2021/08/09 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にカザンさんが現れました。
カザン > 「ふぃー……………」

大きく、長い息を吐いて山脈の中ほどにある温泉に浸かる巨躯の鬼
当然裸で、熱く湯気が登る湯の中に身体を浸して

この山脈に住み着いて結構な時間が経ったが、ここは平和そのもの
特にこれと言って、自分を煮えたぎらせる闘争も無く、ただ畑仕事をして過ごす日々
たまにこうして、温泉へ出向き、星空を眺めるのがルーティンとなっていた

長い時を生きるからこそ、一日一日は短く感じられる
刺激が無い日なら、猶更だ

「ああ、暇、なんだなァ…これが」

ざば、と大きな足を岩肌に露出してくつろぐ
穏やかな月光が、一本角に反射しきらりと反射している
それは夜闇で、小さな光となって山肌に映ることだろう

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からカザンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に影時さんが現れました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にラファルさんが現れました。
影時 > ――蓋を開けてみるまでもなく、よくある噺だ。

雇い主の意向に背いて羽目を外し過ぎて解雇され、揃って身を持ち崩した傭兵団。
はたまた、戦争に負けて逃亡した敵国の兵の一部が、

何処其処に根城を構え、ただただ食いつなぐために山賊に成り果てた、という話は。

戦国の世となれば再起のために悪党に身をやつし、其処から一旗揚げ直すというのは武勇伝にはなっただろう。
が、正規軍を襲うような意気も覇気も欠片もなく、街道を通る隊商や麓の村から略奪をするだけというのは、控えめに云うまでもない。

ただただ、害悪なだけだ。それもただの悪ではない。数人単位の冒険者のパーティで討伐するには余りある人数である。
そんな人数が屯する処がこの月夜が照らす九頭竜山脈の一角に、あった。
鬱蒼とした木々に囲まれ、裏手に険しい岩山を置いたそれはどうやら、廃棄された山城や砦と思しい遺構だ。
如何にして運び込んだかは知れぬが、兎も角、堅固な石組みのそれは天幕を張ってしまえば、それだけで雨露を凌ぐに足る。

周囲の樹を伐採して天井と壁を作ってしまえば、もうそれだけで見た目も整った根城が出来上がってしまう。

「――おぅおぅ。見た目だけは立派なモンだ。
 素人集団の手口じゃァねぇな。前評判通りにそれなりに通じた傭兵か逃亡兵か?ン?」

……と、そんな様を見下ろす影が、ひとつ。険しい岩山の表面に張り付くように在った。
岩肌の僅かな窪みに背を付けて座すのは、柿渋色の羽織に袖を通した、動きやすい暗灰色の装束姿の男だ。
口元を覆面で覆った姿の表情はようとしれないが、月光に照らされる顔の起伏はどこか苦笑めいて歪み、思案気に目を細める。

良い月夜だ。少しばかり雲で陰っているが、この程度の光があれば視界を確保するには困らない。
遠眼鏡の類を使わないのは、レンズの反射を避けるためだ。
下を見遣れば、微かに見える火種の色は呑気に煙草でも燻らせているのか。不用心だなァ、と息を吐いて。

ラファル > 「ただいまー。」

 夜の闇から、融けるように出てくるのは、一人の幼女、出てくるという表現をしたのは、柿渋色の忍び装束をポイ―と、投げ捨てたから。
 闇に紛れる必要がなくなったから、ともいえる。
 今宵もまた、忍の修練として、師匠について来ていた。
 師匠が見守っている間に、幼女は、彼らの本拠の中に忍び込み、内部をシッカリと確認してきた。
 警戒している野盗どもを、ドラゴンスキル無しの、純粋な体術のみで、潜入し、調べ戻ってくる作業。
 師師匠でも鼻歌交じりで出来る事、弟子も出来なくては学んで居る意味がない。
 という事で、今さっきまで、潜り込んで内部情報を調べて居たのだ。

「特にボク等に脅威に成るようなのは居ないね。
 アジトの中もお粗末で、罠もまた、お粗末な物ばかり。
 落とし穴が二つ、カモフラージュは有るけど、下手糞で、カモフラージュ自体が凹んでるような物。
 物見はやる気なしで、ふたり。              ・・・・・
 奥では、多分隊商の護衛か、連れなのか、女の人が捕まって、やられてるよ。」

 調べてきた幼女は、懐から一枚の羊皮紙と、さらりと簡単に書き上げていく、室内の間取り。
 事細かなのは、大体の家具の配置さえもしっかり記載されているもので。
 逃げ道に成ろう、隠し通路さえも。見つけてきている。
 如何に、戦上手の傭兵と言えど、隠密に長けた幼女には、叶わなかった。
 確りと戦略的な情報を―――地図をすべてすっぱ抜かれ、彼らの性質も、適当にしている警備の状況も。
 砦の脆弱性もまた、事細かに抜き出されていた。

 戦いにとって、秘匿は力だが、彼らには、情報という部分での優位性は、一切なくなったことになる。

影時 > 「おう、戻ったか。って、こら。脱ぐな捨てンな」

偵察に出ていた弟子を迎えるように片手を挙げつつ、性分らしい有様に戒めるように声を出す。
安物ではないが、己が纏っている装束もそれ自体は特別なものではない。
だが、捨てると云うのは痕跡を残してしまうことに繋がる。
それに、この後考えている教授の内容を思うなら、有無は関係なくとも服は在った方がいい。

そう考えながら、遠間より見守るように眺めながら偵察に勤しんだ内容を脳裏に描く。
弟子が遣った偵察が、細かな――ミクロな視線による肉薄しての観察なら。
己がやったのは、大局的な――マクロな視野における観察だ。
その為にほぼ半日、この岩肌に身動きせずにじっと張り込んでいる。気配を隠し続けている。
いまもまた、そう。声はあれど、まるでそこに居ないかのように気配は微かに。おぼろに。

「今の時点で見遣る限りなら、そうさなァ。概ねたしかにそんな塩梅だ。
 外に「商売」にしに行ったきり、まだ戻って来ねェ奴らも居る。

 ……馬と獣の足跡は、どうだ? 連中、どうやら獣遣いらしくてな」

報告を受けつつ対処を吟味する中、請け負った討伐依頼に含まれていた補足事項を思い出す。
ただの野盗程度なら、斯様な綿密な偵察と観察をしなくとも、出たとこ勝負で片付けることは、弟子も込みだと難しくはない。
少なくとも慎重に事を図ろうとするのは、人質の生死を問わないという条件がないことに加え、一つ理由がある。

わざわざ人里に離れた根城に居を構え、周辺の村などから貢がせるように食糧を供出させることができる理由。
彼らの兵力が、人間だけではないからだ。
腕の立つ獣遣いが身を持ち崩しているという噂がまことしやかに語られているのは、ヒト以外の戦力があるからに他ならない。

ラファル > 「あーい。」

 この幼女、地がドラゴンだからか、衣服を身に纏う事をあまり好まない。
 ただ、人間社会に溶け込むことに必要な事だから、服を着ているというだけの話だ。
 とは言え、師匠の言葉の意味も分かる、服が落ちて居れば、其処に誰かが居たという形跡にもなる。
 さらに言えば、幼女の様に鼻が利いたりすると、其処から追跡することも出来る。
 それは、忍ぶものとしては、下の下とも言える行動だ。
 陽動として、わざと痕跡を残すためにという手法もない訳ではないが―――今回はその場合には当てはまらない。
 取り合えず、捨てるな、というので、渋々と言った様子でも、ちゃんと回収してバックパックに収める。

「馬が4、運搬用大型魔獣が1、戦闘用小型魔獣が3。
 残りの団員分の馬が厩舎に、戦闘用小型魔獣が、5、残ってるよ。」

 無論、超級の教えを受けた幼女だからこそ、魔獣の鼻を掻い潜る体術を持つ。
 とは言え、入念に匂いを『消した』のだ、魔獣の鼻を誤魔化し、仲間だと誤認させて、ちゃんと調べている。
 そして、此処の実力的には、問題はないし。
 最大戦力で魔獣をぶつけられたとして、それを往なすだけの技術は覚えている。
 だからこそ、確りとした情報を取り出すことが出来るのである。

「一応、後一刻、二刻ほどで戻ってくる予定、って言ってるよ。」

 幼女は、師事受ける前から、隠密の技術を持っていた、育てていた。
 だからこそ、想定をするのだ、相手の事に関して。
 抜かりなく、獣使いに関しても調べを行っている。

「メインはあいつらの棟梁、副も獣使いをしてるけど、彼の契約は、運搬用、だね。」

 魔獣の詳細もちゃんと調べて、ある。
 魔獣の飯など調べれば、何がどれだけいるのか、等はたやすく分析できるんだ、と。

影時 > 「お前さんらにゃァ、然程痛痒にならんとは思うが、な。
 だが、こういう覆面も服もそりゃぁ意味があるもんだ。着苦しいのは我慢しとくれ」

服を着ているのが暑いというよりは、真っ裸の方が生来の感覚に近いというのは、教授していく中で知れている。
本性を考えていれば、足元や括っていないズボンの裾から這入る虫や鋭い葉などというのは、意に介さないだろう。
卓越した気配隠しの技と体術のみで、忍びの技を会得していても、自然の色に紛れる装いというのは、軽視できない。

だから、己とて仕事着には注意を払う。高度な技のみが忍びの全てではない。
どちらかと云えば、小技の類の方が多く活用する機会が多い気さえする世の中だ。

「善し善し、ちゃんと見ていたな。偉いぞ。
 火を吐くなんて話もあるなら、低位の……あー、わいばぁん、じゃねぇ、どれぇく、とやらか」

この辺りの発音は少々怪しいところがあるが、牛数頭を丸ごと供出させた、という聞き込みを思えば、魔獣の頭数は納得だろう。
略奪品の運搬に馬車の類が欠かせないのは必定だが、肝心の兵力を支えるためになりふり構えないというのが正直な処か。
種については、腰に佩いた太刀が時折軽く震える時点で、概ね予想がついていた。
幼女のような血の濃い竜ではなく、竜のなりそこないであっても、その端くれには違いない。

「承知。んじゃァ、まず見張りの方からどうこうしてみンかね。
 風向きはそろそろ今の刻限なら、……吹き下ろしになってきたな。此れなら、粉を風に乗せるに困らんだろう。

 ちゃーんと、顔を覆っておけよ?」

ならば、と。腰の裏に付けた雑嚢に手を差し込み、薬瓶めいた容器を取り出す。
風を詠み、封を取って中身を振り撒けば、折しも岩肌を駆け抜けるように降りる風に乗せて振り撒く。
中身はこの辺りの森の茸を採取し、薬液に漬け、よく乾燥させた上で粉に引いたものが。
特に粘膜に張り付くと、強い痛痒めいた感覚を齎す紛薬である。
長く残留する毒ではないが、見張りや凌辱に火照った身体を冷やそうと外に出たものが受ければ、どうなることか。

ラファル > 「うん、隠れる時には、ボクの肌の色よりも、この色の方が、闇に溶け込みやすく、見つかりにくいんだもの。
 魔力も、魔法も万能じゃない、技術だけで隠れる、それを助けるから、でしょ?」

 師匠の教えに関しては、正しく理解できている。
 しかし、修正と言うべきか、本能というべきか、其れを抑えるには、幼女は未だ幼いのだ。
 理解しているから、ちゃんと直ぐに回収をする。
 それでも。着たくないが暴発して服をポイ―してしまうのだった。

 技術として確立するには、それだけの意味がある。
 理由がある、それらを軽視するのは、修める者としては、忍びとしては、下の下に、成るだろう。

「ん、ドレイク。
 数は居るけれど、ボク【dragon】の敵じゃないね。」

 其れらしい場所もあった、人が寝るにしてはお粗末すぎで、そして、広々とした空間。
 複数の何かを飼うような場所に、牛の骨が転がって居た、骨も砕かれていたことから、其れをかみ砕ける存在の示唆もあった。
 それに、師匠の刀の対のそれが、不満げに震えているのだ。
 竜である幼女に、斬らせろ、というかのように。
 それをしり、敢えて幼女は、手を伸ばさない、理由は、その刀が、怖いから、に間違いはなく。

「粉するの?」

 師匠の選択を問いかけながら、問いかけるのは意図。
 師匠の判断の方が正しいのは判る、何故その判断を下すか、理由を考える為だ。
 眠り粉なら、眠るだろう、夜なら、眠気にと言うのは挿して珍しい事でもない。
 しかし、見たことの無い瓶に、何を持ってのかく乱なのか、興味が強くある。