2020/11/17 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にエレミヤさんが現れました。
■エレミヤ > 太陽が落ち始めた時分。
少々高い位置から、木々の合間―――と、網目の向こうに見える鮮やかな景色を呆然と見つめる少女が一人。
「――――どうしよう…。」
思わず呟いた声は、絶望の色に満ち満ちていた。
それもその筈、魔獣狩り用の罠なのだろう、強度の高い紐と魔法の発動を阻害するらしい術式が組み込まれた紐とで編まれた網の中に格納され、落ちたら少々痛そうな高さの枝に吊られている今、抜け出す方法が思いつかない。
懐に忍ばせているナイフでは切れず、ノーコン魔導士である自分の魔法がどう暴発するかも分からない今、少々現実逃避したくなると言うもので。
■エレミヤ > 網に浚われる最中に杖を落としたのも痛かった。杖が無いとコントロールが大変不安である。
綺麗な夕焼けからゆるゆると目を反らし、自分の真下に落ちている杖へと視線を落とす。
今の高さは地上から4、5m程だろうか――如何足掻いても手は届かない。
「う、ううん……破れなくは…無いけど、―――」
コントロールをミスれば自分諸共だろうなあ、とは想像に容易い。
然し、助けを待つ、と言うのも手段としては現実的ではない。
いずれ罠の回収に『誰か』は来るだろうけれど、その『誰か』が良い人間である可能性は限りなく低い、とは流石の自分も分かる。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > おろおろと迷っている少女の下に、青い闘牛士服の男が一人。
男は最初、あれ、と首を捻った後に上を見て。
「……魔猪討伐のために罠を仕掛けたら、まさか女の子がかかるとは」
と呟き、うーむと考えている。
さりげに、エレミヤの真下――つまり、ワンピースの中が見える場所に移動しつつ。
どうやら、少なくともスカートの中を覗き見る程度には、少女の懸念は当たっていたようであった。
男は、最早正々堂々と真上を向きつつ、
「おーい、助けて欲しいかい?」
と呼びかけている。
■エレミヤ > 草木を掻き分ける音が少しずつ近付いてくる。
思わず身を強張らせ、ぎゅう、と網を掴み―――やがて出て来たのは、己が危惧していた山賊ではなさそうな男の人。
はつ、と瞳を瞬かせ、
「―――た、助けてください!」
掛けられた声に間髪入れずに答えた。
まさかワンピースの中を覗こうとしているなんて思いもしない。し、ワンピースの下はキュロットである。見られたところで問題ないのだ。
■クレス・ローベルク > うーん、と男は腕組みして考える。
彼女を助ける事そのものは容易い。元より、生け捕り用の罠なのだから。
だが、此処で助けるメリットは特に無い。
だが、それはそれとして、女の子には親切にすべきだ、と男は思う。
――故に、男は折衷案を出した。
「成程。助けて欲しいか。んでも、俺の方にメリットは特に無いし――大体、君が俺の罠にかかったせいで、罠を仕掛けて待ってるまでの時間が全部無駄になったんだよね」
だから、と男は爽やかな笑顔で、
「罠にかかった以上、君が獲物って事で。
今日一日、君を好きにさせてくれたら、そこから降ろしてあげるよ?」
と、とんでもない事を言うのだった。
■エレミヤ > 網の中で過ごしていたのはそう長い時間ではないが、それでも碌に動けないと言うのは辛い。
これ幸いと助けを求め、安堵に胸を撫でおろそうとした矢先に紡がれた言葉。
がん、とショックを受ける。
如何やらこの罠は相手が仕掛けたものらしい。その上、狩りの邪魔になったと。
「それは申し訳―――」
慌てて謝ろうとして、ぴたりと止まる。
曰く、助ける見返りに対価を、と言う事だとは思うが――
「ええと…私に何かお手伝いできる事がある、って事でしょうか…?」
弁済でなく労働だろうか、と相手の言葉の意図が伝わっていなかった。
見た通り貧弱ですけど、と言わんばかりの困り顏を浮かべて問い返し。
■クレス・ローベルク > おや、と男は意外そうな表情をする。
てっきり、断れると思ったが、そもそも少女には意味が通じていないようだった。
この辺の人間にしては、初心な方である――冒険者か何かだと思っていたが、もしかしたら箱入り娘なのかもしれない。
だから、男は今考えていることなど全く感じさせない爽やかな笑顔で、
「まあ、そんなとこかな。
勿論、多少なりともキツイ仕事だけど、君なら出来る。
既に、獲物がこの辺に出る時間は過ぎちゃったし――罠を仕掛けるのは明日だから、その間の時間を無駄にしたくないんだよね」
と言う。
実際、男が語ったのは全て嘘ではない。
――ただ巧妙に、彼女に何をさせるのか、言ってないだけである。
■エレミヤ > 冒険者として依頼を熟す様になって、警戒心、と言う物を持つ事は覚えたが、それでも根本は簡単には変わらなかった。
基本が、人を疑う、と言う事をしないが故、浮かべられた笑みを其の儘受け取る迂闊具合。
返された皇帝に、改めて安堵の吐息を吐き出し。
「ちっ、力仕事に自信はありませんが…! 頑張りますので!」
やる気はありますよアピールまでする始末。
時間を無駄にしたくない、との言葉にちくちくと良心を刺されて胸が痛いのだ。
■クレス・ローベルク > 少女のあまりの屈託さに、つい苦笑いしてしまいつつ。
男は、「良かった」と言って。
「それじゃあ、先ずは降ろそうか。ちょっと待ってね」
そう言うと、近くの木に結んでおいたロープを、ゆっくりと解いて、彼女を下へと降ろし始める。
徐々に徐々に下に降りていって、遂には地面まで降りていき。
「それじゃあ、早速お手伝いしてもらうわけだけど――そのためには一旦、宿に戻らないといけない」
そう言って、男は網をナイフで斬っていく。
ナイフにも術式がかかっている所を見ると、専用のナイフでないと斬れない様になっているのだろう。
「その前に、自己紹介。
俺は、クレス・ローベルク。君は?」
■エレミヤ > 彼の浮かべる苦笑いには、何か変な事を言っただろうか、と頭の隅っこで考えながら、少しずつ高度を下げていく網を揺らさないように、と身動き一つもしないで待機。
やがて地面へと降り切れば、衣服越しに感じる久しぶりの大地の感覚に大きく息を吐き出した。
一晩中吊られたまま、なんて事にならなくて良かった。
「わかりました。」
相手の言葉に頷きを一つ。
それから、ざりざりと網を切り行くナイフを眺め――ぱさ、と囲いが落ちて完全解放である。
「クレスさんですね。
私はエレミヤ、と言います。」
よろしくお願いします、と弛んだ笑み面浮かべて自己紹介。
■クレス・ローベルク > 少女を引き連れ、男は麓の宿までやってくる。
かなり、狭く安い宿だ――宿の台帳を書いていた店主は、到着した男を見て、「もう良いのかい?成果はどうだった」と訪ねたが、男は首を横に振って、
「残念ながら、この子が代わりに引っ掛かってた。
今日はもう、この子と一緒に休むとするよ――宿代は後で払うから」
宿主の男は、その言葉に何故か苦笑して、「あんまりハッスルしすぎないでくれよ」と言って鍵を渡す。
男は少女を奥の廊下を通って、客室に連れていく。
客室の中は、申し訳程度にクッションの効いた椅子が一つと、それからベッドが一台。後は小さな衣装棚があるだけで。
「それじゃあ、仕事の話をする前に、まずは座ろうか。
椅子は一つしか無いから――エレミヤちゃんはベッドの方を使うといい。ああ、杖は置いといたが良いかな」
と、言う男。
だが、エレミヤがベッドに座ると、男も何故かその横に座ってしまう。
おまけに、自然に肩まで抱いて――身体をぴたりと密着させて。
「それじゃあ、仕事の話をしよう。
まあ、仕事と言っても、金銭が発生するわけじゃあないんだけどね。要は君の仕事は――これから、俺にエッチな事をされる事、なんだから」
■エレミヤ > 男と連れ立ち宿まで向かう頃には、すっかり陽も落ち切ってしまっているのだろう。
店主とのやり取りに口を挟む事無く――然し、忠告めいた言葉には脳内に疑問符浮かべながら、二人の顔を不思議そうな顔で交互に見る事になる。
そんなに厳しい労働なんだろうか、と、少々不安を覚えつつ、促される儘辿り着いた客室。
ゆる、と室内に視線を巡らせ、
「あ、はい。 すみません、お借りしますね。」
杖は壁へとゆっくり立て掛け、それからベッドへと。
埃が舞わぬよう、静かに腰掛け――傍らへと同じように座る相手。
きょと、と瞳が瞬いた。疑問が浮かぶより早く耳へと届く言葉に気を取られ、肩を抱かれた事にまで頭が回らなかった。
「金銭が発生しな―――― えっ?」
さて私の仕事は何だろな、と意気込みかけ、紡がれた無い様にぽかんと呆気に取られた表情。
「えっ―――――!?!?!」
理解するまでに数秒。それから、ぶわり、と一気に登る熱に顔が朱に染まる。
反射的に立ち上がろうとして、肩を抱く腕に数センチだけ腰が浮いて再び沈んだ。逃げ腰。
■クレス・ローベルク > 「はい、だめー。駄目だよー?逃げたら」
そう言って、立ち上がろうとする少女の身体を、ぐ、と抑える。
それは、言外に「逃げられない」と言っている様でもあり。
「まあまあ、気持ちは解るよ?でも、もう君は好きにさせてくれるという、そういう約束をしちゃった訳なんだから。
そこで逃げちゃ駄目だよね?」
と、にっこりと言う。
確かに正論だが、それは彼女の無知と無警戒に付け込んだ、暴論とも言えるもの。
だが、暴論も、押し付けてしまえば正論と相違はない。
そして、彼女は"押し付けられる"タイプだと、男は考えている。
「いや、勿論君が約束を破って、例えば大声を出して逃げれば俺は止められないんだけど――
でも、君があの罠にかかったせいで、この宿代含め、お金が余分にかかってるんだよね。あの罠だって、結構高いんだよ?」
それに、と彼女のネックレスに手を伸ばす。
じゃらり、とアネモネの飾りを手のひらに載せて、
「この首飾り。修道女の証だよね?
仮にも神様に仕える者が嘘をついたりするのは――駄目なんじゃないかな?」
と、笑みのまま男は言う。
追い詰める様な言い方でプレッシャーを与え、言質を取るつもりで。
■エレミヤ > 立ち上がれない儘、然し無意識の内に逃げを打つ身体は相手から遠ざかろうとしているのだけは相手にも伝わるだろうか。
反論を許さぬとばかりの相手の言葉には、「あ」だとか「う」だとか、意味を為さない呻きに似た音だけが零れ落ちた。
労働をするのだと思っていたのに、何故こんな事態に陥ってしまっているのか、と、次第に表情がしょげたものへと変わっていき――ネックレスの飾りを示しながらの言に、遂には今にも泣き出しそうな面へ。
「わ、―――わかり、ました…。」
もっと冷静であったなら、真面な反論のひとつも出来たのかもしれないが、相手に迷惑をかけたと言うその一点を気にする限り無理なのだろう。
眉尻を下げた情けの無い顏の儘、碌な反論も出来ずに頷いた。
■クレス・ローベルク > 「おっと、泣かない泣かない……って、それは無理か」
男が彼女の立場でも、泣きたくはなろう。
とはいえ、幾らなんでも泣き顔のまま、エロい事をさせるのも後味が悪い。
元はと言えば暴論なのだし、多少の譲歩はするべきと考え、
「解った。それじゃあ、こうしよう」
と言って、
「エロい事はする。でも、セックスはなし。
少なくとも、君がセックスしていいって言うまで――ただ、君の身体を触るだけ。
それで、どうかな?」
と、そんな事を言う男。
勿論、これでも大分理不尽なのだが、大分心持ちは違ってくるだろう。
尤も――男にとって、彼女を『その気にさせる』のは、容易いこと、なのだが。
■エレミヤ > まだ泣いてない。と、言いたい所だが、既にわりとぐずぐずである。
すん、と小さく鼻を啜りつつ、
「―――?」
相手の口から出た言葉に、不思議そうな顔でちらと其方へと視線を一つ。
続けられる台詞には、浅く縦皺を刻んでいた眉宇を仄かに弛めた。
それなら、多少は――ましなのではないだろうか。
など、相変わらず回り切っていない思考で下す判断であった。
再び小さく頷きを打ち、ゆる、と唇が開く。
「―――あ、あの、 い…痛いことは、しないでください、ね…?」
恐る恐ると言った様子で乞うた。