2020/11/01 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」にカサンドラさんが現れました。
カサンドラ > 遠く近く連なる山並みも、その中を抜ける街道の道筋も、
何もかもが宵闇に沈もうとする時刻。
街道端の草叢や灌木がぐしゃぐしゃに乱れ、引き倒されて出来た不自然な軌跡の果て、
横倒しになって壊れかけた荷馬車と、そこから散らばったのだろう彼是も、
また、闇の中へ紛れてゆこうとしていた。

人の気配は―――――息をしているものの気配は、少なくとも、たったひとつ。
馬車の陰から裾が覗く、ぼろぼろの黒衣に包まるようにして眠る、
赤い髪の小さな少女だけが、血腥い香りを纏いつかせながらも、健やかに呼吸をしていた。

空腹を満たした赤子が、母の腕の中で、すやすやと眠りに就くように。
この少女もまた―――――望むと、望まざるとに拘わらず、自らの飢えを満たしたのだ。
小さな身体には過ぎるほどの生気を、たっぷりと溜め込んで、
ささやかに負っていた傷も、全て消し去りながら。
新たに摂取した糧が自らの心身へ馴染むまで、今暫く、少女は眠りの淵に居る。
獲物と狙われるには小さかろうけれど、纏う生命力は矮躯に不釣り合いなまでに強く―――――。

カサンドラ > ―――――少女が目覚めるのは、夜半過ぎか、それとも朝か。
その時、少女が幼い姿のままであるのかどうかすら、今は解らない。

あるいは自ら目覚めるより先に、強引に覚醒を促されるやも知れず―――――。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」からカサンドラさんが去りました。