2020/10/24 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にレナーテさんが現れました。
■レナーテ > 城塞都市の門へと、ならず者達の馬車が近づいていく。
近隣の村へと出向いた彼らの狙いは食料や金品といったものもあるが、やはり欲望を満たす女体が多い。
馬車の後ろに回った衛兵に、粒ぞろいだと笑う男達。
垂れ幕をめくりあげれば、中にはミレー族を含めた女子供が詰め込まれ、差し込む月夜に浮かぶ下卑た笑みに総身を震わす。
これはさぞ楽しめそうだと許可を出そうと垂れ幕を離した瞬間、周囲の茂みから閃光の弾丸が放り込まれる。
周囲に着弾すると同時に強烈な青白い光を発するそれは、夜にはより強力に目を白く焼く。
眩しさによろける男達へ、身を潜めていた少女たちは獲物を狙う肉食獣の如く、照準をあわせていった。
パシュっと弾けるような音と共に魔法の弾丸が放たれ、男達を次々に貫く……が。
「っ……!」
反撃のスキを与えぬ一斉射で男達を始末したのは良いが、倒れた一人が振り回したハルバードが馬車の車輪を叩き割ってしまった。
がたんと傾く音は城塞にも伝わっただろうか、門の方を狙うように仲間にハンドサインを送ると、数名を連れて馬車の方へ。
勢いよくのれんをめくるも、耳を生やした少女達の姿に安堵するのが見えれば、急いで彼女たちを馬車から引きずり出していく。
『馬車が壊れました、リトルストームで回収をお願いします』
旧神の眷属たる彼らの通話域を通して念話を伝えると、空で待機していた仲間が降下する。
人一人余裕で乗れるような巨大な隼、リトルストームが運送用のカゴを掴んだまま降り立つと、そこへと捕まった人たちを乗せていく。
待機していたカゴは本来自分達の撤退に使うものだったので、乗員オーバーである。
「ドラゴンフィートまでいったら、戻ってきてください。私達は次の便で帰ります!」
前衛は自身だけとなってしまうが、後方には長距離から狙撃が出来る仲間が控えている。
道の傍、茂みの濃い場所に陣取りながら、魔法銃を門へと向けて構える。
仲間達にも敵が此方に気づいたら撃てと命令を飛ばし、今は静かに息を潜めて様子をみるばかりだ。
■レナーテ > 夜の闇に溶け込むように空へと舞い上がる鳥達、それを見送ってまもなくのことだ。
外に止まったままの馬車に気づいた兵が、馬車の傍へと近づいてくるのが見える。
暗がりに屍がはっきりと見えていないことは幸いだが、近づけば確実にバレるのは明白。
『撃てそうですか?』
『勿論~、こっちからだとお間抜け面よく見えそうだよ~』
『こっちは木々に遮られて見えづらいけど、行けるかな』
単眼鏡を覗き込む仲間へ、念話を通して狙撃の可否を確かめる。
発射のタイミングは狙撃手の少女たちに委ねていき、自身はライフルの構えを解いた。
代わりに銃を背中へと回し、背負った状態にすると深い呼吸と共に己の血を強く巡らせていく。
猫科らしい瞬発力と靭やかさを活性化させていき、一気に距離を詰められる準備をおえたところで、近づいた兵士の目が丸くなる。
胸を打たれ、頭を撃ち抜かれて絶命している仲間を見て、声を張り合えようとした瞬間……光弾が頭部を貫いた。
普段なら胸を狙うが、一撃で黙らせるという点と、先程までの兵士達と違って、略奪品らしい血錆残るフルプレートアーマーをまとっていたからだ。
フェイズガードを上げて、ツラを晒した瞬間を逃さず穿けば、此方からは見えないが、銀色の兜の中に脳症がぶちまけられたのは間違いない。
コントロールを失った男の体が崩れる瞬間、ダンッと一気に地面を蹴って駆け出すと、滑り込むようにして男をキャッチする。
倒れた瞬間の甲冑の音で気付かれては元も子もない。
ギリギリでその体を抱えることは出来たものの、結構な重たさに四苦八苦しながら抱え直し、ずるずると茂みの中へと引きずり込む。
銀色の体が目立たぬ様に隠せば、自身も茂みの中で待機しながら帰りの便を待つ。
そう長くはないはずだが、切迫した今となっては一秒が何倍にも伸びて感じてしまう。