2021/03/31 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にカザンさんが現れました。
カザン > 「おー、おー、おー…っとっ、よーいっせと」

九頭竜山脈のとある山。
冒険者なども採取、討伐依頼などで見たことがある山のふもとで、巨躯が鍬を振っている
作っているのはなんともでこぼこな畑だ。

一振りするたびにどごん、と音がして鍬が少し歪み。
歪な畑ができていく。
この鍬は、取った獲物と引き換えに近くの村の住人と交換したものだったのだが、早くも寿命を終えそうだ。

「おうおう、また貰いにかなきゃな。…ただ、なァに植えっかなぁ、色々悩むところだ」

人を脅かさず、ただのんびりと生きる鬼は。
近くで何かあるか…誰かがここを訪ねるまで、今日も日がな一日中、やりたいことをして過ごしていく。
知らない者から見れば、魔物が居る、と思われても仕方が無いが、その時はその時だ。

「あーらよっ、と…よいしょっ、とォ」

当の本人はそれを気にせず。
地面を抉る音を立てながら、何度も鍬を振り続ける。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にソラムさんが現れました。
ソラム > 大空を悠々と泳ぐように飛翔する大きな影が1つあった。
その全身は銀色の鱗に覆われ、捻れた一対の角がその頭部についている。
その角の下部には血よりも濃く、赤い、蛇のような瞳が。
翼と足の機能を有する翼脚は、背中で大きく広げられ、その飛行を安定させていた。
彼女は今、巣の付近をパトロールしている最中だった。
最近冒険者が山へ立ち入ることが多くなった為、一応保険としての念のためらしい。

「(うんうん。今日も平和かな)」

あちこちを見回し、特に異常がないことを確認すると一人ウンウンと頷く。
昼間は大きく動けないこともあり、そろそろ切り上げようかと思い体を方向転換させると、

「(......ん?)」

ふと視界の端に、何かが映り込んだ。
そちらの方に目を合わせると、畑を耕す一人の人影があった。
人と言っていいのかはさておき、麓近くまでなら降りても問題ないかな、と判断すると、ゆっくりとその畑の近くに降り立つ。
翼脚を振って発生した風圧と大きな体のせいで、畑と耕している人影に影がかかるだろうか。

カザン > 「こーの畑にゃ、なーにがなーるゥー…そーれは、撒いた種しーだーいーっ、とォ」

鬼は、ざっく、ざっく、と硬い土を耕している
歌うことぐらいしかすることが無いため、歌いながら。
ただ、その途中、風に畑が揺れる。

風の方に顔を向ければ、そこには…懐かしい、とも言うべき龍の姿。
ただし、その龍自体は顔見知りではない、初見の相手だ。
故に、よ、と手を上げて挨拶しよう。恐れることもない。

「よォ、龍さんよ。どうした?」

鍬を一旦置いて、とりあえず挨拶だ。
中々見なかったが、もしかするとご近所さんだったのかもしれないと思っている。

ソラム > 人影額に一本の角があったことで正体が鬼だとわかると、そりゃ巨躯な訳だと心の底で納得する。

『この辺りの見回りです。最近、冒険者の出入りが激しくて』

龍の姿のまま、流暢に言葉を紡ぎ、初対面の鬼へ発する。
彼女は人化しているときはポツリポツリとしか話さないが、龍化しているときは、饒舌、というよりは話しやすいのだろうか。

鬼へ説明すると、不器用ながら、耕された畑を見つつも、

『...しっかりと耕されてますね。畑が貴方へ感謝してますよ』

畑から発されるモノを感じ取った彼女は再び鬼へ言葉を紡ぐだろうか。

カザン > 流石に龍の大きさには及ばないものの、男もかなりの大きさ。
着地した龍を見上げれば笑顔を見せて。

「あァ、ご苦労さん。あんまりオイタするやつはいねーが…見回りってことは家でもあるのか?
俺ぁここに住んでるが…、近くなら嬉しいね」

龍を労いつつ自分が住む巨大な洞窟を指す。
近所付き合いができるならそれはそれで嬉しい。

「ん?お世辞はいいぞ。向いてなくてなァ…、土がボコボコになっちまう。
この辺は土が良いせいか、それでも育つといえば育つが、不格好でな」

はっはっはっ、と笑って手を振る。
不格好なのは鬼も知っているから、気を使わなくてもいいと。
少し離れたところには完成した畑がいくつかあるがどれもぼこぼこだ。

ソラム > 『私は事実を述べただけですよ....?』

お世辞はいいぞと言う鬼にそう伝える。
事実、彼女からしてみれば不恰好だが丁寧に耕された畑たちの土壌は良くなっているのは明らかだった。

『えぇ、私は奥地に住んでいますが、長い間洞窟から出ていなかったので』

降りてきたのはつい最近のことですよと付け足しつつそう言うだろうか。
初めは土地勘もなく右往左往する羽目になっていたが、今では全域をほぼ把握しているものの、まだまだ行っていないところもたくさんあるなぁと心で呟きつつも辺りを見回す。

『貴方もここに住んでいるのですか。私としては大歓迎ですね』

穏やかな様子に目を細める。
実際誰も住んでいないのかと思っていた彼女は、少し嬉しく感じた。

カザン > 「はは、嬉しいね。ありがとよ」

そこまで言われては、固辞するのも何か違うだろうと褒め言葉を受け入れよう。

「ほほー、洞窟に居たのか。
見聞を広めようっつうことか?大事にされてんだなあ。つええだろうに
おう。こちらこそよろしく、っと」

龍は基本的に強者であるから。
放っておかれていることも多いが、逆に過保護だったのか。
あるいは自分で引きこもっていたのかはわからないが。
巨大な龍の姿を見て力量を推し量りつつ。

歓迎と言われればにか、と笑って。
腰布で手を拭ってから右手を差し出そう。

「握手はわかるか?人間は友好的な関係をつくりてぇ時、こうするらしい。
近くの村で聞いた。」

ごつい…と言っても龍よりは小さい手を出して握手を求める

ソラム > 『私くらい、町の1つや2つに行ったことはありますよ』

そう言うと自身の体内に流れる龍の血を一時的に心臓で塞き止め、龍の姿から人の姿へと変貌する。
銀色の鱗に覆われた姿は変わっていないが、150センチ程の小柄な体格まで体は縮み、白銀の髪に龍の姿から変わらない赤い瞳。そして唯一の違いは、額の右片方に小さな順で縦に3本、並んで生えている漆黒のツノだった。

「普段、街や大きなところに入るときは、この格好、だから」

流石に鱗とツノはしまうけどと付け足すと、自身より大きくなった鬼の手を小さな手で握り、よろしくと言うだろうか。

「.....詳しくは、わからないの」

記憶喪失、もしくは大部分の記憶が欠落し、思い出せなくなっていることを鬼へと話した。
この人には話してもいい、信用に値すると彼女の直感が働いた結果だった。

カザン > 「ん?人化か。器用なこった。……おー、えらく可愛らしくなったな」

縮んでいく少女を見て、ほお、と。
自分の身体を縮めるというのは中々窮屈だと聞いたことがあるが。
あくまで昔の話なので、今の龍がどうなのかはわからない。
意味があるかはわからないが、容姿を褒めつつ握手。

「舐められそうだが、それは…まあ、しゃーねーか。
……わからない?…ほー……」

小さな少女の姿は、人間の社会では庇護されると同時に暴力の対象となることもある。
そんな場面はいくつか見てきたが、今は話題に上げず。
記憶喪失だと聞けば、頷きながら話を聞く。
しかし、細かい事は気にしない鬼は、にか、と笑って

「まぁ思い出してぇなら手伝うがよ。俺としちゃあ、ご近所さんができただけで嬉しいなァ
ああ、そうだ。お前、名前は?俺ぁ、カザン。記憶が無ぇのは辛ぇだろうが、話し相手ぐらいにはいつでもなってやるよ。なにせ暇だからな」

ごつすぎる掌で優しく相手の白銀の髪に触れようとしながら、記憶があってもなくても知り合いになれたことは変わらない、とあっさり告げて。

ソラム > 「私は、ソラム」

名前は覚えているのと鬼____カザンへと付け足す形で名乗ると、カザンのごつい手で優しくだが、クシャクシャと撫でられる。

「久しぶりの住人に、会えて、私も嬉しい」

カザンに撫でられながらもそう言う。
自分でもわからなかった。なぜ洞窟にいたのか、名前だけ覚えているのか。
存在意義も何もわからず、ただただ長い間考え続け、結局分からずじまいだった。

「.....カザンは、私と勝負したら、勝てる自信は、ある?」

彼女はふと気になったことをカザンへ聞いてみるだろうか。
初めて鬼と遭遇したが、戦闘したら面白いのかな、と。
知りたくなったのだ。
彼女が戦闘を起こす理由は主に二つ、興味を持つか、不慮で戦闘が展開されるかである。

カザン > 「ソラム。おう、よろしくな。ご近所さん」

名前を交換し、嬉しいと言われれば同じく頷こう。
近くの村人と一応の交流はあるけれど、鬼とて話し相手はいくらでも欲しい。
記憶喪失だというのなら、話し相手ぐらいにはなろうと。
ただ、相手からの問いには少し首をかしげて。

「お?どうした急に。外出たのは喧嘩相手探してたのか?」

は、は、と笑った後。

「勝つ勝たないっつーのはもう飽きたんだが…。
どうだろうなァ、昔に龍とやり合った時ぁ、楽しかったが…命取りそうでやめちまった。ンなヤツ殺すのはもったいねえし」

昔は勝ったようだ。
自信が見て取れる。

ソラム > 「.....いや、気になった、だけ」

昔はもう少しいたんだな、と呟きつつ、懐から何かを取り出す。
それは黒いファイルだった。
使いなれているのか、ペラペラと流れるようにページをめくり、1つのページが出てくると、捲る手を止め、挟んでいたペンで何かを書き留め始める。

「遠くに、いるのかな.....」

彼女はふとそう口から言葉をこぼした。
彼女が家となる洞窟を出て旅をしている目的は、世界を見てみたいと言う好奇心と、同族を見つけてみたいという欲求のようなものだった。
最初は感情すら理解できなかったものの、人間を観察している間、知らぬ間に彼女の感性に影響を及ぼし、人々や魔物の感情が理解できるようになっていった。

「...私は多分、人間と、戦ったら.....っ!」

自信があるというカザンの言葉を聞き、彼女自身も戦ったらと考え始めた直後、頭に激痛が走る。ファイルとペンを取り落とすとその場に崩れ落ち、頭を押さえて痛みに悶絶し始める。
そして、頭に、耳に、目に焼き付くのは自身の周囲にある家や様々な建築物を包む灼熱の獄炎、人間たちの悲鳴や叫び声。その光景はまさしく阿鼻叫喚、地獄絵図といってもいいだろうか。
やがて激痛が収束すると、流れていた幻覚も収まる。
彼女の体からはどっと汗が吹き出し、汗の粒は頬を伝って地面へと落下し、ポタリポタリと地面にシミをつくるだろうか。

カザン > 「変なヤツだなぁ…。…おぉ、なんか珍しいモンが…」

率直にそう告げて、様子を見ていると。
なにかぶつぶつと呟いた後、相手が崩れ落ちる。
何があったかはわからないが、崩れ落ちる相手を見て

「おいおいどうした急に、大丈夫か?」

流石に相手が汗をだらだらと流し、悶絶していれば心配にもなる。
腰を落としてしゃがみ、様子を見ているが。

「なんかあんのかは知らんが、辛ぇなら洞窟で休んでいけ。
ぼろっちいが広ぇ寝床もある」

男には魔法的な技能は何もない。
だから、相手の痛みを癒すことはできないが、休むなら場所は提供できると告げて。
逞しい体で、少女を抱え上げようとしよう。

ソラム > 「ぃえ、お気に、なさら、ず」

大丈夫ですので。絶え絶えだがはっきりそう言うとゆっくりと立ち上がり、深呼吸する。

「迷惑、かけた、ね」

申し訳なさそうにカザンへ謝りながら、彼女はふと考える。

「(あの景色.....私が街を破壊して滅ぼした...?).....まさか、ね」

考えを否定する言葉が漏れたが、彼女は気づかず、落としてしまったファイルとペンを拾い上げると懐へと戻す。

カザン > 「ん?…おぉ、こっちも気にすんな」

抱え上げようとしたが、相手が立ち上がれば抱え上げるのはやめる
謝られると、何が何だかわからないが…

「とりあえず今日はもう寝床に帰んな。見回りも疲れてちゃ効率あがらねーだろ」

そう言って、大丈夫そうなら見送ろうとしよう。

ソラム > 「そう、させて、貰う、ね」

カザンの言葉に同意すると少女の姿から再び龍の姿へと変え、翼脚を広げ、軽く動かし、飛行の準備を整える。


『.....また会えたら、話し相手になってもらえますか?』

あとは飛ぶだけになったところで顔、瞳をカザンへと向け、そう問いかけるだろうか。

カザン > 「嫌だって言う理由もねーだろ。好きに来いよ。大抵この辺に居るからよ」

大丈夫そうなら、畑仕事のため鍬を再び持って

「気ぃつけて帰れよー」

軽く言って、飛び立つなら見送るだろう。

ソラム > 『ふふ、えぇ、わかりました。ではまた、お会いしましょう』

カザンへそう告げると、体を沈ませ、飛び上がる。
ある程度の高度まで飛ぶと、翼脚を使い飛び去って行くだろうか。
彼女が飛んでいった方角からは、別れの挨拶代わりであろう甲高い咆哮が山脈で木霊するだろうか。

カザン > 「……あんな吼えたら、それこそ冒険者に見つかるんじゃねーのか?…まあいいか
よーっこいせー、っと」

風圧を感じてから、再び鍬を振り始め。
またのんびりと畑を耕し始めた

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からカザンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からソラムさんが去りました。