2019/12/12 のログ
クレス・ローベルク > 急ぐ彼女の道をふさぐように、青い闘牛士服の男が向こうから歩いている。
狭い道だ。すれ違うには、お互いに横に逸れねばならない。
だが、男の方はそうはせず、それどころか足を止めてしまう。

「おっと失礼。ちょっと、聞きたい事があるんだけど……君、プリムって娘を知らないかな?
その娘の依頼主から、探すように言われてるんだけど」

と、話しかける。
男は、プリムという少女が受けた依頼の、依頼主から人探しの依頼を請け、この山賊街道までやってきたのだ。
曰く『冒険者のお嬢さんが何時まで経っても帰ってこず心配だ』らしい。
とはいえ、その人相などは聞いても要領を得なかったため、彼女が本人であるかはわからず。

プリム > 山道を歩き続ければやがて前から青い服の男の人が歩いて来るのが見える。
一人だし歩いているから変な人ではないはずだと思うが一応の警戒。
もうちょっとですれ違うかなという距離になり少し自分はそれるが男の人はそうではなく足を止めてしまう。

「はい、どうかしましたか?
え……私を探すように依頼主さんから?」

突然の言葉に驚きを見せるが構わないというように何度か頷き。
そして問われた言葉が自分を探すようにという依頼を受けたという事。
依頼で出た冒険者を探すために依頼人が更に人を雇ったという事に驚き、つい自分がそうだと言ってしまう。

クレス・ローベルク > 「ああ、君がプリムちゃんだったのか。
そうそう。本来なら、とっくに帰っていておかしくないのに、って事でね。
この辺は物騒だし。何せ、山賊街道って呼ばれてるぐらいだもんね」

と、安堵した様な笑みを浮かべる男。
実際、彼女の運が悪ければ、山賊にかどわかされている展開もあっただろうが。
とはいえ、その心配は一応消滅したとみてよさそうだった。

「んじゃまあ、そういう事なら一緒に王都まで帰ろうか。
一応、簡単に野営道具も持ってきてるけど、どうせならベッドで寝たいしね」

と、言って、回れ右。
彼女を先導する様に歩き出す。
どうやら、護衛依頼も兼ねている様で、時折道の両脇に視線を巡らせている。
とはいえ、男は飽き性なので、会話が暫くなくなれば、男から何か話し始めるだろうが。

プリム > 「私がプリムですよ。貴方はどなたですか?
あ、それはですね。依頼の薬草が集まらなくて……。
これは判ってんですよ?」

この辺りは危険という事は依頼を受けた時に聞いていて。
本来なら早く帰るつもりだったのだと、遅れた理由を男に説明し。
男の安堵の顔を見れば小さくなってしまい。

「私もどの心算だったから助かりますよ。
野営はできれば嫌ですから頑張って王都に帰りましょ」

回れ右する男の背中に声を掛ければ小走りに追いかけ追いつき。
小さな明かりで先導をしてくれる男を照らし、自分も警戒をして周囲を居るが何も見つからず。
もし何かあっても今は一人じゃないと思えば安心し、自然と笑みが浮かんで歩いていく。

クレス・ローベルク > 街路をカンテラの明かりで照らしながら、少女と男は進んでいく。
道の両脇に足跡などはないということは、少なくともここ最近この街道には盗賊は出ていない。
こちらを伺う視線なども無いから、人を食う肉食獣も居なさそうだ。
取り敢えず、安心して良さそうだと考え、男は彼女に話しかける。

「それにしても、若いのに冒険者とは、随分思い切った仕事してるねえ。
見なりを見る限り、貧しくて食い詰めて――って訳でも無さそうだし。
何かきっかけとか、あったの?」

と話しつつ、こっそり彼女の立ち振る舞いで、冒険者、或いは戦士としての凡その実力を計ってみる。
一応、いざという時にどれぐらいできるかを確かめるというのもあるが、半分は興味だ。
ただ、その為に割とじろじろ見ることになるので、視線に敏感ならば気づくかもしれないが。

プリム > 一人で歩くならばおっかなくて小さな明かりしかつけれない夜道。
しかし誰かと一緒なら大きく明かりをつける事も出来、知らない相手であるが依頼人が雇うなら信頼できる人のはずと考えはお気楽。
獣のような声も気配もないから動物もいないのかなと周囲を見回したりとして。

「そうですか?一番なりやすいお仕事だと思いますよ?
なったきっかけは自立ですよ」

立ち振る舞いや動きはどう見ても素人のそれ、剣は扱えるがそれほどうまくもない事までは判るだろうか…。
そして問われた事には特に隠す訳でもなく答え、その鈍さにじろじろと見られる視線に気が付かないで。

クレス・ローベルク > 「なりやすい仕事、ね」

と口の端に苦笑を滲ませる。
確かに、彼女の言う事は間違いではないが、しかし同時に、かなり楽天的な答えでもある。
『世間知らず』ではないのだろうが、『世間知りはじめ』であるのだろうと考え、

「自立か。まあ、俺も自立っていうか、家出して冒険者になったクチだけど。
しかし――だとすると、結構いい所の出?」

素人同然の立ち振る舞い。剣もまあ、それなりに扱えるが、左程上手くはない。
その割に、こちらに対してはかなり友好的で警戒がない。
幾ら依頼人から紹介されたと言っても、やや無防備に過ぎる――その気になれば、この状況から犯して、魔導機械で映像でも撮ってから、脅迫するという手も取れるというのに。

プリム > 「ギルドにいって登録する。それだけですから」

小難しい接客や計算、額も必要なくなれるからと答えは楽天的なそれ。
だが何も考えていないというよりは考えた結果それに行き着いたという様子を見せて。

「ずっと家にいてお父様やお母様に面倒を見てもらうのも嫌ですから。
ですのでちゃんと言って出てきたんですよ。それは秘密です」

色々と足りないものは多いが勘だけはよい。
その間を信じて今の所は大変な目にあったことはないのでこんな態度。
ただ…もし襲われでもすれば先日に受けた叱責とアドバイスで用意した本当に細く短い短剣でチクリと刺す準備はしていて…。

クレス・ローベルク > あくまで今の所、男は彼女をどうこうするつもりはない。
今の依頼は『彼女の捜索と護衛』であるからだ。
それは彼女にとっても幸運であるが、彼にとっても或いはそうだったかもしれない。
襲おうとした所で、カウンターとして短剣で突き刺されれば、死なないまでも、それなりの苦痛を味わっただろうからだ。

「(……ふむ?)」

てっきり、もう少し無鉄砲なものだと思っていたが。
しかし、彼女の表情は少なくとも何も考えていない――思考放棄した者の表情ではない。
考えの浅さ深さはともかくとして、振る舞いからイメージする程芯が無い訳でもない、と心の中で評価を改める。

「おおう。親御さん心配しただろうに。良いご両親だね。
俺の両親は、家から出るのを許さなかったからなあ……全く、少しぐらい出してくれれば、家出までしなかったのに」

と少しだけ愚痴を漏らす。
しかし、直ぐにこんな道すがらの少女に話す事ではないと思い直す。
何か続ける言葉はあるかと少し考えたが、

「でも、じゃあ、親御さんを安心させられるような冒険者にならないとだね。
遅くに帰って来たりすると、依頼人もだけど、親御さんも心配するだろう?」

と、出たのは存外普通に常識的なセリフだった。
ただまあ実際、こんなに遅くまで採集依頼に熱中するのは危険も大きい。
一応、注意としては不自然ではないだろう。

プリム > 一人で夜道は本当に怖いがこうして誰かがいれば案外怖くない。
これからは時間のかかりそうな仕事は誰かと組んでが良いかもしれないと考え。本日は用意していた短剣の出番はなさそうで。

「どうかしましたか?」

何だろうと男からの気配が変わった感じがして見上げるようにしての問いかけ。

「いいというか放任主義ですよ?家を出るときも「子供だけは作るな」ってそれだけですよ。
貴方は家出をしたんですね。でも一度ぐらいは戻ったほうが良いですよ?」

告げられた愚痴にはそんな事を返し。
どうであれきっと心配していると笑顔で話していき。

「はい、当面はそれを目指しています。
今は宿を拠点にしてるのでそれは大丈夫です」

今は一人で暮らしていますと胸を張って何故か偉そうに答え。
言葉の中になる心配には判っていますと何度もうなずき。

そうしてそんな話をしながら気が付けば男の隣に並び王都へと歩いて行って…。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からプリムさんが去りました。