2020/11/02 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中の獣通り」に燈篭さんが現れました。
■燈篭 > 寒さが通る山脈山中 獣道
其処には一匹の陸の竜が道なき道を通っていく
姿はまさに赤い大蜥蜴 翼の無ければ 角もない
逞しい四肢 赤い鱗 太増しい尾を携えた四肢の獣竜そのもの
その竜の背で、呑気に瓢箪を抱えて寝こけるは、頭と肘に角を携えた小鬼
この小鬼、ぐぉぉ くかぁ と鼾をかきながら、しこたま酒を浴びたのか 頬を染め、その顔は機嫌の上といったところ
「んぐぉぉ……ふごぉぉ……。」
四肢で揺れる身体といえど、角が上手く支えているのか、未だころりとなる気配もない
なぜこの陸の竜を枕に、鬼が酒精を浴びて眠りこけているかといえば、少し話は遡る
■燈篭 > 小鬼、この物騒な気配が漂う山の中を、酒を片手に歩いていた
今の時期、山賊云々よりも、今日この日は冒険者が山脈の中をうろつくものが多かった
盗賊狩りか はたまた湯脈巡りか 鬼の知るところではなかったものの、偶然居合わせたのが事の始まり
冒険者 陸の竜 そして鬼 三者一同にとある獣道の交差でばったりと出くわす
ならばと始まったのは三つ巴 この童は鬼かと言われる前に、竜の子かとすら言われた
角が引き起こした勘違い 鬼は誰が竜だと怒れるものの、暴れているうちに竜と己だけとなってしまった
ならばと今度は、この互いが殺し合いを始めるべきと思えば、互いにしたことは食む 呑む それだった
勝ち取った肉を喰らい、腹を満たす竜、殺しつくした肉を吸い込み、酒に変えた飲み干す鬼
2人はその場で、己らの首さえとれば、英雄だった者らで舌を打つ
互いに言葉なんてわかりゃあしない
しかし、鬼は語り、竜は聴き、時折英雄を溶かした酒を与えると、それは竜ですらも気分を良くさせた
命に満ちた味がする酒 互いに機嫌のよいまま、道中こうして、竜を枕に眠りこけた鬼が出来上がった次第
「んごっ……?」
ここで鬼、陸竜の背中で揺られながらに目を覚ます
欠伸を一つ身を起こし、寝起きの一杯
ぐび ぐび ぐびっ
「ぷはぁ……んぉ、なんだお前さん、まだ動いてたのかい。」
そう言って、ベチベチと、赤い身体を叩いては、すっかり気分は呑み仲間
■燈篭 > 鬼は機嫌が良かった
山登りだぁとその場の勢いで始まった山中千鳥脚
己を殺そうとするもので作った酒は久しく呑んでいなかった
誰かと殺し合いに興じながら、終わった後に酌み交わすことができたのが久しかった
また、その酒を互いに味わえた
相手が言葉もわからない陸の赤竜だといえども、変わらない嬉しさがある
故に鬼の機嫌はすこぶるなものだ
まだ残る英雄になり損なった者の酒の味を噛み締めながら、竜の背でゆらりゆらりと。
胡坐をかきながら道なき道を 草の分け目を進んでいくのを黙って見つめる
「なぁ竜よう。一体アタシを何処へ連れて行こうってんだい?」
時折覗く山から見える麓景色 冷たく広がる空色の光景 好い酒の肴だった。
それが竜の歩幅で流れていくのだから、貴重な酒の時間とも呼べた。
ご案内:「九頭龍山脈 山中の獣通り」に燈篭さんが現れました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中の獣通り」に燈篭さんが現れました。
■燈篭 > 道中、坂を上り始める竜に、踏ん張りを忘れていた小鬼
コロンと転がり始めを片手が掴むところはありはしなかった
なにせ竜には翼も角もありはしない
「おろ」
その一言の痕には、ころころころと坂を下っていく小鬼と、気づかず前進しつづける竜が分かれ目になったとか。
ご案内:「九頭龍山脈 山中の獣通り」から燈篭さんが去りました。