2020/04/23 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にゼロさんが現れました。
■ゼロ > 城塞都市アスピダ――――その場所には、少年もたびたび立ち寄ったことも有る、王国軍第七師団として、タナール砦との中継地点故の事。
その外周部分、森の中に隠れながら、少年はアスピダの城門を、外壁を眺めていた。
その報が入った後、少年は直ぐに駆けつけることにした、第七師団は勇猛な戦士の集まりであり、対魔族の軍勢とも呼ばれる師団だ。しかし、対人戦闘が出来ないと言う訳ではないし、不得手と言う訳でもないのだから。
少年は将軍の命にあり、普段は軍から離れ一人で国内の対魔族戦闘や、国の不穏を調査したりしている故に、第一に走った。
情報と言う物は大事だ、それにより軍がどう動くかを選ぶことが出来るようになるし、相手の戦力を知ればそれに対応した行動もできるようになるのだ。
それに、何時までもここを占領されてしまえばタナール砦に補給が上手く行かず、それ故にタナールの第七師団が窮地に陥ることも考えられる。
しかし、少年は一人でこの砦を落とせるか―――それは否、である。
此処の将は、音に聞こえた将軍であり、少年のような存在が一人で突撃しても突破は不可能。
なれば、少年に出来る事は、少しでも情報を収集する事、そして、少しでも戦力を減らす事。
国の為に、民の為に。税金で生きる兵士だからこそ、生かされている兵士だからこそ。
少年は、其処に立つのだ、焦ることは無い。
先ずは、地形と、罠、外周から見える人員や、外壁に配置されている魔導機械などの状況、それらを確認する。
そして、侵入できるのであれば侵入し、中の状況を確認する。
最後に、適戦力の把握や、威力偵察という所だろうか。
今はまだ、足並みもそろうはずも無い、我が師団長は直ぐに動くだろうことも想像できる。
故にまずは、少年のすべきことを、偵察を、行うのである。
外周より、闇と森に溶け込みながらの偵察を開始する。
偵察を続けた少年は、全身鎧だという事を感じさせぬ静かな動きで、するりと、滑るように進み始める。
■ゼロ > 「――――。」
少年の仮面は、闇夜を見通すためのモノであり、この暗い中、明かりなどを一切持たない理由となる。地面も木々も全て、全て、少年の仮面は把握し、少年の視界に写すのだ。
矢張りというべきか、歩哨が立っている、だから少年は必要以上に近寄ることをせずに、遠巻きからの様子見を敢行するのだ。騒ぎを起こすのはまだ先でいい。
それに、だ上の保証の中に一人、油断なく警戒をしている人物が見える。その警戒は―――何となく自分と同じ性質のものを感じる。
だから、一層以上に注意をするのだ、見つかってはならぬ、と。その獲物は遠くを攻撃するための、武器。見つかれば射抜かれることも覚悟をする。
するり、と滑る様に地面を踏みしめ、音もなく移動する、木から木へ、影から、影へ。
今必要なのは、城壁の窓や、形、それに警備状況である。城壁などに関しては、王都に地図などはあるだろう、それは向こうも知っているはずだ。
なので、今一番と思うのは、警備状況である。先程から気になるのは―――
「やはり、あそこだ……。」
城壁に腰を掛けて油断なく警戒をするクロスボウの兵士。白銀の髪を持つ人物。
他の兵士などはやる気が見えないが―――その存在は危険だと少年はひしひしと感じるのだ。
故に、その存在が居る場所を嫌うように、少年は動く事にする。
回り込み、外周を確認しきることにするのだ。
■ゼロ > 「―――――。」
見つかった。少年は把握する、動きがあるのだ。それは―――交代などの動きではなく、明らかな、警戒。
武器を持ち上げ、そして、迷いなくこちらの方へと向けてくるその動きは、見つかっているとみていいだろう、しかし。そこで一つ疑問が浮かぶ。
―――何故。
射撃が来ない、見つかったのであれば、牽制なり、威嚇なり。将又獲物をしとめるように攻撃をしても良いだろうが、それが無い。
しかし、射線は、意識は、視線は此方に向いているのは間違いなく、自分が大きく回り込むように動いても、その気配は着れず、此方を狙って居るのが判る。
だから、一層判らない、何故あの兵士は此方を撃たないのか、何かの命令を受けているのだろうか。
問いかけようにも問いかける事が出来ず、然して警戒を解くこともできず、何時その一撃が来るのかを警戒する少年。
只々、城壁の警備の視界から逃げるかのように大きく動いて、進むのだ。
その動きは間違いなく、斥候の動きであり、この城塞都市の弱点を再認識、再確認するための動きなのである。
「―――。」
思考する。
此処で騒ぎを起こせば、他の警備も動くだろう、そして、その後を考えるなら下策。
少年は、攻撃をしてこないなら、大きく動くのを、自分の中で禁じつつ、城壁の、外壁部分を探る様に森の中を進むのだ
■ゼロ > 矢張りという思いが浮かび上がる、城壁の上の物見は、自分の事を認識している、そして、視線が追いかけてきている。
なのに―――撃たないのだ、その場所からならば、自分の移動の最中に撃つことが出来る、その位置に居るのにもかかわらず。
其処には、躊躇の気配も感じられるが、然し流石に距離が遠く、その気配が正しいのか、少年の希望的観測なのかまでは、判断が出来ずにいる。
故に、躊躇していると判断しないことにした、希望的観測は一番危険な認識であるから、何かの命令を受けて撃たないのだと結論を出す。
この場所を占領している者達―――血の旅団だったか、過去には、唯の夜盗として存在していたはず。
それが、討伐されて、そして復活している、今のカタチとして。
何かの目的があるのだろう、その目的が何なのだろうか、占領した後の動きを見せない彼等、まだ占領したばかりというのもあるだろう。
外壁部分、外周部分の確認は終わる、次は内部の確認が必要だが、流石に今は難しいだろう。
此方を見ているその弓兵、特に自分が回り込みながらも城壁に近づこうとすると反応するのだ。
入れるつもりはないと言いたげであり、今は入ることが難しい、今はいれば恐らく騒ぎになる、故に調査も難しくなるだろう。
彼女の視線から逃げるように、一本の木の後ろに身を隠すことにする。
「――――。」
何か騒ぎがあれば、若しくは交代があれば入ることはできるようになるだろうが。
若しくは、一度戻り、地図を記憶した方が良いだろうか。――否だ。一介の兵士では地図を見る事が許されないだろうし、貴族も許してくれないだろう、将軍のように高位の型の許可が必要だ。
ならば―――、少年は木の裏で隠れ、思考を這わせる。
■ゼロ > 「っ。」
ふと、少年は息をのむ、兵士の警戒度が上がったのが理解できた、此方を狙う視線は変わらず、しかして。彼女の獲物が変わるのだ。
クロスボウはクロスボウでも、更に大型に、強力な弦を使ったものになる、あれは威力を重視したモノであり、一回毎の連射性は失われようとも、一撃の威力は高くなる。
そう、鉄の鎧でも打ち抜けるような其れ。明らかに、自分の装備を、打ち抜くためのそれとして持ち出したのであろう事が伺える。
こうなれば、我慢比べに入るべきだろうか。
彼女の交代なり、騒ぎなりを待ち、彼女の視線が外れたときに、忍び込むのは十分にありだと思える。
一度戻り、体勢を立て直す―――というのもありだろう、今は完全に警戒されていると言って良いだろう状況でもある。
流石に、この木を打ち抜いてと言う威力は無いと思いたいが、どうなのだろうか。
念のために、と少年は動くことにした。
――もう一本奥の木に、盾にする気を一本ではなく、二本に。
その状態にして、少年は、じっと待ち続けることにする、もう少し待ち、変化が無いなら、一度離れて隙を見ようと決めた