2021/04/02 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 荒ぶるように風が唸っている。
轟々と遠くの音、そして、耳のそばで斬るような風鳴り。
フードはすでにおろしている。山肌が露出した、植物も生えない登山道。
このあたりともなれば、賊の姿も見られないし、人もそうそうとおるような場所じゃない。
しかもこの強風だ。みられるみられない以前に視界の邪魔になる。
流石にそんな中で命取りなことはしていられない。
もう少し、もう少しで目的の洞窟がある。
そこに自生する苔を採ってくるのが今回の依頼。
このような険しい山道を行くこともあって、採取依頼にしては報酬が高めであった。
そのためにここまで登ってきたのだが…
思った以上に疲れた。襲われるような危険はほぼないものの、滑落したら一巻の終わり…。
道があるにしたって強風の中を歩くのは気疲れしてしまう。
「(今日は件の洞窟で一泊するか…)」
そんなに広くはないらしいが、キャンプを張ることくらいは出来ると事前に聞いていた。
強行軍で下山して死んでしまったら元も子もない。
雪がふらないことを願いつつ、洞窟にたどり着いたら一旦休もう。
■ブレイド > 強風の中、足元に気をつけながら暫く歩くと白い岩肌の中に黒い穴が空いているのが見えてきた。
洞窟だ。
魔物はいない。それも事前の情報でわかっている。
山賊なども誰も好き好んでこのような場所にねぐらを作ったりはしない。
だが、その洞窟に自生している植物…苔だけではない。
キノコやカビ…採取依頼のあった苔以外にも、薬用に使われるものが多くあるらしい。
それを知っているのはごく一部の薬剤師や、この地方で暮らしているものくらいらしいが。
そのため、他に採取に来ているものがいるかも知れない。
驚かせてトラブルがあってはいけない。
こんなところで戦闘なんてのは願い下げだ。
誰かいないか気配を探りつつ、穴の前でランタンに灯をともし
そっと中を照らしてみる。
■ブレイド > 誰も、いない、恐らく。
自分のように『ごく一部の薬剤師』に依頼された冒険者も
たまたま足を踏み入れたような物好きも
どこかから逃げ出しここまでやってきたような奴隷も…
そのような人影は今のところ見当たらない。
灯りが差せば何かしらの反応があるだろうし
そもそも灯り無しでこのようなところにこもれるわけもないのだから
洞窟の中が暗いのであれば、誰もいないということの証左でもある。
「だれも、いねぇな?」
一応声を出して踏み込む。
確かに、洞窟…と言うには規模が小さいか。
入り口はそれなりに広く、はいるには苦労はしないが深さはそれほどでもない。
50mほどか。それくらいで最奥にたどり着いてしまう。
周囲を照らせば、なるほど、色々生えている。
天敵がいないせいか、こんなところでも植物が自生するものかと感心した。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にソラムさんが現れました。
■ブレイド > たどり着いてしまえば、道中の道のりに比べれば
全くなんの苦もなく依頼にあった苔を見つけてしまった。
結構な量生えていたが、手のひらに収まるボウルに半分ほど程度の量でいいらしい。
まぁ、全部毟ってしまっては後々困るのもわかるが
薬学に疎い自分からすれば、こんなに少なくていいのかと少し不安になった。
まぁ、採取しづらいとか希少種である以上にここまで来る手間が異常にかかる。
それが今回の依頼の高報酬の理由だろう。
そのため、採取そのものにあまり時間はかからなかった。
ものの二十分もあれば採取自体は終了してしまった。
「…さてと…」
テントは…まぁ、いらないだろう。
少し焚き火をして、寝れる場所さえ確保すれば。
それほど寒いわけでもない。
■ソラム > 山道上空を飛ぶのは、一人の少女。
全身が銀色の鱗で覆われ、額には3本の黒いツノ。だがそのツノの一部は微弱ながらも赤く発光しており、地上からは視認できないだろう。
赤い瞳で休めん場所はないかと探しながら、何かに気を付けながら少女は背中に生やした翼脚で滑空する形で飛行していた。
「(さて.....どうしよう、これ)」
強風に身を任せて飛行つつ、背中へ視線を走らせると、翼脚の一部が剥がれ落ちていった。
冒険者とドンパチやりあい、頃合いで離脱したのはいいものの、冒険者の一人が放った矢が翼脚の皮膜に辺り、右側の皮膜が少しだけ裂け始めていた。
「(洞窟!あそこでなら......あっ)」
洞窟を見つけ、そこへ向かおうとした瞬間、バリッという生々しい音が聞こえたときには時既に遅し。
皮膜が強風に耐えられず、呆気なく引き裂けてしまう。
「いやぁぁぁーーー!」
バランスを崩し、左側の翼脚でコントロールするが、錐揉み飛行の状態で洞窟へと急降下。
誰もいませんようにと少女は祈りながら、地面へと激突する。
速度を緩めようとしたものの、地面で一回ボールのように跳ねると、洞窟の入り口までズルズルと勢いで地面と擦られ続け、洞窟に入って少しした位置で停止するだろうか。
■ブレイド > 焚き火の準備をするために、平坦な場所を選んで荷物を下ろす。
入り口にも近いが、あまり奥まったところでも息が詰まってしまう。
それに、火を炊くというのもあまり洞窟の奥ではしたくはない。
場所が決まって、さあ焚き火の準備だという段になって、妙な音がする。
強風による風切り音とは違う高い音…いや、声?
訝しげに眉を寄せて壁際に身を潜める。
こんなところで人の声など…何だというのか。
ありえないとは言わないが、そうあることではない。
警戒するにこしたことはない…と思っていたのだが
次の瞬間には、何かが滑り込んできた。
「なに…?」
人?いや、羽根に角、鱗も見える。
その色には見覚えもある。しかし、なぜこんなところにこんな登場をするのか、理解が及ばなかった。
「ソラム?」
確認するように声をかければ、そっと近づいてみる。