2021/04/27 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」に燈篭さんが現れました。
燈篭 > 昼の山脈 この大陸で、山といえば という場所がある
それはまるであの多頭龍の名前のように思えてしまう もしくはあの広がる海辺の景色からして、狂神の名かもしれない
人が好き好んで、こんな山の中、誰が訪れるものかよ 
外から見た山の毛並み そう思えてしまっても無理はない

しかしまるで龍が住んでいそうな山の中でだって、潜んでいるやつがいる
賊もいれば湯も沸いている 麓の堂々の道なりと比べ、この中は秘する者らが住まう場だ
だからだろうか そんな今日の九つ頭の山脈には、鬼が一匹、入り込んでいた
最初はこの鬼 酒の供する相手を欲しがって訪れていた
鬼だって、触れ合いが恋しくなることがある

桜も散り、空は今の頃合い 夜は満月が浮かぶ
昼に交わしてもいいが、更けた夜にだって、きっといい酒が待っている
そんな気持ちで鬼は、その器にして、中身はまるで底の知れぬ大瓢箪
一つ腰に携えて、歩は進む

「なんだなんだぁ……?
 今日は静かな山じゃあないか 蟒蛇だろうが、地龍だろうが歓迎だっていうのにさ。」

鬼の今の気分はまだほろ酔い
いつだって酒を口にし、その口の中の唾だって、酒気を帯びる
だがしかし 一人酒の気分じゃない 手酌を許す一刻じゃあない

口にする酒も少なく、こうして歩いているというのに 今のところ誰も居やしないときた
それもそのはずで、野生の獣も 虫も鳥も 普段ほどに酔い崩れていない鬼の気に当てられている
頭を出すな 尾を出すな と 本能で潜んでいる

山に住まっているかもしれないゴブリンだって、今の鬼の前には姿を見せることもない
どこか葉隠れの中で、様子をうかがうようにしては まるで一時の火か嵐のように
早く過ぎてくれといわんばかりの視線しか向けない となると、鬼は面白くないのだ。

燈篭 > 宴ほど喧しくなくていい
誰ぞと杯を触れ合わせて酒を浴びたい
鬼の、こうときめてしまった飲み方を求めて、山の中

素足で踏めど傷つかず
石が触れれば沈み込み
毒虫触れれば潰される

潜むつもりも毛頭ない
バキリ ずしゃり と女童のような姿でも、鬼の肌は鬼のまま
そうして、まるで周囲が大熊でも通るそれを眺めるようにしている

鬼の機嫌も、だんだんと悪くなる
酒はある 場所だって良さげだ そらみろ、この山から見えるあの海を愛でてもいい
葉の茂る大樹の木陰も、今の日差しなら涼しかろう

嗚呼、あそこで呑む酒は旨そうだ
こういう時に限ってこそ、喉は余計に酒を求めてしまうものだから
酒を楽しむ場というものが、目に映るのだ

嗚呼、喉が渇いた。

「―――どっこいせぇっ。」

そうして歩いていると、山の冷たい水が流れる 山川の場所へとたどり着く
いい平たい岩場があったものだから、その小柄な背丈
寝そべっても十分に広い 岩の上は、日に当たっていたのがいい感じにぬくもっているときた
いい座布団だと笑い、耳に拾うのは水の音

それは上から流れる良い水だ 苔臭くもなければ生臭くもない
この水で、酒を醸せばいいものができるだろうに と 考えることは 酒 酒 酒
パシャンッと水をはねる、あの生魚にこそ腹は求めないものの
その大きく鱗が並ぶ魚が泳ぐ姿を眺めて呑んでも好かろうに……。

「嗚呼、駄目だっ。
 鬼が酒に耐えてなんになるってんだっ。」

呑み合う馬鹿し合うそれもいなかったものの、酒は十分だ
鬼が我慢なんていうものを、慣れないことは慣れないものだと、瓢箪を鷲掴んだ手。
先の栓を並ぶ白歯がガシリと噛んだ

    ポ ン ッ っ! と景気良く抜ける音

その音で、先までいらだっていた気もどこかへ飛んでいく。
揺らせば満ちる、波すら立てない酒の重さ

さて、どれを眺めて呑もうかと。

ご案内:「九頭龍山脈 山中」にソラムさんが現れました。
ソラム > 九頭龍山脈の山中に乱立する林の中、枝と枝を足場にして人影が移動していた。
群青色のロングコートを羽織り、コートについたフードを頭に被った小柄な体格の少女。
フードから絹のように艷やかな白銀の髪が跳ね、中から覗く眼は血よりもなお濃い真紅色だろうか。

「(ここも異常なし。平和でいいなぁ)....?」

心の中でそう思っていると、丁度林と林の境目にある川でお酒を飲む人の姿。
______否。自身とは逆の左側から生えている角を見る限り、鬼だという結論がつくだろうか。

「......暫く観察、しよ」

気まぐれに任せてそう呟くと、川から離れておらず、だが近すぎない位置にあった木の枝に着地すると、チョコンと腰を下ろし、懐かしい感慨と共にその鬼を観察し始めるだろうか。

燈篭 > さて 鬼は我慢という 慣れないことをしたものだ
余計に酒が欲しかった

喉が渇いた
酒が欲しい

此処からじゃあ、海辺も大樹の木陰もないが 良い川がある
日で干された岩布団が腰に根をつけさせるかのようだ
もう一人でいい 飲んじまおう

鬼のこうと決めた気持ちは、鬼の一投で砕かれた
開けた酒瓢箪から、常温の大気だ ふわりと香った酒気の漂い
嗚呼、旨そうだ

おっと酒に気を取られた
肴だ 肴 何を眺めて酒を飲もう
こんな場所まで来たからには、何かを愛でて呑まなきゃ損だ
鬼は額に手を翳し、一風吹いた心地よさで全身を撫でられる

眼を細め、受け止めては通り過ぎて行った風を見るように、向こうを見た

「よし、川にするか。」

上から流れていく、あの冷たくて旨そうな水が流れている場
滝というには細く 滝というには低い
だがいい景色だろうさ

「は、んっ んっ んっ……くはぁっ……。」

そうして呑んだ酒の旨い事
耐えていたから、なんせ五臓六腑に染み渡る
身体が震えるようだと、角の先から足の先まで、染み込んだ

「嗚呼、旨い。」

月を相手も、夜桜を相手も 皆肴と向かい合う
それではちと、最近の酒は喉に通り過ぎやすい
そう思っていたというのに、結局は酒が旨い

どれ、座り込んでも億劫だと、岩布団に寝そべれば
肘をついては半寝横転び
川を眺め呑みつつ、そういえば、あの黒々と肥えた魚はどこへいったと
眼が流れる川ばかりではなく、揺蕩う魚も愛でようと追いかける

しかしどうだ 魚がいない
獣も虫も、鬼から遠ざかるのはわかる
だが魚までは違うもんだ あいつら、水の中なら、寄らない限りは安全だと、場がそこしかなくてもわかってる

「ぁん?」

おかしいな 私じゃないぞ
鬼が、気を隠そうともしなくても、魚まで掃ったつもりはない
なにかそう 別の何かが来たせいで どこかへスッと駆け潜ったのだと察する
なんだ、私以外に、何かいたというのか 鬼はグルリと首を回しては、寝そべるようにして角が擦れる。

「ぉ。」

アレだと気づいた時には、異国の服にしちゃあ浮いている
変わり種か それとも傾奇ているのか
鬼の目は、確かにそれを捉えていた。
笑みが浮かぶ それもそうだ 山に入ってやっとの一人目だ。

                「おぅぃっ!」

身を起こしながら、瓢箪片手に手を挙げる
張った声だ おぅい おぅぃ オゥィ と水辺で声が返る

「一人で眺めて何になるってんだ こっちに来なよっ」

そういう片角、肘角の鬼は、気持ちの良い笑みを浮かべて誘った

「一緒に呑もうっ。」

魚を追っ払ってしまうような 自身と似たり寄ったりの気なのかという女童に、女童鬼はそう伝う。

ソラム > 一緒に酒を呑もう、そう声をかけられると、彼女はほぼ諦め半分に枝から降り地面に着地し、声をかけてきた鬼の方へ歩みを進める。

「珍しい、客人、だなって」

鬼と自身を隔てる川を所々水面から突き出ている岩の先端に足を乗せ器用に次の岩へと跳び器用に反対側へたどり着くと、鬼の顔を覗き込むように見つめ、首を傾げる。
鬼は鬼でも少女だ。まだ12、3に見える姿だが、あくまでも見た目の年齢。鬼なら長寿で見た目があまり変わらない鬼もいる。
微かにあった知識からそう結論づけると、少女の隣に腰を落とすだろうか。

燈篭 > 鬼が誘った女童 こんな山の中 ただの女じゃあないとわかってる
ならなぜここに、鬼のような女童がいるのかとなるだろう
姥捨て山のように捨てられた ありえない あんな服と、獲物を背負って

なら冒険者か ありえない 私という鬼を 遠巻きに眺めてなんになる
高見から眺めていた、女童が、降りてきた

「お?」

鬼はそこで目を丸くする

「おぉっ?」

鬼は珍しくも驚いた
この山の中、目の前で熊とかち合おうが、その腹に、岩塊のように拳が打てる
頬を染めた顔のまま、鬼の目は腐っちゃいない ようくようぅく見えている

「あっはっはっ なんだなんだ “同族”かっ」

そう、鬼は、相手を同族と間違えた
立派な角が二本、並んでいるわけじゃない
片方に、縦に並ぶ角三本 変わった身なりだが、オウガという洋鬼だろうか
それとも、この山で住まっている、昔流れた同族か

どちらにしろ、鬼は歓迎した。
互いに岩布団の上で腰を下ろすのも、そう時間のかかることじゃあない。

「いやぁ、うれしいなぁ。
 同族に会うなんざ、久しぶりだよっ。」

鬼の機嫌も一潮だ。
月が上に来たように、満ちている。
互いに横に並ぶように腰がおり、背中をバシンバシンッと叩く音
酔いと嬉しさ 鬼の力が入っても、相手はそれに耐えている 嗚呼、鬼だ
角有の同族だと、喜んだ。

「おっと待ってな。 酒つっても、杯が無くちゃ締まらない。」

回し飲みもいいが、それじゃあない
乾杯って言葉は、杯を向き合わせてこそだ 酒好きが乾杯を嫌ってなんになる
杯を乾かすって書くんだぞ

「ええぇっと 杯 杯 杯、と。」

そうして鬼は、辺りをゆったり首回す
目線の先には竹藪がぼさりぼさりと生えている。

「あれがいいや。」

そう言って、鬼が翳す手のひらが一枚 五指を広げて向け差した
すると不思議だ 鬼が掌で、吸っている 竹を一本、吸っている。

一本だけだ 一本だけ、根から 身軋 身軋 と音を立て、千切れ、来る。

「よっとぉっ。」

バシンッと受け止める、太い竹の棒
まだ葉も付いたそれを、軽々と握れば、目の前で横に向け。

「ふんっ」

そんな力んだ声じゃない 太く逞しい竹の、根に近いそこ
節目と節目を利用したのか、鬼が右と左 掴んだ両手でぐるんと捻る

        ゴッ

竹が、耐えきれない音を一つだけ、鳴らす
節目と節目で、綺麗に割った 鬼の力で 捻り取った。

続けて一つ もう一つ

節目で、底がついた竹の杯が二つ並んだ。

余った竹? 知ったことじゃあない ポイッと岩布団の下へ抛り、視界から捨てた
眼が汚れなけりゃあ、どうでもいい。

「そら、駆け付け一杯。」

綺麗にねじりきった竹杯一つ手渡せば、注ぐ酒の音
瓢箪から出るそれは、澄んで波打つ水のような酒 だが味も匂いも濃密な、辛くも甘くも感じる鬼の酒。

「おっとっとっとっと。」

注ぎ終わったそれを向け、ニカリと笑った鬼の笑み

「ほれ、乾杯っ。」

カコンッと音が鳴り、鬼が一息というように、カパりと開ける

「ぷふぁっーっ……。」

グイッと手の甲で、拭う口元 実にうまそうに酒を飲む。

ソラム > 「....?」

腰を叩かれながら、同族という単語に首を傾げた彼女だったが、鬼の少女は彼女が弁明する暇さえ与えずに、竹で即席の杯を作り、彼女へと渡し、その中に酒を注ぐ。

「か、乾杯...」

よくわからないが少女の言った言葉を復唱し、竹の杯同士でカコンと音を鳴らすと少女は一息に酒を飲む。
後でちゃんと言おうと思いつつ、彼女も竹の杯を傾け、少しだけ酒を口に含む。
度が強く、だが甘みを含んだ酒だった。

「...ん、甘い」

杯の半分ほどを飲むと、そういうだろうか。
彼女の目元はフードで確認できないが、声で美味しいとわかるだろうか。
いつになったら打ち明けようか。彼女はそんな思いを胸に少女をチラリと見るだろうか。

燈篭 > 戸惑う様子
鬼が喜び、出会いに酒を渡す
当たり前だというのに、向こうの鬼は戸惑い気味だ

「なんだい、同族と会うのはそうでもないかい?」

喧嘩もしよう 酒も飲もう でも同族と出会うことは稀という鬼

「まぁ聞いておくれよ 元々酒を飲む相手探しでさ―――。」

鬼は、山に入った理由を 酒盛り相手を探していたんだと、酒のついでに話をつける
偶々出会った相手が、同族なものだからついはしゃいでしまったのだとも言った
だというのに、向こうの鬼は、こちらの鬼が嬉し気にいえば、なんだなんだ 口の中で身もない飴を転がすように。

「お、どうしたい 酒の進みが遅いよ?
 ほらもっと ぐぅーっと ぐぅーっと!」

そう言ってすでに二杯目も空けていた鬼、一敗目を強引に空けさせるのなら、もう一杯つごうじゃないか

「ナハハハハッ♪」

鬼は楽しげに酒を交わす 濃くも甘いと述べた同族に、鬼も嬉し気だ。

「白酒のように甘くなったが、澄んだ酒ってのもいいもんだろ。
 山に入る前に、私を悪と断じて襲ってきた若々しい、もうわっかりやすいほどの男がいてさ。」

そう言って、竹杯の中の酒を、手の中で ゆらりゆらり と転がして
同族相手に笑みを浮かべるままに酒に口をつける。

「こいつは“その男が溶けた酒”さ。
 鬼を悪と断じて斬ろうってわかりやすさも 夢も希望も持っていた心意気も良い。
 こんな甘い酒になったのはきっと、鬼の口にさぞかし合うからさ。」

嗚呼。旨いと鬼は酒を3杯目も、空にする
鬼が吸い込み、溶かし込んだ鬼の酒 人も獣も、魔物も亜人も、エルフだって吸い込み、溶かして見せる
味はその時 その場所で 違うもの 賊や飢えた村人なんぞ、辛くて塩の味までする
が、立ち向かい、希望をもって、最後には絶望し熔かされた酒はなんと甘いことだろう

命が溶けた、鬼の酒 同族に振る舞うには、持って来いといえるだろうと自慢げに。

ソラム > 「命を...ね」

命が溶けていると聞くと、彼女は少し哀しげな顔をする。
彼女の元々は龍。自然の摂理から逸脱し、ある龍の一族は理すらも書き換える程の超常的な力を有している。
彼女も古の頃、その力を怒りのままに振るい一国を滅ぼしたのだが、今はその記憶が欠落しているため、覚えてはいない。
だが彼女の思考の端では命などは被造物に過ぎない。そのような考えがあったが、自然を育んできた今の彼女には命というモノが何なのか、幾らか把握していた。
だからこそ、彼女は哀しげな顔をしたのだった。
空けた竹の杯には既に少女が酒を注いだ酒が杯を満たしており、命が溶けたその酒を見つめ彼女は決心した。

「.....私、貴方の同族じゃ、ないの」

顔を俯かせながら、彼女は意気揚々と話す少女にポツリとそう告げるだろうか。
少女に申し訳ないと思いつつ、自身のフードに手をかけ、バサッとそのフードを後ろへと放り、その瞳、ツノ、そして首筋に浮かんだ銀色の鱗を顕にするだろうか。

燈篭 >
そうつぶやく同族 驚きもしなければ嬉し気でもない
酒を眺め、信じられないのだろうか? ただ人間を醸したのではない
鬼の携えている瓢箪と、鬼の力で溶かし込んだ酒だ 故に命の味がする 芳醇な 魔が好む酒となる

しかし鬼は、酒を注ぎながら、甘い味だからツマミもいらんね と5杯目を飲み干すも、まだ酒はかなりある
それは瓢箪を持てば、その重量が示せるだろう だってそうだ 男一人を熔かした酒が 竹の四杯五杯でなくなるものかと

そして、黙って同族との再会や、旨い酒の理由を語った鬼
どこか口ごもる同族をしり目に

「どっこいせ」

その場で勝手に、名前もまだ交わしていない同族の膝に角の無いほうを向けては寝そべりつつ

「あばばばばばばっ♪」

声を出しながらに、明けた口の中に酒を注ぐ
飲み干した6杯目の後

『.....私、貴方の同族じゃ、ないの』

同族と思っていた女は、角有で、酒も交わしたというのに 同族ではなかった
その事実 身の無い飴を何度も口の中で転がして、やっとの思いで吐いたのだろう
嬉し気な鬼の気に充てられて、言いにくかったのだろう だがしかし

            だが、しかしだ

「ぐ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ……。」

鬼は寝ていた
かなりの進み具合だったのだ
濃くも甘く、命で酔い痴れる酒
同族との久しぶりの酒だと ついカパカパと空けてしまった

「ふごぉぉぉ……。」

それも、膝の上を勝手に借りての転寝
本当に酔いつぶれ、寝ているわけではない
旨い酒 いい場所 酒を飲み合う同族 とつい酒に体が浸かってしまったのだ
気づけば、鬼も目を覚ますのはそれよりさらに後
膝で寝ていた始末に、寝ぼけながらも ごめんごめんと肩を叩きつつ起き上がり、立つ

「目覚めの一杯~っと。」

ぐび ぐび ぐび ごっごっごっごっ

「ぷふぃぃぃ……」

酔いは全く覚めちゃいない
むしろ心地よい酔いのまま

「おぅ と。」

岩布団の上から、ふらりと足が千鳥って。

「おぶぁ。」

川へ落ちればどんぶらこ 上から落ちた細いそれが ここではすでに太く流れ

「ひやぁ 冷たくてきもちいや。」

同族と酒を飲んでいた喜びはどこへいった
酒に身を任せた結果がこれとなる

互いに、言いたかったことも言えぬまま
名前だって交わしちゃいない 勘違いされたままの竜角人体
間違えたままにその場を後にした片角鬼人

二人はそんな別れ方をしてしまえば、再会するまできっと、鬼は相手を同胞の友に会えたと思い
そんな気持ちを察するだろう竜角人体も、居心地悪げに、なぜさっさと言わなかったのかと思うだろうか。

ソラム > 「.......」

川に落ちてそのまま流れていってしまった為、返事を聞けずじまい。
また再開したら同族だと思われていることだろう。

「仕方ない、ね」

言わなかった自分も悪い。そう結論づけると彼女は少女の置いていった瓢箪の栓を律儀にしめると、少しの助走から跳躍し、林の枝々へ跳び移り、立ち去るだろうか。

「.....酒好きな鬼だったね」

移動しながら彼女はそうひとりごち、山中の奥地へと消えていくのだった______。

ご案内:「九頭龍山脈 山中」から燈篭さんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からソラムさんが去りました。