2020/04/23 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──あーもうベトベトだよ……」

月の明るい夜。
そんなウンザリした声を漏らしながら、悠然と山道を歩いて下っている金髪の男が一人。
その全身は、今は何やら赤黒い液体で言葉通りにベトベトである。
──というか、それはあからさまに血であった。

そんな男の挙動は何かしらの不具合を感じさせるものではないことから、この血は
男自身のものではなく、返り血の類であることも読み取れる。

「麓に降りる前に一度流しでもしないと血だらけのやべーやつ扱いされてしまうのは
確定的に明らか。んんむ、この辺に川とかありましたかねぇ……」

ぬぅん、と唸りながら記憶をたどりつつ。
全身血まみれのホラー状態の男は、ざしざしと歩を進め続け。

エレイ > その後男が無事血を洗い落としせたのかは、また別の話──
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からエレイさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアンヤさんが現れました。
アンヤ > それは突如足音も無くやってくる。
それは唐突に風を揺らさず姿を見せる。
それはやがって人の姿となる。

「やぁ、何とも、そう、何とも奇妙な場所よなァ……。」

夜の闇が集う、或いは影が濁りよどんだ物が者へと姿を変え、姿を変えたものが真っ白な相貌、その顎先を撫でながらポツリと人の言葉で呟く。

ひくり、と鼻腔を震わせれば甘美なる鉄錆の香りの残滓。
耳をふると揺らせば怨嗟の声色が聞えてくるような?
何にせよ、その存在には酷く心地良い場所へと彷徨い出た。

そは悪霊、悪鬼、精霊、該当する言葉は多々有る。
神などにも足元に及ばぬ代わりに何より人に近しい生きた災厄、小さな幸運を大きな犠牲と引き換えに生み出す者。

見て呉は人、妙に整った妖しい相貌は笑み。
だが存在を看破できる眼を持つものが姿を視認すれば、それは酷く歪んで黒ずんだ人以外の何かに見えるだろう。

そんな存在が薄暗い闇が群れて生まれた人影は特にやる事無く山中を彷徨い始めた――…くちゃり、くちゃり、と足音にしては酷くぬかるんだ足音と、腐臭に近しい甘い香りを振り撒きながら。

――…踏まれた土は腐り、草木は枯れ、一目にして生命力が吸い上げられた残滓だというのは誰の目にも明らかであった。

アンヤ > 食事であり好奇心を満たす散歩は暫く続いたが、それもまた退屈になると、人影は足元からほろりと崩れ落ち、最後には一握りの黒色の灰となる。

それは滅んだわけではない。
それはただ己の空虚を満たせる場所へと移ろっただけなのだ。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からアンヤさんが去りました。