2019/08/10 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 渓谷」にホアジャオさんが現れました。
■ホアジャオ > 青空に白い雲が映える日。
『山賊街道』などと名前を奉られる場所にも季節は廻り、木々は青々とした葉を付け、下生えの植物も陽の光を奪い合うように葉を延べている。
その山間、岩棚から流れが零れ落ちて、小さな滝を作っている所から続く渓谷。
周囲の岩場は小さな滝つぼから吹きあがる風で、日陰よりもいっそう涼しい。
時折、鳥の囀りさえ聞こえるその場所で、一際大きな岩棚に大の字で寝そべる女がひとり。
女の周りの日差しは周囲の木々から差し伸べられた枝葉で遮られて、ほんの少しの木洩れ日だけ。
下から見上げれば、その葉が透けて見えて緑の天井のよう。
滝つぼへと零れ落ちる水の音の合間に、魚だろうか、何かぱしゃんと跳ねる音。
それを狙ってか、青い羽根を持つ鳥が時折水面を掠めては、また水面に雫と光を弾かせている。
ぐーすか眠っている様子の女には、いささか勿体ない光景。
…まあ、ある意味自然と一体化しているといえる、のかもしれない。
■ホアジャオ > 以前も辿ったことのある渓谷を、ピクニック気分で登ってきたところ。
本当はこの先の水源まで行くつもりだったものの、途中で獣を追っかけてみたり、めぼしい木に登ってみたり、面白い岩に登ってみたりして様々に寄り道をしていた。
そうしてこの気持ちのいい場所に腰を降ろすが最後、心地よい眠気が襲ってきて、その誘惑に逆らえなかった。
「…ウーン……」
大の字から、ごろんと横に寝返りをうつ。
滝から吹きあがった風が心地よく頬をなぶって行く。
また寝息が聞こえてくるころになれば、小さな鳥が女の肩の上で一瞬休んで、羽を繕って行ったりする。
しばらくして紅い口がむにゃむにゃと動いて、眉が悩ましく歪む。
「…我饿了(おなかすいた)……」
■ホアジャオ > ぱたん、とまた仰向けになると、細い目がぱか、と開かれる。
「ン――…」
お腹をさすってからむくり、と半身を起こして、目を擦ってからぐうっと伸びをくれる。
そのまま次にふわっと大あくびを漏らすと、猫がそうするように身体を前に倒して四肢をぐうーと伸ばし、そのまま立ち上がった。
ぼおっとする思考から霧を振り払うようにぶるぶる、首を振って
流れが落ちて来る岩棚を見上げる。
確かこの先、もうちょっと…あと半分くらい、道のりがあった筈だ。
次にちらり、腰に吊るした巾着を見遣る。
「………ひとくち、食べちまおうかなァ…」
中には小ぶりの中華饅頭がいくつか。
そう、いくつか。
「…………」
伸ばしかけた手で、ぐしゃぐしゃと顔を擦ってから、改めて岩棚を見上げた。
■ホアジャオ > 「打起精神来(気合だ)!」
ばんばん、と両手で頬をはたくと、辺りを見回す。
手近な樹を見付けると、それがしがみつくように岩棚に枝や根を這わせている所まで見て、にまあと笑って
「よッ」
ぽんと飛ぶと、その枝に両手でぶら下がる。
その決して太くはない枝が大きくしなる、その反動を使ってくるりと身を翻し
さらに上に差し出された枝へとするする伝っていく。
■ホアジャオ > 程なく岩棚の上に辿り着けば、小さくガッツポーズをして下を見下ろして
更に源流へと、軽い足取りが遠ざかって…
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 渓谷」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 夜。
九頭竜山脈のとある山の麓付近にある、やや寂れた感のある小規模な温泉宿を、男は訪れていた。
ロケーション的に立ち寄りやすい場所ではあるものの、あまり目立たない隠れ家的な
建物ゆえか客は殆どおらず、人気もあまり感じられない。
夕食を済ませ、ひとっ風呂浴びようと露天風呂まで足を向け、脱衣所で服を脱ぎ
タオル一枚を携え、浴場へと足を踏み入れて。
「いつもの旅籠の温泉もいいのだが、たまには違う風呂も楽しんでみるのが大人の醍醐味」
などと得意げに独り言ちながら、目前に現れた露天の岩風呂を眺め回す。
見慣れた旅籠のそれとは違う趣に、表情を緩めて。
桶を拾って掛け湯を軽く済ませれば、ゆっくりと湯に身を沈めて行き。
「ふーむむ……ここの湯はちっと熱めですな。まあ個人的には好みだがな」
なんて評価を呟きつつ、身にしみる熱さにへふぅ、とか気の抜けた息を吐き出し。
湯船の縁の岩に背を預け、タオルを軽く畳んで頭に乗せるとゆったりと寛ぎ始める。