2019/11/03 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にカインさんが現れました。
■カイン > 完全に人の気配がなく、動物の物音だけが響き渡る山賊街道。
山道の中腹付近にあるぽっかりと明いた空地の一つで、
日当たりの良い岩の上に陣取り取りながら休憩をしている男の姿がある。
「えーと、依頼の品は魔獣のキモに肉、きのこに薬草…此処までは揃ってるな」
依頼されたの薬の材料として必要な素材の入手である。
この近辺で凡そ揃う物だけに、早朝から張り込んでの捜索の甲斐あって仕事は順調に進んでいる様子。
■カイン > 「他は――ン、海水だ?ここからとなると結構遠いなあ…。
他所で手に入れればよかろうに」
他の依頼の品を確かめるうちに見えた単語に、
思わずげんなりとした表情が目に浮かぶ。
一度王都に戻ってからにしたほうが良さそうだと考えて息を吐く。
「こっからとなると余計なことは考えず素直に買えた方がよさそうだしな」
ぼやきながらふと空を見上げると、もう夕刻近くである。
ジタバタしても始まらないと肩をすくめ。
■カイン > 「さて、日も傾いてきたしそろそろ残りを片づけるか。
こんな時期に野宿なんて考えたくもない」
食事を終えて体に力が戻るのを感じながら、
野営の後片付けを済ませればそのまま森の中へと足を踏み入れていくのだった。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からカインさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にエリさんが現れました。
■エリ > 獣の声だけが木霊する時間に、九頭龍山脈一角で赤紫の光が落雷の様に、一瞬。
その一瞬、魔族独特の禍々しい瘴気が強くなり、やがて薄れていく。
それと同時に生い茂る木々の間からバサッと飛んだのは鳥でも蝙蝠でもなく、サキュバスの少女だった。
街道に降り立つとさっきまで自分がいた方向を振り返り、心配そうに呟く。
「命に係わる怪我はしてないと思うけど……。急だったから、ごめんね」
落雷の様な光が落ちた先には、きっと人間が失神でもしているだろう。
急に襲われての対処だったが、本来人間には無害な存在でありたい彼女にとっては大誤算。
あれは山賊と呼ばれる存在だったのかもしれないけれど、彼らもピンキリ。
いくら魔族とは言え、こんなちまっとした少女にあっけなく退治されてしまったのだから。
金目の物を持っているようには見えないことを考えると、性的な欲求を満たしたかったのかもしれない。
いくらサキュバスと言えどああいった輩はお断りだった。
気を取り直し、ピンク髪の少女は闇を恐れもせず街道を歩き始める。
目的地は九頭龍山脈を利用した温泉があるという宿。
人間が大好きで、王国が大好きで、そんな彼女だが魔族の呪縛から離れられない様に浮世離れした行動は目立っていた。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に刀鬼 紫沙希さんが現れました。
■刀鬼 紫沙希 > 電の様に眩い光に興味をそそられた鬼。
持ち場の調査を部下たちに任せては、光った現場へと駆け出す。
街道筋をまっすぐ進めば、扇情的な衣装に身を包んだ少女が現れる。
鬼の血が、少女の身体から漂う魔の気配にざわつくのであった。
「よう、お嬢ちゃん。
さっき派手に光ってたのをみたんだが、大丈夫だったか?」
この少女が起こした可能性も考え得るが、まだ可能性の一つ。
鬼は笑みを浮かべ、ひとまずはこの小さな女の子の身を案じた。
その証拠に、刀に手を掛けてはいない。
■エリ > やがてこちらに駆けてくる異国風の女性。
どうやら人間ではないようで、山で遭遇するには不思議と場面に合っているかの様な、そんな出で立ちを見た。
「え?あ……え?えーっと……」
この世は外見だけでは素性を知れないものとは言え、こんな時間に暗い山を歩く少女は異質。
力を解放した際に隠しきれなくなった角や羽、尻尾は咄嗟に引っ込めたものの、鋭い相手には隠しきれないものがある。
それにもかかわらず怪しむこともなく(それが表向きだとしても)心配してくれる彼女に、反応に困ってしまう。
正直に言ったほうが良いのか、ごまかしたほうが良いのか、迷っていた。
山賊を伸した件は想定外で、本来誰にも敵意なんてないのだけれど、それを信じてくれるかどうか。
顔を合わせただけだが、戦い慣れた存在というのは感じ取れる。
「さっきあっちで山賊を見たから、なにかトラブルがあったのかも。お姉さんもあんまり近づかないほうが……」
結局嘘はついていないものの、正直に話してもいない返事を返した。
こんなときに怪しくない少女というのはどんな態度をとるのだろうと考えた挙句、急に眉を八の字にしたりして気弱そうなふりをしてみる。
■刀鬼 紫沙希 > 「ほうほう。」
鬼は顎に手をやり、少女の説明を聞き入る。
泳ぐ視線、奇異な衣装、稲妻のことを問うたはずが先に山賊のことを切り出される。
恐らく、この少女が何らかの形で関わっているのであろうが。
鬼は暫し少女の顔を眺めていたが、眉が下がった瞬間、口元をにんまりと伸ばす。
「それは心細かったであろう。
俺は近くの街に暮らしている刀鬼 紫沙希と言う者だ。
今はこの近くに小屋を構えていてな。
どうだい、お前さんが良ければ泊まっていくってのは。
この辺りの夜は物騒だぞ。
ま、お互い初対面だ。
お前さんが信用できないって判断するならそれも自由だがな。」
鬼は少女のことを掘り下げることはせず、自らの拠点に寄るよう声をかける。
友好的な態度を示す少女のことを信用したからである。
この鬼は元から甘い鬼であった。
■エリ > 信じてくれた!
実際には、見透かされているのに信じてくれた。
サキュバス少女はとりあえず安堵して、安堵したばかりに夜の山道怖い演技を疎かにしてしまった。
怪しまれないように視線を逸らしがちだったのをやめ、まじまじと長身の女性を見上げたのである。
よく見れば自分の羊角とは違った角があり、似た様な種族は魔族の国にもいることを思い返していた。
「とうき、むら……?王国風の名前じゃないね?もっと北か……東かな。あ、あたしはエリ」
母国では引き籠もり、王国に渡って日が浅い少女にとって興味の対象となる鬼の女性。
他人の感情が理解出来るほど鋭くはないが、疑ってかかるほどすれてもいない。
特に職もなく、大好きな王国でのんびり暮らしているサキュバスの暇潰しとなるはずだった温泉宿とは計画が狂うけれど。
「お姉さんの話を一晩聞かせてくれるなら行きたい!」
興味津々であることを隠しもせず、不安げな様子はどこへいったのか、ぴょんぴょん跳ねてテンション上げた。
羽が収まっているから良いものの、出ていればふよふよと空中を飛んだであろう勢いで。
■刀鬼 紫沙希 > 鬼はこの素直で愛い少女を温かく見守っている。
どこから来たのか、何をしに来たのかは不明だが
この荒野に一人で放置しては心が痛んだであろう。
頭髪の隙間から角を見つけられても、鬼は気にしない。
「良く分かるな、東の方からやってきたぞ。
エリ、よろしくな。」
鬼は少女よりは観察力を有していたが、少女の愛くるしさにはそれも容易に曇ってしまう。
「なら決まりだな。 ちなみに俺の小屋には粗末だが風呂も用意してあるぞ。」
足元が軽やかな少女を先導して、山の中にある木製の小屋群へと。
その中の一つ、鬼が使っている小屋に入る。
中は食卓と水回り、奥に寝室がある程度だが、寝室の奥はテラスになっており近隣から組んできた温泉を沸かした風呂が設けてあった。
「とりあえず、座りな。
飲み物を用意しよう。
茶でも構わねえか?
酒もあるぞ。
そうだ、腹は減ってねえか。」
鬼は食卓に並んだ椅子の一つに座るよう促し、自らは戸棚を開けている。
急な来客と、鬼自身が腹を空かした時の為にある程度常備してあった。