2020/06/17 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にティクスさんが現れました。
ティクス > 【継続となります】
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にグライドさんが現れました。
グライド > (此れが、統率された騎士隊であったならば
其の独断専行、或いは単独突破は許される筈も無かっただろう、が
所詮傭兵とは寄せ集めの烏合の衆、誰かが其れを行ったとて
馬鹿め、と罵られこそすれ、自己責任故に顧みられる事は無い
既に退却を始めた傭兵達に、細かい指示役なぞ必要は無く
故に、旗持ちを止めた訳だ、が

――殆ど事故の様に、目の前に居た兵士たちが跳ね飛ばされる
盾を構えた上での突進を例えるならば、巨獣の其れと何ら変わらぬ
無論、幾人も弾き飛ばせば当然、其の分速度は落ちて行くが
其れでも、其の行く手を阻むには少々足りぬだろう

僅かに許された時間で、即座に逃走を選択する辺りは流石と言いたい所だ、が)

「手ぶらで帰るなんざ、勿体ねぇからなぁ…!」

(豪放たる声が、果たして女の所まで届いたかは知らぬ
城壁まで辿り着かれれば、流石の己も追う訳には行かぬ、が
目的の一つは、其処まで追い込めれば十分に達成出来る
盾兵の隊列を崩されかねない脅威――即ち、重弓の使い手に仕事をさせぬ事

亡霊の軍団の間を縫い、追いかける其の背中には
丁度、絶妙に追い付きそうで、追い付けぬと言った所
けれど、其の先、王国軍を追撃する形で旅団兵が進軍し
城壁と、殿との間が、ほんの僅か拓けた瞬間に

――腰に巻いていた、両端に重りの付いた縄を振り上げ
足止め目的で女へと向けて、投げつけんと)。

ティクス > お互いに、戦のセオリーとはずれた思考。外れた行動。だからこそ、対応し損ねた。
結局一番良いのは、即逃げに入る事であり。少々遅れただけで、それを選択したのだが。
ごく僅かだとしても、発生してしまったタイムラグは、二人の距離を詰めさせてしまう物。
単身敵地に取り残されても、構わないのだという素振りで。あの男は突っ込んで来る。
その上少女の方は、混戦する敵味方の隙間を縫い、回避して迂回して、どうしても直進しきれないものの。
男の方は馬力と硬さに物を言わせて、最短距離を一直線。
破砕音だか悲鳴だか、迫る轟音に、男との相対距離を感知させられてしまいつつ。
それでも。足は止まらない。止める訳にはいかない。何せ。

「さ…っすがに、同じ奴に、二度も捕まってたら…!
どんな噂が立つか、知れたもんじゃない…だろ…っ……」

否。男女の噂などというような、生易しい物である筈がない。
捕虜の身となりながら、返されて来た。それだけで、造反や内通を疑われても仕方がないのだ。
更にあの時は。明らかに、性交の痕も残していたのだから。
捕まった際何をされたか…調教や屈服、快楽による洗脳すら行われたのではないか。そんな考慮をされかねない。
これで同じ事を繰り返したなら、立つ瀬も無いし立場も無い。
運良く色に狂わされた間者という疑いは晴れたとしても。所詮はメスだガキだと嘲笑われるか…牝、扱いへと堕とされるのかもしれない。

そんな意味でも、あの男に二度捕まるのは真っ平だ。
だが、どうやら。前回と良い相手には、予想以上の、投げ物の才が有るらしく。

「―――― っ……!?」

投げ付けられたのは、鳥追い等で使われる捕獲道具だっただろうか。
足首に縄がぶつかれば、錘に加わる慣性と遠心力で。たちまちぐるぐると絡み付き…
堪らず、バランスを保てずに前方へ転がった。
勢いが止まらず、もう少しだけ前へと、転倒しつつ滑り込む事にはなるのだが。
きっと相手は、立ち上がる暇を与えてくれないだろう。

捻っただろうか、軋む足首に小さく舌打ち。
縄を切る手段は有るが、その時間すら無いだろうと踏んで。手に取る得物は矢張りボウガン。
仰向けに転がった侭で膝を立て、それを台に男へと…向け、ない。
将星の先に捉えるのは、後退していく男の仲間達。
追い付いて来た騎士へと対処を強いられて、独り移動した少女には気付けないだろう、その無防備な背中。
狙いを定めた所で、もうここまで到達するだろう男へと、声。

「…来る、な…っ。解るでしょ?
それ以上近付いたら、仲間が死ぬよ…って。陳腐な台詞で悪いけど、さ?」

グライド > (投げ縄は――直撃した
元より、使える物なら何でも使うと言う傭兵の性質に加え
場合によっては盾すら投げて、攻撃に使うと言った術も有る
其の為に、投擲の訓練は、随分と行って来た物だ。
絡め取られ、身動きが出来なくなって転倒した女との距離は一気に縮まり
其れこそ、「あとわずか」まで、追い詰める事が適う、が

――相手も、決して、諦めが良い方では無いと知って居る
向けられたのは、己も知る矢尻――否、正確には、己では無く、その後ろに
決して隙を見せている訳では無い、だが、後退している傭兵達の背中
其処で、一度勢いが止まれば、女へと手が掛かる寸前で漸く、止まるだろう。)

「―――――馬鹿言ってんじゃねぇ、戦場で責任が取れんのは、てめぇの命だけだぜ。」

(そして――告げる、言葉。
逃げ行く同胞達の命を天秤にかけられて尚、言い放つ姿は
戦場にて一切の迷いなく――ただ自らのみを、貴ぶ
仲間であることまでは否定すまい、生きて戻り、酒場で出会えば
帰還を労い酒を酌み交わす中で在る事に違いは無い
だが、其れでも――手を伸ばせる物は、少ないのだ

この戦場で、既に何人の仲間が死んだだろう
死傷者なしで残れた事なぞ、未だかつて経験は無い
其れが――傭兵と言う、生き方だ。)

「捕まるってぇのに、狙撃一人分じゃ割に合わねぇんじゃねぇか?
戦果を確認してくれる奴も、居ねぇんだからよう。」

(そうして――盾を構えた、儘で。 一歩、一歩、女へと近付いて行く。
其の切っ先が何時、己へと構え直されても良い様に)。

ティクス > 何でも使う。是が非でもどうにかする為に。
その発想自体は。傭兵である男も、盗賊である少女も、きっと同様の物。
だからこそ男は、盾に拘る事なく、別の道具も使ってみせたし…
少女の方も。一般的には卑怯だのと罵られるような手段すら、平然と選択する。
こんな時、戦場で優先するべきなのは。自らが如何にして生き延びられるかであって。
名誉有る敗北だの、誇りを貫いた殉死だの、そんな物には何の価値も見出さない。

…だから。一旦止まりこそしたものの。
最終的には男の方も、同胞よりも自らを優先し。再びこちらへと歩みを進め出す。
それはそれで、充分に有り得る可能性なのだと。少女の方も考えてはいたのだろう。
そうなれば躊躇う事なく。引き金の向く先は、他の傭兵ではなく、男へとすげ替えられて。

「それは、残念だ…ね。覚悟の決まってるような奴じゃ、アテにはならないというか…
こういうの。多分あっちも、同じだから。言ってるんだろうし」

同じ傭兵達。万が一の時など、示し合わせる事もなく、共通の認識なのだろう。
誰が生きて誰が死んでも、恨みっこ無し、に違いない。
これで、矢の届く範囲に――例えば。無力な一般人の虜囚や。盗賊団に囚われた奴隷等が居たのなら。
躊躇なくそれらを人質にしていた筈ではあるものの。
ともあれ戦場に巻き込まれた者ではなく。自ら望んで立つ者達に、この方法はあまり有効ではないらしい。
そして、これで撃ってしまえば…人質が死んでしまえば。結局そこで選択肢が失せてしまう。手詰まりになる。
危惧と危機感で足を止めさせる事が出来ない以上。速やかに策を考え直す事にする。

…幸い、勢いの殺された合間に。絡んだ縄を切る事だけは出来た。
案の定、刃物を追加装備しておいて良かったと。早速役立った事に苦笑しつつ。

「別に、戦果が欲しい訳じゃないよ。其処は兵士とか、傭兵とかとは違うから。
けど本当に。今回は捕まってやれないんだ、やらなきゃいけない事とか、約束とか、色々有るから。
――例えば。王国軍が苦戦してる…あの不死身の騎士達のカラクリを。調べる事とか、ね…?」

嘘ではない。けれど、本当でもない。フェイク混じりの台詞。
不明点の多い騎士達を調べる、その約束を。とある人物と取り決めたのは本当だ。
しかし相手は一個人であり、私的な調査依頼でしかない…それを態々、王国軍という単語を出して。
さも、軍の人間が。…現状彼が雇われている側の者達が、少女に粉を掛け、手引きさせようとしていると……
自分は今、王国側だと。お前達と同じ側なのだと――誤解させる、そんな言い草。

勿論、言葉だけでどうにかなるとは思わない。
特にこの男の場合。裏にどれだけの理由や理屈が有ろうと、結果として、自分自身の意思を優先してきかねない。
だから、動き続ける口とは別に、頭の方も。色々と考え続けていた。

例えば。動きの遅い騎士達が、それでももう直、追い付いてくる筈だとか。
散々蹴散らされた盗賊団の者達も、傭兵達が退いたなら、此方に戻って来る筈だとか。