2019/09/22 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にノールさんが現れました。
■ノール > 山中の深く、街道からやや外れた場所に小さな泉と僅かに拓けた場所があった
山脈の道中、厳しくなる頃合に一休みできる泉と広場は森の中故に知る者は少ない
だが、まったく知られていないわけではないし、知る者は大体旅の工程に組み込む
所謂、穴場というやつだった
「………」
その泉を囲む、樹齢の経た大木の影、正反対の真裏に獣人が一匹、うとうとしていた
根元に座り、脚を投げ出して背を幹に預けている
地面には無造作に、錆びた鉄塊のような斧が置かれていた
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にサティリアさんが現れました。
■サティリア > 山越えの途中、いくら旅慣れたといえど女一人での道中では体力的に休みなく強行するのは厳しいもので。
かといってそこらに休むための場所はないが、予め他の旅人から穴場があると聞いていたサティリアは街道から外れたこの場所へとやって来て。
「本当にこんな場所があったとは…」
知らされていた通りに泉と休むのに適した広場を見つければ、やっと一安心できると安堵し、警戒もそこそこに衣服を脱ぐと泉に水浴びをしに向かい。
■ノール > 音がしたのに、ようよう気づいて耳がピンと立つ。狗に似た頭が気配を殺したフリで鼻先を蠢かした
雌の匂い。
声が聞こえてくる。気配と返事がないところからも一人だろう
「……。」
地面に置かれた斧の柄を掴み、器用に座った体勢からくるりとひっくり返って四つんばいになった
捕食獣の姿勢。耳をそばだて、相手の動きを探る
水音、衣擦れ、何より、雌の匂い、体臭が強くなったのは身を晒したからだ
獣人は地を蹴り、茂みから飛び出した。大きく、鉄の塊のような斧を振りかざし
水浴びをしている、姿を見つけると躊躇なく振り下ろした
■サティリア > 歩き続けて火照った体に冷たい泉の水の心地良さにリラックスし。
この場所に自分以外の何者かがいるなど頭にはなく。
「だ、誰っ!?」
そうして気を緩めてしまえば、突如茂みからなにかが現れたのを確認するも、なにも纏っていないサティリアの身ではどうしようもなく。
咄嗟に獣人の攻撃から身を守るように腕をかざして自分の頭部だけは守ろうとし。
■ノール > 低い姿勢から伸び上がるようにして、普通ならば戦闘につかわぬような鉄塊をらくらく振り上げる
此方を認識した雌は僅かに反応したが水場で逃げるのも無理と悟ったのか
「ガアアアアアッァ!!」
咆哮とも叫びとも付かぬ声を上げて腕を上げ防御を取る雌へ力任せに攻撃を加える
切れ味などほぼない、錆びて鈍い斧をただ、力任せに振り下ろした
同時に、足先で太ももへ蹴りを放つ。蹴る、というより獣の爪先で引っかき、逃げる手段を断つためだった
■サティリア > ようやく自分に向かってくる獣人を認識し。
それが武器なのかも分からない大きさの鉄塊に驚き、かといって自分にどうすることもできず。
「きゃあっ!! ぁぁぁっ!?」
獣人による力任せの一撃を防ぐことなど防具を纏っていないサティリアでは、(もっとも纏っていたとしても防げたかは不明だが)当然適わず、鈍い音を立てて腕が折れてしまい。
痛みに悲鳴をあげるも、即座に放たれた脚部への攻撃は避けようと背後へ飛び。
しかし水中に足があったせいで、飛ぶことには成功したものの、獣の爪先で足を切り裂かれて広場へと崩れ落ちて。
■ノール > 手ごたえがあった。ふしゅぅ、と息を吐く
巨大な肉厚の斧は鈍器に近い。それを片手で振り回して下げ、ざばざばと水場を蹴立てて逃げた姿を追う
水場から出ようと広場に崩れ落ちた肢体を真ん丸な底光りする獣の目が見た
「…………グルゥゥゥうぅ」
しゅう、と漏れ息の音と混ざった喉の唸りを漏らしつつのそりと、其方へ近づく
まともに逃げるのも、もう、難しいだろうのは判った上での動き
酷い猫背の長身が見下ろして、ざばりと水場を上がった
更に、のそりと近づき獣人は声無く笑った
獣人の陵辱は夜が明けるまで続くだろう。荷物を放りだして逃げてもこの山脈を抜けることができない
獣人が満足するまで相手をして漸く、生存の芽があるのだ
少女にとって長い夜がはじまろうとしていた
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からノールさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からサティリアさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…はてさて。どうしたものかな」
険しい山道を進む豪奢な馬車。
ホーレルヴァッハ家の紋章を高々と掲げた此の馬車が、面倒事に巻き込まれるとは思ってもいなかったが――
「蛮勇と言うべきか。それとも無知蒙昧と言うべきか。まあ、此方にも落ち度があった事は認めざるを得ないか」
護衛も無しに山道を走る馬車は格好の獲物と思われたらしい。放たれた弓が御者の頭部を貫き、強い揺れと共に馬車は停止した。
そんな馬車の中でぶつぶつと不満げに独り言を零しながら、『大人しく出てこい』と叫ぶ山賊達を窓から眺める。
「交渉で済めば良いが……まあ、無駄だろうな」
深い溜息と共に扉を開けて大人しく馬車から降り立つ。
中性的な顔立ちの少年が一人馬車から現れれば、釣り上げた獲物の大きさに山賊達は歓声を上げるだろう。
少年の表情が、不機嫌そうに歪んでいる事に気付かぬまま。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 荒れた山道に降り立ち、山賊達を睥睨する。
流石に山賊達も、目の前の少年(或いは少女か)が怯えた様子を見せていない事に気付くだろう。
だが、山賊達には積み重ねた経験があった。
貴族というものは、自分が身代金目的である事を理解している。それ故に、襲われてもこうして落ち着き払っている者が多い。この少年も、そうし思っているからこそこんな余裕っがあるのだろうと。
そんな余裕めいた表情が何時まで続くものかと下卑た笑い声が響く中、再び深い溜息を吐き出して少年は山賊に問いかける。
「……取り合えず、御者の経験がある者を一人寄越せ。そうすれば、命までは取らぬ。無論、王国軍に報告はするが、それまでに逃げおおせる時間くらいはくれてやろう」
一瞬の沈黙。その後、山中に木霊するような勢いで山賊達の笑い声が響き渡った。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > その笑い声は、少年が億劫そうに手を軽く振る仕草を見る迄の事だった。
魔力が収束し、湧き出る様に現れたのは三つの頭を持つ巨大な獣。所謂ケルベロスと呼称される魔獣――その紛い物。
しかし、その戦闘能力は本物に劣らず、主の命を受けたケルベロスは大地を疾走する。
笑い声が悲鳴に変わり、一瞬の虚しい抵抗と、数秒の逃走劇の末に山賊達はその屍を晒す事となった。
「……散らかしたままというのも後味が悪い。適当に目立たぬところへ運んでおけ」
戦闘、とも言い難い蹂躙を眺めた後、召喚物に後処理を命じて三度溜息。
取り敢えずは、御者を失った馬車をどうしようかと思案しながら息絶えた御者の瞳をそっと閉じさせる。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > と、命令通り死体を運び終えたケルベロス擬きを眺めて一考。
「……こいつに引かせれば、取り合えず動きはするか」
こうして、馬の代わりにケルベロスが引く馬車――おまけに御者の死体付き――というホラー染みた光景が、目的地に到着するまで続いていたのだとか。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。