてしっかりしてるよ、私、今頭にきたからザムくんとやった奴血祭りだ―って飛び出そうとしてたところだし…」

同い年と聞くと少し緊張も解けて口調が更に柔らかになる、勝手に愛称を作って呼んでしまっているのもその結果というところか。
とはいえ、確りと諭されてガクンと肩を落としていたが。

「そうかなぁ、組合長さんは手隙ならって届け物押し付けるし、参謀さんにはまだお子様だと暗に言われるし…ヴィクくんは…お嫁さんと比べられたのが、ムカっときた…」

思い起こす日常は周りが色々おかしい人間が多いことで目立たぬ日常。
そして最後の辺になると愚痴っぽくなって、ぐぬぬと唸りそうな表情で俯きつつため息を吐いた。
それも隼の急かす声に消えてしまい、苦笑いになるわけだけれど。

「ん~…えっと、聞いたほうが早いかなぁ」

問いかけの言葉に困り顔で彼女を見つめるものの、口より感じてもらったほうが早かなと判断していく。
それから ちょっと触るねと一言掛け、彼女の肩へと触れようとする。
掌が届けば不意に、脳裏へ響く若い男のような声が聞こえるだろう。
何をじゃれあってるんだリゼ、早く支度しろ、我が眷属を侮辱した輩を始末に行くんだろう?と、怒り心頭に言葉を並べる響きを感じるはず。
それから隼を指差せば、急かすかのように翼を揺らしてこちらを見やっていた。

リーユエ > 少女…いや、同い年なのだから、こちらも彼女としておくべきか。
その視線が自分に向けられ、微笑むと、何だろう?と自然と思ってしまう。
そこに、可愛いと思う、という褒め言葉が向けられれば、キョトンとしてしまった。
だって、自分の方が彼女を見て可愛いと思っていたのだから、そうなってしまう。
その言葉が頭を反芻すれば、どうにも気恥ずかしくなってしまったらしい、ちょっと顔を赤らめてしまう。

「…い、いえ、私なんてそんな…。
あ、その、それは多分、リーゼロッテさんの香りかもしれません。
良い香りがして、それに比べたら私は今は薬草について教わっているので、匂いが…」

フルフルと首を小さく振って弱く否定、彼女の続く言葉に誤解があったのを知るだろう。
それを知れば、ちょっと言い難そうに、正直にそれを教えた。

「…同じ様なものですよ。私だってきっと、そういった方達の場所が分かれば…」

きっと、同じように飛び出すだろう。それは自分でも間違いないと思っている。
ただ違うのは、自分はまずその行為に反省をして貰うように言葉を交わす処だろう。
甘いと言われても仕方が無いが、それが自分なのだ。
肩を落とす彼女に、変わらぬ微笑を向ける。

彼女の唇から紡がれる言葉は、聞けば面白くも思えるような日常。
道士として、医術師として、厳しい修行を受け、努力を続けるだけだった自分には羨ましい話。
クスリと小さく笑うけれど、愚痴も含んだ彼女の話を大人しく聞き続けていた。

「…聞いた方が?」

その言葉に、また不思議そうに小首を傾げる。
声を掛けられるままに触れられれば、いきなり頭に響く声。
頭に響く為に位置が分からない、けれど、彼女が差す指を見て、そこで理解をした。

「…本当に参られるのですか?他の方々も連れた方が…いえ、それは難しいんですね?」

そうか、彼女は一人でこの愚行を行った者達の所へ行こうとしていたんだ。
それが分かれば、一人で行くのは危険だと提案をしようとする。
だけど、他の方々はこの場所の警備をしているのだった、動ける訳がない。
少しだけ考えて、それならば、と再び口を開く。

「…その、行かないのならば、それで良いのです。
ですが、もし本当にまだ行く気があるのでしたら、私もご一緒して構いませんか?」

リーゼロッテ > 褒め言葉に恥じらいの赤が見えると、意地悪な笑みを浮かべながら 照れてる~ と、逃さずに彼女の変化を指摘する。
お互いに無い物ねだりのような感情を重ねているなんて、思いもせずに楽しそうに笑っていた。

「香り…? ぁ、そっか、ユエちゃんも薬草とか触るからね…これね、森の中で草木の匂いが染みつかないようにって着けてたの」

腰に掛けたベルトのポーチから薄桜色の液体が入った小瓶を取り出すと、中身を一滴掌へ落とす。
くしゅくしゅと掌の間で広げると、ちょっといい?とか確かめるような言葉かけながら、既に両手を伸ばしていた。
彼女の髪に届けば、髪を優しく包むようにところどころ握っていき、香料を移してしまうだろう。
髪を揺らせば同じ甘い香りがふんわりと広がり、草の青臭さを不思議なほどに掻き消してしまう筈。

「…ぇ、でもユエちゃんお医者さんでしょ?」

怒っているのは理解は出来たものの、彼女も仇討をしたいのかなと思えば、何度か目を瞬かせて驚いてしまう。
まさか、諭しに行くとは思いもせずに。
それから彼女の肩に触れれば、どうやらちゃんと声は届いたらしく、意図も伝わったかなと思うものの続く言葉には苦笑いを浮かべてしまう。

「行こうかなって思ったんだけど…うん、ここはちゃんと守らなきゃだし、組合長さんも守るだけだって言ってるみたいだから」

精鋭を並べたとはいえ、何が起きるかわからない。
最大の切り札たる組合長の弟がいない分、不安も残ってしまうのだろう。
それは分かっていて、他の人を連れ出すわけにはいかずに苦笑いに歪む。

「ユエちゃんも…? だ、駄目だよ!? 危ないから…!」

自分から危ないことをしようとしていたとは思えない発言だが、とても真面目に驚きながら頭を振って否定する。
そんなことは良いから早くしろと急かす隼の声に、ムスッとした表情に変わると、そちらへと振り返りビシっと指差す。

「もーうるさいのっ! 今日は行かない! ザムくんだってここを開けて襲撃されたら嫌でしょ? だから、やるなら皆を拠点に連れて行ってから!」

しかしと食い下がろうとする隼に、駄目ったら駄目!と子供のような叱りつけをすると、隼も言葉を閉ざしそっぽを向いてしまう。

リーユエ > 赤くなったのに気付かれ、そこを指摘されてしまえば、意地悪です…、とポソッと呟いた。
それでも、それを悪く思っている訳でもないのに気付くのはそう難しくないだろう。

「…はい。えっと、それは…?」

ぱっと見は、色の付いた液体が中に入っている小瓶。
何かの飲み薬?と考えてしまうのは、医術師の悲しい性か。
だけど、彼女はそれを掌に一滴落として広げていた。そこでやっと、香水の類なのだと理解が出来た。
その手をこちらに伸ばしているという事は、その液体を自分に使ってくれるのだろうと分かる。
好意には甘える事に、大人しくして彼女の塗し易いようにするだろう。
それが終われば、自分からも香る甘い香り。
少しだけ、少しだけ、と自分に言い聞かせて、小さく首を揺らして髪を靡かせて、その香りを楽しんでみた。

「…そうです。けれど、こうやって傷付いた方を目の当たりにするのは私達なのです。
その痛みを、思いを、考えてしまえば…それを行った相手をただ許せる筈はありません」

こんな事、普段は誰に言う事でもないのだけれど。
色々とこれだけ話し合って気を許しているのか、正直にそれを言ってしまう。
そこまで言って、いけない、と口元を手で抑えた。
そして、出来れば今のは他言無用に、といった感じに唇の人差し指を当ててみせた。

「…ご自分の成すべき事が理解出来れば、もう大丈夫でしょう。
でしたら、これ以上、この事に関しての言葉は要りませんね?」

最初に会った時の事を考えれば、もう十分に彼女は落ち着いただろう。
小さく安堵の溜息を漏らした。
自分の言葉に驚き、否定する。
後の言葉はあの大きな隼との会話と思う、もう心配は無用と思って良いだろう。

「…一人よりも二人、また何かあれば何時でもお呼び下さいね?」

これは、後々の話だ。
ここまで見た感じ、一人で行動を起こさせるのは偶に危なさげな感じを受ける。
こうして色々と話し合える彼女に、少しでもサポートをしてあげようと考えて。

リーゼロッテ > ごめんごめんと笑みのままに謝りつつも、同い年の娘とじゃれ合うのも久しぶりのことで、心に溜まった暗い気配も落ち着いていった。

「友達に調合方法を教えてもらった香水、甘いのが良いってお願いしたらレシピを作ってくれたの。良かったらレシピ教えてあげるね、多分ユエちゃんの方が上手に作れると思うし」

そんな説明と共に香水を髪へと染み込ませていくと、薬草特有の香りや、草類の青臭さが交じり合うことなく打ち消され、花の香りにアクセントのように桃の香りが残り、甘く心地よい香りが続く。
髪が揺れる度に、その香りが広がり、空気に溶けて行くことで全体にその香りが染み込んだように薬臭さも和らげるはず。
甘い香りを楽しむ様子を微笑みながらに見つめ、女の子同士らしい一時に心が安らぐ。

「そうだけど…ユエちゃんって、思ってたよりアクティブなんだね…?」

大人っぽく、冷静な彼女から溢れる本心の言葉に丸い目を一層丸くして驚いてしまう。
意外と犯人を目の前にして冷静に顔面ストレートを鋭く見舞ってくるんじゃないだろうかとか、随分な想像を浮かべるも、内緒にとする仕草にクスッと笑いながらも頷いていた。

「うん、今日はしない…。もし見かけたら…ザムくんに捕まえてもらって、あとは組合長さんとかに任せる」

ここくと改めて頷くも、それでは腹の虫が収まらんと思念の言葉で呟いた隼に、ムスッとした迫力無い顔で睨みをきかせて言葉を遮ってしまう。
落ち着いたと言わんばかりにゆっくりと深呼吸すると、申し出の言葉に微笑む。

「うんっ、その時はユエちゃんにもお願いするね? あと…リゼとか、リーゼでいいからね? 同い年だもん、仲良くしよ?」

ね?と微笑みながら小首を傾げると、肩に触れていた掌を彼女の掌へと重ねようと滑らせていく。
届けば小さな掌が、彼女の手を握ろうとするだろう。

「緊張がとけたら眠くなっちゃった…。ね? 一緒のテントで休もうよ。もっと色々お話したいし」

他のテントのミレーの人達も今は休んでいるし、今のうちに自分達も休息しようとそんな誘いを。
勿論、もっと彼女のことを知りたいと興味と親近感からか、距離を詰めるべくといった思いもあるのだろうけれど。
答えを聞くよりも早くその手を引いてテントまでご案内し、テンション高く彼女に喋りかけながら気付けば眠っている。
そんな突き抜けるような明るさを取り戻しながら夜の幕が降りていった。

ご案内:「ミレーの隠れ里」からリーゼロッテさんが去りました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からリーユエさんが去りました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」にエアーティさんが現れました。
エアーティ > ―――近くのミレーの里が襲撃を受け、壊滅した…

その情報はどこからか伝播していき、他の里の警戒を促した。
ある里は里ごと別の地域へと逃げるように移動していき、
またある里は防壁を立て戦士を増やし、護りを固め、
またまたある里は結界を徹底的に強化し、いかなる魔術の眼からも逃れられるようになっていった。

あるミレーの里。
この隠れ里は珍しく人間との交流があったようで、
近くの里が襲撃されたことを知ると、
街は鎧や剣、槍で武装した戦士を向かわせ、警備に当たらせていた。

…その里より少し離れたところでは、ミレー狩りのパーティがキャンプを張っている。
メンバーは山賊上がり、ならず者の剣士、はぐれ魔術師、チンピラ…などなどの15名ほどで構成されている。
依頼主から武器は借り受けており、投石器や移動式の大砲が備え付けられていた。

先日な大規模な襲撃により各里の警戒が強化。
また別の輸送団が何者かに壊滅させられる事件…。

ミレー狩りが困難になるとミレーの単価が上昇し、
参加するならず者は後を絶たない。

…今夜だ。
パーティのリーダーである、髭面の男が言った。
エアーティはそれを聞くと、自らの得物を取り出し、手入れを始める。
今日の得物は身の丈ほどもある大鎚。
先日森で出くわした大型のオークから奪ってやったものだ。
樹に大岩をロープでくくり付けただけの原始的なシロモノだが、なかなか頑丈なので気に入っている。

「今夜も楽しくなりそうだ…」

幾つかの里の襲撃に加担しているエアーティは、武器を眺めて舌なめずりをする。
先日の襲撃を思い出すと、股間がムクムクと起き上がってしまう…。
エアーティにとってミレー狩りは最高の仕事の一つだった。

そして、夜が訪れる。
月明かり一つ無い、闇夜だった。

エアーティ > 指定の位置に移動を終えたパーティ達。

大砲と投石器を設置すると、魔術師が突撃するメンバーに魔法をかける。
ミレーの結界を無効にし、通り抜けるための魔法だ。
厄介な事にもっとも簡単な禁忌の一つであるため、表の魔法使いはなかなか知り得ない術である。

全ての準備が整った。
設置された大砲が、集落に向けて火を噴く!

着弾、爆発音と共に、いくつかの家から同時に火の手が挙がる。
警備隊の中に裏切り者が紛れ込んでいたのだ。
さらに続く投石器からの飛礫の雨により、里は混乱の極みに陥った。

「おおおっ!行くぞおおおおっ!!」

疲弊した所に雪崩れ込む突撃隊。
行く手にはミレー側の戦士が立ちはだかる。

「どけええっ!!」

エアーティが大鎚を振るうと、目の前の敵はまるで掻き消えるように消滅した。いや、粉砕されたのだ。

逃げるミレー族を捕らえつつ、警備兵を薙ぎつつ、エアーティ達は里の中央に進軍していく…