2021/08/10 のログ
■影時 > 「長じていりゃ、そのうち変身の要領で身の色を変えられそうな気もしなくもねェよなぁお前さんらは。
そういうこった。この辺りでありふれた色で身を包んでいりゃ、輪郭をぼかせばそれだけで見つかりにくくなる。
それ等も込みでの隠形よ。……何やこれやと凝ると、片手落ちになりかねねぇからなあ」
駆け出しにありがちだが、大は小を兼ねるような技や奥義を得ると、その術技一辺倒になりかねない。
免許皆伝を出した以上は弟子はもはや素人ではない。其れなり以上の熟達者として、導く必要が己に出てくる。
その意味に於いて時折初心を示唆することは、大事だ。
敵地に強い緊張なく、自然体のままで潜入できるとしても、教えておくべきことはまだまだ多い。
「敵じゃねぇかもしらんが、緩めるなよ。
あまつさえ爪牙を持ち、更に火を吐く。それだけでもう脅威だ。
我ながら怖くなってくるじゃねえか。
だから、慎重になンじゃねぇか。手綱を離して大暴れされちまったら、元も子も無いぞ?」
ここには、竜殺しの大小の刀が揃っている。扱えるものが扱うならば、斃すという一点に不安は薄い。
だが、斃すとなれば良く考えて斃さなければならない。
暴れ出すならば、その前に確実に止めなければ、この根城は哀れな捕虜ごと灰燼に期す。
確保して然るべき処に引き渡すことが出来たとすれば、報酬の増額も望めるかもしれない。
「粉すンのさ。
こいつは吸い込んで粘膜に触れると、非ッ常ォに痒くなるのよ。
大気中の水分を吸い込み過ぎると、おのずと地面に落ちるから、建物の奥まで入り切ることは少ないと思うが。
さて。外に出てる連中にとっては……どうなると思う、と!」
睡眠薬の類を使うなら、飲み水の水甕や井戸に入れる方がずっとスマートだ。
痛痒の紛薬を振り撒いたあと、瓶を仕舞っては鼻と口元を覆面で改めて覆い直す。瞼を閉じる。
その上で、付いてこいとばかりに岩肌を駆け降り出すのだ。
高低差の勢いもあれば、険しい岩肌を一直線に駆ける。足裏が触れる岩肌の感じを確かめつつ、後は気配と声に耳を傾ける。
駆け降りる先はやがて隠れ家の裏手に至る。
見張り台となっている場所や表側で、紛薬を吸ったモノ達が苦悶と共に蠢く。その声を頼りに、跳ぶ。跳んで、袖口から抜き出した手裏剣を投じる。
隠れ家の裏手の見張り台に着地すれば、丁度苦悶の声が一つ。静かになる。
■ラファル > 「ん、ま、出来ると思うけど?でも、魔力を使うなら、それで見えちゃうし……ボク等と同じように。
隠形と言うのは、時に、隠れないのも、隠形だもの、ね。」
様々な方法を学んだ、その利点、欠点もまた、学んだ。
師匠の言う通りに、魔法などで肌の鱗の色を変えることも出来るだろう、しかし、魔法を待とうという事は、魔力という痕跡が出てくる。
ラファルだけではなく、魔法を見ることが出来る存在であれば、見抜くことが出来る、寧ろ目立つのだ。
だから、状況に即した方法を学ぶ必要があるのだ、と。
隠形と言うのは、隠れる事、隠れることが不自然になる場所なら、敢えて晒すことも、視野に入る。
其れを理解し、幼女は頷くのだ。
「ん、目的は、討伐であって、殲滅じゃない、だね?」
彼らは、裁かれる身ではあるだろう、しかし、飛竜は、魔獣は違い、備品である。
出来るは,していいではなく、出来る限りの『配慮』を言い渡されているのを聞いていた。
人質になるべく女性が居ないなら、殲滅ならば、其れこそ、一息で済ませればいいのだ。
できないからこその、偵察に、観察なのだ。
「かゆくなるの?じゃあ、騒ぎにするんだね。
騒ぐし、陽動してくれるし―――だね。」
自分の視線の先では、走り出す師匠、そのさらに先、見張りが大声をあげてかゆみを訴えている。
それは屹度、内部の存在を、山賊どもをいぶり出すための金糸雀か。
走る師匠に、音もなくするすると近づき、その後をついて走る。
師匠が懐から取り出す黒塗りの鉄の塊―――手裏剣を見て、其れを投げる様子。
中に異変を告げた盗賊が倒れ、見張り台の上に立つ二人。
最初は状況を確認する為に、数人の野党が隠れ家から出てきて、右往左往しているのが見える。
弟子もまた、一つ手裏剣を手にし、投擲すれば。
うまく一人に命中し、静かになる。
■影時 > 「出来ると思うなら、出来ちいそうなのがお前さんら竜のすげぇトコだなァ。全く。
が、其処で氣や魔力の起こりが出ちまうなら、工夫が必要だ。
それを服を着るだけで、どうにかできちまうなら、一番面倒がねえ。ヒトのナリをしてるから出来る最良手だ」
竜が変身して化けている姿が今なら、その形態を変える、装い直すということも理屈としては出来る。
其処に一々魔力を働かせる必要があるなら、身を隠せばいいというだけであれば、着替えると云うのは一番簡単な手段と云える。
大仰でも何でもない。服は人を変えるというのは誇張でも何でもないのだ。
其れを心得ているなら、また一つ。手段を弁える事が叶う。人の姿を活かす強みを。
「魔物も纏めてどうしろ、という指示は無ぇ。なら、余分な仕事はしないに限るな。
暴れ出す前なら敵の頭を抑えた後であれば、ラファルよ。言って聞かせるコトは多分できンだろ?」
俺の場合、最悪脅しつけるしかないからなぁと冗談交じりに嘯いて肩を竦める。
腰の太刀が放つ威の圧を背景に、有無を言わせさせないという力技だ。
ここにある動物が牛馬や犬であれば、相応の薬毒を仕込んで大人しくさせるということが出来る。
が、魔物に効くレベルの毒と云うのは使い方を誤ると、自分にも多大な被害を被りかねない。
その点、弟子に任せるならば種としては遠くとも、下位となる種のモノを御しうる可能性はある。
「前に仕損じて喰らった時は、目玉抉り出しそうな位に痒かったなぁ。……試しの段階でそれなら、今のはそれ以上だぞ?
敵さんが騒がしく動いてくれンなら、そいつに乗じて騒ぎに紛れる方が楽なのさ」
試しと研鑽の過程で、仕損じた時を思い出す。くしゃみで舞い上がった粉塵を浴びてしまったのを。
丹念に目を洗い、何度もうがいしていれば漸く収まった経験を踏まえ、この仕上げた紛薬は水に弱い性質を引き出して制御可能にした。
知っている、知っていないの落差は大きい。受けた敵は知らぬが故に大声を上げ、苦悶している。
苦悶に混じる叫びは苦痛も混じれば、より悲痛になる。さらに出てきた者達を捉えれば、腰裏に手を遣る。
「……続けて、ふたァつ。みぃっつ……!」
そろそろ目を開けても、困るまい。見開く双眸で怪しい影を捉え、誰何の声と身構える姿たちを捉え、異様に身を伏せながら足元を蹴る。
腰裏からするり、と抜き出す黒い刃の苦無が駆け寄る敵の喉を掻き斬り、続く相手の裏手に回っては口元を押さえ、背後から突き出す。
刀は抜かない。抜くまでには、至らない。この場に詰めている敵は後どれくらい残っているか。
■ラファル > 「だって、応用でしかないんでしょう?普通のドラゴンさんたちなら、自分の色に、種族に誇りを持ってるからしないだろうけれど。
ボクもそうだけど、魔法を使って形を変えてるんだもの、色位、今更、だよ。
外皮を、服で補うならではの、方法、だね。」
人は脆弱で、身を守るのに、鎧や服装を変えていく種族だ。
だから、色にはこだわらない、好みがあるけれど、その程度だろう、そんな認識があるからこそ、着替えるという方法に納得を示す。
ラファルの様に、服を着たがらないから、そういう認識になるのだろう、と。
「いけるよ、興奮してたりしなければ。戦いの積りになって居ないなら。
最悪力の差を示せば、戦った後でも、全然大丈夫。」
混じり物でも、人竜でも、竜としての格は彼らよりも高い。
力の差を見せつければ、問題はなくドレイクを配下にすることは可能だ、妖し気な術で支配されているのでは無ければ。
其れを伝えながら、可能性を考える。
見て回った所、そう言った水薬などは無かった、魔法的な物ではなく、調教でのモノならば、問題は無いだろうと。
考えて頷き返す。
「うわぁ……うわぁ。」
実体験後らしいお言葉に、幼女は引いて見せる。
それ以上の痒みらしいので、想像が出来ない、そもそも、痒み自体あまり感じない種族だから。
その痒みで見悶えて転がり、うめいているのだから、相当なのだろう、と。
「―――残り、8―――7!」
実際に入り、仔細合わせて、彼らの事を調べつくした幼女は、だから、残りの人数も把握している。
いま、三人師匠が倒し、それに合わせて数を伝え。
踏み込み、加速する。音を置き去りにした、竜の体術は、速度で。
ポカンとしている彼らを、抜き手で静かにさせて、6と呟いて。
次の獲物を、手刀で切り裂いて、五とカウントダウン。
武器などは要らない、目の前で驚愕の顔を見せる、盗賊の眼を見て、にっこり笑って、抜く。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からラファルさんが去りました。
■影時 > 【中断⇒次回継続予定】
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から影時さんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にエデンさんが現れました。
■エデン > 九頭龍山脈、周囲を木々に囲まれているものの、少し下れば街道の通る麓付近の場所。
金属音と、怒涛や叫び声と、幾つかの声が飛び交う。
そんな声を縫うように、軽やかに地を蹴り、距離を置くように移動をするのは一人の女性。
ミントグリーンのミディアムヘアを靡く風に揺らし、前に向けるスカイブルーの瞳が移動の合間に何度か背後を確認している。
冒険者なのだろうか、最低限の急所を隠す部分鎧にワンピースと、腰に差した鞘はその細さからレイピア等のものと分かる。
「よ、っと…やっぱり、数だけの人達って、相手が楽で助かるわね。
思ったよりも数も少なかったし、早めに終わりそうで良かったわ?」
ザザッと場を確かめ足を踏み締め、その場で移動を止めて樹木の陰に身を隠す。
聞こえる足音は残り4人か5人、固まらず散りながらこちらを探しているらしい。
ここまでに何人か倒されているのに、ちょっとお頭が足りないのかしら?なんて事を考えながら、緊張感も感じさせぬ笑顔を浮かべて身を潜める。
■エデン > ここに来たのは、街道の通行人を襲い、迷惑を掛けている賊の討伐が目的。
しかし、護衛を連れた大層な者達は襲わず、それ以外を狙うところを見れば、それは小規模なものと分かるだろう。
もっとも、偶然そうなっているだけとか、自分達の被害を最小限に抑える為とか、他にも色んな可能性もある訳だが。
襲われる場所、その範囲は絞れていた。
その傾向から、大所帯という訳でもないし、相当な実力者も居ないだろうとの判断を下し。
自分達はこうしてやって来た訳で。
尤も、一つだけ予想外の出来事があったとするならば。
一緒に受けた今回の仲間とはぐれてしまった事だろうか。
とはいっても人数と戦力を推し量ればこちらの方が上なのは変わらない。
はぐれた仲間も苦戦する事は無いだろう。
自分を追って来た、この残り数人を倒してはぐれた仲間を探そう。
そう考えている途中、一つの足音がこちらへと近付いているのに気付けば。
その隙を突く機会を伺うのだ。
■エデン > 冒険者として、中か、中の上。
自分の実力としてはその程度のものだ。
それでも、この程度の賊を相手するには十分。
その頭目レベルであれば、どうなのかは難しいところだが。
一歩、また一歩。
相手も伺うように、ゆっくりとした足取りで近付いている。
ただ、こちらには気付いてないようで、その歩む先は少し外れているようだ。
レイピアの柄に手を掛けてスラリと抜く。
空いたもう片方の手には魔力を集中させ。
『風よ、靡かせ』
力在る言葉と共に発する力が周囲に微風を引き起こし、ある一ヶ所、自分の居る反対側の茂みをガサッと小さく揺らす。
相手がそれに引っ掛かれば、その注意はこちらから逸れるだろう。
それを狙い、レイピアを構え、地面を蹴って一息に相手との距離を詰める。
■エデン > 後一歩、その距離で踏み止まった。
その視線が向けられるのは相手が利き手に持つ武器、今回の相手の手に握られているのは斧か。
踏み止まった、その地面を踏み締める音に気付いたが、揺れた茂みに向いた注意が、相手のその反応を遅らせる。
「先に言っておくわね?ごめんなさい?」
言葉と共に構えたレイピア、その切っ先が。
相手の斧のその柄腹を刺し貫く。
上等な物ではなのだ、木製の柄はレイピアに貫かれ。
『爆ぜなさい』
レイピアを持つ柄から流れ込む魔力が、再び発せられる力在る言葉によってパンッと小さく爆ぜた。
それは相手を巻き込む程の爆発では無いものの、斧の柄を真っ二つに折る事は出来る。
斧の先はクルクルと回転しながら飛んでいき、どこかの茂みの中に消えていった。
いきなりの事だ、そのすべての流れに反応し切れず、相手は固まっているのだが。
そこへと躊躇無く、レイピアの柄で首の横を強かに打つ。
何かを言い掛ける相手ではあるが、そこでグラリと体が揺れ、倒れた。
「後何人だったかしら…?」
抜き身のレイピアを鞘に収め、再び地面を蹴ると移動を開始する。
声を上げていれば掻き消える程度の小さな発破音も、聞かれない可能性が無い訳ではない。
足音や気配に耳を傾けてその場から姿を消す。
倒れた相手は気絶しただけだ、暫くすれば目を覚ますだろう。
首を打たれた痛みと、鞭打ち症状は出ているかもしれないが。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からエデンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「──ほう……」
ぱらぱらと雨が降る夜。
山中をランタンを携え散策していた金髪の男は、その道中で山小屋を発見して足を止めた。
男は顎に手を当て思案するような仕草をしながら、その小屋をジロジロと眺め。
「ほむ……ちょうどいいから今日はココに泊まるとしようかのう。雨もこの後強くなりそうだしな」
そう独り言ちておもむろに近づけば、一応軽くノックをした後扉を開け、中へ。
明かりの灯っていない小屋の中を、ランタンを掲げて照らして眺め回す。
中には木製のテーブルが一つに椅子が2脚。
壁沿いに設置された木製の幅広のベンチのようなものは、布団のような寝具こそないが、おそらく寝床だろう。
「──ふーむ……ちょっと埃っぽいがたまに利用されてはいるといったところかな……ウム、上等上等」
などと満足気にウンウンと頷き、テーブルの上のホコリを軽く払うと、ランタンとバッグをその上に置く。
椅子のホコリも払ってから、ゆっくりと腰を下ろし。
「ふぃー……──うおっ。何だ急に強まってきた雨脚」
一息ついた所で、ざざ、と急に雨音が大きくなって軽く驚きに目を丸める。
まさにすんでのところで屋根のあるところに入れた自分のタイミングの良さに
さすが俺、などと内心で自賛しつつ、タオルを取り出すと濡れた髪や顔をわしわしと拭い始め。
ゴロゴロと雷も鳴り始めたのが耳に届くと、こりゃ今夜中には止まない奴かな……と呟きを漏らす。
そんな折、小屋の扉をノックする音が響く。
十中八九、自分と同じく雨宿りの場所を求めた誰かだろう。のそりと立ち上がると、
出入り口の方まで向かいその扉を開けてやり、まるで自宅のごとくに笑顔で出迎えて。
「はいはーい。雨やべーだろとりあえずカカッと入りなせえ」