2020/06/12 のログ
■グライド > (下がって下がって、其処に逃げ場が無ければ
最終的に待つ末路は、誰だって想像が付く筈だ
楽な方に逃げたがるのが人間のサガ、されど、時に必要なのは
命を張って、命を守る強引さ、だ
何よりもしも相手が、この騎士達が、再び蘇って来るのなら
この場で、ほんの僅か倒した所で何の意味も無いのだ。
勝つか負けるか、と言った戦争の本質は最早通用しない
今は、如何に生き延びながら、奴さんをぶん殴って帰れるか、だ)
「良いぞ、其の儘押せ! 功を焦んなよぅ、塊を崩すんじゃねぇぞ…!」
(じり、じり――ぶつかった前線同士が、押し上げ、押される
一進一退の攻防はされど、戦況を五分にまで押し戻しつつあり
――そんな、折に。 ほんの僅か、敵方の兵が隙間を空けた、其の瞬間
己が左右に居た傭兵達が、次々に矢を食らい、膝をついた
幸い、食らった個所を考えれば致命傷では無いだろう、が、戦場では其れだけでも「致命的な」負傷だ
ちっ、と小さく舌打ちをした刹那、脳裏に思い描いたのは、以前の記憶
自分達の敵が本来、騎士ではなく、何であったかを思い出させる其れに
眼前に居た盾兵手と刹那、前蹴りを食らわして、一度、距離を離し。)
「弓隊のお出ましだ! 盾で陣形を組め! 隙間を空けるんじゃねぇぞ!」
(告げて、がちりと前面に向けて構える盾。
己だけではない、盾を携える傭兵達が全員、円陣となって隙間を固める
木矢程度では通さぬとばかりの、堅固な陣形を咄嗟に取れるのは
騎士ならずとも、戦場に生きる者ばかりだから、かも知れぬが。)
「ようし――――叩けぇ!!」
(――其処で、不意に号令が、其れまでに無く抽象的で――そして
何よりも、此れまでで最も攻撃的な怒号へと、転じた
瞬間、其れまでは戦線を押し上げて居た傭兵達が
左右に展開した盗賊達、弓兵隊へと向かって、一気に突撃を仕掛ける
切り込んだ傷口を、大きく抉じ開け、拡げて仕舞う様に
縦に押すのではなく、左右に翼を広げ――其の、向こうに
王国軍騎士、本隊が進軍する為の路を、拓かんと)。
■ティクス > 必然的に、前へと、盾を構えているのだから。側面が空くのは道理。
故に突出してきた頭を、挟んで噛み付くかのような。左右からの挟撃が行われる。
一旦押されざるを得なかった騎士達が、敢えて前進を許した後に両脇から斬り掛かる。突き込む。
先んじる形で少女その他も矢を撃ち込んでいるのだが。
「…対応、早っ…それでも、其処で止まるって、なら…」
即座にぐるりと組まれた円陣が。右の斬撃左の槍撃、序でに続く残りの矢達も防ぐ様子。
視界外からの攻撃に、慌てふためいてくれたなら、更なる追撃が大きな効果を発揮出来た筈なのだが。
速やかな陣形の変化と、負傷者達を中央に庇う態勢の早さには。目を見張る物がある。
とはいえ。それでも、空くだろう部分を考える。例えば――頭上、だとか。
其処に放物線を描いて炸薬でも放り込もうか、と思案し始めた。その直後。
「っ、は!?ちょっ、ちょっと待って…!?」
充分に擦れているし慣れている。そう自認する少女だが…流石に、虚を突かれた。
固められた防御、というか、一団を引っ張る男に自然と意識が集まってしまうタイミングで。
盾役とは違う傭兵達が一斉に。右へ左へ噛み付き返す。がむしゃらに突っ込んでくる。
そもそも騎士の後方に居るからこそ、狙撃に集中出来る弓兵達が。
隙間を縫ってねじ込まれる傭兵達の攻撃に、慌てて後退を余儀なくされていく。
少女も、その中の一人。動転と…そんな自分自身に対する舌打ちを飲み込み、退がろうとしつつ。
例外は。矢張り、人外めいた騎士達だ。
討たれれば崩れるとはいえ、其処に至るまでに必要な攻撃も、普通の人間よりまた多い。
普通なら致命傷。そんな攻撃を何度も受けて、ようやく停止するような存在。
そんな者達は、一旦抜かれたからといって、盗賊達のように慌てる事は無く。
殆どはこの機に押し寄せようとする王国軍を妨げつつ。
…ある程度の数が転進する。
前進する傭兵達に割かれた、左右の騎士達が。彼等の後方で合流して反転してくる。
前で護る者、後から戻って来る者、前後からの…否、左右には盗賊達が残り、前後左右。
踏み留まった傭兵達を包囲せんと。
■グライド > (互いに、対応、対応、そうして何方が先んじて上回るか
速さで負けた側が、当然形勢を不利とする
此方は相手陣へと踏み込んで居るから尚更だ
彼方も決して、無意識に此方を引き込んだ訳では無いだろう
其れは、騎士を相手取って居る事を考えれば、当然か
されど――此方も、此方で年季が違うのだ。
其の儘左右の騎士ごと、盗賊達を蹂躙出来れば御の字であったのだが
流石に其処は歴戦の、例え其れが虚ろな存在であったとて
決して侮れぬ兵ども、らしい
人間よりも圧倒的な頑丈さを持ちながら、一度崩れた陣形を立て直し
此方の後方へと回り込んで来るのが見て取れる
騎士隊が前後を、盗賊が左右を固めながらの、完全包囲
進軍を待っていた味方の騎士本隊は、足止めを食らって合流する様子は無く
自分達が開いた血路も、生憎乍ら此の儘では生かされぬ、か
―――――なら。)
「――――――……おう、亡霊共は放って置けよ、てめぇら。」
(――周囲を固める傭兵達に、意思の統一を図って声を零せば
次の刹那――盾の壁が、左右に割れる
前後の騎士達には目もくれず、左右に構える盗賊達へと向けて構えれば
今度は、一部だけではない、傭兵の群れが完全に二分割され
盗賊団が固める場所へと狙いを定めて、突進を掛ける
幾ら通常の盗賊と比べ、統率され、訓練されて居るとて
其の戦力と経験値は、騎士ほどでは無いと――知って居る、経験している
騎士隊に守られていたが故の弓兵隊構成に対して、盾の壁が迫れば
其の儘盗賊達を轢き飛ばしながら、ぐるりと本隊の側へ向けて、回り込み、撤退せんとするだろう
そうして――其の、最中に。 己は、ぐるりと左右に視線を巡らせた。
そうして、騎士の壁が失せた盗賊の中に、己が知る、其の貌を見つけたなら
兜の下、僅かだけ、口元を吊り上げ。
――其方へと向けて、突進して行く筈だ
何時かの様に、そして――其の時よりも、戦場と言う場の空気を纏い
戦車の如き、圧力を以て)。
■ティクス > 即断即決が物を言う。
しかしそれだけではまだ足りない。作ったタイミングを、有効打に変えるだけの打撃力も要る。
その点騎士と、そして傭兵には問題ない筈。どちらも、歴戦に裏打ちされた力を持っている。
だが盗賊達は違う。勿論、そうでない者も大勢居るのだが…突っ込まれたこの近辺に居るのは、若い弓兵が主だったのだから。
距離が詰まってしまうと。必然的に優位性を失ってしまう。
何より、身の丈ほどもあるような大盾が、壁のように並んだまま、突進してくるのだから。
その迫力に圧されない者は…そう多くないだろう。きっと。
唯一、重装鎧の重さ故に。判断こそ早くとも、移動速度その物は遅いだろう騎士達が。
挟み撃ちの距離を詰めきるより前に。弓兵達を蹴散らす形で、傭兵達には退散されてしまいそうだ。
とはいえ後詰めの王国軍の方も、戦線を維持し続ける残りの騎士達に足止めされて、突破しあぐねたようだから。
…一応。今日の所は痛み分け、と言って。良いのかもしれないと…
「…思って、其処で終わっとけよ――!」
何だかんだで、此処は速やかに…他の傭兵達と退いてこその、プロなのだろうに。
あの男は一人残った。そして此方へと突っ込んでくる。
迎撃側の騎士達が護ってくれると良いのだが、傭兵達に右往左往する弓兵達が邪魔になり。
なかなか、合流する事が難しそうだ。
見る間に距離が詰まる中、必死に、頭を巡らせる。
前回のような煙幕は、また自爆しかねない。まして今回、敵も味方も大混戦の状況では。巻き込んでしまう者が多すぎる。
先日拾った撒き菱も考えたが。…騎士と同じか、それ以上に頑丈だろう、あの男には通用しなさそう。
そしてそもそも。距離を活かして狙撃に専念するだけの余裕は、もう残っていなかった。
正直お手上げで白旗でもあげたくなるが…そう思うだけであって。勿論実際に降伏する気など、欠片もない。
幸い、こちらの方が身軽だ。そして、跳ね飛ばされるのだとしても、大勢の人間達が、障害物となっている。
だから、もう脇目も振らずに。男が迫る方とは真逆、城壁の方へと駆け出しつつ。
「――――にしても。…言ってくれるね…」
彼の言葉が引っ掛かった。
――亡霊、と。なるほどあまりに良い得て妙で。そう考えてしまいたくなる言葉。
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