2020/01/27 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「──ほう……」
夜の山中を、ランタンを携え散策していた金髪の男は、その道中で小さな山小屋を発見して足を止めた。
男は顎に手を当て思案するような仕草をしながら、その小屋をジロジロと眺め。
「ほむ……ちょうどいいから今日はココに泊まるとしようかのう」
そう言っておもむろに近づけば、一応軽くノックをした後扉を開け、中へ。
明かりの灯っていない小屋の中を、ランタンを掲げて照らして眺め回す。
中には木製のテーブルが一つに椅子が2脚。
壁沿いに設置された木製の幅広のベンチのようなものは、布団のような寝具こそないが、おそらく寝床だろう。
「──ふーむ……ちょっと埃っぽいがたまに利用されてはいるといったところかな……ウム、上等上等」
などと満足気にウンウンと頷き、テーブルの上のホコリを軽く払うと、ランタンとバッグをその上に置く。
椅子のホコリも払ってから、ゆっくりと腰を下ろし。
「さて……寝る場所を見つけたはいいがまだ眠気は来ていない感。それまでどうしてようかのぅ……」
そう呟くと、なんか暇つぶしになるもんでもあったかな、とバッグをゴソゴソと漁り始める。
ランタンの明かりは小屋の外にもほのかに漏れていて、中に誰かがいることを明確に示していて。
■エレイ > 「──ン、こいつは……この前遺跡で拾った魔導書っぽいやつだったな」
やがて取り出したのは一冊の古びた分厚い本。
魔導書、と言っても本そのものが高度な魔術で構成されているような厄介なタイプの代物ではない。
少々旧い時代の魔術式らしきものが記述されている普通の本だ。内容的にも特に
禁呪に類するものも載っていないと判断し、持って帰って来たのである。
なお、厄介な方は基本的にその場で処分している。
そのテの魔導書には多くの場合、自身を破壊から守るための術式が仕込まれているので
処分は困難であるのだが、術式ごとまとめて完全に粉砕できるこの男にとっては問題にならないことだった。
……ちなみにその際に発生するエネルギーで遺跡まで崩してしまったことも一度や二度ではなかったりするが、それはまた別の話。
ともかく、男はテーブルの上で本を開き、頬杖突きながら細かく記された文字を
のんびりと眺め始めて。
「…………。フッ、チンプンカンプンだなッ。やっぱりこういう小難しいのはよく解らんわい」
やがてフ、と笑みを浮かべながら情けない独り言を漏らした。
座学が苦手な男は、複雑な魔術も苦手なのだった。
まあそれでも、文字を目で追う作業自体は嫌いではないし、暇つぶしには丁度いい。
こうしていればいずれ眠気もやってくるだろう。
そんな風に思いつつ、男は静かに本に目を通し続ける。