2019/12/03 のログ
■ノウブル > (騎士団員の通報、とは通常なら信頼に値する情報だろう
少なくとも、一般市民の通報に比べれば、見間違い等が少ない筈だからだ
それ故に、同じ騎士団員の通報であるが故に、態々捜索隊が派遣されたのだろう
――但し其れは、騎士、と言う存在が信頼に値する事が前提と為る。
野営――とは言え、点ともなく、ただ樹の上に登り、雨を凌ぐ程度の――最中
何者かが、森の中を此方側へと近付いて来る気配が感じられた。
身体を起こし、高い位置から様子を伺い視線を向ければ
其処に、木々を掻き分ける娘の姿を捉えて。)
「――――――………。」
(そして、其処から僅かに離れた位置。
娘の後を追いかける様に動く、もう一人の姿を捉えた。
初めは同行している仲間だろうかと、様子を伺って居たのだが
後続の動きが、如何にも違和感しかなく――まるで、娘の後を、尾行している、様な)。
■クリスティーン > 仲間たちのいる場所から離れてきてしまった。
点呼が始まるかもしれないし、万が一宿泊場所への移動に遅れたら面倒そうだと少女は踵を返す。
山の中で、しかも舗装されているわけでもない獣道を辿ってきただけに帰り道も苦労することが見えていた。
だが帰らなければ話にならない。
一歩踏み出して、ザクザクと草木を踏み、木々を掻き分け、戻っていこうとする――途中に。
「……誰か……います?」
少女騎士が感じたのはこちらを見る誰かなのか、それとも尾行者なのか。
口ぶりからもはっきりと認識しているわけではなく、勘でしかない。
―――が、勘も馬鹿にならない。
剣の握りに手を掛け、用心深く感覚を研ぎ澄ませた。
山の中らしく獣という可能性もある。
■ノウブル > (娘の動きが止まった
其れと同時に、後続の動きも一度止まる
――否、僅かな間を置いて、再び動き出した
娘の居る方向へと、茂みを影にしながらゆっくりと近付く姿は
間違い無く、単なる同行者、と言う雰囲気ではなかった。)
「――――――……。」
(樹上から、ゆっくりと身体を起こして、気配を隠す。
己が駆けつけるには距離は遠く、さりとて無理に駆けつければ如何為るか判らぬ
黒豹の如くに樹上から降り、静かに娘の居た方向へと進みながら、其の最中
――先んじて尾行する影が、娘の死角に回り込み。)
『―――――ッ!』
(躍り出たのは背後、しかも、其の動きは「其れなりに」手練の物。
娘の、剣を持つ腕を抱える様にして捉え様とするのと同時
其の口元に、仕込んだ布地を覆い被せようとするだろう
力は、娘の其れより強く、体格は恐らく男の其れ
娘の力量次第では、勿論抵抗出来なくも無いだろう、が
布地に染み込んだ薬品を、僅かでも嗅いで仕舞えば
程なくして、脱力感に似た感覚を、覚える事に為るやも知れぬ)
■クリスティーン > 何かが近くにいる気がする。
だがそれが具体的に何なのか判然としない。
近付けばわかるよう、なるべく音を立てないように剣を抜こうとしたのだが。
「!?」
新米騎士団員には荷が重すぎた。
抜くより先に何者かがそれを妨げ、口元を塞ぐ。
薬品の匂いだろうか、不快でツンとしたものが鼻腔を通り、頭がふらつく。
それと同時に少女の膝が崩れ落ち、背後から襲った者が支えなければそのまま地面に倒れ込むだろう。
感覚はあるのだが、筋肉に力が入らない。
魔族が薬品に頼るとは思えず、当然獣でもないとなれば山賊か。
そんな思考くらいはできるようで、確認しようとするも――顔を上げることもできなかった。
■ノウブル > (娘の身体から力が抜ける
其れを確かめれば、背後の男は布地を仕舞う
娘の身体を背後から抱えて茂み側へと引きずり込みつつ
また腰袋から小瓶を取り出して、娘の唇から口内へ
其の中身を――今度は、酷く甘い液体を――流し込んで行く
其処までを行って漸く――男は、顔を覆っていた布地を取り去った
恐らくは、娘も見覚えが在るやも知れぬ、其の顔は
他でもない、この土地で魔族を見かけたと報告して来た
――同胞で在る、騎士団員の男だ。)
『やっと隙をみせやがって、苦労したぜ。』
(面倒掛けやがって、と若干疲れた色の声音は
けれど、娘を前にして陽気に為っている気配も滲ませる。
先んじて嗅がせた薬品の効果は、ほんの一時的な物らしい
直ぐに、娘の指先には次第力が戻り始めるだろうが
完全に麻痺から脱するまでに、少なくとも小瓶の中身を流し込まれるのは止められまい
小瓶の中身が空になれば、其れも腰袋へと仕舞いこんで、証拠を残さぬようにし
娘の身体を木の根元へと凭れさせれば、麻痺が解けるまでに其の装備へと手を掛けて、脱がし始める
『御前が入隊した時から狙ってたんだ』なぞと、嘯くのは。
随分と手馴れた様相だったろう)。
■クリスティーン > ズルズルと引きずられ、足で獣道が荒らされる跡が残り、少なくとも少女が戻ってこないことに誰かが気付き、捜索してくれれば手掛かりになる。
自分の意思ではなく脱力していて俯く顔。
何の表情もないものだったが、口に妙に甘ったるい液体を注がれて眉を顰めた。
「……っ……けほっ、けほっ、うぷ……」
気管支に入りそうになり咳き込んだが、どの程度体内に入ってしまったかはわからない。
それでも咳き込む拍子に首や肩が動いたことで、嗅がされた薬品の効果が薄まっていることは気付けた。
もう少し経てば剣を抜き、逃亡くらいはできるかもしれない。
そんな希望が灯る――――少女騎士団員の耳に届く、男の声。
頭をゆっくりと上げれば、昼間、見掛けた魔族について団員たちの前で詳細に説明していた顔があった。
(……あなた……何してるんですか、ここで……?)
そう尋ねたつもりだったが、まだ声にできるほど薬が抜けていなかった。
状況が呑み込めていないにもかかわらず、男の手は剣を外し、服にまで掛かる。
首から胸元までの大きなボタンをいくつか外せば、丈夫な生地でできているワンピースは頭から脱がせるし、脱がさなくても少女らしい胸元くらいは見える。
「め……て……、い……!」
やめてくださいと言った声はほとんど音にならなかった。
かろうじて動き始めた腕を男の腕へと伸ばして掴めば、力が入らないなりに慣れた動作を遮ろうとして。
■ノウブル > (小さく、音が毀れた事で、男の指先が一瞬止まった
娘の麻痺が融け始めていると判れば、僅かに焦ったのだろう。
だが、先んじて手放させた剣が、届かない位置に在る事を確かめれば
また、其の纏う衣服を頭から脱ぎ落とさせ、裸身を晒して仕舞うだろう)
『うるせぇ、もうちっと大人しくしてやがれ。
態々値の張る媚薬まで買ったんだ、胎が燃えて堪らなくなるぜ?』
(暴れるなと、一言零した後で、今度は自らがズボンへと手を掛ける
上着を脱がないのは単純に寒いからだろうし
此れ以上麻痺が解ける前に、組み敷いてしまいたかったのも在るのだろう
腕の辺りへと伸びて来た娘の手を払いのけ、代わりに其の身体を貪ろうと、覆いかぶさった
――きっと、其の辺りで。)
「―――――………なら、普通に口説けば良い物を。」
(――別の声が響くと同時。
男の身体が、其の儘横へと吹っ飛んで転がるだろう。
顔くらいは持ち上げられる様になっている娘が、視界を上げれば
蹴り上げた脚を元に戻し、佇んでいる一人の男が、見えるだろうか)。
■クリスティーン > こちらへの寒さには気遣うこともなく脱がされれば、どこか垢抜けない飾りもほとんどない白い下着上下と下半身を覆うストッキング、紐の崩れたショートブーツと、色気があるんだかないんだか。
身体は18歳の少女として考えれば年相応、騎士団員として見れば筋肉が足りていない。
そんな身体に男が覆い被されば、いくら少しずつ動けるようになってきていると言ってもたやすく体勢を崩してしまい。
「何を……考えて……騎士団員が……すること、じゃ……」
呂律の回らない舌もかなり回復してきてはいる。
非難していることは理解できるだろう言葉。
相手を制御するにはあまりにも弱い防御。
だめか――――そう思った時、視界に落ちていた男の影がなくなった。
「……?」
薬のせいでかなりゆっくりとではあるが、顔を上げた少女。
次は見覚えのある人物ではなく、出で立ちから地元の人間のように見える。
ありがとうございます。そう言おうと口を開いた。
「……り……と、う……ござい……ます」
それが精一杯だったが、最初を思えば自由になってきた頃。
遠くの方から自分を呼ぶ声がして、騎士団の皆が近付いてくる。
あまり大きな声は出せないものの、這ってでも行けばどうにかなるだろう。
先ずはワンピースを着てからの話だが。
騎士団に無事戻れた少女が媚薬の効果を感じ始める頃、どうやってその熱を冷ますのかは乙女の秘密となる。
助けてくれた恩人の名前くらいは聞けただろうか―――。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からクリスティーンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からノウブルさんが去りました。