2015/10/15 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にケイシーさんが現れました。
■ケイシー > ミレーの隠れ里の一つに程近い空の上。
蝙蝠の翼をふるい飛ぶ猫が居た。その手には何かの包み。
うっすらと、藍色に湿っている。
「ソ〜、は宇宙(そら)葡萄〜♪ ラ〜、も宇宙葡萄〜♪っと。
んん〜、こっからはボチボチ歩きますかねぇ……」
バサリ、着地。蝙蝠の羽根だったものはマントに姿を変えて蝙蝠猫の身体を包み込む。
すいと立ち上がる姿はもう猫のそれではなく、しかし猫の面影を残したミレー族の少年
(ブーツとマント、三角帽子だけを身に纏っている)へと変わっていた。
「あ〜あ。どうせだったら服もパーっと着替えさせてくれりゃいいのにさ〜面倒くせー」
誰に云うでもない愚痴をこぼしながら、少年は被っていた帽子から着替えを取りだし、
シャツやら何やらに袖を通していく。
■ケイシー > シャツのボタンを二つ程留めた所で、上耳がク、クッと動く。
何かの物音。すかさず杖を手繰り、樹の幹に身体を隠し、そっと音のする方を伺う。
目を凝らせばその先に、うごめくゲル状の何か。
その中に、20〜30センチ程の小さな人影のような物がもがいているように見える。
スライム系統の魔物に捕まった小人か、はたまた妖精か。
ケイシーは急いで飛び出すような真似をせず、辺りを注意深く観察してから、ゆっくりとその塊に近づいていく。
ゲルの中でもがくナニモノかは、徐々に動きが鈍くなって来ているようだ。
少年は小首をかしげ、まるで猫が身動きのとれない獲物の様子を伺うようにソレを眺めていたが…
杖を持ち上げ、無感動にゲルへ振り下ろした。
■ケイシー > パチュン。
杖に込められた魔力が、その中のモノともどもゲルを飛び散らせた。
付着したゲルの体液を、何度か杖を振って落とす。
「はいハイ、名演技お疲れさん…」
ヨウセイモドキ。あたかもスライムの中に妖精か何かが取り込まれたように擬態する魔物。
小さなヒトガタの部分はコアでもあり、疑似餌でもある。
チョウチンアンコウの頭部から垂れ下がる、ヒラヒラとうごめくアレのようなものだ。
犠牲になるのは、同類が捕まったかと思った早とちりな小人や妖精。
稀に、何とかしてやろうとする心優しい子供などが手や脚を持っていかれる事もある。
「…はぁ〜あ。こんなのが居るようなら、ちょいとガキどもにゃよく言って聞かせねぇとなぁ…」
近場に他の個体が居ない事を確認すると、そう呟き、葡萄の包みを拾い上げる。
隠れ里の入り口は、もう近くだ。
■ケイシー > 鼻歌まじりに木々の間を行く。
隠れ里の入り口から敢えて離れた場所で立ち止まり、誰も居ないか辺りを伺う。
里へ入る際に後をつけられ、里の者が奴隷にとられた事例も有る。
奴隷目当ての人間以外にも、魔物や物の怪の類も気をつけたい。
ボソボソと、デタラメな合言葉を呟く。幼稚な手なのは自覚しているものの、念には念を。
この距離であれば、ケイシーなら『出入り口』を介さずとも里の中に入る事が出来る。
追手など特にはいなかったのだろうが…もしそのような者が居たとすれば。
その輩には、小さな猫背の魔法使いが急に居なくなったように見えただろう。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からケイシーさんが去りました。